新生ドラ第6回「ハロー宇宙人」ほか

「マル秘スパイ大作戦」(脚本/早川正、絵コンテ/前田康成、演出/寺本幸代、作画監督/嶋津郁雄)

 今回、原作と大きく異なる点は

・スパイセットのデザイン
・スネ夫の秘密

の、2点だった。
 前者に関しては、先週の次回予告で既にスパイセットが登場していたので分かっていたことだが、いかにも初期ドラえもんらしい原作版スパイセットのデザインが好きだったので、先週の時点では「これではダメかなあ」と思った。しかし、実物を観てみると、スパイセットの2体のロボットに人格らしき物が与えられ、スネ夫の秘密を探る様子の描写は、コミカルで結構楽しめた。ラストシーンの決めポーズもよい。
 なぜ原作からデザインを変えたのか、理由はよく分からないが、このような話としての面白さを損なわないアレンジであれば、問題無いと思うので、今後もよいアレンジを期待したい。

 しかし、後者の「スネ夫の秘密」の変更は、よくわからない。「居眠りでおねしょをするからおむつをする」から、「トイレで用を足す時に全裸になる」に変えるのは、一体どんな意味があったのだろう。「おねしょ」か「おむつ」がNGなのだろうか。ほとんどのセリフは、ほぼ原作に忠実だっただけに、「カ、ビ、ン。お、む、つ。」が無くなってしまったのは、実に残念だ。

 全体的には、スパイセットの活躍と、「美しいということばは…」に象徴されるスネ夫のナルシストぶりが印象的で、なかなかよかった。



「ミニシアター」(絵コンテ・演出/やすみ哲夫、原画/平川哲生)

 今回の原作は、「よいこ」1970年3月号掲載の作品(無題)。今回は、普通に本編と同じ感じの作画だったが、ミニシアターでノーマルな作画を観ると、逆に違和感がある。ドラとのび太のペラペラ感は、よく表現されていた。
 なお、原作では道具はアイロンだったが、今回はローラーに変更。アイロンだと「ペタンコアイロン」とかぶるせいだろうか。



「ハロー宇宙人」(脚本/早川正、絵コンテ/前田康成、演出/寺本幸代、作画監督/嶋津郁雄)

 原作の進化放射線(おそらく「進化退化放射線源」と同じ物)は、昨年公開の映画「のび太のワンニャン時空伝」と同様に「進化退化光線銃」に変更された。これは、おそらく「放射線」がまずいのだろう。本質に関わる部分ではないので、問題はないと思う。
 本話は、22ページもある原作を11分でアニメ化したため、かなりテンポの早い作品になっていた。ジャイアン&スネ夫のインチキUFO写真にのび太が写ってしまう場面など、原作からカットされた部分もあるくらいだ。これなら、30分1話で放送してもよかったのではないだろうか。
 原作は「少年サンデー増刊号」に掲載されたため、普段と比べるとドラえもんは、やや大人びた印象を受ける。その点、水田わさびがどう演じるかに注目していたが、火星人発生までの過程をのび太に説明する下りは、もう少し落ち着いたしゃべり方の方がよかったと思う。今のところ、原作の初期・中期作品を織り交ぜたラインナップなので、話によってキャラが変わってしまう場合もあり、そのため声優も、まだ完全には自分の演じるキャラの性格の変化を掴みきっていないのではないだろうか。この点は大山版初期も同じ条件だったのだから、現声優陣の更なる向上を期待する。

 個人的には、どうなるのか気になっていた「UFOレンジャー」が、デザインが変わった程度で、名前や戦隊物である点は変わらなかったのは、嬉しかった。
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