新生ドラ第4回「驚音波発振機」ほか

「驚音波発振機」(脚本/大野木寛、絵コンテ/前田康成、演出/宮本幸裕、作画監督/管野智之)

 注目の新・ジャイアンの歌は、「おいらのハートの切なさよ~」と、原作寄りの詩。歌声に効果をかけて音痴っぽく聴かせる手法はこれまで通りだが、今回はこの効果を抜きにしても、ちゃんと音程を外した感じで歌っていた点は評価できる。まあ、藤本先生も生前にたてかべ版ジャイアンの歌について指摘されていたように、作中のキャラクターが感じるほどの凄さまでは表現できていないのだが、「ジャイアンの歌」らしいという点では及第点だと思う。

 そして、今回の最大のポイントは、野比家の前のドラえもんとのび太のやりとりの場面での、ドラえもんのネズミ怖さによる「狂いっぷり」の表現だろう。大山版初期「ネズミとばくだん」のドラは、今でも語り継がれるほどのものだったが、今回も、目が完全におかしくなって、口元からよだれを垂らしている上に、「こいつで家ごと、いや町ごと」と、原作よりさらに物騒なことを言っており、なかなかよい狂い具合だった。これなら、水田わさび版「ネズミとばくだん」も、大いに期待できる。
 また、大山版では金曜時代に映った頃からNGワードとなっていた「殺す」という言葉を原作通りに使っていたのも嬉しかった(「ばれたらころされるぞ」)。この調子で「超大作特撮映画「宇宙大魔神」」も、ラストシーンはジャイアンの「殺してやる!」で締めてほしい。

 全体的に演出のテンポがよく、楽しめた作品だった。


「オールマイティーパス」(脚本/高橋ナツコ、絵コンテ/前田康成、演出/宮本幸裕、作画監督/管野智之)

 話としては、普通の出来。原作からしてオチはあっけないので、少しひねってほしかった気はする。原作ファンの多くが注目していたであろう、星野スミレのキャラデザイン・作画は良好。声が松井菜桜子とOPで知って、ちょっとどうかと思ったが、案外違和感はなかった。
 今後、「影とりプロジェクター」も放送すると思われるが、その時に本話で、のび太がスミレに既に会っている点を、どう処理するかは気になるところ。原作では、特に触れられてはいなかったが。なお、松井菜桜子は大山版でもたまにゲスト出演していた。


 今回は「ドラえもんニュース」が入ったため、「ミニシアター」はなし。なるほど、あの時間はこう言った使い方もする訳か。今日で4回目となって、さすがに新声優陣の声にもかなり慣れてきた心配していたジャイアンの歌も割とよかった。声に違和感が無くなれば、もっと作品自体を素直に楽しめるようになると思うので、今後の放送にはさらに期待できる。
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