シンエイ版『怪物くん』DVD-BOX上巻発売!!

 とうとう、待ちに待ったシンエイ動画版『怪物くん』のDVD-BOX上巻が発売された。奇しくも、今日は藤子・F・不二雄大全集の発売日でもある。藤子ファンとしては、大変嬉しい一日だった。

 その、シンエイ版『怪物くん』だが、本編はテレ朝チャンネルでの放送を全話録画していたので、公式サイトに書かれていた「現存する素材で可能な限り当時の放送フォーマットを再現!!」との謳い文句がどれほどのものかが一番の関心事だった。
 本日無事に届いたDVDをさっそく再生してみて、すぐに「可能な限り」の答えは分かった。OPの原作者とEDの主題歌作詞の「藤子不二雄」名義が「藤子不二雄A」に変えられて、OP冒頭の「藤子不二雄劇場」のタイトルが無くなっている。公式サイトのPVですでに「藤子不二雄劇場」は消えていたので、薄々予想はしていたが、実際に観るとやはり残念だ。
 しかし、この一点を除けば、OP・EDともに話数に対応したものが付いているし、次回予告もちゃんと収録されている。通常のテレビアニメDVD-BOXではごく当たり前のことだが、何しろテレ朝チャンネルは全話同じOP・ED使い回しで、どこの誰が何話を担当したのか全然分からなかったので、DVD版は全然別物に見える。アニメは本編を楽しむのはもちろんだが、古い作品では「あの人がこの作品に」と言った意外な名前を発見できるのも面白い。たとえば、第1話でシャフトの現社長が仕上を担当していたり、京アニで『MUNTO』シリーズの監督を務めた木上益治が作画メンバーだったり、と言った具合だ。このような楽しみ方も、テレ朝チャンネル版では一切出来なかった。
 なお、OPは途中で明らかに画質が変わっており、原作者名義差し替えのための苦労の跡が伺える。おそらく、OP前半部分のノンクレジット版映像にスタッフと歌詞を入れ直して、後半と繋いだのだろう。基本的に私はこういった差し替えは好まないのだが、これだけ手間をかけているのを見ると、「よくやったなあ」と感心させられてしまう。

 アニメ本編は、とりあえず第1話を観た。前述のようにテレ朝チャンネルの録画でいつでも観られる環境ではあったのだが、やはり本来付くべきOPとEDが付いていた方が、しっくり来る。第1話に限らず、私の記憶に残っている『怪物くん』のOPは断然初代の映像だ。2代目OPは使用期間が短かったせいか、テレ朝チャンネルで観返すまでほとんど覚えていなかったくらいに印象が薄い。
 また、付属のブックレットも16ページと薄い割にはなかなか充実していて、読み応えがあった。スタッフに関しては、OP・EDだけでは分からない部分まで触れているのも注目ポイントだ。


 11月には、続いてDVD-BOX下巻が発売される。こちらには、テレ朝チャンネルで放映されていない特番エピソード6話が収録される予定なので、観るのが楽しみだ。さらに、10月と12月にはモノクロ版『怪物くん』のDVD-BOXも発売されるが…こちらはどうしよう。正直なところ、今の財政状況ではシンエイ版だけでいっぱいいっぱいだ。発売までにもう少し時間があるので、それまでに決断しなければ。
 それにしても、モノクロ版のOPも原作者「藤子不二雄A」に変えられてしまうのだろうか。さすがに、こちらは「藤子不二雄」でないとかなり違和感があると思うのだが。



9/25 追記

 その後、BOXの底面を見たら「本商品の収録内容は、収録原盤の保存状態や散逸、その他諸般の事情により、一部放送当時と異なる場合があります」と、ちゃんと書かれていた。諸般の事情=原作者名義、なんだろうな。はっきりと事情を書けないあたりに、この問題の厄介さが感じられる。
 また、公式サイトでも告知されていた「プレゼント告知」は、とりあえずDISC7後半の話数に付いているのを見つけた。予告を短縮して告知を入れるタイプかと思っていたら、そうではなくEDの冒頭にカレンダープレゼントの告知が入っていた。これは、『ドラえもん』でもあったケースだ。子供の頃、「まる顔のうた」を放送からカセットテープに録音しようとしたら、前半にドラの声によるプレゼント告知がが被って邪魔に思ったのも、今ではいい思い出だ。
 それはともかく、このプレゼント告知が残っていたのは、EDと不可分になっていたおかげなんだろうな。下巻にもこういった告知はあるのかどうか、今から楽しみだ。
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藤子・F・不二雄大全集 第2期 第1回配本 感想

 今年も、藤子・F・不二雄先生のご命日がやってきた。最近、忙しくてこのブログの更新も滞りがちになっているが、今日は何かを書いておかずにはいられない。
 昨年のこの日は、『藤子・F・不二雄大全集』第1期が刊行開始されて間もない時期だった。今、読み返すと当時の興奮ぶりが思い出される。
 それから一年。先月から全集第2期もスタートしており、もはや全集で毎月三冊の藤子・F・不二雄作品が刊行されることが当たり前になってしまった。そのため、昨年と比べると興奮度という点では落ち着いてきている。とは言え、2期ならではのトピックスとして『パジャママン』や『てぶくろてっちゃん』の初単行本化や『仙べえ』の刊行(個人的にはこれが一番楽しみかも)などがある。それ以外にも注目すべき巻が多くて、まだまだ毎月下旬になると全集を待ちわびてソワソワする日が続きそうだ。

 と言うわけで、今日は全集第2期第1回刊行分の三冊の感想を書いておく。翌日には第2回配本が出るのだから、遅くなってしまった。



・『ドラえもん』第9巻

 今回は、1969年度生まれ編。第1巻なみに分厚いので、正直ちょっと読みづらい。A5判だとバランス的に500ページくらいがストレス無く読める限界ではないかと思う。
 それはともかく、本巻にはついに「サカユメンでいい夢みよう」が収録されてしまった。『パーマン』の「タマより弱く」の時にも思ったが、代筆の絵を大きいサイズで見るのはちょっとつらいものがある。ただ、大きいからこそじっくり読みとれるという点では興味深い。代筆絵のうち、7ページ目(666ページ)は比較的F先生の絵に近い感じで描かれているが、8ページ目移行はいかにも代筆だなと言う絵で、アシスタントの個性が出てしまっている。
 あくまで推測だが、7ページ目はF先生による下絵がかなりの段階まで進んでいたが、8ページ目以降はラフな下書きしかなかったため、このようになったのではなかろうか。実際、最終ページ最後のコマは単行本化時にF先生による描き直しがされており、元は全く異なる構図だった。
 と、代筆の詳細を分析するのも面白いが、やはりファン心理としては単行本化で代筆部分は全て直して欲しかった。あと、全集では但し書きで代筆について何らかのアナウンスがあるのかと思っていたが、『パーマン』『ドラえもん』ともに、今のところ何も触れられていない。これは、ちょっと気になった。今後、全編代筆の回もF先生の案である限りは全集に収録されると思うが、初めて読む人はどう思うのだろう。



・『オバケのQ太郎』第6巻

 「小学一年生」掲載編。低年齢向けではあるが、対象年齢と関係なく楽しく読めた。大部分の話が単行本化されていなかったのが不思議なくらいだ。ネタが他の話と被るものも散見されるので、それを考慮した結果だったのかも知れないが。
 本巻では正ちゃんがはっきり小学一年生として描かれており、明らかに「週刊少年サンデー」連載版よりも幼く見えるのが興味深い。サンデー版ではQちゃんよりやや年上っぽく見えるが、小一版ではQちゃんとほぼ同年代に見える。と言うことは、Qちゃんの精神年齢が小学一年生なみと言うことか。学校ごっこをはじめとして、少年サンデー版よりさらに対等の立場で一緒にあそぶQちゃんと正ちゃんがとても微笑ましい、そんな一冊だった。



・『21エモン』第1巻

 本作は藤子不二雄ランドですでに雑誌掲載順に全話が収録されているので、今回はあまり目新しい部分はないかと思っていたが、巻末の特別資料室が非常に充実していて、読み応えがあった。つづれ屋の年表では、『ドラえもん』の「オンボロ旅館をたて直せ」にも登場した19エモンが、比較的若くして亡くなっていることを知って、ちょっとショックだった。
 また、作品本編にもFFランドとは微妙に異なる部分があった。「あやしい客」は初めて前後編がそれぞれ別れて収録されたので後編の1ページ目が陽の目を見たし、「おせっかいロボット」も扉絵(モンガーについての解説)が復元されている。さらに、「おせっかいロボット」はFFランド版がかなり出来の悪いトレスだったので、原稿が無くなっているのではないかと心配していたが、今回はちゃんと原稿が使われていたのは嬉しかった。
 次巻は未単行本化作品の『モンガーちゃん』が収録されるし、本編も1巻ともどもこれまでと異なる編集になっている部分がどれだけあるのか、楽しみだ。
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アニメの地域別規制にうんざり

 このブログでは、以前から深夜アニメの地域限定規制を取り上げてきた(たとえばこれ)が、近頃は以前にも増して規制が鬱陶しくなってきた。

 2010年7月期の作品に限っても、『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』は、規制の激しい回になるとAT-X版・地上波版(テレビ愛知以外)・テレビ愛知版と少なくとも三種類も放送用バージョンが存在するし、その中で最も規制が緩いAT-X版でさえ規制が入ったらしき場面が存在するので、BD/DVD版はまた別バージョンになると思われる。
 また、今期は、これまで風呂の湯気以外に規制らしい規制はなかったCBCが『みつどもえ』でセリフに独自規制をかけてきた。第5話は地上波に限ってもMX版(セリフ・湯気規制なし)・MBS版(セリフ規制なし、湯気規制あり)・CBC版(セリフ・湯気規制あり)と、地域ごとにそれぞれ微妙に違う内容になっている。BS11とAT-Xについては確認していないが、AT-Xは製作委員会に参加しているので、おそらくMXと同じだろう。
 『みつどもえ』に関しては、昨晩放送されたばかりのCBC版第10話では、痴女=「ちじょ」が、途中から「ちゅじょ」に言い換えられる規制があった。これはわざわざ規制対応のために二種類のアフレコを行ったそうで、痴女痴女と言いまくりの回だから全部の音を消すわけには行かなかったのだろうが、よくもそこまで面倒なことをやるもんだと、ある意味で感心してしまう。
 その他の作品では、テレビ愛知の『ストライクウィッチーズ2』で微妙に光が多くなっている場面があるらしく、他にも細かいところまでチェックすると、自分が気付かないでいる規制もまだまだあるのかもしれない。

 少し前までは、こう言った規制の有無による内容の違いがある場合は、可能な限り録画できる全てのバージョンを捕獲して比較していたのだが、最近はいちいち情報を仕入れて録画するのが面倒くさくなってきた。いっその事、『生徒会役員共』のように全局(AT-Xを含む)でピー音を入れてくれた方が、「どうせどこの地域でも同じだ」と思えて気が楽になる。
 『生徒会役員共』のピー音・モザイクはBD/DVDでは無くなっているそうで、この作品のようにピー音自体をネタにしている方が売り方としては効果的ではないだろうか。まあ、『生徒会役員共』はギャグ作品だから、ピー音が入っても「またかよ」で済ませられる面もあるとは思うが。


 しかし、ある程度の手間をかけても規制版を作っても地上波で放送する作品が多いと言うことは、やはり地上波放送による宣伝効果は高いのだろう。実際、それを観てBD/DVD買うかどうか決めているわけだから、メーカーに上手く踊らされているようでちょっと癪だ。それでも、地上波にBS・CSと、昔に比べて視聴する手段の選択肢が増えたのはいい事だ。
 と言うわけで、どうせ規制をかけるのなら、別の意味で面白くなるような芸のある規制をお願いしたい。今年になって観た中では、『おまもりひまり』の「白く塗りつぶしただけ」が一番手抜きっぽく見えた。せめて、どこからか差し込んだ謎の光で隠すくらいには手間をかけて欲しい。その点で、『みつどもえ』10話は無理やりっぷりが逆に笑えた。BD/DVDにこのバージョンが収録されないなら、後々はこちらの方が貴重な映像になるのかも知れない。



追記

 『みつどもえ』第10話、MBSでも「ちゅじょ」バージョンだった模様。あとは、次の土曜に放送されるBS11がどちらを使うかが問題だ。「ちじょ」バージョンも捕獲したいので、BSでこちらが放送されればいいのだが。と、「面倒くさくなってきた」と言いつつ、やっぱり規制のバージョン違いは集めたくなってしまう。
 また、『生徒会役員共』BD/DVDはピー音とモザイクの有無が選択できるようになっているそうで、これはいい配慮だ。『みつどもえ』第10話も音声切り替えで両バージョンを収録すればいいのだが、『生徒会役員共』とはメーカーが違うから、どうなることやら。
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