<新刊情報>
書名:協力と裏切りの生命進化史
著者:市橋伯一
発行;光文社(光文社新書)
(本文より抜粋) 協力関係があるところには、必ず裏切り者が生まれます。これは生物における協力関係についても同じです。1個体、1細胞でも裏切り者が現れれば、協力関係に致命的な影響を及ぼします。生物の世界における裏切り者とは、協力してもらったのに協力を返さず、他の人や生物からの協力にただ乗りをするものたちのことです。多細胞生物で言えば、がん細胞のように勝手に増殖する身勝手な細胞のことです。協力関係を長期間維持している生物は、実に様々な方法で裏切り者を抑え込んでいます。この裏切り者を防ぐ、あるいは排除するしくみこそが協力を可能にした条件です。