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高侵襲な低侵襲手術

2010-02-10 21:54:08 | 健康・病気

今やその適応がどんどん広がりつつある腹腔鏡手術。
お腹を切開せず、カメラや鉗子を入れる穴だけを開けるだけで
胆嚢や腸管の手術ができるとすれば、
患者の負担も相当軽くて済み、この上ない。
しかし外科医は、長い時間、モニターを見ながら
身体をくねらせた無理な姿勢を続け、
ほとんど指先だけ使って手術する。
首すじや肩は凝りそうだし、腱鞘炎にもなりそうだ。
毎日手術に明け暮れる外科医にとっては
結構深刻な問題なのかもしれない。

2月7日付  abcNEWS.com

Survey: Minimally Invasive Surgery Causes Surgeons Pain  調査結果:低侵襲手術は外科医に苦痛を引き起こす

Minimallyinvasivesurgery

By JOHN GEVER
 外科医5人のうち4人が、腹腔鏡手術はそれを行う術者にかなりの不快と苦痛を強いると感じている。
 ボルチモアにある University of Maryland Medical Center の Adrian Park 医師らによれば、オンラインのアンケートに答えた外科医の80%以上が低侵襲手術後に手、首、背中、あるいは足に痛みや凝りを感じていると訴えたという。
 ほとんどの症状について、最も強力な予測因子は症例数の多いことであったと、この研究者らは Journal of the American College of Surgeons にオンライン発表した。
 Park らは低侵襲手術がより普及するにつれ、この手術を専門とする臨床医の間で職業病が急増してくる可能性を警告している。
 「現在、特に米国においては差し迫る一般外科医の不足に直面して私たちが社会的に最も避けるべきは、外科医としての活動期間が職業に関連する症状や健康状態によって短縮されてしまうことです」と、彼らは主張する。
 この研究者たちは腹腔鏡手術にしばしば要求される無理な姿勢や長い手術時間に関連した被害を減じることを目的とした現在のガイドラインの改善だけでなく、同手術の人間工学に関するさらなる研究を提言した。
 「低侵襲手術がそれを実施する外科医に及ぼす人間工学的影響がそういった研究によって一層明確にされなければならない(そしてその改善にとりかからなければならない)ことは今や歴然としています」と、Park 氏らは結論づけた。
 今回、研究者たちはこのオンライン調査を行うにあたり、現在 Park 氏が事務局長を務めているアメリカ消化器外科内視鏡外科学会の正会員約2,000人に参加を要請した。
 回答率は14.4%であり、317名の外科医が内視鏡を用いた診療に活動的かつ日常的に関わっているとみなされた。
 このうち、272名が、低侵襲的手術の結果と考えられる肉体的な症状や不快を経験していると訴えた。
Pain During Surgery More Common for Doctors 医師にとって術中の苦痛がより多い
 自覚症状のこの割合はこれまでの研究や調査で認められた15%から60%の範囲の頻度に比べてきわめて高い、と Park 氏らは言う。
 最も新しいものとなる今回の調査は、低侵襲手術を行う外科医の在職期間が長期となっており、その間に被害が蓄積していることをさらに明確に反映している結果かもしれないと、彼らは推測している。
 幸いにも、一般にこれらの症状は持続的なものではなかった。苦痛や不快感が手術直後だけでなくさらに長く続いたと答えたのは回答者の10.8%に過ぎなかった。
 最も多かった症状のタイプは手術中に起こるもので、外科医の20.8%は手術中にのみ症状があったと言い、27.8%は手術中と手術直後に症状を訴えた。
 その他22.4%は、症状は手術直後のみ見られ、持続しなかったと答えた。
 今回の質問票に対して“何も問題を生じない”を選んだのは約15%だった。
 一部の訴えの頻度においては年齢がその要因となっているようだったが、そのパターンは予測されるものとは異なっていた。特に手の痛みは40才未満と60才以上の外科医に最も高い頻度で見られたが、50才代の外科医では最も少なかった。
 回答者の約4分の3はこれら症状が器具のデザインに起因すると考えた。約 40%の人は手術台の装置やディスプレイ・モニターの配置もまたその要因であると回答した。
 一方、昨年の Surgical Endoscopy 誌に発表されたガイドラインにあるような、外科医の人間工学に関して発表された勧告にほとんど関心がないか、あるいはわずかにしか関心がない、と180人以上の回答者が答えている。
 このガイドラインに対するすべての識度の外科医で、その知識を彼らの実践に応用していたと答えたのはわずかに60%だった、とPark らは示す。しかし、人間工学のガイドラインに高い関心を持っていたと答えた外科医の90%以上がそれを役立てていると回答した。
 本研究者たちは、今後の研究は、本調査で十分にカバーできなかった問題、たとえば、モニターの位置や器具のデザインが異なった場合の効果や、腹腔鏡手術中の外科医の不快な症状が患者の治療成績の低下につながるかどうかといった問題に取り組むべきであると言う。
 Park 氏らはさらに、同様の調査が開腹手術で行われることも提唱している。

昔ながらのお腹を大きく開ける手術なら、
外科医も楽な姿勢で行えて、ストレス発散になっていた?
てなことはないのだろうが、
患者さんを楽にするために、
外科医が苦痛を我慢しているようではいけない。
日本ではすでに外科医不足は深刻な状況だ。
手術を楽しく、とまではいかないにしても
苦痛を軽減する努力を続けてゆくべきだろう。

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