kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

再びドラギマジック?

2015-10-23 08:05:54 | 日記
どうやら日本株も当面の戻りを試す展開になりそうです。そして皮肉にもVWの
不祥事もあり経済減速の目立つドイツや四半期ベースで減益が予想される米国
がそのリード役です。年初から世界の先頭ランナーを走っていた日本株は現状
では欧米市場の上昇のおこぼれに与る立場です。

先週末時点で米国株のPERは19倍と高水準です。22日の大幅高でさらに切り上
がり割高感は一層強まっている筈です。一方二桁増益も期待できPERが15倍程
度の日本株の値動きは芳しくありません。22日の大幅高でNY市場は8月の急落
前の水準をほぼ回復しました。ドイツも下げ幅の7割近く戻しました。日本株は8月
の初旬まで年初来の高値圏で推移していたということを割り引いても出遅れが目
立ちます。

業種でも明暗が分かれています。今年の日本市場を牽引した小売りや・食品銘
柄などの内需銘柄の戻りは芳しくありません。懸念された訪日観光客の爆買い
は続いています。現時点では業績に懸念は出てきていません。もっとも内需銘
柄のPERは市場平均に比べて割高な水準です。それだけ成長期待が強いとの
見方も出来ます。少しでも先行き不安が出てくると上値が重くなるのでしょう。

一方機械や自動車それに電機といった景気敏感株は中国景気懸念から年初
の水準から大きく売り込まれた銘柄が多くPERも10倍前後の銘柄が続出してい
ます。ここへきて中国景気を過度に悲観しすぎているとのムードも出てきたとこ
ろで一斉に見直し買いが起きています。大きく叩かれた銘柄は一旦反転上昇す
ると真空地帯を駆け上がる傾向がみられます。

リターン・リバーサル相場では得てして人気だった市場や業種の戻りが鈍く不人
気だったセクターの戻りが大きいという傾向がみられるようです。ドラギ総裁が
12月にも追加緩和に踏み切るという見方やそれに伴いFRBの利上げ時期が
一層先送りになるという見方から再び緩和相場が復活しそうな雲行きです。
決算による泣き笑いはあるでしょうが全体として日本株も戻りを試す周期に
きたようです。
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ボックス離れで一段高なのか?

2015-10-22 09:04:03 | 日記
21日の東京市場は前日の米国株安もあり軟調な展開も予想されましたが
終わってみたらびっくりで347円高の1万8554円でした。一時は1万8600円台
に乗せる場面もありました。120円台に乗せた円相場も買い材料視されました。
もっともそれだけでは大幅高の理由として説得力に欠けます。

代表的な中国関連銘柄の安川電機の決算も投資家心理好転に役だったよう
です。業績不安から大きく下げていた安川電機でしたが9月中間決算の純利
益は3%増で過去最高を記録と中国景気減速による影響は上期に限っては少
なかったようです。極端な悲観的な見方が消えたことで終値で上昇率4位(10%)
と2ヶ月ぶりの高値でした。

安川電機だけでなく代表的な中国関連銘柄と言われるコマツや新日鉄などの
株価は9月29日に日経平均は1万7000円を割れるまで底が抜けたような下げを
演じました。連日続く中国経済に対する悲観的な見方から大幅な業績下方修正
に追い込まれるのではないかという不安感が底流にあったようです。

鉄鋼分野などでは日本の年間粗鋼生産に匹敵する過剰設備を抱え景気減速の
中国からあふれ出た中国製鋼材がアジア市場に流入して鋼材価格を下げてい
ることは広く知られています。新日本製鉄の業績は17%減から30%減へと拡大
したようです。それでも大幅に反発したのは株価の既にかなり悪いシナリオを
織り込んで下げていたからかもしれません。

もっとも中国経済の低迷という事実は否定できません。極端な悲観論から売り
込まれた銘柄は程度の差はあっても戻りを試すでしょうが中国市場の不振を
他の市場でカバーできる銘柄とそうでない銘柄とで今後株価の戻りに差が出
そうです。

1万8500円手前で上値の重さの目立った東京市場ですが形の上では21日に壁
を乗り越えたことになります。一部には上昇率の大きさに比べて売買代金の盛り
上がりが少ないという見方もあります。しかし売買代金が余り増えなくても上値を
越えたのはこの水準では戻り売りが少ないとの見方も出来ます。期待が低かっ
た分案外今月中に1万9000円近くまで戻すこともあるかもしれません。

やはり鍵を握るのは続々と発表になる企業業績次第でしょうか。安川電機のよう
に極端な悲観論が後退するような決算を発表できるかどうかまずは大幅高の後
の今日明日の動きが注目されます。
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中国がもたらす光と影

2015-10-21 07:44:13 | 日記
20日の東京市場の売買代金は1兆8235億円と半年ぶりの低水準でした。これ
から本格化する中間決算の結果や月末の日銀会合を控え投資家が売り買い
を手控えているとの解説記事が出ています。海外投資家の五月雨式の売りか
ら大きく下落して1万7000円割れした時の緊張感もその後の反発で薄れました。
1万8000円前後の膠着状態から今週は抜け出せないかもしれません。

決算のポイントは中国景気減速で日本企業の業績にどのくらい下押し圧力が
かかるかがポイントのようです。今日付けの経済紙の観測記事によると新日鉄
の今期の業績は従来の17%減益から30%減益に拡大すると伝えています。鉄
などの素材と機械銘柄は中国の景気減速の影響を強く受けるセクターです。
多くの企業が期初の見通しを下方修正するとみられています。

もっとも株価は既に春以降かなり調整していました。業績の下方修正で当面の
悪材料出尽くしになるのかどうか注目です。資本財メーカーが中国景気減速の
影響を強く受け「暗」とすれば訪日中国人観光客の爆買いで潤う消費関連やサ
ービス業は「明」となります。8月の世界的な株価下落でもインバウンド需要の
陰りは今のところ無いようです。

しかしインバウンド銘柄と言われる企業の象印マホービンの高値は6月、ラオッ
クスは7月高値で既に下落率は2割を超え調整局面入入りしています。三越伊
勢丹やJフロントのデパート株、資生堂やコーセーの化粧品メーカーも短期的
な調整の1割を超えています。大幅な増益決算でも既に株価は先取りするよ
うに夏までに当面の高値を形成してしまったようです。

勿論訪日観光客増加は今後も続きそうですからいずれ人気化する場面もある
でしょう。しかしこれらの銘柄は過去1年余りで2倍から3倍に化けました。株価
は高成長を織り込む形でPER30倍台と高水準です。多少の好材料では高値更
新は期待できません。8月初旬まで日本株のリード役だったインバウンドや消費
関連銘柄が一気に調整に追い込まれたことが日本株から活気を消した元凶の
ようです。

皮肉なことに日本株は中国が絡んだ景気減速の「暗」と中国人観光客の爆買い
の「明」に踊らされました。良くも悪くも中国からの影響は無視できないのが現実
のようです。二桁増益予想で賑わった日本株も結局は中国発の景気減速という
現実から無縁ではいられないことを今回の調整は示しています。
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米国企業のダイナミズム

2015-10-20 08:26:21 | 日記
原油安やドル高で米国企業業績は低空飛行が続きPERから見れば割高感は
否めず米国株については世界的な株安が進んだ8月以降もネガティブな見方
が多かったようです。しかし中国が人民元を切り下げる前の8月初旬時点で比
べれば日米欧市場の中では米国株がもっとも快調な戻りを演じています。

方や今期二桁増益予想でPERを比較すれば米国株よりも割安感の強い日本
株は7月までの活況が嘘のようです。自動車や電機大手のPERは歴史的にみ
ても割安感は明白なのに依然低水準のままです。今年の日本株を牽引した消
費関連や通信、食品などの内需銘柄さえ戻りは依然鈍いままです。内需銘柄
でもゼネコン銘柄の堅調な値動きは例外です。

業績が低迷している米国株の値動きの良さはどこにあるのでしょうか。次の記
事がヒントになりそうです。
「東芝とフラッシュメモリーの工場に共同投資する米メモリーカード大手サンディ
スクが身売りを検討していると13日、米ブルームバーグが報じた。旧エルピーダ
メモリを買収た競合の米半導体大手マイクロン・テクノロジーに加え、米ハードデ
ィスクドラブ(HDD)大手ウエスタン・デジタルなどが買い手候補に挙がっている。

身売りには東芝の同意が必要とみられる。サンディスクの時価総額は約120億
ドル(約1兆4400億円)を上回る。米半導体メーカー、アバゴ・テクノロジーによる
米ブローコム買収に続き、米デルが米EMCの買収で合意するなど、IT(情報技
術)業界で大型のM&A(合併・買収)が相次いでいる。」
~10月14日付日経電子版より引用~

業績の低迷期にも次の成長を求めて果敢にM&Aを駆使する米国企業のアニ
マルスピリッツが投資家に将来への期待を抱かせる要因となっているのでしょう
か。米国企業のダイナミズムが失われないことが米国経済の強さに繋がっている
のかもしれません。一方日本企業は同業のライバルが多く国内市場では多くの
業種で過当競争が続いています。結果的に国内の収益率は低い状態が続いて
います。今年出光と昭和シェル、ファミマとユニーHGの例はありますが市場が期
待するほどの広がりはありません。

日本企業には特有の企業文化があり欧米企業のように会社をモノの売買のよう
に売りか買いができないという違いはあるでしょう。しかしTTPの事実上の合意や
先進国から新興国へと成長のリード役が変わり旧態依然とした日本のやり方は
もはや限界のようです。アベノミクスで企業を取り巻く環境は数年前と比べれば
劇的に改善されています。追い風が吹いている間に過当競争体質の国内市場を
代えなくては海外企業との収益格差は縮まりません。日本的経営の良さは残しつ
つ米国企業のダイナミズムをうまく取り入れるべきです。

個人的にはサンディスクの身売りの行方が気になります。サンディスクはフラッ
シュメモリ分野で東芝の有力なパートナーです。共同で半導体工場を運営して
いますから経営権が他社に移っても今まで通りのビジネスパートナーとして続
けられるのかどうか。東芝にとっては大黒柱のフラッシュ事業ですから何として
も今までの関係を続けたいでしょう。身売りには東芝の同意が必要とのことで
すから東芝に有利な条件でことが進むでしょうが。
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花王の教訓が参考に(下)

2015-10-19 13:42:22 | 日記
では子会社が起こした不正で親会社の旭化成の株価は短期的、中長期的には
どうなるのでしょうか。まず短期的には不正が横浜の物件だけで収まるのかどう
かがポイントです。今後の会社側の報告を待つしかありません。他の物件への
広がりは十分考えられます。当面軟調な展開が予想されます。昨年不祥事を
起こしたタカタや今年の東洋ゴム株などをみれば数ヶ月から半年は少なくとも
低迷が続くことも考えられます。

それでは中長期ではどうでしょうか。参考になるのが花王のケースでしょう。
子会社のカネボウ化粧品が2013年に起こした美白化粧品で肌がまだらに白く
なる「白斑被害」問題で被害者に対する保障とブランドイメージの低下で親会
社の花王株は大きく売り込まれる場面がありました。しかし花王本体の収益力
は強くその後は好業績内需銘柄人気に乗り株価は2014年1月から今年7月まで
右肩上がりの大きな上昇相場を演じました。数年前のオリンパスも本業の内視
鏡の強い収益力が不祥事による株価下落を乗り超えました。

では旭化成はどうでしょうか。主力部門のひとつである住宅は安定した収益を
上げています。今回の事件で多少はイメージダウンがあったとしても住宅部門
の不祥事ではありませんから影響は限定的でしょう。ポリポア社買収でリチウム
イオン電池用セパレータの世界シェア50%を握ることになりEV車の普及本格化
で収益の拡大が期待できます。

ヘルスケア部門もゾルテック買収などで今後も堅調な業績が見込めます。
住宅・建材と並ぶ主力事業の繊維、化学部門も堅調な業績が見込めます。
株価は3月高値1260円から週末時点で36%の下落です。今回の不祥事が
出る前に既にかなり調整が進んでいたとの見方も出来ます。繊維業界の中
でも主力事業の収益力の高さから考えれば目先は下値不安が続きそうです
がいずれある程度の反発は期待できそうです。今後は中長期的な買場を探る
ことも有りかもしれません。

不祥事を起こした企業でも本業の収益力の高さがあれば株価は時間はかかっ
ても回復する可能性が高い一方、雪印のようにブランドイメージ失墜で乳業3社
なかでは事件前トップだった株価や収益力がなかなか回復しない銘柄もありま
す。おそらく旭化成は花王のように十分建て直しが出来る企業だと判断できそう
です。
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