『映画ドラえもん のび太の 宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』感想

 今年のドラえもん映画を観たのは3月8日。あっという間に二週間も経ってしまった。
 この二週間の間、今回の映画の感想をどう書こうかと悩んでいた。いっその事、今回はやめておこうかとも思ったのだが、これも大事な毎年の習慣だと思い直して、一応例年通りに書くことにした。
 と、言うわけで感想を書いていく。いつも通りに思いっきりネタを割っている部分があるので、ご注意願いたい



 まず、今回の映画は私にとって面白かったのかつまらなかったのか。こう聞かれたら、「どちらでもない」と答えるしかない。それだけ、「面白さ」という点では微妙だった。部分部分の映像は決してつまらない物ではないのだが、映画全体の印象として振り返ると、「ここが面白かった」挙げたいところがこれと言って思い浮かばないのだ。
 では、本作は出来が悪かったのか。これについては、決してそんなことはなかったと言っておく。映像は力が入っていたし、ストーリーとしてもいくつかの過去のオリジナル作品で見られたような構成の破綻もなく、しっかりと作られていた。

 じゃあ、なんで私には印象が薄いのだろう。この二週間、これについて色々と考えたが、要するに私が作品のターゲットではなかったと言うことではないか。つまり、本作はいい意味で徹底的に子ども向けに作った作品なのだと思う。
 振り返れば、ハッキリと子ども向けだとわかる要素は、たくさんあった。単純明快なストーリー、わかりやすい下のギャグ(のび太のパンツが脱げる)、しつこいくらいに繰り返された伏線(のび太のあやとり技)、などなど。これらの要素は、子どもの心をつかむためのものだろう。
 思えば、これまでの映画ドラえもんは、子ども向けで有りながら、大人も楽しめる作品に仕上がっているものが多かった。藤子・F・不二雄先生の原作があった作品は当然のことだが、F先生没後のオリジナル作品についても、出来はともかくとして、「子どもも大人もたのしめる」を意識したと思われる作品が大半だった。
 しかし、今回はそうではなかった。これは、映画ドラえもんにとって非常に大きな転換点なのかもしれない。もちろん、純粋な子ども向け作品だから手を抜いていると言う事は無く、子ども向けに徹するなら徹するで、それはまた非常に難しいことだと思う。来年以降の映画ドラえもんがどうなるのかは今はまだわからない。とりあえず、来年は『のび太の日本誕生』リメイクである可能性が高いので、今年とはまた違う路線の作品になりそうだ。

 と、言うわけで本作については、あまり書くことがない。とりあえず、のび太のあやとり技については、くどかった割には大したことが無くて拍子抜けだった。もう一回観れば視点が変わって楽しめるのかも知れないが、これについては正直なところ、ちょっとどうするか迷っている。つまらなくはないんだし、あと一回くらいは観ておいてもいいかなあ。


 さて、作品全体の感想とは別に、今回のゲスト声優についても書いておこう。
 とりあえず、バーガー監督は能登の無駄遣いだったと思う。せっかくの能登さんのテレビ・映画通じて初めての『ドラえもん』出演があのキャラだったのは、本当にもったいない。今度は、普通にセリフを喋るキャラで、またいつか出演していただきたいものだ。
 井上麻里奈のアロンは好演だった。こちらも『ドラえもん』は初出演だったはず。今度は女の子役での出演を希望。
 いわゆる「芸能人ゲスト」の三人については演技を危惧していたのだが、意外にも三人とも本職の声優に混じっても遜色のない演技だった。こう言う人たちが毎年選ばれるのなら、芸能人ゲストも気にならなくなるのだがなあ。昨年のスピアナ姫はひどかった。

 あと、気になったのはゲストキャラクターのデザイン。アロンが「流れ星ゆうどうがさ」の遭難宇宙人からというのは特に気にならなかったが、ハイドが「なくな!ゆうれい」のゆうれいと言うのはやめて欲しかった。人のいいゆうれいなだけに、ハイドとはキャラのギャップを感じてしまった。


 と、言ったところで今回の感想は終わりかな。あ、一つまだあった。エンディング主題歌の「360°」が、テレビでエンディングとして流れていた「映画ドラえもん35周年スペシャルバージョン」ではなかったのは、残念。ドラえもんやのび太たちの声が入って賑やかで楽しかっただけに、映画でも期待していたのだが。その点、オープニングがキャラクターバージョンだったのはよかった。
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