はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

手塚治虫漫画全集 全400巻初版コンプリート!

2011-01-30 10:57:52 | 手塚治虫
 昨日、古書店で手塚治虫漫画全集『火の鳥』第9巻を入手して、ようやく手塚全集全400巻を初版第一刷で揃えることが出来た。

 振り返ってみると、長い道のりだった。手塚全集は、新たな文庫全集が刊行されている現在でも絶版にはなっていない(はず)なので、初版にこだわらなければたやすく揃ったのだが、以前に書いたように個人的なこだわりがあって、どうしても初版で集めたかったのだ。
 「あと一冊」の状態になったのが2010年8月のことだったので、それから残り一冊を見つけるまで半年近くかかった。『火の鳥』のようなメジャータイトルならすぐにでも手には入るのではないかと思っていたのだが、考えが甘かったようだ。ちなみに、最後が『火の鳥』になったのは、以前から「マンガ少年別冊」バージョンで読んでいた作品だったので、全集の入手を後回しにしていたせいだ。

 さて、以前に「全巻揃ったら並べてこのブログに晒すとするか」と予告していたとおり、さっそく全400巻を並べて記念撮影を…と思ったのだが、冷静になって考えると、本棚から400冊もの本を取りだして、その上それを綺麗に並べるのは随分と手間な事だ。たまにやっている本棚の整理でも、とてもそこまではしない。考えただけで面倒くさい。
 そんなわけで、本棚に入ったままの状態でご容赦いただきたい。棚には前後2列に入れているので400冊全部が見えるわけではないが、間違いなく全巻揃っています。





 ともかく、これで手塚単行本の収集は一息付ける。もちろん、単行本ごとのバージョン違いを追及していくとたくさんあるのは分かっているし、上の写真の本棚でもそんな理由で集めた全集以外の本も混じっているが、これは本当にきりがなくなってしまうので、今後はよっぽど欲しい本だけにするつもりだ。
 とりあえず、4月発売の「鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集」のUnit7は、悩みに悩んだあげくに申し込んでしまった。全7ユニットで10万円オーバーか。買ったことに後悔はしていないが、ヘタなDVD-BOXより高い漫画単行本というのも考えてみれば凄い話だ。

実は未完だった『サボテン君』

2011-01-16 22:02:36 | 手塚治虫
 国書刊行会の手塚治虫オリジナル復刻シリーズ『サボテン君+快傑シラノ』を読了。
 この本は、全集未収録の『快傑シラノ』が目当てだったのだが、いざ読んでみると『サボテン君』の方も現行の講談社全集版とはかなり違う内容になっており、こちらの方が、より興味深い内容だった。
 一年以上前に出た本なので「今さら」と思われるかもしれないが、感想と内容紹介を書いておきたい。


 初めて読んだ初出版の『サボテン君』で一番驚いたのは、何と言っても第二部が未完のまま終わっていたことだ。講談社全集版ではきれいに終わっていたし、あとがきでも第二部が未完になったことは全く触れられていなかったので、今回のオリジナル復刻シリーズを読むまでは、全く知らなかった。
 全集版の最終話は、初出では第二部ではなく第一部の最終話だった話で、そうだとわかればサボテンが「またそのうちおめにかかりましょう」と言っているのも納得が行く。実際、『サボテン君』第一部連載終了後に始まった『快傑シラノ』が打ち切りに終わってしまったために、本当に「またそのうち」の機会が来てしまったのだから。
 そして、第二部の最終エピソードにあたる話は、全集ではカットされており、要するに今までは単行本未収録だった。最終話・最終ページの柱には「新年号をたのしみに待て!!」と書いてあり、これでいきなりの打ち切りなのだからひどいものだ。全集のあとがきで触れられていないのも、おそらくはこの打ち切りが手塚先生にとっていい思い出でなかったからなのだろう。

 また、初出版では登場人物の関係が大きく異なっていたことにも驚かされた。
 全集ではサボテンの実の兄だったヘック・ベンは、初出では赤ん坊のサボテンをさらった悪党として描かれており、第二部最終エピソードでも再度サボテンの敵として登場している。さらに、サボテンの実の両親は全集版では亡くなったことにされているが、初出版では近所の牧場主のコルク氏が実父で、その娘・アリスはサボテンの妹となっている。この関係が消されてしまった全集では最後までサボテンとアリスがいい仲なだけに、これも驚きの事実だった。「アリスは実は妹」と思って読むと、全集版でも妙な気分になってくる。ううむ、これが妹萌えと言うやつか。初期の手塚作品では兄妹の関係がクローズアップされることがしばしばあったが、『サボテン君』までそんな作品だったとは。

 もし、第二部が未完ではなくきちんと完結していたら、初出のとおりにヘック・ベンは最後まで悪党として登場し、サボテンはコルク氏の息子のままだったのかも知れない。もっとも、その場合は「コルク氏の死」という悲しい展開も待っているし、全集版のヘック・ベンの最期も印象的なので、どっちがいいと決めつけるのは難しい。


 ともかく、オリジナル復刻シリーズ『サボテン君+快傑シラノ』は「手塚治虫の編集ぐせ」を再確認できた一冊だった。単行本で大幅に内容が変わった作品と言えば、『ダスト18』(これも未完…)がその筆頭にあげられるだろうが、この『サボテン君』もかなり上位にランクインするのではないか。
 そして、ここまで触れていなかったが、初単行本化の『快傑シラノ』も未完ながら作者のノリ具合が伝わってくる快作だった。「未完」の手塚作品については色々と思うところもあるが、それについてはまた項をあらためて触れてみたい。

藤子・F・不二雄大全集 第2期 第4回配本 感想

2011-01-08 22:15:03 | 藤子不二雄
 年が明けてしまったが、全集感想はまだ11月発売分。すっかり、一ヶ月遅れ状態が定着しつつある。1月中には何とか最新の刊行分まで追いつきたいものだ。



・『ドラえもん』第11巻

 ほぼ前巻と同じ事の繰り返しになってしまうが、この巻は「はなバルーン」が収録されていることが、個人的には最大の見どころだ。しかも、帯には「はなバルーン」の扉絵が使われている。誰が帯の絵柄を決めているのかは知らないが、その人にありがとうと言わせていただく。よく、「はなバルーン」を選んでくださいました。欲を言えば、着彩した上でカバーイラストに使われれば最高だったのだが、さすがにそこまでは望みすぎか。今回のカバーイラストに使われた「バタバタフライ」(カラーコミックスでは「ちょうちょ」)も好きな話なので、これはこれで嬉しい。

 本巻は、単行本初収録作品に「これなら今まで未収録だったのも仕方がない」と思ってしまう作品がいくつかあったので、それらを紹介しておこう。
 まずは「さかさカメラ」。扉絵以外はすべてアシスタントの代筆による作品だ。これをA5サイズで読まされるのは、かなりきつい。こんな有様でも全集に収録された以上、後半が代筆になっている「サカユメンでいい夢見よう」などと同じく、ネームまではF先生が担当したと言うことなのだろう。実際、初出掲載時の作者名は「藤子不二雄」であり、アシスタントの名前は一切出ていない。ちなみに、案から完全に代筆の場合は「原作:藤子不二雄、絵:○○」と言った感じに連名になっていた。そう言った作品は、今のところこの全集には収録されていないようだ。
 そして「ゲラメソプンピストル」では、射撃の名手だったはずののび太が弾を外しまくっている。のび太の数少ない特技を否定しているだけに、未収録もやむなしだろう。もっとも、最初のページではちゃんと的に弾を当てているのが謎と言えば謎だが。

 それにしても、毎度のことだが全集の『ドラえもん』は分厚すぎて困る。今回など、同時刊行の残り2冊を重ねて『ドラ』とほぼ同じ厚さになるほどなので、余計にそう感じてしまう。もう少したつと病気休載のある年度も含まれるようになるので、発表年を考えると14巻あたりからは幾分は薄くなるのだろう。



・『ミラ・クル・1』

 『ミラ・クル・1』『宙ポコ』『宙犬トッピ』の3作を収録。いずれも、藤子不二雄ランド後期に初単行本化されている。私自身、F先生の新作に飢えていた時期にFFランドで初めて読んだ、懐かしい作品群だ。これらの作品や『バウバウ大臣』などは、小学館の雑誌に連載されたにもかかわらず、てんとう虫コミックスでは出ていなかったものなので、初単行本化したFFランドの功績は大きい。
 収録作品のうち、『ミラ・クル・1』と『宙ポコ』は残念ながら未完で終わっているが、『宙ポコ』は主人公・宙ポコのおこりっぽい性格がほかのFキャラにはない味を出して面白くなりそうだっただけに、たった3回での終了はもったいない。しかも最後は「パーマンごっこ」と言うショボい終わり方になってしまったのはちょっと悲しいところだ。
 『ミラ・クル・1』は、あらためて読み返すと『パジャママン』のリメイクなのだと言うことがよく分かる。こちらもまだまだ話が拡がりそうだっただけに、中断はもったいない。ある意味、大長編ドラの犠牲になった作品だ。

 本巻の収録作品では唯一、『宙犬トッピ』はきちんとした最終回が描かれている。そのせいもあってか、この3作の中では『宙犬トッピ』が一番好きだ。話は『キテレツ大百科』的だが、中学生の工作(コー作の名前もここからか?)で宇宙の技術による道具を作るいうのは、ちょうど自分が中学生の時に読んだだけに、身近に感じられてうらやましくもあった。
 そう言えば、ヒロインの「みどり」が第1話だけ「カスミ」と呼ばれているミスがFFランドではあったが、今回はきちんと「みどり」に直されている。1話の時点ではまだ設定が固まっていなかったのだろうかと、今さらながらあらためて気になってしまった。

 最後に、カラーページの扱いについても触れておこう。扉絵のカラーは冒頭の口絵で全てフォローされており、これは素晴らしいことなのだが、『ミラ・クル・1』の本編カラー部分が白黒になってしまったのはもったいない。ここまできたら、カラー完全再現を目指してもよかったのではないか。



・『Uボー』

 「毎日こどもしんぶん」連載のため、変形サイズの作品。そのため、横に長いレイアウトになっている。これを読んで、この全集がA5サイズでよかったと思った。もし、もっと小さい判型で出ていたら、一コマ一コマが小さくなりすぎて、読みづらくなっていただろう。
 この作品、オールカラーで見た目も綺麗なのだが、中身は読んでいて微妙な気分になる。はっきり言ってしまうと、内容的は2ページ版『ドラえもん』だ。道具のアイディアのみが『ドラえもん』と同じものから、ストーリーもほぼそのままのものまでその度合いは様々だが、強く既読感をおぼえるエピソードが大部分を占めている。一体どうしてこういう事になったのか、編集者や当時の読者はネタの使い回しに突っ込みを入れなかったのか、色々と気になってしまう。単純に、読者が限られているこども向けの新聞だからと割り切って描かれたものなのかもしれない。
 連載初期の5話目までは、UボーがオバQ的な性格で起こす騒動が描かれており、こちらの路線で続いていたら、また違った面白さの作品になっていたのではないだろうか。もっとも、その路線で良い案が浮かばなかったから、ドラ路線に方向転換したのかも知れないが。

 ところで、最終話は『ウメ星デンカ』のしのだひでお版最終話「別れはつらいよ」に通じるところがあるが、と言うことは「別れはつらいよ」もF先生のネームを元にしのだ氏が描いた作品なのだろうか。それが判明するのは、全集版『ウメ星デンカ』の発売を待たねばならない。多分第3期には刊行されるのだろうが、それでも今年の秋以降か。『ウメ星デンカ』の連載末期には、「別れはつらいよ」以外にも代筆作品がいくつかあるので、それらの扱いも気になるところだ。

みんなのうたの「発掘」に期待

2011-01-06 22:00:04 | みんなのうた
 私が生まれて最初に聞いた「歌」。それは、おそらくNHKの「みんなのうた」だったのだろう。私がまだ赤ん坊の頃に、母がテレビ放送から録音してくれた「みんなのうた」のカセットテープが何本か残っている。自分自身には赤ん坊の頃の記憶はないが、繰り返し聞いていたようだ。

 その「みんなのうた」が誕生から50周年を迎えると言うことで、元旦にNHK総合テレビで特番「愛されて50年♪ みんなのうた 新春スペシャル!」が放送された。50年間を振り返る番組なので、おそらく有名曲中心にかかるのだろうと予想はすていたが、実際その通りだった。紹介された曲の大部分が「みんなのうた」DVD-BOXに収録されている曲だったので、このBOXを持っている者としては、正直なところあまりありがたみがなかった。また、テレビサイズをそのまま流した曲が少なかったのも不満点だ。
 とは言え、初期から近年の曲までバランスよく紹介されていたし、この手の番組に付き物のトークも長くなりすぎず、全体としてはなかなかいい番組だったと思う。実際に「みんなのうた」の曲作りに携わった方々が登場したのもよかった。
 また、私にとって、この番組で一番嬉しかったのは、「発掘」のコーナーで「シャーロックホームズとワトソン博士」「ポン太物語」の2曲が流れたことだ。両方とも1970年代後半に放送されており、私が幼少時に聞いていた馴染みの深い曲だった。歌に関しては、前述のカセットテープが残っているので、音質は悪いながら今でも聞くことが出来るのだが、アニメーションは記憶になかったので、今回は完全な形で観ることが出来て感動した。

 今回の特番で触れられていたところによると、これまでに放送された「みんなのうた」約1300曲のうち、500曲は映像や音源が失われてしまっているとのことだ。道理で、再放送で全然流れない曲があるわけだ。DVD-BOXにも、家庭用ビデオから復刻したと思しき画質の悪い曲がいくつか含まれていたが、あれは映像が残っているだけましだったという事か。
 1970年代後半の曲で、個人的に馴染み深くて映像付きで観てみたいものは、まだたくさんある。思いつくままにタイトルを挙げると、「だるまさんがころんだ」「さびしがりやさん こんにちは」「だれもいそがない村」「ヒュルルジンジンからっ風」「ぼくらは三つ子の男の子」「雪娘」「希望が愛がホラ」「あの雲にのろう」などなど。「雪娘」は近年のラジオ放送を録音しているし、フルコーラス版が収録されたチェリッシュのCD-BOXも持っているのだが、それでも映像付きの放送バージョンが観たい。「だるまさんがころんだ」は「山本正之大全集」でフルコーラスが聴けるが、テレビ放送版とは明らかに別テイクだ。こう言ったところにこだわっていくときりがない。
 さらに、1980年代の曲にも、思い出深いものは多い。この頃になると自分で積極的に放送を録音していたのだが、我が家にビデオが入ったのが1988年だったので、映像まで含めて手元に残っている曲は数えるほどしかない。もう一度映像付きで観たい曲を挙げていくと多すぎてきりがないが、名古屋在住者としては、名古屋の町の風景と発展の様子を歌った「マイ・スイート・タウン」は外せない。なぜ全国放送の「みんなのうた」で、あの当時にあえて名古屋を取り上げたのか、今でも不思議だ。

 そんなわけで、今回の特番でも紹介された「みんなのうた 発掘プロジェクト」には大いに期待している。私の手元にある音源は、ほとんどがテレビ放送をラジカセでマイク録音したものなので、生活音や家族の声が入っている曲が多くて提供できるような状態ではない。だから他力本願になってしまうのだが、たとえ家庭用ビデオであっても映像が残っている曲が一つでも多くあることを期待したい。
 それはそれとして、以前のDVD-BOXに収録された曲は現存する800曲の中の一部にすぎないのだから、まずは収録可能な曲でDVD-BOXのパート2を出して欲しいものだ。「発掘プロジェクト」との兼ね合いを考えると、現実的には新たなソフト化は当分の間はなさそうだが。とりあえず、当面は教育テレビの過去曲再放送を毎回追いかけていくしかないか。