てんコミ『オバケのQ太郎』1・2巻 発売!

 本日、てんとう虫コミックス版『オバケのQ太郎』第1巻・第2巻が発売された。





 てんコミとして新たなデザインの『オバQ』が出るのは、旧バージョンの<傑作選>全6巻のシンエイ版アニメに合わせた新装丁版以来だから、1985年から数えて実に30年ぶりと言うことになる。
 さらに言えば、今回の『オバQ』は、これまでに刊行された<傑作選>全6巻の復刊ではない。『オバQ』最初の単行本である虫プロ商事刊の虫コミックス版全12巻をてんとう虫コミックスとして新たな装丁で復刊したものなのだ。当然、今までのてんコミよりも収録作品数は豊富で、より多くの『オバQ』が楽しめる。

 『オバQ』の単行本は、てんコミとしては30年ぶりだが、それ以外ではすでに「藤子・F・不二雄大全集」の一部として、全12巻が2009年から刊行されている。
 しかし、あくまで大全集はマニア向けの書籍だし、A5判でページ数も多くて値段も高いので、気軽に読むには向いていない。私は、気楽に読める『オバQ』入門編のような本の刊行を希望していたので、今回のてんコミ新刊は、まさにそれが叶った形で、実にうれしい。
 もちろん、『オバQ』は大全集に確認されている全話が収録されているので、てんコミは既読の作品ばかりなのだが、それでも新刊として読むと、不思議と新鮮な気持ちで作品に接することができる。寝っ転がって気楽に読めるのも新書判のいいところだ。

 さて、ここからは個人的に気になる点があるので、それを書いておく。
 カバー、白すぎるのではないだろうか。帯があってかろうじて色がついているが、カバーがおとなしすぎる感は否めない。せめて、タイトルロゴとQちゃんの体(と言うか、くちびる)には、色をつけてもよかったと思う。

 どうなるのかと気になっていた虫コミ伝統のカバー裏の企画がそのまま復刻された点は非常にポイントが高い。よくて、本文で復刻するくらいがせいぜいだと思っていた。さらに、カバー袖の藤子先生の言葉も再録されており、細かい部分で作り手の愛情を感じることができる本になっていると思う。それだけに、カバーが地味すぎる点は惜しい。





 それはともかく、今回の『オバQ』新刊、ぜひ多くの人に手にとってもらえればと期待している。
 時事ネタなどは残念ながら古びてしまっているが、『オバQ』の面白さの多くは言葉のやりとりの妙にあり、それは今読んでも十分に笑えると思うからだ。
 そして、てんコミで『オバQ』の面白さに目覚めて、もっとたくさん『オバQ』が読みたいと思った時は、藤子・F・不二雄大全集に手を出すのもいいだろう。少々値は張るが、何しろ確認されているすべての『オバQ』が収録されているのだから、読み応えは抜群だ。





 最後に、新旧てんコミ『オバQ』で記念撮影。ここは、本来なら虫コミ版と並べるべきなのだろうけど、私は持っていないので仕方がない。
 それにしても、今後はてんコミの新旧『オバQ』をどう呼ぶかで迷うな。今までは全6巻の旧装丁新装丁で区別できたけど、今回新たに三つ目のバージョンが生まれてしまったので、どう略したらいいのだろう。
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