脳の宇宙

2008-04-16 11:00:32 | 塾あれこれ

誰もが脳の中に小宇宙を持っています。
ニャンコでもね。

本日は人間の話です。

その宇宙は、真っ暗で、小さいけれど奥行きが深く
だれもその果てにたどり着けません。
自分自身ですら到達できないのです。

私の小さい頃をオトナの目で知ってくれている人は
すでに誰も居なくなりました。
小さな宇宙の果てに辿り着けない理由の一つです。

時たま、脳の小宇宙にオーロラが浮かびます。

母さん、あれ何だろうと?聞いても
答えをもらえないのです。

「そりゃーあんたが五つのときの住吉さんの祭り
 じゃろう。提灯が綺麗でのう。あのとき・・」

幼い私を知っている人ならば、もしかしてヒントを
与えてくれたかもしれないのに。


記憶や夢を視覚化し他人に伝えられる時代がそのうち
やってくるかもしれません。

ただし、多くはぼんやりと暗闇に浮かぶほの明かりに
しかすぎず、意味不明でしょうけれども。

記憶のうちでも音は現実化しにくいように思えます。

私の小宇宙にも鬼籍に入った多くの人の声があり
かなり自由に(頭の中では)再生できます。

これを人に聞かせたいですね。

音声の記録が残っている人も多いでしょう。

でも故人の、とある場面の声が残っていることは
あまり多くはないはずです。

たとえば先代正蔵と私の会話で
「えー、わたくしのバアイにはご質問のような事あ
 あまり、意識しておりませんで・・」

大学時代、誰も理由を知らぬまま突然自殺した同輩
はクラブも一緒でした。
「んじゃまたな、こんどは合宿だな」

結構多くの仲間が旅立ちました。
「ぼく、病気なんだ」別れを告げにきた友の声。

肉親、知己、仕事仲間、ご近所の方、などなど
・・暗くなりすぎましたね。

生きてても若い声は消えています。

「わたし・・」そう言って走り去ったあの娘。
見事フられてしまいました。

なぜか残っているのか分からない声もあります。
大阪駅 「にーちゃん、小銭ないか」


今の技術では脳の記憶はブラックホールのままで
取り出せません。
誰かに伝えたい、映像より音ですね。

私の宇宙に声があるかぎりその人は生きています。
私が死ねば全てが消えてしまいます。
おいそれとは死ねませんね。