はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

藤子・F・不二雄大全集 完結に思うこと

2014-07-05 23:12:21 | 藤子不二雄
 もう7月となって、かなり今更な感はあるが、約5年近くにわたって刊行され続けてきた藤子・F・不二雄大全集が、4月25日発売の特別追加巻『名犬ラッシー』をもって、めでたく完結した。

 私がマンガ全集の完結にリアルタイムで立ち会ったのは、「藤子不二雄ランド」(第1期、全301巻で完結)と「手塚治虫漫画全集」(第4期まで、全400巻で完結)に次いで3回目だ。
 この、以前の2つと今回のF全集が大きく違うのは、はじめて第1回配本から最終配本まで毎月買い続けたと言う点だ。そのせいもあってか、「給料日にF全集を買う」という事は、すっかり毎月の生活に組み込まれた感じがした。この先、まだ別巻の刊行を残しているが、それでもこれまでのように毎月全集が出ると言うことはもうなくなっている。別巻の存在もあり、今のところはまだ全集が完結してしまった寂しさはあまりないのだが、今後別巻の刊行も終了して、全集関連の出版物が全くなくなってしまってから、じわじわと寂しさが押し寄せてくるのではないだろうか。

 寂しさと言えば、全集が完結したことによって「単行本未収録の藤子・F・不二雄作品」が、非常に少なくなってしまった事は、正直言ってかなり寂しく思っている。もちろん、多くの人が簡単に全て(に近い)のF作品を読めるという状況は素晴らしいことなのだが、それでも未収録作品を求めての図書館通いは、それはそれで楽しくもあった。私は経験が無いが、リストに載っていない作品を見つけたときの興奮たるや、すごいものだったろうし。これで、未発掘作品がゼロになったと言うことは無いだろうが、あらかた調べ尽くされているだろうから、今後発見するのは並大抵のことじゃないだろう。
 手塚全集が完結した時は、すでにネット上に公開されていた未収録作品リストを見て、まだ多くの未読作品が残っていることがわかったし、F.F.ランドに至っては自ら「第1期」を宣言していたくらいだから、数えるまでもなく未収録作品は大量にあった。それらと比べると、今回は連載順の掲載でほぼ漏れがない事がはっきりしており、「途中の抜けた話を探す」といった楽しみも、ほぼ残っていない。こうやって書いてみると、本当に寂しいなあ。

 しかし、こんな事を書いて、もし10年前の私がこのエントリを読んだら、「何を贅沢言っているんだ」と怒ることだろう。いや、10年前の自分だけでなく全ての藤子ファンから怒られても不思議はない。10年前の人たちが、「ほぼ完璧に近い藤子・F全集」の刊行を信じられるだろうか、と言う問題もあるが。
 私は、F全集の刊行が最初に発表された時は、「はたして最後まで刊行されるだろうか」と心配に思ったし、第3期が完結に近づいた時には「初期作品を収録した第4期は出るのか」を心配した。実際、第4期は無事に刊行されたものの、月一冊刊で定価が微妙に上がったことから考えても、小学館側の扱いとしては『名犬ラッシー』だけでなく第4期全体が実質的に「特別追加巻」みたいなものだったのではないかと思っている。
 第3期のラストとなった『UTOPIA 最後の世界大戦/天使の玉ちゃん』は、デビュー作(連載/単行本)の収録巻で、解説が安孫子先生。そのまま全集全体の「締め」にしてもおかしくない内容だったし、3期までの売れ行き次第では本当に終わりにする予定もあったのではないか。

 それにしても、全集が完結したからこそ思うのは、制作スタッフがどれほど大変だっただろうかと言うことだ。「藤子・F・不二雄の全作品を集める」と書くだけなら一言だが、いくら小学館といえどもこれを実行しようとしたら、作品の収集・修正など色々と困難もあったはずだ。『名犬ラッシー』のように、著作権が問題になった作品もあるのだし。
 そんな、様々な人の努力の上に、全115巻の藤子・F・不二雄大全集があるのだろう。あらためて、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。


 さて、とりあえず現状ではF全集は別巻の刊行があと一冊予告されているが、その後の展開があるのかどうかはわからない。
 「殺し屋のお正月」や「天国と地獄」など、ショートマンガがいくつか未収録となっているので、これらはいずれ何とかして単行本に収録してほしいところだ。
 そして、もっと気になるのが「合作」=「藤子不二雄作品」の扱いだ。F全集には、「天使の玉ちゃん」以外は、これまで既に単行本になっている作品しか収録されていない。色々と事情があるのは想像に難くないが、『名犬タンタン』や『星の子ガン』など結構なページ数になる作品もあるのに、単行本化されないのはもったいない。いずれ、何らかの形で刊行してほしいものだ。ラストが衝撃的な『四万年漂流』も、ぜひお願いします。



 最後は、全巻集合写真で締めくくり。
 最下段の4期&別巻のみ、本棚に収まりきらないので前に並べてごまかしている。全巻揃った状態で収納できる書棚も欲しいが、まずは別巻がいつ終わるのかがはっきりしないと、怖くて買えない。