「TBSアニメフェスタ2009」感想

 予定通り、22日はTBSアニメフェスタに行ってきた。
 とりあえずの感想としては、一番の目当てだった『ひだまりスケッチ×365』ステージがたっぷり楽しめたので、大満足だ。


 今回『ひだまり』はアニメフェスタ公式サイトに記載されず、予定にはまったくなかった作品だったが、それでも一番楽しみにしており、ワクワクして登場を待っていた。
 過去2年のアニメフェスタを盛り上げた作品であり、しかも10月に特別編のテレビ放映&DVD発売があるのに公式で全く触れていないのはかえって不自然で、「これは間違いなくサプライズ枠で『ひだまり』が来るな」と、ほぼ確信していたし、実際にその通りだった。

 『ひだまり』ステージがあるなら例年通りに特別編の先行上映と主題歌のライブは当然として、今回は更なる発表があるかどうかも注目点だった。特別編の次の展開、テレビシリーズ第3期だ。
 と言うのも、8月上旬にセブンアンドワイで「まんがタイムきららキャラット」次号の内容説明文に「表紙:「ひだまりスケッチ」(アニメ第3期決定)」と書かれているのが発見されて、それがわずか2,3時間で「アニメ特別編決定」に修正される事件があったからだ。はたしてこれが単なるミスか、それともフライング情報だったのか、アニメフェスタで分かるはずだと期待していた。
 そして、期待通りに第3期の製作決定が、実にこの作品らしい演出で発表されて歓喜してしまった。事前に漏れていた情報だから驚きは半分くらいだったが、それでも嬉しい事には変わりはない。


 『ひだまり』ステージはトリの前の「新作アニメ」枠で、時間はたっぷり50分取られていた。
 その前の、時間20分の方の新作枠に来たらどうしようと思っていたが、こちらは『まほろまてぃっく』新作の発表だった。「まさか今これの新作とは」という驚きの度合いでは、こちらの方が大きかった気がする。
 それはともかく、アニメフェスタ開始から5時間、新作情報の時間から休みなしにいきなり『ひだまり』の映像が流れて、舞台にはメインキャスト4人が登場。「絶対にあるだろう」と思ってはいたが、それでも実際に声優陣が出てきて「?でわっしょい」を歌い出した時には興奮した。さらに、この時間だけの特別司会としてうめ先生…ではなく、「ゆま」ことアニプレックス高橋祐馬氏が登場。司会まで身内に替えて、やりたい放題だ。

 全体の流れとしては、


 「?でわっしょい」
  ↓
 「特別編第1話Aパート上映」
  ↓
 「トークコーナー」
  ↓
 「1期・2期を振り返る特別映像」


と進んで、最後の「特別映像」で第3期が発表されたのだが、実のところ特別編のアバンタイトルを観た時点で「これは3期発表が来るな」と確信できた。と言うのも(ここから特別編のネタを割るので文字を隠します。読みたい人は反転させて下さい)、特別編第1話は原作の第3巻に入っている自転車の話だが、アバンタイトルでいきなりアニメオリジナルの受験シーン(ゆの達の一学年下の受験)が出てきており、特別編から次の展開=3期で進級につなげる気だとしか思えなかったからだ。
 また、今回は「時間の都合」でAパートのみの上映と言う事になっていたが、あの長丁場の中で10分程度はどうにでもなっただろうから、Bパートにはあの時点で観客に見せてはいけない映像があり、あえて上映しなかったのではないか、とも疑っている。はっきり言えば、受験会場で乃莉&なずなが登場する場面があるのではないかと想像している。Aパート終了時で原作1ページを残すのみだったので、Bパートの大半はアニメオリジナルになるだろうから、十分に可能性はある
(特別編ネタバレはここまで)。

 これが当たっているかどうかはともかくとして、「1期・2期を振り返る」と称してネタ映像(1期はNHK朝ドラ風、2期はRPG風のウソ総集編)をわざわざアスミスの新録ナレーションで流した時点で、「この後に3期発表が来る」と完全に確信した。
 いかにも『ひだまり』スタッフ・キャストの好きそうな流れだし、実際その通りに、続いて流された「本当に1期と2期を振り返る映像」の冒頭で3期『ひだまりスケッチ×☆☆☆』の製作決定が発表された。映像の中身は「ひだまりランド・ゴーランド」に合わせて1期と2期を時系列順にまとめたものなので、「本当に1期と2期を振り返る映像」と言うのもウソではない。
 とは言え、いつもながらの会場を巻き込んだお騒がせドッキリ企画なので、ゆま氏がまたもや土下座をして「色々とすみません」と謝っていたのが笑えた。

 さらには、10月から「ひだまりラジオ」も三度の登場、そのラジオの公開録音の予定まで発表されてテンションは上がりまくった。そこに、だめ押しでキャスト陣が「スケッチスイッチ」まで歌ったものだから会場はまさにカオス状態。それまでの5時間も各作品で工夫が凝らされて楽しめたのだが、それが一気に盛り上がって爆発した感じだった。
 それにしても、過去2年の実績があるとは言え、『ひだまり』は時間はたっぷり取って司会まで自前、主題歌2曲歌って
特別編の上映に更なる新作発表と、本当に優遇されている。この後にトリで『けいおん!』が控えていたとは言え、ほぼこのイベントのメインと言っても過言ではない。そんな作品が当日まで隠し玉扱いでサプライズ参加というのはもったいない気もした。参加できなかったファンにとっては、残念だっただろう。私自身は十分すぎるほどに楽しめましたが。



 今回はエントリのタイトルを「アニメフェスタ感想」にしたのに、『ひだまり』の話だけでかなり長々と書いてしまった。
 他の作品も、簡単に感想を書いておく。



・『けいおん!』

 今回のトリの作品。OP・EDの生歌が聴けたのはよかった。歌の時は『ひだまり』からそのまま続いて会場のテンションは上がりっぱなしだった。演奏が「フリ」だけで実際にやってないのは残念だが、どう見ても手つきは本当に演奏している様子ではないのが丸わかりだし、キャスト陣も謝ってたから、まあいいか。
 特別編の上映も来るかな?と、ちょっと期待していたが、こちらは予告編のみだった。まあ、来年1月発売予定だからまだ出来てはいないか。


・『大正野球娘。』

 伊藤かな恵の歌がよかった。EDは当然として、第1話で印象的だった「東京節」も生で聴けて満足。向井アナが「お願いがあるのだけど、ウンと言ってくれないかしら?」と1話の晶子さんの真似をして、「「東京節」を歌って」とお願いしていたのが面白かった。
 あとは、櫻花会ナイン全員での「おじゃんでございます」があったのもよかった。OP主題歌も期待していたが、こちらはなくて残念。


・『けんぷファー』

 10月からの新番組。第1話の先行上映で約4年半ぶりに野村道子さんの声をたっぷりと聞いて、懐かしい気持ちになってしまった。原作にもあるセリフらしいが、「前のしずかちゃんみたいな声」と言ってしまうのはどうなのか。だからこそのキャスティングなのだろうけど。ちなみに、会場はそのセリフの前の「田村ゆかりさんみたいな声」の方で大爆笑になっていた。
 ともかく、野村さん久々のテレビアニメレギュラーだし、1話はまずまずの出来だったので、10月からが楽しみだ。



 他にもいくつかの作品のステージがあったが、特に印象に残っているのはこれくらい。
 第3部でテンションが上がりすぎるので、第1部はどうしても記憶が薄くなってしまう。今回は、観ていない作品が第1部に集まっていたので、なおさらだった。
 これだけの内容を詰め込んで2,800円とは、本当に破格だと思う。交通費は別にかかるが、それは仕方がない。3期決定でおそらく来年も『ひだまり』ステージはあるだろうから、またぜひ行きたいものだ。

 なお、『ひだまり』がサプライズだった件については、ゆま氏が「アニメメーカー横断宣伝マンブログ」で直接謝っており、氏の誠実な人柄が伺える。「第3期に合わせて、願わくば前回の厚生年金会館を越える場所でのイベントが出来る様に色々作業してます」には、期待大だ。頑張って下さい。
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2009年夏の東京旅行

 昨日も書いたが、15・16日の一泊二日で上京してきた。目的は、いつもの通りに藤子ファンのオフ会とコミケ。
 今年は夏休みを例年より一日多く取った(=有休を使って一日延ばした)のだが、増やした分は主に日頃の疲労回復のために家でゴロゴロしていたので、上京は一泊のみ。それでも、なかなか密度の濃い二日間だった。



★8月15日(土曜日)

 今回は、個人的な都合で直前まで上京できるかどうかがはっきりしなかったため、オフ会の幹事をケデラッタ(TOJHO)さんにやっていただいた。私は行けなかった可能性も大だったのだが、なんとか無事に参加する事が出来た。
 オフ会の参加者は、私を含めて7人。このくらいの人数だと、参加された全ての方とお話しする事が出来て、ちょうどいいのかもしれない。もちろん、もっと人数が増えて賑やかな会も、それはそれで楽しいのだが。

 さて、この時期に藤子ファンが集まるとなると、話題は当然「藤子・F・不二雄大全集」の事になる。全集については、ブログには書けないような「ここだけの話」も飛び出してm盛り上がった。
 既に私もこのブログで書いたが、全集の置き場所に苦労しているのは誰でも同じと言う事も、あらためて確認できた。全種の刊行自体は大変に喜ばしいが、毎月どんどん本棚が埋まっていくのは悩ましい問題だ。皆さん、収納場所に苦労されているようで、「自分だけではないんだ」と、ちょっと安心した。
 また、思ったよりも全集未購入の方が多かったのは意外だった。私を含めて4人は買っていたので、なんとか50%を超えた状態か。話を聞くと「買う気がない」わけではなく、それぞれに事情をお持ちのようだった。

 ともあれ、ファン活動としての最優先事項は「全集を買う事」ではなく「作品を楽しむ事」だと思う。
 F先生のファンの一人としては、出来るだけ多くの人に全集を読んで、F作品の世界を共有したい。そんなわけなので、無理強いはしませんが、皆さんぜひ「藤子・F・不二雄大全集」を買いましょう…ではなくて「読みましょう」。

 オフ会では、他にも藤子と関係ないマニアックな話題も続出したが、誰かがネタを振ったら必ず誰か一人は反応する人がいるので、会話が途切れる事はなく、楽しい時間を過ごす事が出来た。2次会のカラオケも同様で、皆が新旧アニメ・特撮の曲を思い思いに入れていたが、必ず一人は反応してくれるので歌っていて楽しい。これは、参加者の趣味が藤子以外でも色々なところで重なっているからこそだろう。
 それにしても、いきなり2曲目に酒井法子の「夢冒険」(『アニメ三銃士』OP)が流れた時には、不覚にも吹いてしまった。


 23時頃、2次会のカラオケも終了。3時間歌いまくって、あっという間だった。
 今回は、一参加者として楽しませていただいた。幹事のケデラッタさん、そして参加された皆さん、ありがとうございました。



★8月16日(日曜日)

 この日は、コミケに出陣した。
 前日の2日目が入場からかなり厳しかったと聞いていたので、3日目はもっと悲惨なのだろうと覚悟していたが、拍子抜けするほど楽だった。10時過ぎに会場について、11時前には入場できてしまった。待機列で文字通り「待機」していたのは10分弱で、あとは列がスムースに流れてあっという間だった。

 今回はちょっと疲れ気味だったので、長時間の行列は避けようと思っていたが、予想より早く入場できたのでウメスのapricot+に並んでしまった。待ったのは、1時間弱と言ったところか。「神」ことウメスのお姿を拝めたのは一度きりだったが、ちょうど『ひだまりスケッチ×365』特別編のテレビ放映とDVD発売情報が出てテンションが上がっていた時なので、1時間の列はあまり苦はならなかった。それに、もしかしたらウメス(神)のお姿は次の土曜日に拝めるかもしれない。
 apricot+の後は、東4~6→東1~3→西の順で、目当てのサークルを一巡した。2,3売り切れてしまったところもあったが、概ねは目あての本を手に入れる事が出来たし、思わぬ掘り出し物も何冊かあったので、行ってよかった。
 それにしても、今回は西から企業ブースへの移動距離が長くて、閉口した。apricot+の行列待ちより、こちらの方がよほど疲れた。昔ならエスカレーターでスイスイだったが、例の事故以来、面倒くさくなったものだ。
 また、今回は過去2年間で最も携帯が「使えない」状況だった。特に、メールは「送信できません」を連発して、ほとんど使い物にならなかった。これまでのコミケでも携帯が使いづらい事はあったが、今回はひどすぎた。インフラに何か決定的な問題があったのだろうか。

 そんなこんなで、15時半過ぎにコミケ会場から撤退した。
 財布をチェックしてみると、思ったよりも金を使っておらず、体力も残っていたので秋葉原に寄ったら思わぬ掘り出し物が…という件については、昨日書いたとおり。



 秋葉原で結構時間を食ったので、自宅に着いたのは21時頃だった。新幹線の混雑を危惧していたが、こちらは自由席・指定席共に余裕がある状況で、問題なく座る事が出来た。
 今回は、半ば無理を押しての一泊二日だったが、精神的にも物質的にも多くのものを得た、充実した二日間だった。さて、次の上京は…日付が変わったから三日後か。22日のTBSアニメフェスタに行く予定だ。このチケットが定価で入手できたのは運がよかった。はたして「放課後ティータイム」の演奏はあるのか。そして、「ひだまり特別編」の上映は?
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ついに『ぴちぴちピッチ』のDVDが揃った

 15・16日はオフ会&コミケのために上京してきた。
 本来なら真っ先にその感想を書くべきところだが、16日のコミケ帰りに寄った秋葉原で思いもよらぬ収穫物があったので、その件を先に書いておきたい。
 その収穫物とは、『マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ』のDVD第8巻・BOX付きの初回版だ。『ぴちぴちピッチ』のDVDをバラで集め始めたのが2005年の正月だから、全巻集めるまでに4年半以上もかかった。







 こんなに時間がかかったのは、ひとえにこの第8巻が見つからなかったからだ。
 さらに正確に言うなら、見つからなかったのは「BOX付きの初回版」だ。同様にBOXが付いた1巻は、DVDを集め始めた頃から新品でも中古でも比較的よく見かけたので簡単に手に入ったが、8巻は逆に新品・中古のいずれでも箱無ししか見かけなかった。おそらく、シリーズ後半は生産本数自体が少なく抑えられて、その中でも8巻箱付きは特少なかったのだろう。「箱無しの初回版」なら、新品でそこそこ置いてあった。
 もちろん、リアル店舗だけでなくネット販売にもあたってみたが、8巻を売っている店に箱の有無を問い合わせても「無し」か「不明」ばかり。オークションにも目を光らせていたが、今に至るまで箱付き8巻単品の出品はなかった。もっとも、全14巻セットでの箱付き出品は何度か見かけたので、これで箱自体の存在を確認できたのはありがたかった。この全巻出品の写真を見なければ、箱の存在自体を疑っていたかも知れない。

 この4年半の間には、何度も「もう一生手に入らないのでは」と諦めかけたし、「1巻の箱付きをもう一つ買って、代わりにそれに8~14巻を入れよう」などと考えた事もあった。1~7巻が綺麗に箱に収まっているのに対して、9~14巻がむき出しのままなのは収まりが悪いし、DVDに対して申し訳なくも感じていた。
 今回、箱付き8巻を入手できたのは、大げさではなく奇跡としか言えない。何しろ、当初は16日に秋葉原による予定はなく、コミケが終わったら名古屋に直帰するつもりだったのだ。
 しかし、コミケで思ったより予算も体力も余ったので、せっかくだからと秋葉原に寄ってみた。そして、たまたま入った店で見かけたのが、箱付きの1巻だった。最近は『ぴちぴちピッチ』のDVDを見かける事自体が少なくなっていたので、ここで久しぶりに1巻を見かけたのも何かの縁かと思い、他の店にも行って8巻を探して見ようと思い立ったら、2軒目であっさり見つかってしまった。
 実物を見つけた時は、「こういう事もあるのか」と、本気で鳥肌が立つ思いだった。4年半探しに探して、初めて目にした実物なのだ。今思えば、最初に箱付き1巻を見かけた時点で「もしかしたら」と言う予感があった。箱付き8巻が、私を秋葉原に呼んでくれたのかも知れない。



 これで、『ぴちぴちピッチ』について、ようやく一区切り付ける事が出来た。
 非公式なものではあったが、初めて声優のライブに行った記念すべき作品で、今も思い入れは強い。DVDを揃えたい気持ちはやはり消せなかったし、諦めなくて本当によかった。
 8巻の箱に帯が付いていない点だけは残念だが、今後更に探して帯付きを見つける自信はない。箱が見つかっただけでも奇跡的なのだ。9~14巻は8巻と共に、ようやく収まるべき所に収まった。大切に保管して、またいつか作品を観返したい。




全巻並べての記念撮影

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映画『サマーウォーズ』鑑賞

 盆休みに入って、ようやく昨日『サマーウォーズ』を観てきた。
 前売り券を買い忘れたので、割引のあるレイトショーで鑑賞。最近は夜型人間になりつつあるので、遅い時間も苦にはならない。


 大ざっぱな感想として、面白いか面白くないかの二択なら「面白い」と答えるが、面白さの度合いについては、正直言って微妙に感じた。
 三年前の『時をかける少女』の時には「あの『時かけ』が、こんな作品になってしまうのか!」と、いい意味での大きな驚きがあったのだが、今回は、話があらすじから想像できるほぼそのままに展開していったので、「驚き」の面では物足りなさがあった。まあ、事前にテレビで宣伝特番を観て、余計な知識を付けてしまったのがよくなかったのかも知れないが。その点、『時かけ』は、ほぼ予備知識なしで、監督・細田守&キャラクターデザイン・貞本義行の名前で観に行ったようなものだった。

 とは言え、時間を忘れて画面に没頭できる面白さは相変わらずで、エンタテイメント作品としては十分に楽しめた。つまらない映画だと「あと何分で終わるのだろう」と途中で時計を確認したくなってしまうが、本作や『時かけ』にはそれがなかった。今回は「家族」が大きなテーマとなっており、陣内家の人間が大勢登場していたが、2時間弱という限られた時間でも各人の個性がしっかり描き分けられていて、「これ、誰だっけ?」と、ならないあたりはさすがだ。
 本作も、専業声優でない人が多数出演していたが、いわゆる「棒」のせいで映画が台無しと言う事はなかった。神木隆之介も、ピー助の頃から成長したのだなと、しみじみと思ってしまった。オリジナル作品だから既存のキャラのイメージに影響される事はないし、演技指導もしっかり行われていたのだろう。
 そんな中で、永井一郎・中村正両氏の存在感は「さすが」としか言いようがない。特に、永井一郎演ずる万助は観ていて気持ちのいいおっさんキャラだった。このような役だと、本当に永井さんの声はよくはまっている。


 それにしても、我ながら単純だとは思うが、舞台となった長野県上田市を訪れたくなってしまった。やはり、劇中で描かれていた風景を実際にこの目で見る事が出来るのであれば、見てみたいものだ。
 名古屋からも比較的近いから日帰りも可能だ。そもそも、愛知県と長野県は、一応お隣同士なのだし。もっと涼しくなってから、秋口にでも一度、行ってみよう。

 さて、細田守監督の次回作はどうなるのだろう。そろそろ、たまにはテレビアニメの演出作品も観たいのだが、次も劇場映画なのだろうか。「鬼太郎対三匹の刺客!」のような徹底したギャグ作品も、また見せていただきたいものだ。
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F全集『パーマン』第1巻感想

 藤子・F・不二雄全集第1回配本のうち、『オバQ』に続いて『パーマン』第1巻をじっくりと読んでみた。
 今回刊行された第1巻は「少年サンデー掲載集」の一冊目にあたり、「週刊少年サンデー」掲載分の作品が発表順に収録されている。この全集は『パーマン』に限らず、どの作品も掲載誌別・初出順を収録方針の基本としているが、この形式だと色々な雑誌に掲載された話が混ざっている従来の単行本とは違って、掲載誌による作品の描き分け方が明確に感じ取れるように思う。


 『パーマン』の場合、てんコミだと大事件と日常的な話がほどよく混ざっている印象だったが、今回の全集第1巻では、どちらかと言うと大事件に比重が傾いている感じだ。「砂漠のジン魔神」をはじめとして遠征も多く、長距離飛行でマントがよく活用されている印象がある。「時速91キロで何時間かかる」と言った計算もよく出てきているが、それも遠出をしているからこそだろう。
 また、今回ちょっと意外だったのは、かなり早くパーやんまでの4人が揃っていた事だった。てんコミでは2巻の最初が「パーやんですねん」だったせいもあり、もう少し時間をかけてメンバーを揃えていたと思っていた。さらに、「パーマン全員集合!!」も、サンデーのみの初出順だと連載の前半だ。これは、パーマンセットが奪われてみつ夫が動物(旧版ではパー)にされかかると言う大ピンチを描いた話だけに、連載後期の山場で描かれたものとばかり思いこんでいた。考えてみれば、パー坊がいない4人で「全員集合」なのだから、そんなに遅く描かれたわけはないのだが、これもてんコミで3巻収録だった印象が強かったようだ。

 『パーマン』の初出データは今までも知っていたが、単行本を読む時にはいちいち気にしていなかったので、てんコミ(FFランドも準拠)の収録順こそが『パーマン』の時系列だと思い込んでいた。
 F全集第1回配本3冊の中で『パーマン』だけは単行本初収録作品がないので、セリフの改変だけに注目していたが、収録順が違うと話自体への印象も結構違うものだ。おかげで、思ったより新鮮な気持ちで作品を読み返す事が出来た。以前にもちょっと触れたが、「砂漠のジン魔神」冒頭部分がが初出時のアオリ文句まで復元されていたのは嬉しかった。藤子両先生の「だましてごめんね」の絵は雑誌からの復刻だったが、おそらくFFランド収録の時点で原稿から消されてしまったのだろう。このような細かいこだわりが感じられるのは、本全集のいいところだ。


 その一方で、セリフのあつかいについては、納得の行かないところもある。
 「スーパーマン」「時速91キロ」が復活して「脳細胞破壊銃でパーにする」はNGだと言うのは根本的な編集方針のようなので、F先生の最終判断がそうだったのだと、今回の編集にあたって解釈されたと考えれば仕方がないと言えない事もないが、「パーにする」と直接関わらない部分の細かいセリフの言い回しが、1995年に出されたてんコミ改訂版のままになっている箇所が多くて、てんコミの旧版にすっかり馴染んだ者としてはどうも違和感がある。全集の『ドラえもん』では、なるべくてんコミの初期版にセリフを戻すようにしていたのとは、対照的だ。
 具体的には、「はじめましてパー子です」の「パーマンじゃなくてクルクルパー」や、「パーマン全員集合!!」の「スーパーマンをあまく見るな」などがそうだ。前者は2号やパー子の身振り手振りが意味不明になったままだし、後者は「わしをあまく見るな」になって、スーパーマンが余計におっさん臭く感じられてしまう。脳細胞破壊銃は仕方がないにしても、このあたりは何とかして欲しかった。

 と、ここまで書いたように、特に「パーマン全員集合!!」の扱いにはちょっと文句がある。みつ夫のために必死になる仲間三人の姿が印象的で、好きな話なだけにこだわってしまうのだ。しかし、セリフ改変はあってもカラー口絵に初出版扉絵が収録されたのは素晴らしい。怒り狂っている(と、あえて書かせていただく)スーパーマンが実にいい味を出している。
 この全集ではカラーにはあまり期待していなかっただけに、他にも今まで見られなかったカラーイラストが入っているのは嬉しい。特に「パーマン全員集合!!」の単行本版扉はどう見ても連載時の絵柄ではなく、描き直されたと一目で分かる絵だっただけに、元がどうだったのかは気になっていた。
 カラーと言えば、綴じ込みの月報によれば「小学一年生」以下の年齢対象雑誌掲載分を収録した『パーマン』第6巻はカラー版が予定されており、これも楽しみだ。「小学一年生」掲載分は、すでにぴっかぴかコミックスで多数カラー収録されているだけに、全集でもカラーでとなったのだろう。こちらも、嬉しい判断だ。



 もう一度感想をまとめておくと、この第1巻はヒーローとしてのパーマンの活躍が印象に残る巻だった。「牧場をとりもどせ」なんて、冒頭はのどかそうに始まっているのに「弾丸がまだ六発、おれの体に残ってる」と重い話で、久しぶりに読んで驚いてしまった。続く第2巻も「サンデー」掲載分だし、「鉄の棺おけ突破せよ」のような話もあるので、ヒーロー色がより強く感じられそうだ。
 それにしても、『パーマン』と言い『ドラえもん』と言い、F先生は四月バカネタがお好きなんだな。「世の中うそだらけ」はタイトルまで被っているところが面白い。
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大山ドラ最初の1年が全話DVD化

 アニメ『ドラえもん』公式サイトにて、1979年4月2日から1980年3月31日まで、つまり大山ドラ最初の一年間の帯番組版エピソードを全話収録するDVD『ドラえもん タイムマシンBOX 1979』の発売が告知された。


 藤子・F・不二雄大全集に加えて、「Fプロジェクト」で映像作品の展開もあると聞いて、過去のアニメ作品の全話ソフト化を期待していたのだが、いきなり大山ドラの最初の一年分全話ソフト化とは、ちょっと驚きだ。
 価格は309話収録で3万円。30分番組に換算すると103回分、2年間放送できる話数が収録されるのだから、お買い得だと思う。この「タイムマシンBOX」が1980、1981…と続いていくのかどうかはまだわからないが、もし続くのであれば少なくとも帯番組分は買いたい。この頃の話は本放送当時に自分が幼すぎたので、観ていたはずでも記憶に残っていない話が多いのだ。それに、帯番組で初めてアニメ化された話も多いので、その後のリメイク作品との比較もしてみたい。「あやうし!ライオン仮面」とか、気になるな。
 また、このBOXではじめて「丸山裕子版のび太」のエピソード6話がソフト化されるのも注目点の一つと言えるだろう。以前にネオ・ユートピアの上映会で1話分を観たが、のび太の声に違和感がありすぎる。今までのセレクト版ソフトで外されてきたのも無理はないが、今回は「全話収録」だからその点も問題ない。


 しかし、OP・EDの扱いは気になるところだ。これまでの大山ドラ映像ソフトと同様に、初代OPの原作者名を「藤子・F・不二雄」に差し替えたものが収録されるのだろうか。EDはどのような形式で付くのか、スタッフ表示はどうなるのか、など不安な点を書き出すときりがない。
 とりあえず、「青い空はポケットさ」の映像は、何らかの形で収録して欲しい。また、ブックレットが付くそうなので、そちらでいいから各話担当スタッフのデータをフォローして欲しいものだ。

 さらに、今回は「309話」収録となっているので、特番は入らない事になる。
 このBOXの収録対象期間の中では、1980年1月1日放映の「タイムマシンでお正月」のみ特番でソフト化されていないので、これだけでも何とかして欲しいものだ。特番は大部分が「ドラえもんコレクション スペシャル」として既にDVD化されているので、扱いが難しいのかも知れないが。



 それにしても、とりあえず最初の1年分とは言え、大山ドラの全話ソフト化には「とうとう来たか」と思わざるを得ない。
 以前に「ドラえもんコレクション」として、初めてテレビシリーズのドラがソフト化された時は、レンタルビデオ版と同内容と分かっていながら、それでも嬉しかったものだ。あの時は、最初の3巻は勢いで買ったが、まだ学生だったので後が続かなかった。
 その「ドラえもんコレクション」も、12巻(レンタル版の24巻)と中途半端なところで止まってしまい、以降レギュラー放送の大山ドラがソフト化される事はなかった(厳密に言えば「ドラえもんコレクション スペシャル」に「特番で再放送された話」がいくつか収録されたが)。

 今回発売されるBOXの仕様には不安もあるが、自分にとって正真正銘はじめて触れたアニメ『ドラえもん』なのだから、本編だけでも十分に買う価値はある。おそらく、『エスパー魔美』BOXを次回予告未収録と知りながら買った人も、こんな気持ちだったのだろう。
 漫画の方ではF全集の刊行が続き、アニメドラのBOXまで出るとは、まさに嬉しい悲鳴だ。「1980」以降のBOXを出すのだとしたら、出来るだけ間隔を空けて欲しいものだ。あまり立て続けに色々と出されても、資金が続かない。
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シンエイ版『オバQ』で「エンドレスエイト」?

 テレ朝チャンネル放映分『オバケのQ太郎』の録画を整理しようとして、何気なく先週土曜日の放映分を観てみたら、こんなサブタイトルの話が出てきた。










 ちょうど『涼宮ハルヒの憂鬱』にて「エンドレスエイト」が大絶賛エンドレス中なだけに、タイトルを見ただけで思わず噴き出してしまった。
 これは第421話に当たり、シリーズ後期の放映だったせいか全く記憶にない話だったので、すぐに観てみた。「夏休みが延々と繰り返される話だったらどうしよう」と思っていたが、さすがにそんな事はなく、O次郎の化けたタイムマシンで過去に戻って夏休みをやり直すというアニメオリジナル話だった。

 しかし、サブタイトルで「エンドレスエイト」の印象が頭に焼き付いてしまったので、お祭りの場面が出てくると、ついつい反応してしまう。







 こんな場面が出てくるので、「「エンドレスエイト」に当てはめると、Q太郎&O次郎がハルヒ&みくる、正太が長門かな」などと思ってしまった。タイムスリップの前にQちゃんが「夏休みに遊び足りなかった分、多いに楽しんで来よう」と言っているのも、「エンドレスエイト」のハルヒっぽいし。
 お祭り以外に被る部分はなく、全体のストーリーも「エンドレスエイト」とは関係ないが、とにかく放送のタイミングが絶妙なので、ニヤニヤしながら観ていた。

 あと、上のお面の場面は正太がパーマン1号のお面を付けて喋っているのだが、どちらも声が三輪勝恵さんなのでお面に全く違和感が無く、それどころか本当にパーマンが喋っているようにしか見えない。アニメスタッフもわかっていて、狙ってやったんだろう。このようなお遊びは好きだ。



 それにしても、肝心の「エンドレスエイト」は、残念ながら私にとってはニヤニヤどころの状態ではなくなっている。
 1話目を見た時は「来週が後編で、オチをつけるんだな」と思い、2話目でループ脱出できなかった時も「失敗回も用意しているのか。さすがに作りが丁寧だな」と思って観ていたが、3話目を過ぎてからは間違い探しをしている気分になり、真面目に観る気がしなくなった。名古屋では6話目まで放送されたが、既に7話目でもループ脱出しなかったと言う事は知っている。1~2日程度の遅れならネタバレを避ける事も出来るが、5日遅れで『ハルヒ』ほどの話題作となると、どうしても情報を完全に遮る事は不可能だ。
 いずれにせよ、これで最低でも8話までは「エンドレスエイト」が続く事になったわけで、もう製作委員会も制作スタッフもどうにかしているのではないか。文庫丸々一冊の長編だった「涼宮ハルヒの憂鬱」ですら6話で終わったのに、たかだか50ページ程度の短編にあんな手段で8話も割くなど、正気とは思えない。

 「笹の葉ラプソディ」を観た時には、以降の放送ラインナップを想像してワクワクしていたものだが、今では毎週観ている新作アニメのうち、『ハルヒ』が一番どうでもよくなってしまった。同じストーリーを「新作」として毎週見せられる事がこんなに苦痛だとは知らなかった。気に入ったアニメを繰り返し観る事はあるが、自主的に観るのと今回の「エンドレスエイト」のようなケースとは訳が違う。
 ただ、「笹の葉」の時点では迷っていたDVD購入は、すっぱり取り止める気になったので、その点では無駄遣いしなくなってよかったのかもしれない。とは言え、2話収録だとして「エンドレスエイト」だけで4巻も続くのに、律儀に買う人がどれくらいいるのか、売り上げはかなり気になるが。


 何話で終わるのかはともかく、ここまで引っ張ったアニメ版「エンドレスエイト」がどのような結末を迎えるのか、色々な意味で楽しみだ。これで原作通りにしても、原作既読者は「何だ、やっぱりこのオチか」、未読者は「さんざん引っ張ってこれか、ふざけるな」と、なりそうだし、かと言ってあれだけ毎回原作通りに終わりそうな伏線を張っているのに、アニメ独自のオチを付けるというのも考えにくい。
 本当に、どうする気なのやら。
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