“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「AI時代に生きる数学力の鍛え方」(芳沢光雄著/東洋経済新報社)

2021-01-21 09:36:03 |    数学

 

<新刊情報>

 

書名:AI時代に生きる数学力の鍛え方~思考力を高める学びとは~

著者:芳沢光雄

発行:東洋経済新報社

 AIが進化した今日、人間に求められるのは考える力や創造力であり、学校で学ぶ算数・数学は、実はそうした力を養うための絶好のトレーニングになる。ところが現在、日本の算数・数学教育では、定理や解答を導く論理を飛ばして、テストの答えを「当てる」ためのやり方の暗記だけをさせるような学習がはびこっている。これを著者は、「暗記数学」と呼んで批判する。そうした教育では、物事を順序立ててとらえ、論理的に考える力を養うことにはまったくない。そもそも「やり方を暗記して速く計算して答えを出す」といったことは、計算機が得意とする分野であり、人間がそこで計算機と競争しても適うはずがない。人間はむしろ、AIを良きパートナーとして共存することを目指すべきであり、計算機と競わない領域で活躍することに軸足を置くべきであろう。同書は「暗記数学」式の教え方のどこが悪いか、論理をきちんと教えるとどういう説明になるかを多数の実例を用いて解説。小中高校生の父母は思わず納得、読み進むうちに数学的・論理的思考とはどういうものかが実感でき、今からでも実践できるので、ビジネスパーソンが読んでも遅すぎることはない。クリエイティブになるには、数学力を高めるのが早道だ。

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●科学技術ニュース●名古屋大学、IoT社会を支えるフレキシブルデバイスを前進させる導電性ポリマーの電気を流すメカニズムを解明

2021-01-21 09:35:31 |    電気・電子工学

 名古屋大学 大学院工学研究科の伊東 裕 准教授、田中 久暁 助教、竹延 大志 教授らの研究グループは、導電性プラスチック(ポリマー)が電気を流すメカニズムを解明し、ポリマー薄膜の電気伝導を自在にコントロールしつつ電子機能を引き出す可能性を切り拓いた。

 導電性ポリマーは多彩な応用が期待されるが、乱れを含んだポリマー薄膜の電気伝導を正確に理解することは従来極めて困難であった。

 同研究では、分子配列の秩序が極めて高い高分子薄膜に電解質を用いて高濃度に電荷を導入することで、半導体から金属的挙動を示すまで電気伝導性を自在にコントロールすることに成功した。

 また、磁場と組み合わせた詳細な実験により、金属的な伝導をもたらす電子の波が薄膜中に広がるメカニズムを初めて明らかにし、従来明らかにされてこなかった伝導特性を向上させるための薄膜の構造条件を特定することに成功した。

 この成果は、電気伝導特性のみではなく、温度差から発電する熱電変換性能を制御する上で重要な知見となることも分かり、IoT社会の実現に向け高分子を用いた柔らかいエレクトロニクスの広がりが期待される。(科学技術振興機構<JST>)

 

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Pythonインタラクティブ・データビジュアライゼーション入門」(@driller、小川英幸、古木友子著/朝倉書店)

2021-01-21 09:35:00 |    情報工学

 

<新刊情報>

 

書名:Pythonインタラクティブ・データビジュアライゼーション入門~Plotly/Dashによるデータ可視化とWebアプリ構築~

著者:@driller、小川英幸、古木友子

発行:朝倉書店
 
 Webサイトで公開できる対話的・探索的(読み手が自由に動かせる)可視化をPythonで実践。データ解析に便利なPlotly、アプリ化のためのユーザインタフェースを作成できるDash、ネットワーク図に強いDash Cytoscapeを具体的に解説。

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