「チャージマン研!」#29-32 感想

 ずいぶん、感想の間があいてしまった。AT-Xでの放送は第48話まで進んでしまっている。最終回までに追いつきたいものだが、そうなると週二回更新しないといけない。
 とりあえず、次回更新予定の第33話~第36話は色々な意味で「濃い」話ばかりなので、長文になってしまいそうだ。「頭の中にダイナマイト」なんて、その気になればいくらでもつっこめる話だしなあ。



・第29話「ファッションモデルを消せ!」

 サブタイトルから、ファッションモデルがジュラル星人なのかと思ったら、その逆でジュラル星人がファッションモデルを殺そうとする話だったのは意外だった。
 ネタをばらす事になるから具体例は控えるが、本作では他にもジュラルの立場で付けられたサブタイトルがいくつか有る。スタッフもジュラル星人びいきだったのだろうか。確かに、無敵すぎてイマイチ面白みのない研よりは感情移入しやすそうだが。

 それはともかく、今回の笑い所はファッションショーの衣装。未来っぽいデザインを必死になって考えたものの、現在では既に古臭くなっていると言う微妙さがたまらない。特に「スクリュー水着」は、未来云々を抜きにしても「これはない」と突っ込みたくなる素敵なデザインだ。このセンスは素晴らしい。

 また、本話はジュラルに怯えるファッションモデルの視点で描かれて、ちょっとサスペンス風味に仕立てられているのが面白い。ジュラル星人かと思ったらチャーシューメンの出前だった場面など、ひねりが利いている。普段が普段だけに、てっきりラーメン屋もジュラル星人なのかと思ってしまった。あの「トンチン亭」の親父がジュラルになるところは、ちょっと観たかったな。



・第30話「塔上のキャロンを救え!」

 いきなり鉄骨に押しつぶされて死ぬ(と言うか消えてしまう)ジュラル星人には笑わせて貰った。
 今まで、やけにあっさりと研にやられていたが、ジュラル星人の肉体が地球人と比べて特に強靱なわけではないと、これではっきりした。それどころか、普通の地球人よりも弱いのではないか。
 また、人間に化けているにもかかわらず、服のデザインだけでどう見てもジュラル星人だと判断できるようになっているのは素晴らしい。ジュラルのカラーリングが頭に焼き付いているせいかもしれないが。

 鉄骨につぶされたジュラルのうち、一人はまだ息があったが、「早く基地に戻らなければ、人間の姿などで死にたくない」と言っているので、彼らにとっては地球人の姿こそが「醜い異星人」だと言う認識なのだろう。
 この事は別に不思議でも何でもないが、「ジュラル星人の価値観」としてはっきり語られている点で注目すべき所だ。

 そして、毎度の事ながら、研の攻撃は容赦がない。
 キャロンを人質に取ったジュラルだけではなく、円盤まで撃墜してしまうとは思わなかった。元はと言えば鉄骨の落下事故が原因なわけで、まさにジュラル星人にとっては不幸な事故としか言いようがないだろう。あのジュラル二人が一体何をしようとしていたのかは、永遠の謎だが。



・第31話「危機!爆破1秒前」

 サブタイトルにもあるように、爆発寸前の爆弾を探し出して処分しなければならないと言う、本来なら非常にスリリングで盛り上がる展開なのだが、肝心の爆弾捜索場面が止め絵ばかりのため、全然緊張感がない。
 椅子の下や植え込みの陰をのぞいたりと、爆弾どころか落とした10円玉でも探しているようにしか見えず、その呑気そうな様子は危機を煽る音楽と実に好対照だ。他人を当てにせず、泉一家だけで爆弾を探そうとするのも凄い。

 そして、相変わらず本作は「不幸な境遇の子供」の描写には容赦がない。今回の少女はみなしごの上に、口もきけず、かなり過酷な身の上だ。
 しかも、本編中で一応親代わりだった男はジュラル星人に殺されており、一応話自体は爆破を回避してめでたしめでたしでまとめているが、この少女の今後を考えると、笑っている場合じゃないだろうと言いたくなる。
 もしかしたら、「みなしごセンター」(第50話で登場)にでも行ったのだろうか。



・第32話「金庫破りの名人」

 冒頭、XY拘置所から一人の男性が出所する場面ではじまるが、この時代、犯罪者は全て伊豆の囚人島に収容されているのではなかったのか。刑務所と拘置所は別物なのだから、この男が「囚人」でないのなら別におかしくはないのだが、話の流れとしては刑期を終えた父親の出所を息子が迎えに行っているようにしか見えない。
 そのあたりの説明は、作中でも省略されているので詳細は分からないのだが、本作のスタッフなら囚人島の設定を忘れた上で、刑務所と拘置所を混同するくらいの事はやりそうだ。
 冒頭1分だけでこれだけ突っ込みどころがあるというのも凄い。

 本話ではジュラル星人が宇宙局の金庫破りを目論んでいたが、人間に化けたジュラル星人二人が短パンで生足向きだしにしているのが目立っていて、妙に気になってしまった。
 金庫破りの最中は、見ているだけのくせに本気で汗を流して緊張しているし、今回のジュラル星人は可愛らしかった。
 それにしても、ジュラル星人は地球をまだ征服していないのに、金星にまで手を出すのは時期尚早だろう。そんな事をしているなら、さっさと研を倒せと思ってしまった。
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「チャージマン研!」#25-28 感想

 ここ数日、引き続きAkinatorで何度も遊んでいた。
 意地になって何度もプレイして、『チャージマン研!』の登場人物情報を送った甲斐があって(?)、ボルガ博士は画像付きで出るようになったし、「謎の美少年」の星くんも登録された。

 こうなったら、もっとたくさんのキャラを登録したい。
 まずはバリカンを入れたいが、この場合スペルはBariquandでいいのだろうか。ジュラル星人も外せないが、これこそスペルがわからない。いっその事、ローマ字読みで入れてしまうか。



・第25話「雄一少年を救え!」

 わざわざ放火魔の少年をそそのかして家を焼くジュラル星人と、あらかじめ家に防火処理をした上で雄一少年になりすます研、どっちもどっちの回りくどさだ。
 ジュラル星人には「自分で焼けよ」と言いたくなるし、研がわざわざ放火のフリまでするのもよくわからない。ジュラル星人の油断を誘うつもりだったのかも知れないが、あんな事をしなくても十分ジュラルを虐殺できたと思う。

 最後、研は勝手に雄一少年を無罪放免していたが、少なくと家三軒を確実に焼いているのに、それでいいのか。これが、主人公特権の超法規的措置か。



・第26話「記憶を無くした少女」

 またしても、ジュラル星人の化けた少女が登場。これで、何度目だ。
 今回のジュラルは、わざわざ当たり屋行為までして泉家に潜入するのだから、大した物だ。ジュラル星人は脆いから下手をしたら車にはねられて本当に死んだかも知れないのに。

 少女は泉家で手当を受けたようだが、パパの医者設定が全然活かされていないのが笑える。ここでパパに白衣を着せておけば、医者らしく見えたのに。
 しかし、今回ある意味パパは一番目立っていた。何と言っても最後の「ジュラル星人だったのか。そうとわかっていればあの時…」が素晴らしすぎる。「轢き殺しておくのだった」と続けるつもりだったのだろうか。

 そう言えば、第1話以来、久々に「宇宙ステーション」が登場したが、やはりただの遊園地にしか見えない。
 あのジュラル、研を観覧車から突き落として殺すつもりだったようだが、研は落下途中で重力に逆らって、いつものポーズで変装できるのだから、これは無駄な作戦だった。



・第27話「燃える毒きのこの家」

 サブタイトルだけで笑ってしまう一編。
 きのこ中毒になった研の同級生たちは目がうつろで、かなり危ない表現だ。麻薬中毒ネタをきのこに置き換えたのだろうが、子供たちが地面に生えるきのこをむさぼり食う場面は実にシュールで、本作スタッフ独特のセンスにあふれている。

 ところで、サブタイトルの「毒きのこの家」は、研のアルファガン一発で溶けてしまい、全然「燃える」様子はなかったが、いつもの事だから気にするまでもないか。



・第28話「宇宙ロケットZ9号」

 中盤まで研が登場しない構成が、ちょっと新鮮だった。
 普通の30分アニメなら最初の3分で主人公が出てこないなんてよくある事だが、何しろ本作は本編の尺が5分20秒しかないから、2分を過ぎても研が出てこないと不安にさせられる。

 今回、研の登場が非常に唐突だったが、それまでは一体どこで何をしていたのだろう。
 博士が100億円を奪った事は知っていたから、どこかで現場を見ていたのだろうか。と、なると、博士の罪を暴く為に殺人現場を見過ごした事になる。
 結果的には設計図を狙っていたのがジュラル星人とわかったからよかったが、単なる産業スパイの可能性もあったと思うのだが。やはり、研の行動には、常人には理解しがたい部分がある。
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「チャージマン研!」#21-24 感想

 最近話題のAkinatorが、なかなか面白い。
 日本のアニメキャラもかなり入っているが、研やキャロンまでしっかりいるのだから、大したものだ。







 意図的に目当てのキャラを出そうとする場合、その難易度は様々だが、研を出すのにはかなり苦労した。10回ほどやり直したり、延長したりとさんざんやって、ようやく出てきた。
 キャロンは案外簡単で、3回ほどのplayであっさりと出た。20の質問があるとは言え、キャラを特定できそうに無い物も多い。そんな中、「金髪」「少女」「兄弟がいる」などの条件でちゃんとキャロンが出てくるのだから、大したものだ。
 この勢いでボルガ博士が出てきたら凄いのだが、さすがに登録した人はいないかな。自分でやってみるか。



・第21話「キャロンへの贈り物」

 21話目にして、研のパパの職業がようやく判明した。

 しかし、いきなり「おいおい、私は医者だよ」と言われても、これまでそれが分かる描写は全くなく、あまりに唐突だ。きっと、他にも作中で特に触れられなかった裏設定が色々とあるのだろう。
 特に、キャロンの設定がどうなっているのかは気になる。フルネームが「泉 キャロン」で、一家で一人だけ金髪。養子なのではないかと想像してしまうが、作中ではキャロンの生い立ちには全く触れられていない。


 それにしても、今回もまた回りくどい作戦だ。わざわざあの人形で全員をおびき出してから焼き殺さなくても、家に放火した方が早いだろうに。
 第2話の感想でも書いたが、誰もが正体を知っていて、敵に自宅まで知られている変身ヒーロー(本作の場合は「変装ヒーロー」か?)は珍しいが、敵側がその利点を全く活かせていないのもすごい。

 今回、キャロンの横に心霊写真のような不気味な影が映っているシーンがあり、人形と絡めた伏線かと思っていたら、全くフォロー無し。アニメーターが何かに取り憑かれて描いたのだろうか。



・第22話「時限爆弾電送テレビ」

 ジュラル製ロボット第3弾登場。当然、いつもの大仏声。どうやら、モンスター役はこの人の専任だったようだ。例によって迫力が全然無いが、今回はロボットのデザインも微妙なので、このヘッポコ声でちょうど合っている。

 本話は何度観ても電送の仕組みがよく分からない。サブタイトルによるとテレビが電送装置になっているようだが、本編中で研はロボットを分解して「ロボットに電送装置をカセットして」と言っている(「セット」ではなく「カセット」…?)。
 映像を見ると、テレビをいじりつつロボットの中の装置も操作しているので、両方が連動しているのかも知れないが、ジュラル基地のテレビならともかく、送り出された側のテレビも電送装置に関係していると言うのはどんな仕組みなのかよくわからない。
 結局、「考え出したら負け」なのだろう。度々出てくるいい加減な未来世界の設定を見ても、きちっとSF設定考証を行って作ったアニメとは思えないし。

 とりあえず、本話では、ジュラル基地の爆破をテレビで見物している研たちの姿が笑える。基地に乗り込む前は決死の覚悟だったのに、実にあっさり生還しているところが、この作品らしい。
 あと、研のアップで顔がもろにタツノコチックになった場面が一カ所あって、注目してしまった。原作・キャラデザの田中英二氏自身が原画を担当していたのだろうか。そうでないにしても、タツノコ下請けの長いタマプロダクションが作画を担当しているだけに、タツノコっぽい顔があっても不思議はない。



・第23話「恐怖!精神病院」

 いわゆる「差別的表現」の観点からは、間違いなく一番の問題エピソード。
 さすがのAT-Xも、これを放送するのは難しいのではないかと心配していたのだが、特に「おことわり」等もなく、またセリフ・場面カットも全くない完全な状態で放送された。これがANIMAXやファミリー劇場だったら、話ごと飛ばされてもおかしくなかっただろう。さすがはワンランク上のアニメチャンネルだ。

 本話を観ると、1970年代に、いわゆる「精神病患者」がどのような偏見を持って見られていたのかよくわかり、その点で時代を証言する貴重なエピソードだろう。なにしろ、医者であるはずの研のパパですら、精神病院を「こんなところ」などと言っているのだから。
 そう言えば、テレビアニメ版『デビルマン』第26話「白銀の妖獣ララ」でも、最後にララが精神病院に入れられるオチが付いていたが、1998年頃に東海テレビで行われた再放送では、この部分が丸々カットされていた。この時点で地上波では「精神病院」ネタはアウトだったのだろう。

 しかし、精神病院の院長がヨーロッパの半分を吹き飛ばすミサイルを秘かに作っているなんて、あまりに話がぶっ飛びすぎていて、呆気にとられてしまう。これでは、ジュラル星人よりも物騒だ。
 実は精神病院の院長自身が狂っていたとは、オチのつもりだとしても酷すぎる。計画が研に知られただけで自殺してしまうあたり、たしかに精神的に不安定なところは見受けられるが。



・第24話「ロボットクラブへの 招待状」

 バリカンの元へと現れた、美少女ロボット。もうあからさまに怪しすぎて、突っ込む気にもならない。
 しかし、やはり少しは突っ込んでおこう。とりあえず、研たちは深追いせずに「ロボットクラブ」が墓場にあるとわかった時点で怪しむべきだ。

 そして、地下の墓から唐突に現れる老人(?)の群。墓場だから死者のつもりなのかも知れないが、単なる身なりの貧しい老人にしか見えない。
 中でも、特に垂れパイの婆さんは恐ろしい。実際にあんな人に乳むき出しで抱きつかれたら、精神的にはかなりの打撃だろう。抱きつくだけなので、物理攻撃としては意味がないが。

 今回、ジュラル星人も研も、そしてスタッフも忘れていたであろう「光がないと変装できない」設定が出てきたのはちょっと驚いた。別にあの場面が無くても話は成立したと思うが。脚本家がふと思い出してこの設定を入れたのだろうか。
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「チャージマン研!」#17-20 感想

 本年最初の『チャージマン研!』感想。と言っても、AT-Xで放送されたのは昨年だが。

 そう言えば、年末年始を過ごしていてふと気が付いたが、この作品にはお正月やクリスマスと言った定番の季節ネタは使われていない。帯番組で放映期間が4月~6月の1クールのみだったためなのだろう。
 それに、舞台が未来世界という設定なので、あえて現代社会の年中行事や季節ネタは避けたのかも知れないが、ベタなネタが本作のスタッフでどう料理されるのか、観たかった気もする。

 まあ、クリスマスネタをやってもサンタがジュラル星人でプレゼントに爆弾が仕込んであるとか、正月の獅子舞がジュラル星人で大仏と同じ声をあげて研を襲ってくるとか、容易に想像は出来るのだが。



・第17話「研の秘密を探れ!」

 ジュラル製ロボット第2弾が登場。
 ロボットの声が「闇夜に消えた大仏」の大仏と同じ人で、全然迫力がない。少ない人数でやりくりしていたのだろうが、もうちょっとマシな人はいなかったのだろうか。
 また、吉坂博士が拷問で苦しんでいる時の声も、大仏&ロボットと同じに聞こえる。二役だったのだろうか。

 それにしても、今回はやけに戦闘のテンポが悪い。
 一つの動作が描かれるたびに、研やロボットの静止画像が挿入されるので、全く緊張感がない。特に、研がアルファガンを落とした場面はかなりのピンチのはずなのに、ロボットがもたもたして攻撃する気すら見せないので、全く盛り上がらず実に情けなく見えてしまう。
 いつものスピーディーすぎる戦闘を見慣れたせいかもしれないが、せっかくスタッフが無理して(?)長い戦闘シーンを描いたのにグダグダなのはもったいない。とは言え、ロボットがあのデザインと声では、まともに戦っても強敵には見えなかっただろうが。



・第18話「囚人島大脱走」

 研の住む未来世界の設定が、また一つ明らかになった。
 この世界では、学校だけでなく刑務所まで集中化されているとは。学校と違って物騒極まりないが、囚人を一箇所に集めている割には、脱走したのがたった百人とは少ない。ジュラル星人の話に乗らなかった囚人の方が多かったのか。

 そして、町へ出て「暴虐の限り」を尽くす囚人たち。
 一般人が謎の光線銃で次々と消されていく様は、なかなか衝撃的で、本作としてはかなりの残酷シーンだ。なにしろ、普通の人間が普段のジュラル星人なみに殺されているのだから。
 そこへ研がやってくるわけだが、この時点で残り1分。尺がないのにどうするつもりかと思っていたら、研とジュラルが決闘を開始。展開の唐突さには慣れたつもりだったが、これにはさすがにあっけにとられた。
 そして、ジュラルがニヤリと笑った後に倒れて、決闘は研の勝利に終わった。このシーンを観て、藤子・F・不二雄先生が『のび太の宇宙開拓史』を作り上げた…のだったらイヤだなあ。さすがにそれは無いか。

 囚人をほったらかしにしたまま、ジュラルを倒しただけで去っていく研の無責任さもすごい。尺がないからと言って、これだけの大事件に何のフォローもないとは。



・第19話「銀行ギャング キャロンが危い!」

 「いくら悪い奴でも、人間相手にアルファガンは撃てないよ」と、研の倫理観が伺える話。
 どうやら、アルファガンは人間にとっても有害らしい。『新造人間キャシャーン』のMF銃のようにジュラル星人だけに効くのかと思っていたが、違うようだ。
 しかし、人命は尊重してもジュラル相手には全く容赦がない。今まで、無抵抗のやつも結構いた気がするのだが、研の思考回路はよく分からない。

 そして、本話はジュラル星人の瞬殺っぷりも素晴らしい。
 正体を現した次の瞬間にアルファガンの餌食になるとは、最初からジュラルの姿で襲ってきた奴を除けば、最短のやられ時間ではないだろうか。
 研、銀行ギャング、ジュラルと三つの勢力を出して、いつになく捻った話だったが、おそらく後半になって尺が無くなったのだろう。ジュラル星人は序盤で様子を見たりと慎重だっただけに、あまりの素早いやられっぷりを見ると可哀想になってしまう。そもそも、流れだけ見たらジュラル星人がキャロンを助けたようなものなのだし、今回の研はジュラルに感謝すべきだったと思う。



・第20話「ガールフレンドが 出来た」

 これで、本作も20話目。ここまで来ると、多くの人は話のパターンがつかめてきた事だろう。
 今回の場合は、その「パターン」(「お約束」と言ってもいいか)が「ガールフレンド=ジュラル星人」であるのは言うまでもない。

 しかし、ジュラル星人がバリカンの音楽で正体を現すと言う展開は読めなかった。
 このジュラル星人、正体を現したら男声になったが、はたして雄なのか雌なのかが気になる。以前に登場したX-6号は最後まで女声のままだったが。
 そもそも、ジュラル星人に雌雄の区別があるかどうかも怪しい。ジュラルの魔王が他の全てのジュラル星人を生み出したのかもしれない。まるでピッコロ大魔王だが。

 本話では、ガールフレンドが出来て喜ぶ研が実に無邪気で、こんな子供らしい一面もあるのだなと和ませられるが、その反面、女の子がジュラル星人の正体を現したとたんに瞬殺しており、その後もショックを受けた様子もなく、このドライさはやはりただ者ではない。
 もしかしたら、人間に化けて研を狙うジュラル星人があまりにも多いせいで、研は人間関係に関する感覚が麻痺しているのかもしれない。そうだとしたら、かわいそうな事だ。
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「チャージマン研!」#13-16 感想

 もう日付が変わって、今日からコミケ開始。
 朝は早く出ないといけないのに、今頃「チャージマン研!」の感想を書いている。何をやっているんだ。今日書いておかないと、年内にAT-X既放映分すべてをフォローするのが難しいので、仕方がないのだが。



・第13話「対決!海底都市」

 なぎさ先生危機一髪の巻。
 冒頭のシーンで、なぎさ先生が改造されてジュラル星人にされてしまうのかと思ったが、洗脳されて操られていただけか。なぎさ先生は準レギュラーキャラだから、いくら本作でもそうホイホイと死なせるわけには行かなかったのだろう。
 本作での人命の軽さから想像すると、もしなぎさ先生でなく1話限りのゲストキャラが同じ様な目に遭っていたら、間違いなく本当にジュラル星人に改造されて、研のアルファガン一発でやられていたと思う。

 それにしても、ジュラル星人のやることはまわりくどい。
 わざわざなぎさ先生を改造して操るくらいなら、頭の中に爆弾を入れて研もろとも吹っ飛ばした方が効率がいいのに。まあ、それを実行したらどうなるか、結果は見えていますが。



・第14話「闇夜に消えた大仏」

 相変わらずジュラル星人の作戦は回りくどい…を通り越して、訳が分からない。
 全然迫力のない声を出して暴れ回る大仏様は、ある意味非常に怖いが、それよりもジュラル星人の意味不明な思考回路の方がもっと怖い。

 そして、相変わらずいい加減な報道をするアナウンサー。「エネルギー資源が次々と何者かによって荒らされており、もしかしたら、この大仏様の仕業ではないかと噂されております」…噂レベルの、しかもあり得ないような話をニュースで流すな。
 しかも、「噂」どころか、誰が見てもはっきり大仏が暴れていると分かるのも笑える。未来のテレビ局の取材能力は、どうなっているのだろう。
 あと、操縦機で大仏を操るジュラルの可愛らしさもポイントか。



・第15話「美術館の怪!」

 舞台が美術館と言う事もあってか、ちょっと怪奇ムードの変わった話。
 ジュラル星人の科学力を持ってすれば、絵の中に人間を誘い込むなど造作もない事らしい。このあたりの描写をじっくりと描き込めば怖さが出てくるかも知れないが、何しろ本作は尺がないのでどうしようもない。

 だから、なぎさ先生が「泉君、待って」と言っているのに、研は構わず変装してしまう。このあたりのテンポのよすぎる展開は本作ならではだ。
 その後、研が絵と同じ場所に着いている事から考えると、なぎさ先生が説明する場面を省いたと考えるべきなんだろうが、研の場合は理屈抜きで行動している節もあるから、判断に迷う。とにかく、尺が不足しすぎだ。



・第16話「殺人レコード 恐怖のメロディ」

 私にとって、本作を初めて観た記念すべきエピソード。
 変な展開、絵の動かなさ、独特の「間」など本作らしい要素が盛りだくさんで、最初に観た時は「世の中にこんなアニメがあったのか」と衝撃を受けてしまった。今から思うと「アニメの王国」版DVDは収録エピソードの選択が実に絶妙だった。

 さらに、後から観返すと、また色々と突っ込みどころに気付いて面白い。
 研のセリフ「ジュラル星人、今度という今度は許さないぞ!」は、最初は何とも思わなかったが、他のエピソードを観て「今度という今度」どころか一度も許した事がないと知った上で聞くと、非常に笑える。
 また、「殺人レコード」の曲は他のエピソードでもパニック場面でよく使われているBGMなのだが、最初にこの話を観たせいで、他のどの話でこの曲が流れても「キチガイレコードだ」としか思えない。すり込みというのは恐ろしいものだ。

 そして、今に至るまで疑問なのは、ラストシーンだ。
 研のバカ笑いは、一体何なのだろう。単に悪ふざけを描いているだけなのか(それにしては酷すぎるが)、それともレコードが効いていて、結局研も狂ってしまったオチなのか。研はある意味最初から狂っているところのあるキャラクターだから、どう受け取ればいいのかわからない。

 なお、今回「よくもあんなキチガイレコードを!」のセリフがそのまま放送されるかどうか注目していたが、さすがにAT-Xはその点もしっかりしていて、ノーカットだった。
 しかも、最近はCS放送でもよく見かける「現在では不適切な点もありますが、作品のオリジナリティを尊重して放送しました」と言った断りすら入れていない。ここまで堂々としていると、非常に格好いい。




 さて、今年中にもう一度更新できるかどうか分からないのでここで書いておくが、いよいよ新年1月2日は第23話「恐怖!精神病院」が放送予定だ。







 このように、EPGにもしっかり載っている。
 今回と同様に、何の断りもなく堂々と流して欲しいものだ。今度こそ、やばいかもしれないが。
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「チャージマン研!」#09-12 感想

 早いもので、今年の終わりまで一週間を切ってしまった。
 そんな年の瀬に「チャージマン研!」の感想を書いている自分は、ちょっとどうなのかと考えてしまう今日この頃。
 できればAT-Xの年内放映分は今年中に感想をブログにUPしたいが、この分だと大晦日に「研」の感想を書く事にもなりかねないな。



・第9話「ジュラルモンス 登場!」

 ジュラル製ロボット第一弾の登場。
 ジュラル星人が作ったにしては結構強いが、それでも研の手ににかかっては一瞬でやられてしまうあたりが哀しい。「登場!」と銘打たれた回で、さっさと退場してしまうとは。
 研が、光のないはずの夜に普通に変装している点については、突っ込むまでもないか。このような基本設定の無視は、本作ではよくある事だ。

 ところで、研たちがニュースを見ていたテレビの本体に「NEWS」と書かれているが、この作品世界ではニュース専用のテレビが開発されているのだろうか。家中に、色々なジャンル専用のテレビが何台もあったら鬱陶しいだろうなあ。



・第10話「バリカン大暴れ!」

 かつてのヒーローアニメにはマスコット役のロボットがよく登場していたが、本作のバリカンもそのような位置づけなのだろう。ただし、バリカンは可愛くないし、声もおっさん臭くてどうもマスコットらしくない。
 そんな微妙な位置づけにいるバリカンが、いよいよ活躍する回が巡ってきた…かと思いきや、「これで終わり?」と呆気にとられてしまうほどにあっさりした「活躍」だ。サブタイトルに偽りありと言わざるを得ない。
 最後に「今日の殊勲はバリカンだな」などとフォローを入れているのも、いかにも無理矢理と言う感じだ。

 本話ではバリカンよりもむしろ、自ら少女に化けて研を誘いだした魔王の印象が強い。
 この魔王、悪の親玉にしては結構精力的に活動している(手下は一山いくらの雑魚ジュラル星人しかいないから、仕方がないのかも知れないが)が、女の子に化けるくらいは他のジュラル星人でも出来るのに、わざわざ自分で前線に出てくる姿勢には感動すら覚えてしまう。



・第11話「地球を守れ!」

 研が地球滅亡の危機を救う、非常にスケールの大きなエピソード。
 しかも、普段と違ってジュラルの魔王と一時的に手を組む展開となっており、「これはいつもと一味違うぞ」と期待させられる導入だ。テレビ電話に唐突に現れる魔王様がイカす。
 しかし、ジュラルの使っていたパスカル光線の珍妙な効果音のせいで、肝心のアイアン星回避作戦に全然緊張感がない。なんだ、あの変な音は。どうも、呑気に「えっさ、ほいさ」と言った感じで岩を引っ張っているようにしか見えない。地球の存亡をかけた作戦のはずなんだがなあ。

 それにしても、地球側の開発した「ガリバー光線」は日本テレビ版「ドラえもん」でのスモールライトの名前だったはずだが、本作の前年に放映された旧ドラを観て名前を拝借したのだろうか。



・第12話「野菜サラダが 食べられない」

 変な話が多いこの作品の中でも、特に脈絡のない意味不明の展開だった。キャロンの体操は何の意味があったのか。
 「パパも行こう」と、パパまでがスカイロッド号に乗り込んでコンビナート異変の調査を行う展開には新味があったが、結局パパは何の役にも立っていない。なぜパパを同行させたのか、脚本家に聞いてみたいものだ。パパがスリルを味わってみたかっただけなのか?

 とりあえず、ニュースのアナウンサーは「原因は不明ですが」とか「想像で」とか、あまりに根拠のない適当な事を言うのは止めた方がいいと思う。と、書きつつ、他の話でも同じ調子でいい加減なニュースを流している事はわかっているのだが(例:「闇夜に消えた大仏」)。
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「チャージマン研!」#05-08 感想

 毎月、第1日曜日はスカパー無料開放なので、本作のリピートも無料で観る事が出来る。
 今月分はもう過ぎてしまったので、次は1月4日だ。AT-Xと契約していなくても、スカパー受信設備のある方には、ぜひ一度ご覧頂きたい。特に、1月4日は話を飛ばされさえしなければ「恐怖!精神病院」が放映されるはずなので、必見だ。



・第5話「恐怖! ミイラが馬車で やってくる」

 どこから突っ込めばいいのか困ってしまう素敵なサブタイトルだ。「恐怖」と言っている割には手書きの文字とのんきな音楽のせいで、この題が出ても全く恐怖感がないのもいい。
 このサブタイトルに全く偽りも捻りもなく、本当にミイラが出てきて馬車でやってくるのだからシュールすぎる。舞台を北海道にしたのは、何か意図があったのだろうか。雪に紛れて襲ってくるミイラは、怖いと言えば怖く見えなくもないが、冷静に見るとかなりマヌケだ。

 そして、この回は全65話中で唯一、ジュラル星人が登場しない回。研は、ミイラをジュラル星人だと言っているが別に根拠はなく(いつもの事だが)、ミイラがジュラル星人の正体を現す事もない。
 もしかしたら、ジュラル星人とは関係のない他の化け物だったのかも知れず、その点で他の話にはない不気味さが残って、一味違った味わいのあるエピソードだ。



・第6話「怪奇! 宇宙植物園」

 研の通う学校が初登場。とは言え、前話で既にクラスメートや担任のなぎさ先生が登場して、皆で北海道へ行っている。第5話と第6話は、順番を逆にすべきだったのではないだろうか。
 学校の授業風景で、専用モニタまであるのにキーボードを使わず紙に手書きしているあたりが、いかにも「昭和40年代に考えた未来」という感じで、味わい深い。

 見どころとしては、ジュラル星人が現れた時に研が変なポーズを取ったままのところだろうか。なぜ、彼は突っ立ったままなのだろうと、見ていて不安にさせられる。
 変装した後は、なぜかスカイロッド号までやって来ているが、「いつ呼んだんだ」などと突っ込んではいけません。今後もこのような前後のつながりがおかしい場面は多いので、本作の鑑賞におけるチェックポイントの一つと言える。



・第7話「西部の男・研!」

 いきなり、最初に挿入歌「研とキャロンの歌」のイントロが流れるが、このパターンは珍しい。
 この歌はOP主題歌と違ってしみじみとした感じの曲なだけに、普段とは異なった雰囲気を感じる。それに、「ロボット西部の町」の種明かしを中間に置いたために、途中まではなぜ研たちが西部に来ているのか視聴者にはわからなくなっており、本作としてはなかなか凝った構成だ。
 観ていて『ドラえもん のび太と銀河超特急』の西部の星のエピソードを思い出してしまったが、まさかF先生が本作に影響されたなんて事はないだろうな。

 また、この話あたりからジュラル星人の作戦がやけに回りくどくなってきた。一度普通に遊ばせておいて、次に来た時に油断しているところを倒そうだなんて、気が長いにも程がある。そんなにこの「ロボット西部の町」は、リピーターが多いところなのだろうか。
 一方、対照的に研は気が短すぎて、あっさりとジュラル星人を倒しているのは笑える。どんな「勘」であの罠を見抜けたんだ、こいつは。



・第8話「ジュラル星人 X-6号」

 研と、非情に徹せない裏切り者ジュラル星人との邂逅を描いたいい話、のはずなのだがやはり突っ込みどころはある。
 「俺たちジュラル星人は、感情などと言う下等な物は、とうの昔に忘れたはずだ」と言いつつ、思いっきり怒りの感情を露わにしてX-6号をしばく魔王様は素敵だ。

 また、入院して寝ている時の研は、やたらに可愛い顔だ。動きは少なくても、原画はいい仕事をしている。
 研が変装したら足の傷まで治っている件は、もう突っ込むまでもないか。第5話と同様に、本作では前後関係を無視してバンクを使うせいで整合性の取れない場面が非常に多い。まるで「間違い探し」のようなアニメだと言える。
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「チャージマン研!」#01-04 感想

 AT-Xで放送が始まった「チャージマン研!」も、昨日で2週目だ。

 DVDで何度も観ているので、今回は放映形態だけチェックしておこうかと思っていたのだが、いざ録画したものを観始めると止まらない。いや、止められないと言った方が正確か。1話が5分20秒と短いので、つい続けて観てしまう。
 それに、今回はDVDとは違って本放送順で放映されているので、また違った印象がある。最初に観ると第1話が一応第1話らしく見えて、新鮮な感じだ。

 せっかくのいい機会なので、今日から本作の全話感想に挑戦してみたい。はたして、どこまで続けられるかはわからないが。



・第1話「危機!! 子供宇宙ステーション」

 記念すべき第1話。DVDでの初見時は収録順通りに第5話として観てしまったが、あらためて最初に観ると、冒頭の魔王の演説や、研とジュラル星人が何となく初対面っぽいところは第1話らしく見える。とは言え、細かいところには説明が全くないので、第1話でなくても通じてしまうのも確かなのだが。

 初回のせいかネタ的にあまりぶっ飛んだところはないが、サブタイトルで「子供宇宙ステーション」と言っているのに現場が遊園地にしか見えない点や、ジュラル星人の「よくも我々の計画を邪魔するつもりだな!」との日本語に不自由なセリフ、戦闘時に延々と回転する研など、細かい突っ込みどころは随所に見受けられて、本作らしい楽しさは感じられる。
 また、OPとEDの映像が、ほぼ全てこの第1話からの流用なのもポイント。OPを作る余裕もないほどに低予算だったのだろうか。



・第2話「危機一髪!!」

 あまりにもシンプルすぎるサブタイトルだ。しかも「危機」が第1話と被っている。もうちょっと捻る事は出来なかったのだろうか。
 本話では「光がないと変装(変身に非ず)できない」と言う研の弱点が紹介されており、初期らしい設定説明回と言える。「光だ」と、マッチの火を見つめる研の表情が怪しくて笑える。

 それにしても、チャージマン研の正体が全くひみつになっていない上、第2話ですでに自宅が敵にばれてしまってそのまま放置しているのはすごい。全65話にわたって様々な怪しい人物(ほぼ全てジュラル星人)が研やその家族に近づいてくるのは、ジュラル星人が研の事を知っているからこそだろう。個人情報は大切にしましょう。



・第3話「蝶の大群が舞う」

 蝶と戯れるジュラル星人が、いい味を出している。
 尺の制約があるとは言え、せっかくジュラル星人が50年前から進めてきた計画が、わずか3分ほどでパーになってしまうのは、ジュラル側に同情したくなってしまう。

 ところで、ジュラル星人は少なくとも50年前から地球に来ていたはずだが、研がチャージマンとして戦うようになる前は、ジュラルと地球との戦いはどうなっていたのだろう。50年間地球に潜伏していたのか?



・第4話「謎の美少年」

 初期では一番インパクトのあった回。
 何と言っても、「美少年」こと星くんのキャラクターが強烈だ。フットボール試合での「エエーイ」「ウェイ!」の奇声、なれなれしく研に変装を迫る怪しさ、正体を現してからの意外な健闘ぶり(大抵のジュラル星人はアルファガン一発で死亡)と、わずか5分弱の出番とは思えないほどに変な方向でキャラが立っている。

 それにしても、星くんは研に変装させて、一体どうするつもりだったのか。
 ヒーロー物でこのような展開がある時は、敵が何か作戦を立てているのが普通だが、星くんの場合は正体を現してからも小細工や研用の新兵器などを特に持ち出してはいない。人知れず研に倒されたかった自殺志願者だったのだろうか。




<メインスタッフ>
企画:西野清市
原作・キャラクターデザイン:田中英二
構成 脚本:和久田正明、安藤豊弘、玉戸義雄
作画監督:水村十司
美術監督:加藤清
プロデューサー:茂垣弘道

(以上、OPより。資料によっては「原作:鈴川鉄久」「演出:三浦昇」「音楽:宮内國郎」の記載あり。鈴川鉄久は「アストロガンガー」でも原作と記載された資料があるので、両作品に関わった田中英二のペンネームか、もしくはサンライズの「矢立肇」と同様に便宜上の原作者表記のいずれかと思われる)
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「チャージマン研!」の謎

 いよいよ今週の金曜日から、AT-Xで「チャージマン研!」の放映が始まる。
 この作品の魅力については以前のエントリを読んでいただくとして、「チャージマン研!」は、謎の多い作品だ。


 まず第一に、作品に関わったスタッフ・キャストすらはっきりしていない。
 OP・EDテロップである程度のスタッフはわかるが、脚本家や絵コンテ担当はテレ朝チャンネルの「シンエイアニメシアター」のように数人がまとめて表示されており、誰がどの話数を担当したかはわからない。シンエイ藤子アニメはアニメ雑誌で各話スタッフを調べる事が出来るが、本作はそれも無理だ。

 そして、出演声優も誰一人として名前がわからない。EDに「声の出演 劇団 近代座」としか表示されていないからだ。
 DVDのジャケットやAmazonのページでは、沢田和子(現・沢田和猫)や藤田淑子が出演していた事になっているが、これはまるっきりの間違い。本編で声を聞けばわかるが、本作では他のアニメで聞き覚えのある声優は一人もいない。

 それなのに、なぜ沢田さんや藤田さんが出ている事になっているのだろうか。
 アニメ関係の資料で本作のデータを最初に載せたと思われるのは、杉山卓「テレビアニメ大全集2」(秋元書房)だが、この本で既に二人の名前が出ており、また放映期間も間違っている。
 この「テレビアニメ大全集」シリーズはデータの間違いが多く、「新オバケのQ太郎」でQ太郎役を小原乃梨子と書くなど、目に余るほどのミスもかなりあるし、細かい間違いを探していけばきりがない。
 想像するに、他に資料が少ない作品については、この「テレビアニメ大全集2」のデータが後世の本でも使われてしまい、その結果として誤った情報が広まってしまったのだろう。「テレビアニメ25年史」ですら、研役・沢田和子はそのまま載っている。さすがに、この本では放映期間は正しくなっているが。

 じゃあ、一体研の声は誰がやっているのかとなると、「わからない」としか言いようがない。何しろ、他のアニメで聞かない声なので、「この声なら○○さんだろう」と推測する事すらできないのだ。
 唯一の例外として、「アニメの王国」版DVDに同時収録された「透明少年 探偵アキラ」(パイロットフィルムをそのまま収録?)には本作とほぼ同じメンバーが出演していると思われるが、こちらはスタッフ表示が一切出ないので何の参考にもならない。
 「劇団 近代座」の面々は、普段は声優として活動しておらず、本格的なアニメ出演はこれ一作だけだったのだろう。本作の声優陣を知るには、1974年当時の「劇団 近代座」を知る人に取材するしかない。もし、DVD-BOX化の時に「ゲゲゲの鬼太郎」並みに気合いを入れたブックレットを作っていれば、そんな調査も実現したかも知れないが、実際のBOXには本編ディスク以外に一切の付属物はない。

 ちなみに、これまで確認した資料の中で、唯一「月刊アニメージュ」1979年4月号の「NTV&TBSアニメ16年史」では、研役として沢田和子ではなく「宮川節子」と言う名前が載っている。この人が他のアニメに出ていれば声を比較できるのだが、調べた限りでは本作以外にアニメ出演はないようだし、そもそもこの時期に声優・俳優として活動していたのかどうかも定かでない。
 ただ、少なくとも研の声が沢田和子でない事は明らかなので、「宮川節子」説を調べていく価値はありそうだ。
 ともかく、「声優が誰なのか」は、本作最大の謎と言えるだろう。


 そして、もう一つの謎がある。
 DVDでは、明らかに本放送とは異なる、間違った順番で話が収録されているのだ。なぜこう言いきれるかというと、内容的に間違いなく最終話となるエピソード「勝利!チャージマン研」が、DVDでは全65話中の第61話という中途半端な位置で収録されているからだ。
 また、「THIS IS ANIMATION(1)SF・ロボット・アクションアニメ編」には本作の全話リストが掲載されており、それとDVDを比較しても、収録順がおかしいことがわかる。ただ、この本では放映期間が間違っているので、放映順についても素直には信用できないが。

 この本のリストを元にして、Wikipediaの「チャージマン研!」の項目には放映順とDVD収録順の両方の話数が記載されており、比較してみると5話ごとに収録順がおかしくなっている事がわかる。つまり、初期の話数が最終巻に入っていると言うような大幅な話数の入れかえはないし、たまたま両方の話数が一致している例も何話かある。
 Amazonのカスタマーレビューでも言及している人がいるが、帯番組だったので一週間・5話単位で保管されており、週ごとの並び順がわからなくなったためにDVDでは適当な話数で収録したと言うのが真相なのだろう。
 それにしても、最終話を最後に入れないとはあまりに適当すぎる。本作のDVD制作担当者は内容を一切チェックしなかったのだろうか。もっとも、チェックしていたら「恐怖!精神病院」のような危ない話はカットされていたかも知れないが。

 果たして、AT-Xでは放映順はどうなるのだろう。DVDのままか、それとも本放送時の順番に戻すのか。
 AT-Xの作品紹介ページを見ると、声の出演が「劇団 近代座」だけだったり、放映年が正しく1974年と記載されていたりと、ちゃんと「わかっている」人間が担当している節があるので、本放送順での放映に期待したい。



 以上のように、本作には「声優」「放映順」と、作品の基本と言うべきデータにすら謎がある。
 いくら古くてマイナーな作品とは言え、あまりに情報が少ない。作品のデータを載せた資料は、今回本文で言及した3冊くらいしか見つからないし、これら3冊のデータも全面的に信用できるものが一つもない有り様だ。
 おそらく、制作会社のナックにも資料は残っていないのだろう。ナックの作品管理のいい加減さは、「アニメの王国」DVDのような非正規ソフトが出てしまったり、最近リリースされたDVDでどの作品もOP・EDが使い回しになっている事から、よくわかる。
 もっと、突っ込んで調べてみたいところだが、なかなか道は険しそうだ。



 最後に、本エントリの締めくくりとして、おそらく唯一公式に発表されたスタッフの談話を紹介しておこう。これは、前述の「月刊アニメージュ」1979年4月号「NTV&TBSアニメ16年史」に掲載されたものだ。


 あれはねえ、21世紀の話なんですよ。真鍋博さんの21世紀の話を描いた本をもとにしました。冒険とか戦いとかではなく、生活を中心とした作品です。確か夏に制作したんですが、スタッフの連中が泳ぎに行ったりして、たいへんしんどい目をして作りました。

(西野靖市(演出))


 色々と突っ込みどころがあるコメントだ。「スタッフの連中が泳ぎに行ったり」って、そんないい加減なスタッフでいいのだろうか。人手が足りなかったからあんな止め絵だらけになったのかと、納得できる話ではあるが。
 また、「西野靖市」と言う人物も謎だ。制作「西野清市」の誤植なのか、それとも別に演出家で西野靖市と言う人がいたのだろうか。少なくとも、OP・EDにはそんな名前は一切出ていない。
 放映から5年後ですら、これだけスタッフがあやふやなのだから、34年も経った現在、まともな情報が残っていなくても無理はない。



追記

 EPGで「チャージマン研!」の番組詳細を確認してみたら、サブタイトルがちゃんと載っていた。
 これを見ると、本放送通りの順番で放映するようだ。さすがはAT-X、ちゃんとわかっている。実際のところ、1話完結で前後の連続性は全くないので最終話以外はどうシャッフルしても問題なく観られるのだが、それでもどうせなら本来あるべき順番で観るのが望ましい。
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「チャージマン研!」AT-Xで11月より放映

 テレビアニメ「チャージマン研!」について、以前にこのエントリで「じっくりと語ってみたい」と書いたのだが、そのまま放置して一年が経ってしまった。
 今更ながら、この作品を取り上げてみたい。と言うのも、来月からCSのAT-Xで放映される事になったからだ。この作品について語るには、今が一番いいタイミングだと思う。



 と、言うわけで「チャージマン研!」について。
 この作品は、チープなアニメばかりを世に送り出してきた事で、ネタアニメ愛好家に知られているアニメ制作会社・ナックの作品だ。1974年4月~6月にかけて、10分の帯番組としてTBSの夕方枠で全65話が放映された。資料によっては放映時期を1973年7月~9月としているものもあるが、そちらは誤り。元々1973年7月から「マンガ大作戦」という枠が始まっていて、その枠で1974年4月より放映されたのが本作だった模様。

 基本的には、主人公・泉研がチャージマン研に「変装」(作中でこう言っており「変身」ではないらしい)して侵略者・ジュラル星人と戦うと言う、設定だけ聞けばよくあるヒーローものなのだが、本作は単なるヒーローアニメには留まらない。


 何がすごいかと言うと、まず「アニメ」なのに動きが少ない。本編の尺は5分20秒だが、その多くが止め絵とバンクシーンで構成されており、非常に予算が少なかったであろう事が伺える。よくナックのアニメは作画がチープだと言われるが、本作に限って言えば作画自体はしっかりしている。ただ、ろくに動かないのだ。
 そして、展開が読めそうで読めず視聴者の予想の斜め上を行くストーリー本筋と、その逆でワンパターンの極みとも言うべきジュラル星人との戦闘シーン(毎回、ジュラル星人はほとんど抵抗もなく研の武器・アルファガンですぐに殺される)との組み合わせが絶妙だ。

 基本的に「怪しいゲストキャラ」は、すべてジュラル星人かその手先で、尺の都合ですぐに正体はばれる。そして、ほとんどの奴は研に対して何の対策も立てておらず、正体を明かした途端に殺されてしまう。
 ほぼ毎回がこの繰り返しなのだが、出てくる敵は声のうわずった変な美少年や、ハイジャック犯を瞬殺する旅客機乗客、殺人ボクサーなど変な連中ばかり。美少年「星くん」や、別の回で不良少年に化けているジュラル星人は、本性を現す前の方が強いと言うのも笑える。

 さらに、ジュラル星人の地球人抹殺計画も、「病院の食事に工場廃液を混ぜて奇形児を生まれさせる」と言う全く洒落にならないものから、「大仏を操って暴れさせる」「子供達を毒きのこ中毒にする」「自殺志願者を取り囲んで、早く死ねと強要する」などのよくわからないものまで、様々な作戦が展開されている。「ジュラル星人が次は何をするのか」が、本作の大きな見どころの一つだ。
 「よく5分でこんなネタをやろうとするなあ」と思うような壮大な作戦があっさり研の活躍で解決してしまう一方で、「自殺志願者を取り囲む」のような、作戦とも言えないようなもので5分持たせる回もあるが、概してどの回も通常の30分アニメのフォーマットを10分番組に押し込めた感じなので、非常に密度は濃い。

 それに、「密度が濃い」事とは逆に、時間が短いくせにたびたび発生する妙な「間」も、本作の魅力の一つだ。
 ジュラル星人を問いつめていて不意に何秒間か沈黙したり、最後の30秒ほどずっと研達の笑い声が続いたりと、尺が短い割には時間が余ってしまうのか、変なところで本筋と関係なく、それまでの流れを断ち切る場面がよく入る。
 変な主人公が珍妙な作戦を行う怪しげな敵と戦っていて、それだけで十分に奇妙奇天烈なアニメなのに、それに加えてこの独特の「間」によって話のテンポがゆがめられて、観ていてトリップしそうになってしまう。
 実際、DVDで続けて本作を観ると、3話目くらいで頭がおかしくなりそうだ。来月からのAT-Xは30分枠・4話連続で放送されるので、半分で止めて残りは後で観るなど、視聴には十分な注意が必要だろう。


 ともかく、ここまで挙げてきた色々な要素が絡み合って、異様な世界の5分間が展開される「怪作」としか言いようのない作品、それが「チャージマン研!」だ。

 長々と文章で説明してきたが、本作の面白さを知ってもらうには、本編を観るのが一番だろう。AT-Xが観られる環境にある人には、ぜひ来月からの放送を観て欲しい。
 AT-Xが観られない人は、とりあえずレンタルDVDを1本借りる事をお勧めする。どの巻も外れ無しで、必ず楽しめる事は請け合いだ。店頭に本作を置いているレンタル店は非常に少ないと思われるが、ネットレンタルで借りる事が出来る。
 ネットレンタルも面倒くさいけどちょっと観てみたいと言う人は、近所のBOOK OFFを覗いてみるといい。「アニメの王国」シリーズの1巻として発売されたDVDが105円~500円くらいでよく売っている。私も、本作とのファーストコンタクトは「アニメの王国」版DVDで、これに収録されていた4話分に衝撃を受けて、ネットレンタルで正規版DVDを借りて全話を観てしまった。

 65話全てに見どころが満載だが、あえて印象的なエピソードを挙げるとすると、



 ・謎の美少年
 ・戦慄!悪魔の病院
 ・恐怖!精神病院
 ・頭の中にダイナマイト
 ・ハイジャックをやっつけろ
 ・殺人レコード 恐怖のメロディ
 ・闇夜に消えた大仏



 このあたりが特にすごい。
 「頭の中にダイナマイト」はサブタイトルに笑った上で、本編の情け容赦ないオチにさらに笑えるお得な一編。「恐怖!精神病院」は、昔の典型的な精神病患者の描写があり、AT-Xでも放映は難しいのではないだろうかと、今から心配だ。
 「闇夜に消えた大仏」は全く迫力のない大仏の声が最高。「殺人レコード 恐怖のメロディー」は、「アニメの王国」版の1本目に収録されていた話で、これを観たからこそ本作にはまったと言える、記念すべきエピソードだ。それだけに、話の狂いっぷりもすごい。


 と、書いていたらきりがないので、このくらいにしておこう。
 古いアニメはたくさんあるが、その中から本作を知って、そして観る事が出来てよかった。チープな作り故の笑いと言う点では昨日のエントリで触れた「パンダラブー」に近いものがある。どちらも、狙って作っていない故の狂気が素晴らしい。


 それにしても、CSとは言え今になってこの「チャージマン研!」が全国放送されるなんて、すごい事だ。昔からAT-Xはナック作品を多く放送しているが、まさか本作が来るとは夢にも思わなかった。
 ついでに書いておくと、同時期にやはりナック作品の「スーキャット」もAT-Xで放映される予定になっている。両作品とも、近年に全話DVD化が実現しており、それがCSでの放送にもつながったのだろう。

 ナック作品のDVDは杜撰な作りをよく指摘されるが、こんなマイナーアニメが容易に観られるようになったのだから、それだけでも功績は大としたい。「スーキャット」「チャージマン研!」「アストロガンガー」「まんが水戸黄門」と言ったDVD-BOXのラインナップを見ると、はたして利益が出ているのか心配になってしまう。何作もDVD-BOX化が続いているのだから、全く儲かっていない事はなさそうだが。
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