久々の「原口正宏アニメ講義」や「蒼樹うめ展」など

 今月の11日から12日にかけて、東京方面に遠征してきた。
 主な目的は、「原口正宏アニメ講義」、秋葉原でのオフ会、「蒼樹うめ展」、藤子・F・不二雄ミュージアムで、その合間に古本屋などでの買い物が挟まるという、結構な過密スケジュールだった。泊まりがけでの東京行きは昨年末以来となるので、せっかくなら色々と楽しもうと、詰め込めるだけスケジュールを詰め込んでしまったのだ。ちょっと、調子に乗っていた感は否めない。


 ともかく、最初の目的は阿佐ヶ谷ロフトAで開催された「原口正宏アニメ講義vol.8」。今回のお題は「TVアニメ50年史を語る 『魔法使いサリー』から1969年」だ。
 今回、特に興味深かったのは、怪獣ブーム当時のアニメ・特撮への怪獣の影響を語った部分だった。『魔法使いサリー』など、一見すると怪獣と関係なさそうな作品にまで影響しているというのが面白かった。サブタイトルは失念したが、よっちゃんが天国のママに、三つ子に怪獣の雲を見せてあげたいと頼む話があるというのだ。そう言った、何気ない部分にまで怪獣の影響が現れているという指摘は面白かった。
 他に怪獣ネタとしては『ピュンピュン丸』の第3話「怪獣ゴロゴロン」も紹介された。怪獣ブームを皮肉った作品で、かなり風刺が効いているようだった。未見の作品だが、これは面白そうだと思わされた。
 そして、『悪魔くん』の第18話「怪奇雪女」と『河童の三平 妖怪大作戦』の第23話「怪奇雪女」の、水木しげる原作による二大ドラマの雪女を取り上げて、前者は大きくて怪獣然としているが、後者は人間体の美女であると言う風に怪獣ブームから妖怪ブームへの移行を具体例で見せていたのは非常に興味深かった。

 他に、未見の作品では『佐武と市捕物控』も話題に上がった。虫プロ・スタジオゼロ(後に東映動画も)の共作だが、実写を作品に取り入れるにしても、そのやり方がスタジオごとに違っていたという話が興味深くて、ぜひ観てみたくなった。
 あとは、日本のアニメ史にまた一本新たな作品が加わったという話もあったな。「メイフラワー号のネズミ」だったか。日本のアニメ黎明期は調べれば調べるほど、新たな事実が出てくるようだ。「ワンダーくんの初夢宇宙旅行」の件もあったし(これまでは「ワンダー君の初夢宇宙旅行」として知られていた)、今後の研究の進捗にも期待したい。

 このように、データ原口氏の講義は毎回面白い。古い時代の話だから、観ていない作品も多いのだが、原口氏の話を聞くと観てみたくなってしまうので困る。すべてが、手軽に観られる作品というわけではないからなあ。今回触れられた作品では、他に『ファイトだ!!ピュー太』あたりは、なんとかして観たいものだ。放送動画の作品にまで手を出すと、もう後戻りは出来ないという感じだが。
 ネット配信が終了した後の第3部では、とある作品の原作の権利がどこにあるかと言う、ちょっときわどい話も飛び出したが、やはりここでは作品名は伏せておこう。今後もネット配信なしでのきわどい話は聞きたいからな。


 データ原口氏講義の後は、秋葉原でオフ会。今回、私が上京すると言うことで、ケデラッタさんが幹事を引き受けてくださったのだ。本当に、感謝の他はない。
 多くの人とは昨年以来にお会いすることとなって、実に懐かしかった。こうやって普通に人と会うことが出来るのも、無事に退院できて回復したからであり、健康とは本当に何物にも代えがたいのだなという思いが強くなる。
 オフ会は飲み&カラオケで合計5時間で終了。今回も、色々と興味深い話をすることができました。オフ会に参加された皆さん、ありがとうございました。



 と、ここまでが10月11日のこと。ここから先は12日の事になる。
 朝7時に起床して、朝食をとって上野の森美術館へ。ここで開催されている「蒼樹うめ展」を観るためだ。前日のオフ会で、この展覧会で長く並んだという話を聞いていたし、なにしろ最終日であるので一体どれくらい待たされるのか予想が付かなかったが、まあ2時間くらいを覚悟しておけばいいのではないかと考えて、8時頃に待機の列に並んだのだった。





 待つこと、2時間。10時過ぎに館内に入ることが出来た。大体は、想定通りだ。まず最初に、音声ガイドを受け取った。これは聴いておくべきだとオフ会でも勧められたし、特に音声ガイドに列も出来ていなかったので助かった。
 実際の展示を見ての感想は、とにかく人がすごかった(感想になっていません)。展示はボリュームたっぷりで非常に見応えはあったのだが、今思い返すと人に押されまくったことばかりが想起される。後半のゆのっちのえかきうた以降は、かなりましになったが、それでもまだかなりの人がいたと思う。さすがは、最終日だけのことはあった。
 そんなわけで、まるまる2時間かけてたっぷりとウメス絵を鑑賞することが出来た。何しろ人が多いので、なかなか先に進めないのだ。
 この展覧会、図録が結構充実しているのは助かる。ウメスの手書きコメントもちゃんと入っているし。今、読み返してようやく当日観たときのことがよみがえってきた。年を取ると記憶力も減退して、情けないものだなあ。


 この「蒼樹うめ展」での体験があったせいで、夕方に訪れた藤子・F・不二雄ミュージアムは展示がじっくり見られて、まるで別世界のようだった。
 Fミュージアムでは、新作アニメ「ドラえもん&キテレツ大百科 コロ助のはじめてのおつかい」も鑑賞。毎度のことだが、可能な限りアニメ版のオリジナルキャスト(シンエイ版の存在する作品はシンエイ版キャストになるが)を再現しようとしているのはいい事だ。今回だと、O次郎のよこざわけい子さんだけでなく、赤べえの桂玲子さんまで出演されていて驚いた。よこざわさんは、Oちゃんだけでなく魔美のセリフも一瞬だけどあったな。キテレツとママが全然喋らないのは不自然だったが、藤田淑子さんや島本須美さんまで呼ぶと大変なんだろうか、やっぱり。



 と、言ったところで二日間にわたった関東遠征も終了。
 かなり疲れたが、充実した二日間だった。次に上京するのは、いつになるかな。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

2015年秋の東海地区深夜アニメ事情

『ノラガミ ARAGOTO』
『進撃!巨人中学校』
『コメット・ルシファー』
『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』
『ワンパンマン』
『Dance with Devils』
『ご注文はうさぎですか??』
(『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件』)



 以上は、10月からのアニメ新番組で、東海地区での地上波放映予定がない作品。ただし、30分番組に限った。5分や10分のミニ番組となると、そのほとんどが東海地区未放映なので、きりがないからだ。
 一番下の『俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件』だけカッコ付きなのは、地上波でこそ放映予定がないが、名古屋市内を主なサービスエリアとするCATV「スターキャット」にて、なぜか放映されるからだ。いわば、準放映作品とでも言おうか。こういうケースはあまりないので、謎だ。

 それにしても、8本もあるとは東海地区未放映作品も増えたものだ。数年前は、せいぜい4,5本程度だったと思ったが。そう思って、5年前の2010年10月期を調べてみると、驚いたことに東海地区未放映作品は0だった。こういう時期もあったのか。
 その一方で、東海地区で放映される作品数を数えてみると、テレビ愛知:13、CBC:6、三重テレビ&岐阜放送:3、中京テレビ:1、東海テレビ:1で、合計24本だ。相変わらず、テレビ愛知の本数が飛び抜けて多い(前述の13本の他に、再放送も2本あり)が、テレビ東京をキー局とする『ワンパンマン』の放映がない点は、今期では特筆すべきだろう。テレ東深夜アニメでテレビ愛知での放映がないのは、2008年放映の『モノクローム・ファクター』以来のことだ。ちなみに、2010年10月期も、テレビ愛知の放映数は13本で、今と変化はない。枠が増えないのに作品数が増えた分だけ、あぶれる作品も増えたと言うことか。

 最近の深夜アニメの放映形態を見ると、独立局の比較的浅い時間(23~0時台)かつ、各局の放映時差が小さい同日放送を行うケースが少しずつ増えており、東海地区でそういった形式の放映を行うには、やはり独立局である三重テレビや岐阜放送に頼るしかない。
 しかし、『アイドルマスター シンデレラガールズ』での例を見るに、岐阜放送は何とか他局と同じく0時ジャストの放送に合わせられたが、三重テレビはがんばっても20分遅れの0時20分スタートであり、この二局にはこれ以上浅い時間での放映は期待しない方が良さそうだ。さらに言えば、この二局とも東海地区で一番人口の多い愛知県のカバー率が低く、放映効率もよくないのだ。
 それで、東海地区人口の93%をカバーする(自称)テレビ愛知に深夜アニメが集中するわけだが、テレビ東京系列局である以上、まずはキー局の番組をネットすることが優先されるので、深夜アニメは早くても1時35分からと言うことになってしまい、最近の製作側が望んでいる(と推測される)浅い時間での放映は不可能だ。これは別にテレビ愛知だけの問題ではなく、CBCで放映されるTBS・MBS作品も同日放映ではあるがキー局よりは遅い時間での放映となっている。

 このまま行くと、東海地区未放映作品もどんどん増えそうで、不安だ。なぜそう思うかというと、『ノラガミ ARAGOTO』『進撃!巨人中学校』『ご注文はうさぎですか??』など、シリーズ1期を東海地区で放映したにも関わらず、2期や関連作品が放映されないパターンが増えているからで、メーカーとしては放映局を絞ってコストを削減したいのだろうが、減らされた側としてはいい気分ではない。
 もっとも、近年は地上波で放映されなくてもBS11をはじめとするBS局でも放映されることがほとんどであり、実際に上で挙げた作品はすべてBSでも放映されるので、東海地区でも観ることはできる。できるのだが、やはり気分としてはよろしくない。

 テレビ愛知も夕方に『黒子のバスケ』を放映するなど、深夜枠以外でもがんばってはいるが、ピークでは週に20本は深夜アニメを放映していたことを考えると、やはり今はちょっと物足りない。いや、20本はちょっと異常だったのかな。もうちょっと景気がよくなれば、東海地区と言わずもっと放映エリアの広い作品が増えるのだろうか。最近だと『艦これ』の放送局が多かったが、これも2期はどうなることやら。
 BSで観られるとは言え、個人的にはやはりテレビアニメのようなコンテンツは各エリアでしっかり放映してこそだと思うので、各メーカーにはがんばっていただきたい。以上、東海地区未放映作品が増えたことに対する愚痴でした。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )