多角化
平成15年の中小企業診断士2次試験の事例Ⅰ(中小企業の診断及び助言に関する実務-組織・人事)で多角化に取り組んだ企業が出た。中古自動車販売している中小企業が近隣への競合店の進出もあり、新規事業を模索し、当時ブームとなりつつあった焼肉店のフランチャイズ・チェーンに加盟して出店したという話である。経営者である社長には、飲食業の経験も営業ノウハウは勿論、出店・事業展開に関しても特別の知識や経験を持っていなかった。すなわち全くの無関連多角化を扱った事例である。
第1の設問は、「企業が事業多角化を進めるのは、なぜか。その理由をそれぞれ20字以内で2つ述べよ」というもので、基本的な知識を問う問題となっている。ただ、与件文には「本業の中古自動車販売事業を拡大していくことに不安を抱いて、・・・」とあり、少なくとも一つは答えを与件文から直接拾えるようになっている。また無関連多角化を選んだということで、複数事業展開による「リスクの分散」が考えられる。さらに「当時ブームとなりつつあった焼肉店・・」とあるところから「新規の事業機会の発見」による多角化ともいえる。そんなことで、診断士2次試験は受験者の知識を直接問うことより、与件文に沿った解答を引き出せる能力を問うている。
試験は兎も角、企業経営において多角化は成長戦略の一環でもあり、時代の変遷に応じて、その姿を変えてゆかねばならぬ過渡期としての戦略でもある。一般に企業が多角化を行う理由としては、
①主力製品の需要の停滞。将来性への不安。
②組織の余裕資源(組織スラック)の活用。
③リスクの分散(ポートフォリオ効果)による収益の安定化。
④関連事業展開(関連多角化)によるシナジーの追求。
⑤外部環境変化から新しい事業分野の認識。
などが挙げられている。
しかし、多角化はリスクが高く、特に全く異なる分野への進出では大企業でも手こずることが多い。最近は研究投資からの時間とリスクを避けて、事業譲渡や吸収合併などM&A(Mergers & Acquisitions:企業の合併・買収)によることが多いように見受ける。
たとえ小さな会社であっても、企業はゴーイングコンサーン(継続企業)でなければならない。現在手がけている製品が世の中で受け入れられなくなるにしても、その製品を作り出すための技術や技能、経営ノウハウは、また別の製品を生み出すために活用できる筈で、企業は常に変わって行く覚悟と準備は必要である。
平成15年の中小企業診断士2次試験の事例Ⅰ(中小企業の診断及び助言に関する実務-組織・人事)で多角化に取り組んだ企業が出た。中古自動車販売している中小企業が近隣への競合店の進出もあり、新規事業を模索し、当時ブームとなりつつあった焼肉店のフランチャイズ・チェーンに加盟して出店したという話である。経営者である社長には、飲食業の経験も営業ノウハウは勿論、出店・事業展開に関しても特別の知識や経験を持っていなかった。すなわち全くの無関連多角化を扱った事例である。
第1の設問は、「企業が事業多角化を進めるのは、なぜか。その理由をそれぞれ20字以内で2つ述べよ」というもので、基本的な知識を問う問題となっている。ただ、与件文には「本業の中古自動車販売事業を拡大していくことに不安を抱いて、・・・」とあり、少なくとも一つは答えを与件文から直接拾えるようになっている。また無関連多角化を選んだということで、複数事業展開による「リスクの分散」が考えられる。さらに「当時ブームとなりつつあった焼肉店・・」とあるところから「新規の事業機会の発見」による多角化ともいえる。そんなことで、診断士2次試験は受験者の知識を直接問うことより、与件文に沿った解答を引き出せる能力を問うている。
試験は兎も角、企業経営において多角化は成長戦略の一環でもあり、時代の変遷に応じて、その姿を変えてゆかねばならぬ過渡期としての戦略でもある。一般に企業が多角化を行う理由としては、
①主力製品の需要の停滞。将来性への不安。
②組織の余裕資源(組織スラック)の活用。
③リスクの分散(ポートフォリオ効果)による収益の安定化。
④関連事業展開(関連多角化)によるシナジーの追求。
⑤外部環境変化から新しい事業分野の認識。
などが挙げられている。
しかし、多角化はリスクが高く、特に全く異なる分野への進出では大企業でも手こずることが多い。最近は研究投資からの時間とリスクを避けて、事業譲渡や吸収合併などM&A(Mergers & Acquisitions:企業の合併・買収)によることが多いように見受ける。
たとえ小さな会社であっても、企業はゴーイングコンサーン(継続企業)でなければならない。現在手がけている製品が世の中で受け入れられなくなるにしても、その製品を作り出すための技術や技能、経営ノウハウは、また別の製品を生み出すために活用できる筈で、企業は常に変わって行く覚悟と準備は必要である。