「ゲゲゲの鬼太郎」第5作 第5話「呪われた映画」感想

 アバンタイトルで、いきなり「アンコールワットの亡霊」の話が始まって驚いた。
 すぐに映画の撮影だとわかるのだが、第2作以来、一度もリメイクされていない非鬼太郎原作エピソードを、こんな形で使ってくるとは思わなかった。「鬼太郎」のメイン視聴者はもちろん現代の子供なのだが、今回が5作目となる息の長い作品名だけに、以前のシリーズを観ていた大人も意識して作っているのだと言う事を認識させられた。

 今回は、敵妖怪として「沼御前」が登場したが、話としては妖怪との闘いよりもむしろ「人間の愚かさ」が主軸として描かれていた。その点でも「アンコールワットの亡霊」が制作された第2作に通じるところを感じる。
 鬼太郎が何度忠告しても「クメール遺跡の亡霊」のリメイクを何度も行う映画会社や、ラストシーンで沼御前に井戸に引きずり込まれたであろう二人。特に後者については、鬼太郎が察して一度は助けようかと迷う素振りを見せるが、結局思い直して去っていく場面が描かれた事で、本シリーズにおける鬼太郎と人間との距離感が上手く見せられていた。
 これまで放送されたエピソードでは、鬼太郎は何だかんだ言いながら結局最後は人間を助けに行っていたが、今回は鬼太郎の出来る「限界」を描いた事で、単純な正義の味方ではないとはっきり位置づけられた。
 直接的な描写はないとは言え、今回は明らかに死者が出ている点も注目すべきところだ。

 また、本話では、少なくとも40年前から鬼太郎は現在と同じ姿で人間との関わりを持っていた事になっている。
 鬼太郎の外見年齢≠実年齢と言う点については、これまでのアニメ版では特に触れられていなかったはずで、その点にあえて踏み込んだ事で、歳を取らない(ように見える)妖怪としての、人間側から見た不気味さも描かれていた。
 今回の沼御前との闘いも体内電気がメインであっけなかったが、妖怪との闘い以外で、話に見応えがあったので、特に気にならなかった。長谷川圭一脚本回としては、今のところ本話が一番いいと思う。

 本シリーズ全体の方向性は、前回登場したぬらりひょんとの闘いが主軸になっていくのかも知れないが、本作が「ゲゲゲの鬼太郎」である以上は、毎回とは言わないが、今回のような話もちょくちょくやって欲しいものだ。
 それにしても、前回が「一反木綿と少女との心暖まる交流」のエピソードだっただけに、ギャップが凄い。


 ところで、今回は映画「ゲゲゲの鬼太郎」で主演を務めたウェンツ瑛士がチョイ役でゲスト出演していた。セリフも少なかったせいか特に違和感はなく、タイアップとしても悪くはない。
 ただ、ウェンツ瑛士は今回と前回の予告にも登場しており、これは思いっきり映画の宣伝なのだが、ソフト化や再放送ではどうなるのだろう。もし、普通の予告に差し替えと言う事になれば、本放送の録画が貴重になるかもしれない。
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「ゲゲゲの鬼太郎」第5作 第4話「男!一反もめん」感想

 おそらく、これまでの全シリーズを通して初めての、一反木綿主役回。八奈見乗児氏演じる一反木綿の喋りを、久々にたっぷりと聞く事が出来て、これだけで大満足だ。

 第3作以降「鬼太郎ファミリー」の一員として活躍していたにもかかわらず、これまで一反木綿にスポットが当てられなかったのは、考えてみれば意外な事だ。
 他の妖怪については、ぬりかべメインは第3作の第103話「純愛ヌリカベとおしろい娘」があるし、第107話「ケムリ妖怪えんらえんら」では砂かけ・子泣きの年寄り二人が頑張っていた。また、第4作の第48話「えんま大王とねこ娘」は、もちろんねこ娘の主役回(三田ゆう子・西村ちなみの新旧ねこ娘共演)だ。

 だからこそ、今回は初めて一反木綿のキャラクターがじっくりと掘り下げられていて、非常に新鮮だった。
 一反木綿と少女・綾とのやりとりは観ていて微笑ましく、「一反」という単位は綾ならずとも今の子供には馴染みが薄いだろうから、それを説明する事で、名前の由来も含めてキャラクターの紹介として上手くできていたと思う。
 仲間たちに「無表情だ」と言われた事を気にしているあたりも可愛らしかったし、何と言っても八奈見乗児氏独特のトボけた声が、無表情であっても一反木綿を愛嬌のある味わい深いキャラクターにしているのだと再認識する事が出来た。


 今回の敵は、海座頭&船幽霊。船幽霊は前作でも登場したが、こちらは主が海和尚に変えられており、海座頭に操られる形での登場は久々となった。
 元々、海座頭&船幽霊は、名前からして明らかに海の妖怪であり、どうやって話を展開させるのかと思っていたが、まさか船幽霊が上陸してまで綾を探しに来るとは予想できなかった。しかし、じわじわと綾の所に船幽霊が迫ってくる描写は、夜の描写と相まって怖さが出ており、なかなかよかった。

 そして、鬼太郎と海座頭との戦いでは、一反木綿が本作で初めて「乗り物」役としての存在をアピール。前回の夜叉との戦いは物足りなかったが、今回は全力の肉弾戦という感じで見応えがあった。
 それにしても、ちょっとそそのかされたくらいで人間の子供を取って食おうとするとは、海座頭は乗せられやすいタイプなのだろうか。また、今回は原作とは全然違う話なので、船幽霊はあくまで海座頭の手下としてだけの位置づけで、解放される展開は無し。この先も船幽霊をやっていくのだろうから、ちょっと可哀想な気もしてしまった。


 今回、メインの話だけで十分に満足できたのだが、最後はぬらりひょん&朱の盤コンビがおいしいところを持っていってしまった感もある。料亭を遠慮無く爆破していくあたりは原作にも通じるぬらいひょんらしさだし、しかも声は第3作と同じ青野武氏なのだから、たまらない。
 正直なところ、またしてもぬらりひょんが黒幕になってしまう設定には食傷気味なのだが、第3作のリアルタイム視聴者としては、声が青野さんならOKと言う気分になってしまう。ちょっと複雑だ。しかし、今後どんな形でぬらりひょんが鬼太郎の前に立ちはだかるのか、楽しみになってきた。
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「チンプイ」DVD-BOX発売決定

「TVアニメ『チンプイ』コンプリートDVD-BOXが2007年秋ついに発売決定!!」(「ドラえもんチャンネル」最新情報)


 昨年の「エスパー魔美」に続き、その後番組だった「チンプイ」もDVD-BOXの発売が決まった。
 原作もアニメも好きな作品であり、本放送については「魔美」よりも「チンプイ」の方が、むしろしっかり観ていたくらいだ。当ブログでも後半話数を少しだけ取り上げた事があるが、演出のテンポがよく、キャラクターも魅力的で、「ドラえもん」型の居候主人公の藤子アニメとしては、一つの頂点だと思う。
 だから、DVD化はもちろん嬉しい事なのだが、発売が「魔美」と同じくシンエイ動画&フロンティアワークスなので、どうしても不安が先に立ってしまう。仕様が全然わからない段階で心配しても仕方がないのだが、「魔美」BOX下巻レベルの内容にはしていただきたい。


 「チンプイ」も「魔美」と同じく、何度かテレ朝チャンネルで再放送されているが、やはり本放送とは異なる構成なので、DVDでは次回予告の有無以外にも、アバンタイトルの無い前期OP及び「ドラえもん」との合体特番で放映されたエピソードが収録されるかどうかが気になる。
 また、今回は特典映像が付くかどうかは不明だが、もし素材があるのなら「魔美」最終話で流れた新番組予告や、特番で放映されたブリッジアニメ(チンプイ・ワンダユウがドラえもん・のび太と共演)などが入っていれば、非常に嬉しい。もちろん、まずは基本となるOP・本編・ED・予告をしっかり揃る事が一番大事だが。

 ともかく、「魔美」のBOXは予告が収録されなかった(結局は下巻分は収録・上巻は特典ディスクでフォローされたが)事自体も残念だったが、それ以上に残念だったのは、署名運動以来ずっと待ち望んできた作品がようやくDVD化されたのに、どうしても買う気になれなかったと言う点だ。作品としての素晴らしさは変わらないだけに、余計に「なんて勿体ない事を」と、思ってしまった。
 だから、今回は「欲しい」と素直に思える商品となって欲しい。シンエイ動画&フロンティアワークスのスタッフの皆さん、どうか何卒よろしくお願いします。「ほんでもって、チンプイ!」「いい事、あるよ(あるわよ)!」を、もう一度聞かせて下さい。


 それにしても、せっかくDVD-BOX化されると言うのに、現状で原作単行本が品切れ状態なのは勿体ない。
 この際、出版社はどこでもいいから復刊して欲しいものだ。いっその事コロコロ文庫でもいい。実際、「魔美」は文庫版が現役だから新規のファンも見込めたが、このままでは「チンプイ」は、本当に昔からのファンしか、DVDには反応しないのではないだろうか。



(関連リンク)

「チンプイ」DVD-BOX特設サイト
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東海テレビ、アニメ版「アイマス」放映中止

「アイドルマスター XENOGLOSSIA」東海地区放送中止に関するお詫び」(公式サイトより)


 東海テレビで5月17日より放映が予定されていた「アイドルマスター XENOGLOSSIA」が放映中止となった事が、公式サイトで発表された。24日発売の月刊テレビ雑誌各誌では、5月17日の番組表に「アイマス」の記載がなかったので不思議に思っていたのだが、まさかこんなオチだとは。


 「アイマス」は、4月9日よりネットで無料配信が行われており、私もこちらで3話まで観ているが、5月には地上波で観られるはずだったのだから、わざわざネット配信にまで手を出さずに待っていた人もいるだろう。もともと放映予定がないのならともかく、既に他地区&ネット無料配信で3話まで終わったところで「放映中止」とは、視聴者を馬鹿にしているように感じる。
 ただ、今頃になっての放映中止となる意味不明さには、怒りよりはむしろ笑いが込み上げてしまうから、困る。

 しかし、何故今頃になって東海テレビでの放映が取りやめになったのだろう。
 月刊テレビ雑誌によると、現在「少年陰陽師」を放映していて後番組に「アイマス」が入るはずだった枠は、5月17日より放送終了時間そのものが繰り上げなので、突発的に他の番組が入って枠が無くなった訳では無さそうだ。
 では、原因は枠を買うスポンサー側なのだろうか。「アイマス」のスポンサーは、関西テレビではバンダイナムコゲームズとランティスで、いずれも「名古屋飛ばし」をやりそうな会社ではない。これがビクターエンタテインメントやポニーキャニオンならわかるのだが。
 また、放映開始時期が遅れすぎているせいではないかと言う考えも浮かんだが、そもそも東海テレビのこの枠は、最初の「プレイボール」から、1作品放映するごとに遅れが大きくなっており、この枠で放送する以上は遅れ日数についてはスポンサーも承知の上だったはずだ。

 放映中止となった理由を色々と考えてみたが、どうも考えれば考えるほど、さっぱりわからなくなる。
 とりあえず、5月21日よりAT-Xで放映が始まるので、私はこちらで録画する予定だが、作品関連CMが録画できないのは残念だ。
 「ゲゲゲの鬼太郎」同時ネットで東海テレビを見直す気になっていたが、こんな事をやられると、またこの局に対する評価を下げざるを得ない。まあ、東海テレビが原因なのかどうかはわからないのだが、テレビ愛知が週に18本も深夜アニメを放映しているのに、3本ある枠の1本がなくなってしまう東海テレビは、ちょっと情けなく感じてしまう。


 それにしても、今回のように放映局と放映開始日まではっきり決まっていたアニメが、放映開始まで一ヶ月を切った時点で放映中止になった例は、あまり聞いた事がない。私の知る限りで思いつくのは、当初は放映予定局に中国放送が入っていたにも関わらず、結局放映されなかった「ダイバージェンス・イヴ」くらいだが、これは放映開始日までは告知されていなかったと思う。
 東海地区で、予定されていた深夜アニメが放映されなかったケースとしては、今から7,8年前にテレビ愛知で再放送されていた「超時空要塞マクロス」の後番組として、テレビ情報誌には引き続き「マクロス7」の再放送が始まると書かれていたにも関わらず、初代マクロスだけで枠が消滅してしまった例がある。しかし、これは再放送であり、新作ではちょっと例が思いつかない。
 ちなみに、「マクロス7」は、数ヶ月後になぜかCBCで再放送が始まった。CBCは本放送を行った局なので、こちらで再放送される方が自然な流れではあるが、テレビ愛知で再放送予定があっただけに、当時は「CBCが横取りしたのか?」と、勘ぐってしまったものだ。
 今回の「アイマス」も、1クール程度遅れてでも他の局であらためて放送して欲しいものだ。
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「ゲゲゲの鬼太郎」第5作 第3話「妖しき旋律!夜叉」感想

 今回は、かなり遅くなってしまったが、「鬼太郎」第3話の感想。

 率直に言って、今回はちょっと期待はずれだった。
 「夜叉」のエピソードも今回が4度目のアニメ化となるので、これまでのシリーズをふまえながら、色々と新趣向を盛り込んだり、視聴者の裏をかこうとしたりと工夫の跡は伺えたのだが、それでかえって詰め込みすぎになってしまったように思う。


 話の面では、月野小夜子の熱狂的ファン(「小夜タン」って…。これも時代か)が夜叉と思わせておいて、実は小夜子本人が夜叉にとりつかれていたという展開はひねりがあるのだが、その理由が「音楽のために夜叉に魂を売っていた」では、第3作で夜叉にとりつかれていた響と同じで、新鮮味がない。
 また、作中で鬼太郎が夜叉を一度倒した事になっているが、この設定も特に必要なかったように思う。「夜叉は人の醜い心から生まれる」事を強調したかったのだろうが、昔の因縁を持ち出さなくても小夜子の描写などで十分に表現が可能だったのではないか。

 戦闘についても、物足りなかった。鬼太郎が反撃できなかった事について特に裏はなく、夜叉が小夜子から離れた途端に体内電気で攻撃では、あまりにあっさりしすぎており、ひねりが無い。まあ、第3作のように、ねずみ男のおならガスの炎で倒してしまうのも、どうかと思うが。

 結局、詰め込み過ぎで、それぞれの要素が描写不足となった感じだ。


 ただ、所々でいいと思った部分もあった。
 前回と違い、ねずみ男が「怪事件専門の名探偵」として鬼太郎を妖怪退治にかり出すようになり、完全に「ねずみ男が帰ってきた」という気分になったし、夜叉が手に入れた魂を風船に入れて保管している描写が、しっかりあったのも嬉しかった。
 前回のようなねずみ男も悪くはないが、やはり彼には妖しげな肩書きで鬼太郎を担ぎ出す役が似合っている。

 ちなみに、夜叉の声優は、大友龍三郎。前シリーズでは水虎の声を担当していた。ゲスト声優も結構豪華なので、敵妖怪に誰が声をあてるのか、毎回楽しみだ。
 次回は「男!一反もめん」。どうやら、初めての一反木綿主役回。ここ2回ほど出番がなかったが、次回は八奈見一反木綿の声がたっぷり聞けそうで、その点でも楽しみだ。



 なお、既に予約が始まった劇場版第4作のDVD-BOXは、結局両方予約した。
 第1作~第3作までDVD-BOXを買ってしまった以上、せっかくだから全て揃えたい。劇場版は、何本か未見の作品もあるので、いい機会だ。ただ、劇場版BOXのみ東映ビデオからの発売となっているので、BOXの仕様がテレビシリーズと同じになるのかどうかが気になる。どうせなら、全て同じサイズで並べられるようにして欲しい。
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「東海地方アニメデータ集」に新コンテンツ

 久々に、「はなバルーン倶楽部」内のコンテンツ、「東海地方アニメデータ集」を、更新した。

 追加コンテンツは、少し前に当ブログでも触れた、アニメのローカル枠への移動について、東海地方の事情をまとめたもので、たまたま公開の時期が重なったが、準備は昨年から進めていた。3月まで忙しかったため、公開が遅くなってしまった次第だ。
 なお、「東海地方最速アニメ」も、ここ1年半ほどのデータを追加した上で、深夜アニメについてはこれまで新聞上の日付で記載していた放映日を、混乱を避けるためにカレンダー上の日付に修正した。つまり、一日後にずれたわけです。


 ここからは、今回のコンテンツ作成の過程で思ったこと。
 テレビアニメの大部分は関東キー局発で、アニメに限らず全国ネット番組の大部分について同じ事が言える。大阪発や名古屋発のアニメもあるが、テレビアニメ全体に占める割合としては、ごくわずかだ。
 だから、アニメの枠移動があると、キー局の視聴者は時間帯が変わっても観る事は出来るからいいのだが、地方ではスポンサーが離れて打ち切られる事も少なくない。実際、昨年秋に枠移動となった「ONE PIECE」は、東海テレビでは今もスポンサーが付いているが、地方によってはスポンサーが離れて、番組購入の形でテレビ局が自腹を切って放映しているところもある。
 はじめから全国同時ネット作品ではないが、今年1月から放映されている「のだめカンタービレ」も、これまで「ノイタミナ」枠作品を放映していない地域では、やはりスポンサー無しで放映されているようだ。
 「ONE PIECE」や「のだめ」のような人気作・話題作ですらスポンサーの付かない地域があるのだから、大量に放映されている深夜アニメのほとんどが関東・関西・東海地区でしか放映されないのも、商業的には当たり前の事だと言える。製作側は放映地域を絞って効率的にDVDを売ろうと考えているのだろうし、地方局側にしてみれば番組購入する程に魅力はないのだろう。
 また、「全国ネットからの枠移動」とは少し事情が違うが、テレビ東京系列で放映された「東京ミュウミュウ」「デ・ジ・キャラットにょ」などは、スポンサーがやる気を出して系列外地域でも比較的多くの局で放映されたが、途中で「系列外地域のみ、スポンサー撤退で打ち切り」となった。

 結局、特に近年は、地方ではスポンサーが付くかどうかが放映の有無の分かれ目になる事が少なくない。
 そして、現実問題としてアニメの放映自体が少ない地域が多いのだから、スポンサーがその地域での放映を望んでいないわけで、やはり地域格差は大きい。今回、更新作業を行っていて、名古屋でもこれまで枠移動による打ち切りで、何度も痛い目にあった事を、改めて思い出した。
 だから、個人的にはアニメは全国放送のBS・CSがメインになった方がありがたいのだが、この前も書いたように普及率で地上波にはかなわない以上、当面は難しいだろう。ネット上でも、BS・CSのみで放映された作品は、ごく一部の話題作を除けば、地上波放映作品に比べてブログ等で取り上げる人が少ないように感じる。


 どうも、アニメの地域事情について書くと、毎回同じような内容になってしまう。それだけ、現在のアニメ放映状況への不満は大きいのだ。多くのアニメが放映されている名古屋に住んでいてこんな事を書いてもあまり説得力は無いかも知れないが、つまり名古屋ですら、まだ不満はあると言う事だ。
 本当に、何とかならないものだろうか。
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名古屋にゴスロリ少女探偵団、参上

 1月から放映中のアニメ「Saint October」は、現在気に入って観ている作品の一つ。
 放映開始前は、劣化ローゼンメイデンに見えてしまうキャラデザインと、いかにもネルケなキャスティングのため、あまり期待していたかったのだが、いざ観てみると、カタカナのキャラ紹介テロップにフリガナを付けるなど、一見子供向けっぽい作りに見せかけておいて、変身シーンが全然子供向けでない(特に白ロリ)ところが面白い。
 心配していた声優も、皆なかなかはまっていて、特にネルケ声優は気にならない。

 この、「Saint October」作中で設立された探偵事務所が「ゴスロリ少女探偵団」だ。また、これはOP主題歌を歌う主演声優三人(片岡あづさ・福井裕佳梨・小林ゆう)のユニット名でもある。
 4月15日に、名古屋「ヤマギワソフト ナディアパーク店」で、このゴスロリ少女探偵団のミニコンサートが開かれたので、行ってきた。これまでは地元でもなかなかイベントには出かけなかったのだが、先月に2回も関東に出かけてから、ちょっと積極的になってきた。


 なお、「ゴスロリ少女探偵団」は、すでにテレビ放映でその姿をお披露目している。
 まず、第10話から流れているOP主題歌CDのCMで、三人が本編と同じコスプレで歌って踊るPVが30秒流れ、翌週の第11話では特別版のEDとして1分半にわたってPV映像が流れた。この特別版ED、出だしは普段のOPと同じなのに、途中から実写で三人が登場するのでインパクトは絶大だ。
 今回のイベントは、先月発売されたOP・ED主題歌をセットで購入した人が先着順に参加券が貰える形式だったのだが、ちょうどテレビ愛知で第11話が放映された直後にCDが発売されたせいか、発売日当日の夜で既に整理券番号は100番を超えていた。当日の会場にも100人弱ほどの観客は入っていて、会場は人でいっぱいだった。
 以前に同じ店で行われた某アニメのイベントでは28人しか客が来なかったという話を聞いたが、それと比べると今回はほぼ満員状態だ。


 前置きが長くなったが、イベント内容と感想を、覚えている範囲で書いておく。

 今回、本来はゴスロリ少女探偵団の三人が揃って登場するはずだったが、福井裕佳梨が体調不良のため、残念ながら出演は片岡あづさ・小林ゆうの二人となった。
 最初に司会のお姉さんが登場して、福井裕佳梨の欠席について説明された。「お詫び」として、代わりに福井裕佳梨のマネージャーが登場。「はるばるマネージャーに来ていただきました」と紹介された時に観客から笑いが上がったため、出づらかったようだ。マネージャー氏によると、インフルエンザをこじらせてしまい、大事を取って欠席にしたとの事。本当に、お大事にしていただきたい。

 そして、いよいよ片岡あづさと小林ゆうが登場。当然、二人ともPVでお馴染みのコスプレ衣装だ。テレビの画面ではなく、直接目の当たりにすると更にインパクトが強い。また、司会の人や片岡あづさと並ぶと、小林ゆうの長身は目立っていた。

 片岡あづさは「おねがいマイメロディ」以来注目していたが、実物を観たのは今回が初めてだ。テレビでは、「マイメロ」の頭巾コンテスト告知の時に実写で登場していたが、実物の方が可愛い。
 小林ゆうは、先月の「ネギま!? Princess Festival」にも出演していたが、今回のようにメインで出演したイベントは、私にとっては初めてだ。演じているキャラとは対照的に、おとなしそうな様子が印象的。地声は結構可愛らしい感じで、低音のりりしいキャラを演じる事が多いだけに、ちょっと意外だった。


 まずはトークコーナーから始まったが、作品に関する突っ込んだ話題などはなく、名古屋の印象や旅行の思い出など、当たり障りのない話題だった。
 しかし、旅行について聞かれて、片岡あづさは草津の温泉に行った事を話しているのに、小林ゆうは、子供の頃は両親が忙しくて旅行に連れて行ってもらえず、夏休みに無料の学校プールに毎日通っていたら大会に出て記録を作るまでになってしまったと、途中から旅行と関係なくなってしまう逸話を披露した。今思い返すと、このあたりから、すでに小林ゆう独特のキャラが発揮されていた。

 続いて、ジャンケン大会。二人とジャンケンをして勝った人には賞品として特製ステッカーがプレゼントされた。なかなか人数が絞り込まれず何度かジャンケンが繰り返されたが、私は結局勝てなかった。小林ゆうがジャンケンの前に「皆さんが勝ちますように」と言っていたのには和んだ。

 そして、ライヴ一曲目。まずはOP主題歌CDのカップリング曲「Mellow Stereo」。歌い出しが「マイメロ、捨てろよ~」と聞こえてしまうため、片岡あづさが歌うと衝撃的な曲。
 この曲も振り付けがあるのだが、これは今回が初披露だった模様。ちょっと得をした気分だ。「Wheel oh fortune」ほどには激しい振り付けではなく、どちらかというと可愛いくて細かい動きが中心だった。
 ちなみに、出演した二人は生歌だったが、福井裕佳梨パートは録音で対応していたため、明らかに音量レベルが違っていて違和感があり、仕方がないとは言え少々残念だった。


 続けて「Wheel oh fortune」を歌うのかと思ったら、歌はひとまず一休みで、次に開場前に行われていたアンケートより選んだ質問コーナーが行われた。
 1問目は「出張版「オクト場」をお願いします」。いきなり、質問でなくて要望だ。「オクト場」とは、ネットラジオ「ゴスロリ少女探偵団ラジオ日誌 ロリ真剣!超オクト場」のこと。私は、このラジオを聴いていなかったので、いきなり小林ゆうが赤ちゃん言葉で喋りだして、何が起こったのかと混乱してしまった。テーマは「今日の夕食」だったが、最後には「ケッタマシーン」なる単語まで出てきて、「小林ゆうの名古屋の一日」になってしまっていた。
 2問目「ラーメンはお好きですか」。ここでも小林ゆうが、「ラーメン屋は一つしか行った事がないんですけど、「光麺」さんは大好きです」と、どこまでわざとボケているのかわからない回答。片岡あづさも「一つしか行った事がない」の所には「突っ込んでいいのかな?」と、ちょっと悩んでいた。小林ゆうによると、それまでラーメン屋に入った事がなかったため、一つ気に入ってしまうと、なかなか他の店に行く気は起きないそうだ。
 3問目「「Saint October」以外で、コスプレはしますか」。偶然にも、二人とも答えは「サンタのコスプレ」だった。片岡あづさは、友達から貰ったもので、友達は「引くかも」と思って贈ったらしいが、大喜びしてその場で着てしまい、かえってその友達が引いたとの事。小林ゆうは雑誌の企画でサンタの格好をしたが、これまで「コスプレ」だとは認識しておらず、「コスプレだったんだ」と、意外そうにしていた。


 この後、いよいよライヴ2曲目。もちろん、OP主題歌の「Wheel oh fortune」だ。
 TVのCMや第11話EDですっかりお馴染みの、あの振り付けを披露してくれた。こちらは既に「東京国際アニメフェア」でも披露済みだったが、私は今日初めて生で見る事が出来た。やはり、テレビの画面とは全然迫力が違う。
 基本的に振り付けはPVと同じはずだが、白ロリが抜けて二人で踊っていたせいか、一部ちょっと変則的になっていた感じがした。でも、生で歌を聴けた上にあの衣装での踊りも見られたのだから、十分満足だ。

 なお、司会から二人に、どのくらい振り付けの練習をしたかと質問があったが、小林ゆうは前夜遅くまで何度も練習した上、それでもまだ不安だったので今日の新幹線の中でも練習していたと、驚くべきエピソードを披露した。真面目で熱心なのは十分すぎるほど伝わってくるが、新幹線の車内で練習しているところを想像すると、ちょっと可笑しい。


 この後、司会のお姉さんが「自分もゴスロリ少女探偵団のメンバーに入りたい」とネタを振って、呼び名を募集。片岡あづさは司会の人が着ていたグレーの服から「灰ロリ」を提案、客からは「青ロリ」「黄ロリ」があがった。どれがいいかを拍手の数で決める事になったが、観客はしっかり空気を読んで、ほとんどの人が「灰ロリ」で拍手していた。その後は、この灰ロリネタをしばらく引っ張っていた。



 今回、社会人になって一ヶ月と言う司会のお姉さんが慣れていないせいか、進行のテンポはあまりよくなかったが、おそらく福井裕佳梨の欠席で構成を変えざるを得なくなった部分もあるのだろう。無料イベントと言う事を考えると、十分満足できる内容だった。
 ここまで読み返すと、小林ゆうの発言についての言及が多くなってしまったが、それだけ彼女のキャラは印象的だった。これまで、小林ゆうは天然ボケだとか、ずれてるとか話では聞いていたのだが、ようやくそれを実感出来た。トークでは、微妙に受け答えのテンポや返事の中身そのものがずれていたり、真面目さが逆に笑いになってしまったりと、非常に面白いキャラクターだと言う事がよくわかった。
 小林ゆうの方が年上のはずなのに、むしろ片岡あづさの方がキャラ的にはお姉さんっぽい感じだったのも面白い。

 今回の整理券で、4月29日に行われる予定の三人勢揃いとなる代替イベントも参加できるので、もう一度行きたいものだ。特に、「Wheel oh fortune」三人版は、ぜひ見ておきたい。
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「わさドラ」OPとファッション変更などで新展開

『ドラえもん』のオープニングが変わる!! 5月11日(金)から新テーマ曲登場&のび太たちが“イメチェン”だ!」(テレ朝公式サイトより)


 上のリンク先にあるとおり、5月11日放映分より「ドラえもん」のOP主題歌&OPアニメ、そしてのび太達登場人物のファッションが変更される。放映2周年を迎えた「わさドラ」の、新たな展開だ。
 この変化が作品に及ぼす影響は、実際の放映を観てみないと何とも言い難いが、とりあえず現時点でこのニュースから受けた印象と、私の考えを書いておく。


 まず、OP主題歌の変更だが、新曲のタイトルは「夢をかなえてドラえもん」であり、間違いなく「ドラえもん」のために作られた曲なので、これは歓迎したい。
 現OP曲「ハグしちゃお」も悪いとは思わないし、むしろ曲単体としては好きな部類に入るが、「ドラえもん」の主題歌としては、どうもしっくり来ないと感じていたので、いっその事はっきり「ドラえもん」の主題歌だと誰でも分かる曲に変えてくれた方が、すっきりする。
 製作側に、今後も長く放映を続けていく気があるのならば、「ドラえもんのうた」に続く主題歌の決定版を作るべきであり、それは本来なら2年前のリニューアル時に行う事だったと思う。その意味では、遅すぎた判断と言える。


 次に、のび太達のファッション変更の件。
 これも、現在公式サイトで公開されている新ファッションを見る限りでは、各人のイメージを壊すような服ではなく、少なくとも悪くはないと思う。そもそも、原作も20年間の連載で、服装は決していつも同じではなく、変化はあった。もっとも、柄はともかく形状はシンプルな服が多かったので、その意味では少し原作のイメージから外れると言われても仕方がない面もあるだろう。
 また、大山時代のアニメについても同様の事は言えて、帯番組の時はともかく、金曜に移ってからは着たきりスズメではない。まあ、のび太やジャイアンは服の色程度の違いがほとんどだが、しずかの服は作画監督の中村英一氏も力を入れていたようで、雑誌「アニメージュ」に服の設定がいくつも紹介された事もある(現在、実家に置いているため何年何月号かは確認できなかった)。

 個人的には、ファッションよりも「スネ夫が携帯電話を使っていたりなど、現代の生活を反映した変更も織りこまれていく予定」の方が気になる。
 これまで明確な時代描写を避けてきた「わさドラ」で、はっきり現代的なアイテムを登場させるとなると、間違いなく話の展開にも影響が出てくる。大山ドラ時代にもアニメオリジナルで時代を反映して「ポケベル」(※1)や「携帯電話」(※2)が登場した事はあったし、スネ夫がインターネットを活用するエピソード(※3)も作られたが、いずれも1話限りの設定で、他のエピソードや世界観には影響はなかった。スネ夫が日常的に携帯を持つようになるのとは、また訳が違う。
 それに、「現代の生活を反映した変更」が、原作をアレンジした形で織り込まれるのか、アニメオリジナルの話を作るのかで、また事情は変わってくる。前者であれば、いかに自然な形で作中に現代のアイテムを織り込むかがポイントになるし、後者であれば、そもそもアニメオリジナルで面白い話を作れるかどうかが問題だ。
 いずれにしても、スタッフの力量が問われる変更である事は間違いない。私は、「地底の国探検」を観て、現スタッフの作るオリジナルエピソードには疑問を感じたので、できれば原作をアレンジする方向で頑張っていただきたい。


 以上、現時点では新設定をどのように「ドラえもん」に取り込むか、アニメスタッフのお手並みを拝見したいと言う気持ちが大きい。不安も少なからずあるのだが、「わさドラ」がスタートして2年が経ち、その間に色々と本編以外でのテコ入れを続けたあげくに、とうとう本編にまで手を入れるのだから、スタッフは背水の陣で挑む物と信じたい。正直なところ、これで作品内容として失敗したら、「わさドラ」の未来は暗いと思う。

 ところで、今回のニュースを聞いた時に、「OP曲変更」は確かに大々的に取り上げるべき事だと思うが、ファッション変更などは紹介するほどの事なのかと、疑問に感じてしまった。むしろ、わざわざ告知せずに徐々に作中で変化を見せていった方が、視聴者としては変に意識せずに、自然に新設定に馴染む事が出来ると思う。
 色々と話題を作って視聴者の目を向けたいのはわかるが、昨年以来目に付く「テレ朝の必死さ」が、また出てしまったようだ。
 ともかく、5月以降の「ドラえもん」が、どう変わるのかを、できるだけ冷静に見守りたい。



※1:「伝言花火」(1994年12月2日放映)
※2:「カードテレビ電話」(1996年11月1日放映)
※3:「耳寄りネット」(1999年5月7日放映)
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「子供向けアニメ」は減ったのか

 最近、「ゴールデン撤退続くアニメ番組」と言う記事が話題を呼んでいる。
 しかし、この記事を読んでみると、少なくとも間違った事を書いてはいないが、テレビアニメの現状についてあまりにも一面的な見方をしていると思わざるを得ない。「適当な事を書いているな」とスルーしてもいいのだが、どうも記事内容がひっかかるので、気になった点を取り上げておきたい。


 まず、「ONE PIECE」の枠移動によりフジテレビのゴールデンタイムからアニメが無くなり、その一方で深夜アニメが関東地区で週に15本以上も放送されている事を取り上げて「テレビアニメは、もはや大人のものなのか」と書いているが、現実にはゴールデンタイムのアニメ減少とは逆に、土・日曜朝には多くの子供向けアニメ・特撮が放映されている。特に顕著なのはテレビ東京で、系列局により多少の違いはあるが、土・日曜ともに朝7時台から10時台までアニメが続いている。また、テレビ朝日系日曜朝7時~9時台のアニメ・特撮も、もうすっかりお馴染みの枠だろう。フジテレビの日曜9時枠も、徐々に同時ネット局が増えてきている。
 土・日曜の朝にアニメが増えたのは、小中学校が週休二日制になってからの事で、子供向けの番組なのだから子供が観やすい時間帯に編成するのは当然だろう。それに、視聴者側としては、視聴率に特に左右されやすく打ち切りもあり得るゴールデンよりは、朝の時間帯できっちり最後まで放送される方が、ありがたいと思う。
 「子供向けアニメ」の数を、現在とどの時代とを比較するかで話は違うが、少なくとも話をゴールデンタイムに限定して「子供向けのアニメが減った」と結論づけるのは無理がある。それに、深夜アニメを全て「大人向け」でくくってしまうのも乱暴だと思わざるを得ない。

 また、もし関東在住の記者が書いたのなら仕方のない事かも知れないが、この記事はいかにも関東中心の視点で書かれているように感じる。
 「ONE PIECE」の枠移動について取りげるなら、「ゴールデン撤退」よりは「ローカル枠への移動により、一部地域では打ち切り」の方が、視聴者としてはよっぽど大きな問題だと思う。「ONE PIECE」は放映継続した地域が比較的多いが、それでも平日夕方に移動して子供でも観づらくなった地域も結構あるのだ。
 それに、関東・東海・関西地区ではU局を入れて週に30本以上の深夜アニメが放送されているが、その他の地域では一気に減り、深夜アニメが全く放映されていない県もいくつかある。そう言った地域では、放映本数はともかく、割合で考えれば今でもアニメは「子供向け」がメインだ。
 こういった地方の事情を考慮せず、「盛り上がっているのが深夜帯アニメ」と書かれても、実感できない人も多いだろう。


 このように、どうもこの記事は、はじめから「子供のテレビアニメ離れが加速している」と言う結論ありきで書かれたように感じてしまう。普段は朝も深夜もアニメは観ない人が、子供の頃にゴールデンタイムのアニメを観た思い出から書いてしまった記事なのではないか。


 ただ、個人的にはフジのゴールデンからアニメが無くなった事は、確かに寂しい。特に「ONE PEACE」は「Dr.スランプ アラレちゃん」以来続いてきた水曜19時のジャンプ枠の流れをくんだ作品であり、もはやジャンプアニメがフジの看板番組ではなくなったと思うと「時代の流れ」の一言では片付けられない寂しさがある。
 もっとも、自分自身は「ドラゴンボールZ」が終わった後は、この枠の作品は観ていなかったのだが(「ドラゴンボールGT」は、本放送終了後にCSで全話視聴)。
 また、せっかく「世界名作劇場」が「レ・ミゼラブル 少女コゼット」で復活したにもかかわらず、地上波での放映が無く、現状ではBS・CS・ネット配信に限られているあたり、少なくともフジテレビは、昔ほどアニメに力を入れていないのは間違いない。

 それに、子供向け作品が減ったわけではなくても、全体的にテレビ東京で放映される作品が多くなっているのは、気になるところだ。テレ東系列局は全国に6局しかなく、同時ネットで視聴できる地域が、かなり限られてしまう。
 現在の、地方でのアニメ放映状況をご存じない方は、「アニ鳴館」や「DeepParanoia」を、ご覧いただきたい。どれだけ格差が付いてしまっているか、よくわかる事だろう。


 現在は、地元の地上波で放映されない作品でもBSやCSでカバーできる場合が多いが、普及率は地上波放送とは比べるべくもないし、共同住宅ではBS・CSアンテナの設置やCATVの契約が出来ない場合もある。どうしてもアニメをたくさん観たいアニメファンの場合は、それでも何とかするかも知れない(私は引っ越しの際に「CSアンテナ設置OK」を確認した)が、テレ東系のない地域で、それほどアニメに執着のない一般家庭の子供は、そうもいかないだろう。今後、そう言った子供はどんどんテレビアニメに触れる機会は減ってしまうのではないか。
 自分自身は名古屋で育って、常に大半のテレビアニメは視聴できる環境があったため、はじめから視聴環境にない地域での生活が全然想像できないが、少なくとも最初から観られるアニメが少なければ、今の自分はなかっただろうと思う。
 ネット無料配信も最近は多くなっているが、これも現時点では積極的に「観る」姿勢のある人ではないと、なかなか利用しないだろう。特に、子供にとっては、難しい手順は抜きにして気軽に観られる地上波放送が最もアニメに触れやすい環境だと思う。地域によっては、これが極端に減ってきているのだ。


 だから、テレビアニメについての現在の一番の問題は「地域格差」だと思う。名古屋だって現状では正当な手段では視聴不可能なアニメもある(4月の新番組では「CLAYMORE」と「EL CAZADOR」が、該当)くらいだ。
 現状では、これ以上テレ東系列局が開局する可能性は無いのだから、今後は民放5局地域と4局以下地域との差がますます広がっていくおそれもある。アニメの将来を考えるなら、この問題こそ大々的に取り上げるべきだと思う。
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2007年3月終了アニメ感想

 春の改編で終了したアニメも多い。とりあえず、東海地区で3月中に終了した作品について、感想を書いておきたい。遅れ放送の関係で、終了が4月にずれこんだ作品については、いずれ近いうちに取り上げたい。それに、「地獄少女 二籠」のように、東海地区ではまだ終わっていない作品もある。
 なお、「おねがいマイメロディ くるくるシャッフル!」については、シリーズ2年間のまとめと感想を書いたので、今回は省いた。



・すもももももも ~地上最強のヨメ~(名古屋テレビ・3/21終了)

 テレ朝の深夜アニメ撤退に絡んで、話数短縮の影響を受けた(かもしれない)作品の一つ。
 そのせいなのか、終盤の展開はちょっと駆け足な感じがした。放映終了後に原作を読んだが、やはりかなりはしょっている部分があった。しかし、その一方で中盤はアニメオリジナルエピソードを何本も挟んでいたのだから、単に構成に無理があっただけなのかも知れない。

 実際にテレビ放映分が全何話の予定だったのかは、はっきりしないが、DVDで追加エピソードが2話予定されているのだから、やはり話数短縮が行われたのではないかと勘ぐってしまう。
 本作だけでなく、「蒼天の拳」は途中のエピソードが抜かされたし、「RED GARDEN」は変な設定のOVAが予定されており、また実際に3月いっぱいでテレビ朝日は深夜アニメを全廃している。どんな「大人の事情」があったのか、実に気になる。

 話がそれてしまったが、終盤の展開はともかく、シリーズ全体としては、本作には十分楽しませてもらった。
 ギャグのテンポもよかったし、ウマ仮面のコスチュームなど深夜枠ならではの表現も面白かった。本作が初主演となった鹿野優以の演技はあまり上手いとは言えないが、ちょっと頭が悪そうな所はもも子役として合っていたと思う。
 DVDでの追加2話も、楽しみだ。



・がくえんゆーとぴあ まなびストレート!(テレビ愛知・3/26終了)

 時代設定が2035年なのに、どこか懐かしい雰囲気が漂う作品だった。
 自分自身がとっくに通り過ぎてしまった高校生(には、とても見えなかったが)の生徒会活動を描いた作品であり、舞台となった聖桜学園も伝統校で歴史を感じさせる古ぼけた建物が多く出てきたからなのだろう。

 ユーフォーテーブルの最近作は「フタコイ オルタナティブ」「コヨーテ ラグタイムショー」など、後半が尻つぼみになってしまう印象があったが、本作は少なくとも学園祭開催決定の第10話まではテンションが保たれており、話として盛り上がりがあった。第11話・第12話は長いエピローグとして考えれば、作品としてはよくまとまっていたと思う。
 スプレー落書きが一部で問題とされたOPアニメについては、最終話で「一晩で消えるスプレー」とフォローされていたが、果たしてこれが最初から用意されていたのか、OPに突っ込みが入って急に作った設定なのか、気になるところだ。

 また、ED主題歌は「愛天使伝説ウェディングピーチ」のイメージソング「Lucky & Happy」の、林原めぐみによるカバー曲であり、第1話を見た時には、このEDが一番印象的だった。
 放送開始前は、主題歌は林原めぐみが岡崎律子の曲をカバーするとしか予備知識がなく、この曲とは思わなかったので、聞き覚えのある歌が始まった時には驚くとともに、歌が作品によく合っていて感心させられた。原曲の収録されたFURILのアルバムを持っている者としては、「ウェディングピーチ」放映から10年以上経ってこの曲が復活した事は、非常に感慨深い。



・ネギま!?(テレビ愛知・3/28終了、AT-X・4/6終了)

 いくら原作があろうと、アニメスタッフによってどのような作品にもなるのだと言う事を、改めて認識させられた作品だった。一応、原作は赤松健「魔法先生ネギま!」のはずだが、シリーズを通して新房監督とSHAFTのカラーが強く出ていた。
 元々、本シリーズはアニメオリジナル展開を前提として作られていたが、オリジナル要素のアクがあまりに強すぎて、同人パロディ作品としか思えなかった。原作を元にアニメオリジナルストーリーを作るのと、原作をアニメスタッフが取り込んで好き放題にいじるのとは、違う。まるっきり変人になってしまった明日菜など、登場人物の性格まで変えてしまうのは、どうかと思った。
 作品のいじり方にしても、黒板ネタや金ダライは、既に「月詠 MOON PHASE」「ぱにぽにだっしゅ!」で使われたおり、「またか」と思ってしまったし、全2作はともかく、本作では浮いていたと思う。

 全体的なストーリーはあって無いような物だが、黒薔薇男爵=ネカネ、黒幕=アーニャで完全に内輪喧嘩にしてしまったのは、アニメの展開で原作に影響がないようにするための配慮だったのだろうか。
 1話を丸々一発ネタで引っ張る展開が多かったが、楽しめる話とそうでない話の差が激しかった。個人的には、外していた回の方が多いと感じたが。

 ただ、毎回なるべく3-Aの31人を全員登場させて、セリフもしっかり与えていた点については、評価したい。なにしろアニメ前作では、最終話にしかまともな出番がないキャラすらいたくらいだ。
 しかし、31人を全員にスポットを当てるには、26話ではやはり短かったのだろう。毎回同じネタを繰り返しているだけのキャラもいて、かえって可哀想に思ってしまった。
 キャラクターだけでなく、ネオ・パクティオーカードも扱いかねている感じがした。31人分×3形態の変身を26話で描ききれるわけがないと思っていたら、最終話で無理矢理全員を変身させていたのには笑ってしまい、またアニメ前作最終話の「全員パクティオー」を思い出した。
 そもそも、「ヒロイン31人」という設定からして、2クールでアニメ化するには無理のある作品なのだと、改めて思ってしまった。

 ここまで、色々とケチを付けるような事を書いたが、これらのグタグタぶりを含めて、新房作品として観れば、「ぱのぽにだっしゅ!」ほどではないが、それなりには楽しめる作品だった。


 それにしても、第1話の冒頭で明日菜に「ケンジャの舞」のポーズをさせたり、黒板に「うおっ まぶしっ」を書いたりと「MUSASHI」ネタを連発していたら、第16話で作画監督に木下ゆうきが降臨したのには笑ってしまった。
何かの呪いがかかったのだろうか。



・武装錬金(テレビ愛知・3/28終了)

 今時珍しい、正統派の「少年漫画」だった。深夜枠での放映だったのが勿体ない。そもそも、原作は「週刊少年ジャンプ」に連載されていたのだし、どうせテレ東系の全6局で放送するなら18時台の方がよかったと思う。
 本作は、もちろん本編の出来もよかったのだが、「熱さ」ではOP主題歌「真赤な誓い」とOPアニメも負けてはいなかった。OP主題歌は、タイトルや主人公の名前が歌詞に入っているわけではないが、作中のセリフが織り込まれており、紛れもなく本作の「主題歌」と言える歌だった。個人的に、最近の「燃え」系主題歌では一番気に入っている。OPアニメも歌詞にぴったり合わせて描かれており、何度も観返したくなる出来だった。

 これだけ出来のいいアニメ化を見せられると、原作が週刊連載は途中で打ちきりとなって、増刊号で何とか完結にこぎつけた作品とは思えない。ジャンプでの打ち切られたからと言って、必ずしも作品の出来が悪い訳ではないと言ういい例だろう。
 制作会社はXEBECで、スタッフに「魔法先生ネギま!」のスタッフが多く入っていた事で、放映開始前は不安があったのだが、本作で「ネギま!」の汚名をそそぐことができたのではないだろうか。本作が「ネギま!」と放映枠まで一緒で、さらに同じ水曜の夕方には「ネギま!」のアニメ第2作「ネギま!?」が全く異なるスタッフ・会社で放映されていた点にも、妙な因縁を感じてしまった。



・コードギアス 反逆のルルーシュ(CBC・3/29終了)

 全25話中、2話を残しており、実際には終わっていない作品なのが、一応レギュラー放送は終了してしまったので取り上げておく。

 クライマックスに入っているので当然だが、STAGE 23は、よりによってこんな所で切るのかと言うところで終わってしまった。これで、残り2話は「今夏放送予定」とは、つらい。V.V.はスザクにギアス能力を与えたのか、スザクはゼロの正体を知ったのか、共和国「日本」の行方はどうなるのか。
 いずれにしても、全ての伏線が残り2話で回収されてきっちり終わるとは思えない。どのように第2期シリーズにつなげるかを注目しているのだが、「今夏」とは、いつなのか。「夏」と言うくらいだから、早くても7月だろうか。STAGE 23で告知が出る前は、せいぜい5月くらいに放映されるとばかり思っていた。さらに「一部地域を除く」との記述に、不安を誘われる。今更、未放映となる事態だけは避けてほしい。まあ、最悪でもANIMAXで観る事が出来るだろうが。

 しかし、レギュラー放送の最終回がSTAGE 22でなくてよかった。ユフィの日本人大量虐殺で切られて「残りは夏」だったら、さらに続きが気になっていただろう。



・ふしぎ星の☆ふたご姫 Gyu!(テレビ愛知・3/31終了)

 2年目序盤は鬱陶しい展開が続いた上にキャラが多くなりすぎて、視聴を止めようかと思った事もあったが、10話あたりから、いい意味で「いい加減」で「投げやり」な感じが出てきて、面白くなってきた。個人的には「マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ」の藤本義孝や高橋ナツコの参加回に特に注目していた。

 3クール目からは、新キャラ・ビビンが登場して作品の雰囲気がまた変わったが、これはやはりテコ入れなのだろう。この頃になると、新キャラ達も個性を十分発揮していて、親しみが沸くようになっていた。その一方で、1年目から登場していたキャラの一部が、ほぼリストラ状態になっていたが。
 また、2年目からのキャラでも、エリザベータは明らかに路線変更の影響で役目が変わったとしか思えない。当初は、最後までふたごのライバルになる予定だったのではないだろうか。

 そして、最後の敵は「ブラッククリスタルキング」。投げやりなネーミングが素晴らしい(ほめ言葉)。「サルまん」で解説されていた「強い奴のインフレ」で言うところの「宇宙の根元的な悪のエネルギー」が、2年目で登場してしまう無理矢理さにも笑ってしまった。
 さらに、ブラッククリスタルキングの声は若本規夫でイマイチ緊張感がないし、初登場時は黒い体に一つ目だったせいで、バックベアードかと思ってしまった。スタッフがどこまでネタとして狙っていたのか、判断に苦しむ。

 でも、最後は綺麗にまとまっていたと思う。いきなりみんなが歌い出すあたりは別のアニメで観たような気がしたが、少なくとも一年目の終盤よりは面白かった。
 2年目は迷走していた感がぬぐえないが、それがかえってバラエティに富んだエピソードを生み出す要因になっていたし、実際に楽しめたエピソードも結構多かった。これでシリーズが終わりとなると、結構寂しい。
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