“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「目からウロコの物理学 2 フーリエ解析・量子力学/ 3 相対論」(牧島一夫著/東京大学出版会)

2024-06-13 09:35:53 |    物理



<新刊情報>



書名:目からウロコの物理学 2 フーリエ解析・量子力学/ 3 相対論

著者:牧島一夫

発行:東京大学出版会

 なるほど、そうだったのか! 数理や法則にもとづく厳密な物理理論と、現実の物理現象の直感的理解がうまく交差したとき、物理学の真の理解に到達する。丁寧な数式展開や宇宙物理学の視点も交えた豊富な事例など、熟読するほどに「活きた物理学」が身につく書。
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●科学技術ニュース●京都大学など、微小ナノダイヤモンド量子センサで安定的に温度計測実現し細胞内などの微小領域での量子センシングに期待

2024-06-13 09:35:23 |    電気・電子工学
 水落憲和 京都大学化学研究所教授、蘇梓傑 同博士課程学生(当時、現:量子科学技術研究開発機構(QST)量子生命科学研究所 博士研究員)、藤原正規 同特定研究員、五十嵐龍治 QST量子生命科学研究所チームリーダー、株式会社ダイセルらの共同研究グループは、独自に開発した爆轟(ばくごう)ナノダイヤモンド中に、強く安定した光検出磁気共鳴(ODMR)信号を持つ窒素-空孔(NV)中心を多数計測することに成功した。

 これにより、NV中心を含む爆轟ナノダイヤモンドでは初めて温度感度計測を実現した。

 開発した爆轟ナノダイヤモンドの粒径は約11nmで、温度感度を計測したダイヤモンドセンサとして世界最小径。

 NV中心は、ODMR信号を利用することで温度、磁場、電場などを高感度に計測できるため、優れた量子センサとして幅広い分野で注目されている。

 生命科学分野では、NV中心を含むナノダイヤモンドを細胞核やミトコンドリア等の細胞小器官に導入できれば、微小領域における高感度計測が期待できる。

 ただし、これまで生体計測に用いられてきたナノダイヤモンドの粒径は主に100nm前後で、細胞膜や核膜へのダメージを抑えて細胞深部に導入するには粒径30nm以下が要求される。

 小粒径のナノダイヤモンドの合成は爆轟法が有力だが、従来の爆轟ナノダイヤモンドはNV中心の濃度が低い、ODMR信号が低く不安定、といった問題があった。

 今回実現したNV中心爆轟ナノダイヤモンドを用いることで、今後、細胞内などの微小領域での量子センシングが期待できる。

 小粒径かつ大量合成可能なSi-DNDを長時間熱混酸洗浄することで、高コントラストで安定したODMRスペクトルを持つNV中心を多数計測できた。また、DNDとしては初めてODMRを用いた温度感度計測も実現した。

 平均粒径11.2nmは温度感度を計測したダイヤモンドの中で世界最小であり、統計的にも十分均一な粒子が得られた。

 以上のことは、細胞核内や細胞内小器官における温度計測など、NV中心による量子センシングの技術を生体試料に応用する上で重要な一歩。

 特に、Si-DNDはNV中心濃度を増加させるような後処理を一切行わずに高いNV中心濃度を実現しており、適切な後処理を施せば更なる高濃度化も期待できる。

 加えて、Si-DND中のSiV中心も利用できることは、生体のマルチカラーイメージングや全光学的温度センシングなど応用の幅が広がるものと考える。

 今後の予定としては、更なる高感度化、また実際にSi-DNDを生体試料へ導入し、バイオイメージング及び温度センシングを進める予定。<量子科学技術研究開発機構(QST)>
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●科学技術ニュース●関西電力など、「EVワイヤレス給電協議会」設立

2024-06-13 09:34:41 |    輸送機器工学
 関西電力は、ダイヘン、シナネン、三菱総合研究所、WiTricity Corporation の4社と「EVワイヤレス給電協議会」を設立した。6月10日に設立総会での決議を経て、発起企業5社を幹事会員とする同協会を設立したもの。

 同協議会は、EVの普及拡大に向け、EVワイヤレス給電の実用化や給電規格の標準化等に取り組む。関西電力は、同協議会の参画を通じて、EVを中心とした新しいモビリティシステムを備えた e モビリティ社会の実現に向けて取り組んでいく。<関西電力>

【協議会の活動内容】

1.EVワイヤレス給電の社会インフラ化の推進
   ①経済的合理性があり、誰もが参入できる産業構造を目指す。
   ②都市、交通などの課題解決のために、自動運転等の技術におけるEVワイヤレス給電技術の有益性の理解促進を目指す。

2.実用化・普及促進の対外発信・啓発
   ①社会インフラとして認知向上させ、業界の活性化に寄与する。
   ②社会インフラとしての整備を推進するため、関連制度の整備など官公庁と丁寧な対話をして進める。

3.標準化活動の推進
   ①EVワイヤレス給電技術の相互運用性やセキュリティ確保のために標準化活動を行い、相互利益のある基準・規格の確立を目指す。

【正会員(6月10日時点)】

・株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ
・株式会社アイシン
・旭化成株式会社
・荒川化学工業株式会社
・アルファバスジャパン株式会社
・株式会社エナリス
・大阪エムケイ株式会社
・株式会社大林組
・カメイ株式会社
・コスモ石油マーケティング株式会社
・島田理化工業株式会社
・新電元工業株式会社
・鈴与商事株式会社
・スミダ電機株式会社
・住友商事株式会社
・住友商事マシネックス株式会社
・株式会社セルコ
・センコー株式会社
・センコー商事株式会社
・損害保険ジャパン株式会社
・大成建設株式会社
・大日本印刷株式会社
・タツタ電線株式会社
・東京センチュリ¥株式会社
・株式会社東光高岳
・東北電力株式会社
・東レ株式会社
・豊田合成株式会社
・株式会社長谷工コーポレーション
・ビーワイディージャパン株式会社
・東日本高速道路株式会社
・ヒロテツ工業株式会社
・株式会社フジタ
・芙蓉総合リース株式会社
・本田技研工業株式会社
・マツダ株式会社
・三井住友ファイナンス&リース株式会社
・三菱地所コミュニティ株式会社
・三菱自動車工業株式会社
・三菱商事株式会社
・株式会社明電舎
・株式会社モリタホールディングス
・株式会社EVモーターズ・ジャパン
・IHI運搬機械株式会社
・株式会社REXEV
・株式会社OSTL
・Terra Charge 株式会社
・株式会社UPDATER
・YKアクロス株式会社
・株式会社タツノ
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「物理学者のすごい日常」(橋本幸士著/集英社インターナショナル)

2024-06-12 09:34:29 |    物理



<新刊情報>



書名:物理学者のすごい日常

著者:橋本幸士

発行:集英社インターナショナル(インターナショナル新書)

 日々、誰もが直面する問題を、物理学で考えてみる。橋本教授のユーモア科学エッセイ、待望の第2弾。満員電車で席を確保する定理。駅から学校まで雨に濡れずに歩く方法。隣席の貧乏ゆすりの振動を消す秘策……。AIと物理学を融合する新領域「学習物理学」の代表となった橋本教授は、日常生活すべてを物理学的思考法で考える。そこに出現するのは、物理学者ならではの、思考のワンダーランド。ユーモラスな筆致に、物理学用語解説や関連書籍ガイドも付き、まさに面白くて役に立つ。映画『シン・ウルトラマン』などの物理学監修、『オッペンハイマー』の字幕監修など、いまメディアで最も注目される理論物理学者による、スーパー科学エッセイ集。【著者】橋本幸士 物理学者。京都大学大学院理学研究科教授。「学習物理学」領域代表。1973年生まれ、大阪育ち。専門は素粒子論(弦理論)。京都大学で理学博士を取得後、カリフォルニア大学サンタバーバラ校理論物理学研究所、東京大学、理化学研究所などを経て、2012年より大阪大学教授、2021年より現職。著書に『物理学者のすごい思考法』(インターナショナル新書)、『「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた』『超ひも理論をパパに習ってみた』(共に講談社サイエンティフィク)など。『シン・ウルトラマン』の理論物理学 監修、『オッペンハイマー』の字幕監修や、音楽家・身体パフォーマーとの共同作品など、物理学とメディアや芸術を融合する試みも行っている。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「Pythonデータ解析入門」(森 純一郎著/東京大学出版会)

2024-06-12 09:33:27 |    情報工学



<新刊情報>



書名:Pythonデータ解析入門

著者:森 純一郎

発行:東京大学出版会

 研究・開発・売上分析・集客など様々な場面でデータマイニングは現代の必須ツールである。同書は、その基礎となる代表的な手法を、Pythonを用いて自分で実装し、基盤となる数理的知識から体系的に理解することを目指すデータ解析の決定版テキストである。
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