「のび太のハチャメチャ入学式」に思うこと

 わさドラに、「のび太のハチャメチャ入学式」というアニメオリジナルエピソードがある。
 ジャイアンの言葉として有名な、「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」(原作の初出エピソードは、てんコミ33巻「横取りジャイアンをこらしめよう」)には実は隠された秘話があったのだという設定を後付けした話であり、それゆえに一部で語り継がれている。
 ただ、原作者の藤子・F・不二雄先生が関与しないアニメオリジナルのエピソードであったことから、「勝手にアニメスタッフが後付けした」と原作ファンからは不評を買っている面もある。

 個人的には、大山ドラとわさドラを合わせて数千話にもなるアニメ『ドラえもん』で、1本くらいこう言う話があってもいいとは思うのだが、アニメスタッフが下手を打ったなと思うのは、ネタとして使った発言が有名すぎたことだと思う。
 いわゆる「ジャイアニズム」の象徴とも言える発言だけに、アニメオリジナルとは言え扱いはもうちょっと慎重であるべきだったと思うのだ。これが、もっとマイナーな発言、たとえば「おれが悪いことすると、おこるんだ」(てんコミ33巻から適当に拾った)とかだったら、別に原作ファンも特になんとも思わなかったのではないか。

 今回、この記事を書くにあたって、本放送当時の自分の反応はどうだったのかと思ってX(旧ツイッター)のログをさかのぼってみたのだが、放送当日、私はなんの発言もしていなかった。どうやら、それほど重要なエピソードとは思わなかったらしい。
 それに、この話の当初の放送予定日は2011年3月11日、つまり東北の大震災が起こった当日であり、そのため当然ながら報道特別番組で『ドラえもん』は休止になり、同年3月25日に振り替え放送されたのだ。
 つまり、まだまだ地震の影響が大きく残る時期であり、たとえ直接の被災者でなくても、まだまだ余裕のない頃だった。ちなみに、前週3月18日の『ドラえもん』はスポンサーなしで放送されており、その一週間後にあたるこの回もまだスポンサーが完全に戻っておらず、ACで時間が穴埋めされていた。
 そんな時期だったからか、本放送時はあまり話題にはならなかったような気がする。このエピソードは長尺の中編であるためこれまでは再放送もなく、本放送かレンタルDVDでなければ観られないので、後になってDVDで観た人が注目したのかもしれない。

 繰り返しになるが、私としてはこのエピソードの存在を否定することはしたくない。
 先ほども書いたが、何千話もある中のたった1話なのだ。それこそ、原作付きでもたまに感動路線のエピソードはあるので、アニメオリジナルでそれをやってはいけないと言うことはない。
 ただ、やっぱりネタに使う言葉の選定で下手を打った感は否めず、どうにももやもやした気持ちであるのも正直なところだ。それに、この話を観て「おまえのものは~」の由来が原作からこうなのだと思われてしまうのも、ちょっと違う気はする。

 しかし、アニメの楽しみ方は人それぞれだ。原作がこう、オリジナルがこうと知って楽しむ人もいれば、そうでなくアニメだけを観て楽しむ人もいるだろう。自分も『ドラえもん』という作品を離れれば、後者の立場になることはある。だからこそ、それを否定したくはない。
 結局、この記事で言いたかったのはなんだったのだろう。とりあえず、原作『ドラえもん』がもっともっと多くの人に広まればいいなあ(無難な感じに締めた)。
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