当エントリは、映画のネタばらしを含みます。未見の方はご注意下さい。
今年の映画ドラえもんは『のび太の大魔境』のリメイク。久々の原作付き、それも初期の作品と言うことで、いったいどんな映画になるのか楽しみ半分、不安半分だった。過去のリメイク作の傾向からして、何かしらのアレンジ要素があるものと思っていたからだ。しかし、実際に観てみると、「原作」に対して非常に誠実な態度で作られた作品だと感じさせられた。
だから、今回の映画で一つキーワードを挙げるとしたら、「原作通り」を推しておきたい。とにかく、原作に忠実な部分が多いと言うことが一番印象に残った。原作は大長編の中でも初期の作品なので何十回、下手したら何百回と読んでおり、セリフ回しは大部分が頭に入っている。今回の映画では、セリフを聞いていて頭の中で「次のセリフは○○だな」と思っていると、大部分はその通りだったので、観ていて非常に心地よかった。
もちろん、全てが原作通りというわけではない。細かいところではいくつかアニメオリジナルの場面も見受けられた。個人的に一番驚いたのは、のび太たちが「変身ドリンク」でイモ(だよな)に変身したところ。まさか、あんな使い方が出来るとは、驚くほかない。他にも、偶然の要素があったとは言え、電光丸の力なしでのび太がサベールに勝ったのも意外だった。旧作映画同様にペコに花を持たせる展開になるのではと予想していたのだ。
特に、犬の国に入ってからはオリジナルの場面がいくつかあった。だが、それらも主に原作を補強するものであり、まるで原作と関係なく付け加えられた場面ではなかった。それ故に、全体としての感想は「原作に忠実」と言うことになるのだ。
また、ここで特に取り上げておきたいのは、終盤の挿入歌が流れたシーンだ。旧作を観ている人には言うまでもないことだが、旧作でもやはり挿入歌「だからみんなで」が流れた名場面だ。それだけに、今回はどのような演出になるのかと楽しみにしていたのだが、ここは旧作とほぼ同じ内容だった。違いを挙げるとしたら、歌が変わっていることくらいだろうか。原作もそうだが、セリフは一切なく、歌で盛り上げるという手法が受け継がれたことになる。
この場面、原作大長編でも「だからみんなで」の歌詞が出てくるのだが、実は初出版では歌詞は出てこない。この場面の歌は、旧作映画での挿入歌使用が、てんコミでの描き足しで原作に逆輸入されたのだ。だからこそ、今作での演出に注目していたのだが、変わらなかったのはちょっと残念だ。それだけ、この場面は旧作映画の完成度が高いのだとも言えるが。今回の挿入歌「友達」は、なかなかいい歌だった。
このあたりで、今作について気になった点も書いておこう。
今作の上映時間は109分だが、それだけの時間を保たせるには、いささか演出に間延びしたところがあった。はっきりと、どこがそうだとは指摘しにくいのだが、メリハリが少し足りないというか。旧作の上映時間は92分とかなり短いが、それだけ中身が締まっていたように思う。
原作に忠実であるが故に、先の展開までわかってしまってうこととなり、そのため特に終盤では観ていて少しだれてしまった。「もう少しアレンジがあればな」と思ってしまったのは、贅沢なことだろうか。事前の予想では、「10人の外国人」「のび太対サベール」あたりは大胆に変えるのではと思っていた。
また、最近なくなっていた、アフレコ素人の重要な役へのキャスティングが復活してしまったのは、実に残念。いうまでもなく、スピアナ姫のことだ。それに対して、小栗旬のサベールは冷酷な剣の達人を見事に演じていて、よかった。ゲスト声優では、ペコ役の小林ゆうもさすがの演技だった。
とにかく、今回は「原作に忠実」。それが記憶に残る作品だった。わさドラ9年の歴史で、ここまで原作通りだった映画は間違いなく初めてだ。それだけに、ある意味では新鮮でもあった。
次回作は、おまけ映像を観る限りではアニメオリジナル作品のようだ。はたして、『ひみつ道具博物館』に続く快作となってくれるのか、来年も見逃せない。
今年の映画ドラえもんは『のび太の大魔境』のリメイク。久々の原作付き、それも初期の作品と言うことで、いったいどんな映画になるのか楽しみ半分、不安半分だった。過去のリメイク作の傾向からして、何かしらのアレンジ要素があるものと思っていたからだ。しかし、実際に観てみると、「原作」に対して非常に誠実な態度で作られた作品だと感じさせられた。
だから、今回の映画で一つキーワードを挙げるとしたら、「原作通り」を推しておきたい。とにかく、原作に忠実な部分が多いと言うことが一番印象に残った。原作は大長編の中でも初期の作品なので何十回、下手したら何百回と読んでおり、セリフ回しは大部分が頭に入っている。今回の映画では、セリフを聞いていて頭の中で「次のセリフは○○だな」と思っていると、大部分はその通りだったので、観ていて非常に心地よかった。
もちろん、全てが原作通りというわけではない。細かいところではいくつかアニメオリジナルの場面も見受けられた。個人的に一番驚いたのは、のび太たちが「変身ドリンク」でイモ(だよな)に変身したところ。まさか、あんな使い方が出来るとは、驚くほかない。他にも、偶然の要素があったとは言え、電光丸の力なしでのび太がサベールに勝ったのも意外だった。旧作映画同様にペコに花を持たせる展開になるのではと予想していたのだ。
特に、犬の国に入ってからはオリジナルの場面がいくつかあった。だが、それらも主に原作を補強するものであり、まるで原作と関係なく付け加えられた場面ではなかった。それ故に、全体としての感想は「原作に忠実」と言うことになるのだ。
また、ここで特に取り上げておきたいのは、終盤の挿入歌が流れたシーンだ。旧作を観ている人には言うまでもないことだが、旧作でもやはり挿入歌「だからみんなで」が流れた名場面だ。それだけに、今回はどのような演出になるのかと楽しみにしていたのだが、ここは旧作とほぼ同じ内容だった。違いを挙げるとしたら、歌が変わっていることくらいだろうか。原作もそうだが、セリフは一切なく、歌で盛り上げるという手法が受け継がれたことになる。
この場面、原作大長編でも「だからみんなで」の歌詞が出てくるのだが、実は初出版では歌詞は出てこない。この場面の歌は、旧作映画での挿入歌使用が、てんコミでの描き足しで原作に逆輸入されたのだ。だからこそ、今作での演出に注目していたのだが、変わらなかったのはちょっと残念だ。それだけ、この場面は旧作映画の完成度が高いのだとも言えるが。今回の挿入歌「友達」は、なかなかいい歌だった。
このあたりで、今作について気になった点も書いておこう。
今作の上映時間は109分だが、それだけの時間を保たせるには、いささか演出に間延びしたところがあった。はっきりと、どこがそうだとは指摘しにくいのだが、メリハリが少し足りないというか。旧作の上映時間は92分とかなり短いが、それだけ中身が締まっていたように思う。
原作に忠実であるが故に、先の展開までわかってしまってうこととなり、そのため特に終盤では観ていて少しだれてしまった。「もう少しアレンジがあればな」と思ってしまったのは、贅沢なことだろうか。事前の予想では、「10人の外国人」「のび太対サベール」あたりは大胆に変えるのではと思っていた。
また、最近なくなっていた、アフレコ素人の重要な役へのキャスティングが復活してしまったのは、実に残念。いうまでもなく、スピアナ姫のことだ。それに対して、小栗旬のサベールは冷酷な剣の達人を見事に演じていて、よかった。ゲスト声優では、ペコ役の小林ゆうもさすがの演技だった。
とにかく、今回は「原作に忠実」。それが記憶に残る作品だった。わさドラ9年の歴史で、ここまで原作通りだった映画は間違いなく初めてだ。それだけに、ある意味では新鮮でもあった。
次回作は、おまけ映像を観る限りではアニメオリジナル作品のようだ。はたして、『ひみつ道具博物館』に続く快作となってくれるのか、来年も見逃せない。