藤子ファンを作ろう

 今回のエントリ、タイトルを見て「なんのこっちゃ」と思われた方もいるかもしれない。

 事の起こりは、母からの電話だった。あれは、2年くらい前だったろうか。いきなり「要らない『ドラえもん』はないか」と尋ねてきたのだ。
 何のことかわからないので、よく聞いてみると、親戚の子(私の従兄弟の子)のK君が、家にあるてんとう虫コミックスの『ドラえもん』全巻を読み尽くしてしまい、新たな未読の『ドラえもん』を欲しがっているというのだ。さらに詳しく確かめてみたところ、K君の持っているてんコミドラは、元々従兄弟が読んでいたもので、藤本先生の生前に出た全45巻(若干の欠けはあるらしい)のみとの事だった。

 そこで、私が思い出したのが『ドラえもん プラス』だ。てんコミ全45巻に未収録のエピソードを集めた「ドラえもんの新刊」として出たこのシリーズ、発売時には小学館も盛り上げたかったのか、通常版に加えてキーホルダーの付いた特装版も出た。そして、私は通常版と特装版の両方を買っていたのだった。
 特装版は封も切っておらず、本棚の肥やしとなっていたのでちょうどよいと考えて、この際K君にあげてしまうことにした。色々考えた末、まずは1・2巻をあげた。これは、K君に妹がいるので形式的には一人一冊ずつとした方がいいだろうと考えたからだ。妹はまだ小さいので、実質的にはK君に2冊あげる事になるのだが。
 そして、K君に『ドラえもん プラス』をあげた結果は、非常に喜ばれて反応は上々だった。それでは次は残りの3~5巻もあげるかと思って、ちょっと考えた。このまま『ドラえもん プラス』をあげるのは簡単な事だが、それで終わっては『ドラえもん』以外の作品に触れる機会がなくなってしまうのではないか。ここは一つ、『ドラえもん』以外の作品をあげて、藤子作品の面白さを教えてあげた方がいいのではないか、と。
 それでは、どの作品をあげるかと考えて、すぐ決まった。『ポコニャン』だ。私自身が小学校低学年の頃、『ドラえもん』と並んで愛読してあこがれた作品で、『ドラえもん』が好きなら間違いなく気に入るだろうと思った。と、言うわけで古書店でぴっかぴかコミックス版『ポコニャン』全3巻を購入して、K君にあげたのだった。
 首尾は上々で、K君は『ドラえもん』以外の藤子作品の面白さにも目覚めてくれたようだった。その後、今年夏には『ドラえもん プラス』3~5巻を、そして秋には何か毛色の変わった作品をと考えて『ウメ星デンカ』(てんコミ)全3巻をあげた。まったく、こんなに気前のいい親戚のおじさんはそうそういないぞと、自分でも思う。これもひとえに、K君に藤子作品の面白さを可能な限り味わって欲しいからだ。
 こうして「藤子ファン教育」(と言うほどの物ではないが)を続けてきた甲斐があって、K君は誕生日(9月)のプレゼントとして「藤子・F・不二雄ミュージアムに行きたい」と言いだし、この年末に家族でFミュージアムに行く事になったそうだ。このまま、K君が熱心な藤子ファンとなるかどうかはまだわからない。いまはただ、思いっきりミュージアムを楽しんできて欲しいと、願うばかりだ。

 ところで、私がK君に本をあげるとき、気をつけている事が一つある。それは、「完全な単行本=F全集はあげない」と言う事だ。はじめから完全な物を手に入れてしまうと、後から未収録などを読む楽しみがなくなってしまう。それはそれで寂しい事だ。だから、あえて抜けのある単行本を渡すようにしている。
 今、私の手元にはいずれK君にあげる予定の『モジャ公』があるが、これも当然(?)小学館コロコロ文庫版だ。未収録の「不死身のダンボコ」や連載第2話を読みたくなったら、ぜひ自分の力で全集版を手に入れて欲しいと思っている。それはそれとして、『モジャ公』を読ませるのは何歳くらいがいいかなあ。元が「週刊ぼくらマガジン」連載だから、対象年齢は低いはずなんだが、実際に読むとそうは思えないしな。あと一年くらいは寝かせておくか。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

第11回NU藤子アニメ上映会に参加

 先週の土曜日、11月8日に東京都西東京市にて藤子不二雄ファンサークル「ネオ・ユートピア」による第11回NU藤子アニメ上映会が開かれた。
 第11回と言うからにはこれまですでに10回開催されてきたわけだが、私は残念ながら前回にあたる第10回はスケジュールの都合が付かなくて参加できなかった。だから、私にとっては今回の第11回はずいぶん久しぶりに感じた。

 今回も、上映作品は期待に違わず興味深いものが多かったが、中でも『オバケのQ太郎』を、白黒・新・シンエイ版と3作続けて上映するという趣向は面白かった。いっその事3作全て同じ原作を使った作品を上映したらもっと面白いんじゃないかと思ってしまったが、はたして3作のアニメ全てでアニメ化された原作があるのかどうかは確認していません。どのシリーズも話数は多いから、あっても不思議ではないが。
 そのオバQ3作のうち、最も興味深く観たのは、白黒版の「コレクションの巻」だった。この話、『月刊アニメージュ』1980年9月号の藤子アニメ特集で、藤子先生ご自身が「私の好きな作品」として挙げていたので、以前から気になっていたのだ。実際に観てみると、時代を考えるとテンポもよくて、面白い一編だった。あと、野沢雅子さんの声の変わらなさは異常。

 そして、今回の「目玉」と言うべき作品だったのが『シスコン王子』の第1話。これまでは、「『オバQ』よりも早く放映された人形アニメーションで、どうやらカラー作品らしい」と言うことしかわかっておらず、まさに「幻の作品」だった。
 これまで、わずかに見ることが出来た画面写真などで判断する限り、人形のキャラクターの顔は藤子キャラとはかけ離れていたので、「どうせアニメ本編も原作とはかけ離れていて、せいぜいキャラの名前が一緒になっている程度だろう」と思っていたが、実際には原作で描かれたエース王国の設定をアニメでもちゃんと使っており、全体として原作の設定にかなり忠実な作品で、驚いてしまった。
 こうなると、第2話以降がどのような作品になっているのかも、非常に興味がわいてきた。はたして、原作のようにイーグル族と闇の三戦士が登場するのだろうか。実に気になる。

 『オバQ』3作品と『シスコン王子』以外にも面白い作品が目白押しだったが、ここではどこまで書いていいか判断が付かないので、上映作品についての感想はここまでとしておく。


 上映会の後は、17時より同じ建物内で懇親会が行われた。
 こちらも盛況で、昔から知っている人から初めて会う人まで、多数の人と藤子作品について語ることが出来て、非常に貴重な時間だった。

 と、言っても、そもそも私は人見知りで、なかなか知らない人には話しかけられない性格(その相手が、藤子不二雄という共通の趣味を持っているとわかっていても)なのだ。そんな私が比較的多くの人と話が出来たのは、某さんが「あの人にも声をかけてみませんか」と、私を誘って知らない人に話しかけてくれたおかげだ。私一人だったら、なかなか他の人に声をかけられなかっただろう。
 さらに、某さんには、漫画家のMoo.念平先生とのツーショット写真も撮っていただいた。ツーショットといっても、普通に並んで写っているのではなく、なぜか私がMoo先生に技をかけられているという状況で、普通の写真よりさらに貴重なものになっている。とにかく、某さんには色々とお世話になって、感謝してもしきれないくらいだ。




Moo.念平先生に技をかけられる私の図



 と、言うわけで非常に楽しい一日だった。この日お世話になったNUスタッフの皆様および、上映会に参加された皆様、本当にありがとうございました。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )