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●科学技術ニュース●大阪市立大学、スピン状態間のエネルギー差を直接求めることができる新規量子アルゴリズムの開発に成功

2021-01-08 09:34:58 |    化学

 大阪市立大学 大学院理学研究科の杉﨑 研司特任講師、佐藤 和信教授、工位 武治名誉教授らの研究チームは、量子コンピュータを用いて、スピン量子数が異なる電子状態(スピン状態)間のエネルギー差を直接計算することができる新規量子アルゴリズムの開発に成功した。

 これまで、スピン状態間のエネルギー差を求めるには、たとえ量子コンピュータを用いたとしても、異なるスピン状態の全エネルギーをそれぞれ求める必要があったが、同成果はそのような量子化学計算の常識を覆すもの。

 量子コンピュータを用いると、原子・分子のエネルギーを精密に求める量子化学計算が超高速で実行できる。分子は「スピン量子数」が異なると化学反応性なども異なるため、エネルギーが最も低い基底状態のスピン量子数を決定すること、および「スピン量子数」が異なる電子状態(スピン状態)間のエネルギー差を正確に求めることは極めて重要である。

 これまでは、スピン状態間のエネルギー差を求めるには、それぞれのスピン状態の全エネルギーを計算する必要があった。

 今回、同研究チームは、量子力学の根本原理である「量子重ね合わせ状態」を上手に利用し、ベイズ推定による機械学習と組み合わせることにより、従来法よりも容易に量子コンピュータに実装でき、スピン状態間のエネルギー差を直接計算できる新規量子アルゴリズムの開発に成功した。(科学技術振興機構<JST>)


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