東京貿易エンジニアリング(TEN)、川崎重工業、宇宙航空研究開発機構(JAXA)および日本船舶技術研究協会(JSTRA)は、内閣府が推進するSIPにおいて、世界初の液化水素用船陸間移送ローディングアームを開発した。 液化水素運搬船による海上輸送は、これまでに世界中で実績がないため、船と基地を繋ぐ重要な設備として液化水素用ローディングアームを新たに開発した。
液化水素の温度は空気の液化温度より低いため、既存技術のLNG用ローディングアームでは、移送時に配管表面に液体酸素が生成され、火災を誘発する可能性がある。
この課題の解決策として、液体酸素を生成させない高い断熱性と安全に運用するための機構を備えた。同ローディングアームの主な特長は次の3点。 ①高断熱を実現する真空二重断熱構造②自由度が高い特殊な高断熱構造のスイベルジョイント(回転機構を有する管継手)③緊急時に液化水素を安全に遮断する離脱機構。
緊急離脱機構の切離し動作およびスイベルジョイントの長期稼働を見据えた40万回の反復回転動作の確認を行うことで、高い安全性と耐久性を確認した。 今後、2020年度に実証試験を計画しているNEDO事業「未利用エネルギー由来水素サプライチェーン構築」の液化水素の海上輸送実証にて、同システムの緊急離脱装置の実証を行う。さらに、将来の商用化に向けた規格作りや大型化に向けた技術開発を進めることで、持続可能な社会の実現を目指す。