『映画ドラえもん のび太の 月面探査記』感想

 今年の映画ドラえもんは、これまででいちばん公開日が早く、3月1日の公開だった。翌日の2日には、公開された『映画ドラえもん のび太の 月面探査記』を観てきたので、例年通りこのブログに感想を書いておく。ここからの文章には映画の内容に触れる箇所があるので、未見の方はご注意ください


 まず、先に書いておくと、今年の映画は非常によかった。
 昨年の『のび太の宝島』は、個人的に「ストーリーがあまりに王道すぎた」ためにひねりがなくて、その点であまり楽しめなかったのだが、今作はちゃんと「ひねり」の展開が入っていたので後半に意外な展開で驚くことができて、非常に楽しめた。私がドラえもん映画に求めているのは、これなのだ。
 思い返せば、原作大長編ありのドラえもん映画でも、『のび太の大魔境』の「十人の外国人」や、『のび太と竜の騎士』の「聖域はドラえもんが作った」などの、結末であっと言わされる展開が好きだった。ここで挙げていない作品でも、藤子・F・不二雄先生は何らかの「おどろき」をストーリーに仕込んでいたように思う。

 で、今年の「ひねり」として面白かったのが何かと言えば、やはり「定説バッジ」の存在だろう。
 この定説バッジについては、まじめに考え始めると非常に謎の多い存在だと思う。そもそも、異説クラブメンバーズバッジ(とマイク)の存在によって成り立っているはずのノビットが作ったものなのだから、当然定説バッジ自体の存在も異説クラブメンバーズバッジがなくては成り立たないのか、とか、定説バッジと異説クラブメンバーズバッジの二重使用をしたらどうなるのか、とか、疑問は色々とわいてくる。
 それを、小さな子供にもわかりやすく見せようとして、今作ではノビットの作るものは「あべこべ」であることを何度も描いて強調しているのだ。脚本・演出ともに非常に入念な積み重ねがなされており、本来ドラえもん映画が子供のためのものであることをきちんとわかった上で作っているという点で、今作のスタッフは非常に信頼できる。

 さて、物語の要となる仕掛けについて先に触れてしまったが、全体のストーリーもよくできていた。
 短編「異説クラブメンバーズバッジ」をベースとしながら、カグヤ星の物語を織りまぜることで、見事に長編映画として成り立っていた。観ていて、どのようにカグヤ星が話に関わってくるのかあまり予想が付かなかったので、終盤までハラハラして楽しんで観ることができた。
 また、ストーリーもさることながら、今作では画面の隅にまでスタッフの遊び心が現れており、その点でも楽しめた。序盤は、映画ドラえもんとしては珍しく、学校が主な舞台となっていたので、のび太のクラスメートたちも勢揃いと言っていいほどたくさん登場しており、その中でも短編原作では一度しか登場していない「クラスでいちばんエッチなやつ」(本名不明)が、やけに存在感を発揮していたのが特に印象的だった。他にも、多目くんやクラスで二番のガリベンくん、あばら谷くんなどのび太のクラスメートに関しては、誰が出ているか探す楽しみもあると言えよう。早くも、映像ソフトの発売が楽しみな理由のひとつでもある。

 そして、本作のゲストとしてはルカをはじめとするエスパル11人とカメのモゾ、ノビットを含むムービットたちがいる。
 エスパルに関しては、ルカ・ルナ・アル以外の8人に関しては正直あまり印象にないのだが、これは11人もいれば仕方のないところだろう。それよりも、ともにマスコット的キャラとして描かれているノビットとモゾが、それぞれを食いあうこともなく、ちゃんと二人とも存在意義のあるキャラとして描かれていた点には感心させられた。
 それでいて、ノビットもモゾも、物語の終盤には単なるマスコットの枠を超えた活躍をするのだから、非常に周到なキャラクター配置だと思う。

 それに対して、敵キャラクターの親玉として登場するディアボロは、カグヤ星の破壊兵器そのものが意思を持った機械だった。これは、ドラえもんたちにカグヤ星人とはいえ生身の人間を倒させるわけには行かないという事情もあるのかもしれない。なんにせよ、最後の最後までしぶとい悪役として、印象には残るキャラクターだった。
 ちょっと残念だったのは、ゴダートの部下の扱いだ。ゴダートを裏切ったタラバなど、結局どうなったのかは描かれずじまいだった。まあ、どうせ「わすれろ草」で全てわすれさせられるだけだったのだろうが。

 ところで、映画前作の『のび太の宝島』あたりから際立ってきたように思うのだが、「ドラえもんの道具についていちいち説明しない」という点は、今回ちょっと気になった。
 はっきり言うと「地平線テープ作戦」だ。もちろん、原作の「地平線テープ」を読んでいれば、どんな作戦なのかはわかるのだが、これを全く説明なしで流してしまったのは、ちょっとひっかかった。とは言え、いちいち地平線テープの説明を入れるわけには行かない展開であるのもわかるし、難しいところではある。

 ついでに言っておけば、この映画に突っ込みどころがないわけではない。定説バッジをどうやって短期間で大量生産したのか、ドラえもんがなぜ宇宙船を気球型に改造したのか、ルカはどうやって転校してきたのか(これに関しては、小説版で言及あり)など。ただ、これらの突っ込みどころすら、スタッフが意図的に用意したもののような気もしてくるのだ。今作のスタッフならそれくらいはやりかねない、そんな気もする。

 ともかく、今作が映画ドラえもんのオリジナル作品ではひとつの頂点となった、そんな作品だと思う。来年の映画がどんな作品になるのか、それはまだわからない(おまけ映像を見ても、本当に予想が難しいのだ。「竜の騎士」リメイクなのか、「恐竜」再リメイクか、それともオリジナル?)が、もしオリジナル作品だとしたら、今作を超えるのはなかなか難しいだろう。
 なお、今作は小説版も読んだが、実際の映画との差異はあまりなかった。この小説版が、映画からさらにフィードバックされているのかどうかはわからないが、元の脚本の完成度が高かったのは間違いないだろう。ルカとのび太の最後のかけっこは、映画でも観たかった気はするが。
 と、言ったところで本稿は終わる。今作は、誰にでも勧められる「ドラえもん映画」だった、と最後に言っておこう。
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『オヤジ坊太郎』作品リストを作成

 ある日、ふとアニメ『ビリ犬』の放映リストを作ろうと思い立った。
 『ビリ犬』のリストは、Wikipediaをはじめとしていくつか公開されているが、いずれにも若干のミスが見受けられ、以前から気になっていたのだ。また、なんとなく「なんらかのリストを作りたい」という欲求がわき上がっていた時期でもあった。
 都合よく、手元には本放送と同じ内容と思われるテレ朝チャンネルの録画があったので、そのオープニング・クレジットを元にしてリストを作成したのだ。

 話は、それで終わらない。アニメのリストを作ったら、今度は漫画のリストだと言うことで、藤子不二雄先生のなんらかの漫画作品のリストを作ろうと思ったのだ。
 藤子先生と言っても、F先生の作品については、すでに大全集が出ており、一通り作品情報は調べられたあとだ。リストを作るなら、A先生の作品であろう。と、言うことで、『オヤジ坊太郎』のリストを作ることに決めた。
 なぜ『オヤジ坊太郎』かと言うと、これが初出情報のはっきりしていない作品だったからだ。一応、藤子不二雄ランドで刊行されているが、それは単行本2巻分にとどまり、作品全体の半分以上は初出がわからない状態のままだったのだ。
 また、はたして単行本未収録エピソードが存在するかというのも気になるところだった。と言うのも、連載回数81回に対して、単行本に収録されているエピソードの合計は76話であり、連載途中での再録や休載がない限り、単純計算で5話の未収録話があるはずだからだ。
 ともかく、これらの全てを明らかにするために、『オヤジ坊太郎』の全初出誌をチェックすることにしたのだ。

 まず調査の最初は、地元・大阪に存在する国際児童文学館からだ。
 国際児童文学館は、昔は吹田の万博公園の中にあったが、現在は大阪府立中央図書館の中に存在している。それに伴い、資料の貸し出しが事前の予約制になるなど、はっきり言って手続きがやや面倒になった。
 それはともかく、まずはここで連載期間中の「週刊少年キング」をあるだけ全て借り出したのだが、23冊しかチェックできなかった。これでは、3分の1にもならない。そこで、他の図書館での所蔵状況を調べたのだが、まず関西の図書館にはまるで無いことが分かった。そうなると、次は関東だが、これも無料で借りられるところは全滅だった。国会図書館・多摩図書館など『オヤジ坊太郎』連載期間中の「週刊少年キング」に関しては、ほとんど所蔵がないのだ。

 と、言うわけで最終手段として、現代マンガ図書館を利用することにした。
 ここは、利用料が貸し出し一冊に付き100円かかるので、できればあまり使いたくはなかったのだが、他においていないのなら仕方が無い。意を決して、先日行ってきたというわけだ。
 現代マンガ図書館は初めて利用したのだが、想像していたよりはこぢんまりとした施設だった。現在は明治大学の施設だが、元々は個人運営だったのだから、考えてみればそんなに大がかりなわけはないのだが。
 ともかく、ここでの調査ははかどった。国際児童文学館でチェックできなかった分を46冊も読むことができたのだ。おかげで、入館料300円+閲覧料4,600円=合計4,900円もかかってしまったが。

 そんなわけで、とりあえず作成したリストがこれだ。
 このリストを見るとわかるが、結局単行本未収録話は3話だった。初出時に2話だったエピソードが、単行本で1話にまとめられているケースが2つあったからだ。未収録は「キョーレツ! フトンたたきゲーム」「フトンたたき大ブーム!!」「おれたちゃ自転車暴走族」の3本。
 前2話は藤子作品でおなじみである「フトンたたきゲーム」を題材にしたもの。『ドラえもん』『新オバケのQ太郎』『ウルトラB』と、両先生の作品でネタにされていることからも、藤子先生にとって特別な思い入れのある遊びであることはわかる。そんな話が、なぜ未収録になったのだろう。
 「おれたちゃ自転車暴走族」も、別に内容的に問題のある話ではない。むしろ「ナチスをたおせ!!」(タイトルで察して下さい)や「サルマネコング大暴れ!」(人食い人種が登場)などの方がやばそうな気がするのだが、これらは普通に単行本に入っているのだから、実にふしぎだ。
 もう一つ、特筆すべきなのは、単行本『新オヤジ坊太郎』で最終話として収録されていた「10億円犯人を追え!!」が、実は最終話ではなく連載一周年記念として発表されたオールスター登場の前後編だったことだ。坊太郎の秘密の一端が明かされており、最終回らしいと言える話なので、これは意外だった。そうなると、真の最終回は一体どの話なのか、まだ最終回の初出誌が確認できていないので、実に気になるところだ。

 ともかく、未調査の残りは11話。これについては、全国各地の図書館を探すとともに、古書で売られていれば購入するなどして、今後も調査を進めたい。
 今回は、単行本未収録話が確定しただけでも、成果はあったと言えよう。需要がどれだけあるのかは、はなはだ疑問だが。
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『どろろ』新作アニメがスタート

『どろろ』原作および旧作アニメの展開と結末を明かしていますので、ご注意下さい

 当ブログ、新年一回目の更新だ。

 年が明けて、テレビアニメの新番組が次々と始まったが、その中の一つに手塚治虫原作『どろろ』がある。
 『どろろ』は、1969年にも虫プロダクションによって一度アニメ化されており、だから今回の新作は厳密に言えば「第2作」ということになる。

 その新作『どろろ』だが、今のところ放映された第2話までを観た限りでは、なかなかいい感じだ。
 本作の主人公の一人・百鬼丸は父・醍醐景光と魔物との契約によって体の四十八カ所を奪われた状態で生まれてきたという過酷な運命を背負っており、それ故に非常にインパクトがあるのだが、この設定は今の時代に再アニメ化は難しいのではないかと思っていた。
 しかし、本作では、醍醐景光と魔物との契約から百鬼丸の誕生までをしっかりと描いており、スタッフの本気度が伝わってくる第1話であった。もちろん、現代で『どろろ』をやる以上、多くの制約があろう事は容易に推察できるが、少なくとも観ている間はそういったことを感じさせないような話作りになっていたと思う。

 この『どろろ』という作品、主人公の一人は百鬼丸だが、もう一人の「どろろ」を忘れてはならない。
 百鬼丸とは違った意味で、どろろも過酷な人生を送っているが、これまで放映された第2話まででは、まだそれは語られてはいない。オープニングアニメではどろろの両親も登場しているので、いずれは触れられるのであろう。

 と、いった感じにいい具合に始まった『どろろ』だが、私が一番注目しているのは、締めくくりをはたしてどうするのかだ。

 『どろろ』は元々、週刊少年サンデーで連載された漫画だが、同誌では妖怪退治から宝探しに路線変更(伏線はあったが)したあげくに、宝は見つからず百鬼丸の体も完全には戻らないという中途半端な状態で連載終了してしまっている。
 その後、虫プロによる旧作アニメの放映に合わせて、「冒険王」で再び連載されることになるが、アニメとのタイアップ連載であるため、半年間で終了。現在、単行本で最終話として収録されているのはこの「冒険王」版の最終話である「ぬえの巻」と言うことになる。
 だが、この「ぬえの巻」でも、一揆は成功して醍醐景光は追放されるものの、百鬼丸の体は不完全なままでどろろとの別れを選ぶことになる。結局、『どろろ』は未完の作品なのだ。

 それに対して、旧作アニメは最終話のサブタイトルが「最後の妖怪」であり、四十八匹の魔物全てを最終話で倒したことになっている。
 「最後の妖怪」は、原作の「ぬえの巻」をベースに制作されたと思われる半アニメオリジナルのストーリーで、父・醍醐景光こそが最後の魔物となっていたという皮肉な展開となっている。
 いずれにしても最後は百鬼丸とどろろの別れで締めくくられるが、原作よりは旧作アニメの方がしっかり完結している。
 なお、旧作アニメは原作のうちで路線変更して宝探しがメインになった「週刊少年サンデー」掲載の後半分はアニメ化しておらず、最後まで妖怪退治メインの物語を貫いている。その点でも、一貫性のある作品と言えるだろう。
 と言っても、旧作アニメは第1クールはほぼ原作そのままのアニメ化(脚本なしで直接コンテを切る手法で制作)であったが、第2クールは『どろろと百鬼丸』とタイトルが変更されて1話完結となり、アニメオリジナルのストーリーも増えるなど、スタッフの苦労がうかがえる路線変更はあったのだが。

 ちなみに、「冒険王」掲載の最初の2回は「週刊少年サンデー」掲載文を改訂・再構成した内容であったが、そこでは「どろろは、百鬼丸から奪った体を使って作られた」という驚きの設定が追加されている。つまり、四十八匹の魔物をいちいち倒さなくても、どろろを殺せば百鬼丸の体は元に戻るのだ。
 これは、百鬼丸とどろろの関係に緊張感を持たせるための設定変更だと思われるが、単行本ではカットされているし、旧作アニメでも使われていない。今回の新作がどうするかは注目点だが、さすがにこんなマイナーなところからネタは拾わないだろう。第一、魔物を倒して百鬼丸の体の一部が元に戻っても、それでどろろの体がどうにかなるわけではないので、無理がありすぎる。

 今回、旧作アニメについて色々と言及したが、旧作アニメはDVD-BOXがリーズナブルな価格で発売されている(実売6,000円台くらい)ので、新作を観て興味を持たれた方は、ぜひご覧になるといいと思う。
 DVD-BOXだけでなく、各種アニメ配信でも観ることは出来るが、DVD-BOXは解説書が非常に充実しており、特にエンディング・クレジットはこれを読まないとわからないので、個人的にはDVD-BOXの方をお薦めしたい。

 さらに、せっかくだから原作についても言及しておこう。
 『どろろ』の原作はこれまで何度も単行本化されているが、初代の単行本である秋田書店のサンデーコミックス版がまだ現役だ。だから、そちらを読んでもいいのだが、サンデー・コミックスは一部のエピソードの順番が入れ替えられている(理由は不明)ので、初出順通りに読みたいのであれば、手塚治虫漫画全集か手塚治虫文庫全集(現在は、後者の方が手に入りやすいか)を選んだ方がいいだろう。
 原作を初出版で読みたい場合は、国書刊行会から「手塚治虫トレジャー・ボックス」と言うシリーズで『どろろ』も出ているが、気軽に手を出せるような価格ではない。せめて、セリフだけでも初出に近い状態で読みたい場合は、サンデーコミックスの古い版を探すといい。現在では「差別用語」とされて変更されているようなセリフが普通に載っている。こちらなら、古書価も初版でない限りはそんなに高くはなっていないはずだ。

 ともかく、新作アニメ『どろろ』は、まだ始まったばかりだ。
 これから、原作のどの要素が拾われて、どのように構成されるか。また、はたしてアニメオリジナルの妖怪は出てくるのか、など興味は尽きない。1クールで終わるのはもったいない気はするが、3ヶ月間注目して観ていきたい。
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2018年の終わりに

 今年も、もうあとわずかで終わりを迎える。
 そこで、このブログでは、例年通りに私自身の今年一年を振り返ってみたいと思う。

 まず、今年の私にとって痛恨事だったのは、なんと言ってもホームページを一度も更新できなかったこと。
 特に、今年後半にかけて「ドラちゃんのおへや」に、信じられないくらい大量の貴重な情報提供があっただけに、最低でも一度は更新したいと思っていたのだが、それが果たせなかった。
 情報を下さった方々には申し訳ないことであるし、私自身としても更新を多くの方に観ていただきたいと思っていたので、非常に残念だ。
 現時点で、更新準備の作業は7割ほどは終わっているので、何とか年度が替わるまでには一度更新するつもりではある。それまで、今しばらくお待ち下さい。

 趣味のマンガ・アニメ関連では、今年も色々とあったが、手塚治虫作品は今年も色々と復刻が盛んで、特に『ダスト18』の刊行は長年待っていただけに、非常に嬉しかった。これを出した立東舎では、さらに続けて『アラバスター』のオリジナル版まで出しており、個人的に今手塚作品の復刻で一番注目している出版社だ。某社より定価が安いのもありがたい。
 それでは、藤子不二雄関連はどうだったか。昨年に続いててんとう虫コミックスで藤子・F・不二雄作品が刊行されたが、あくまでこれまで出た物の新装版であり、あまり新鮮みはない。F作品は全集が出てしまっている以上、「初単行本化」で売ることも(ほぼ)できないので、単行本を企画する人も大変なんだろうな。てんコミ新装版も一段落して(まだ『バケルくん』『みきおとミキオ』は出ていないが)、今後はどんな藤子・F単行本が出るのか、来年に注目したい。
 藤子A作品に関しては、なんと言っても『わが名はXくん』全3巻の刊行につきる。よくぞ出して下さったというしかない。ほぼ全編未読だったので本当に嬉しかったし、作品としても面白かった。今後、未単行本化のA作品のさらなる刊行を期待せずにはいられない。
 単行本以外では、藤子不二雄A展が開かれたのも記憶に新しい。と言うか、私はまさに昨日ようやく行ったところだ。やはり、東京のイベントは行くタイミングが難しい。藤子A展は原画展示は少なめだが、各作品ごとに趣向を凝らした展示がされていて、なかなかに楽しめた。一つだけ残念な点があるとしたら、マイナー作品があまり取り上げられていなかったところだ。『仮面太郎』や『マボロシ変太夫』あたりも展示があったら嬉しかったのだが、そこまで求めるのは贅沢なのかもしれない。

 アニメ関連では、今年も多くの(と言うほどでもないか)作品に接したが、今年一番の作品は何だったかと聞かれたら、1~3月に放映された『宇宙よりも遠い場所』になる。久々にブルーレイソフトも揃えたし、8月に開催されたイベントにも参加した。全13話を、すでに3周しているくらいには気に入った作品だ。
 個人の印象だが、今年いいなと思ったテレビアニメは1~3月期と10~12月期に集中していた。4~9月も面白い作品がなかったわけではないが。特に、1~3月期は『宇宙よりも遠い場所』のようなストーリーと演出で見せるような作品があった一方で、『ポプテピピック』のようなテレビアニメの枠を飛び出した何でもありの作品もあり、非常にバラエティ豊かだったと思う。
 ところで、特に今年後半は録画だけしておいて未見のままという作品も増えている。HDD容量に余裕が出来るのも、いいことばかりじゃないな。このまま、来年になっても観るかどうかは怪しいのだが、来年はこういうことはあまりしないようにしたい。たいした量じゃないとは言っても、録画するにも電気がいるのだ。非常にムダなことをしているような気分になってしまう。

 そして、来年の目標の一つとしては、パソコンを新調したいというのがある。
 今年、何度も主に起動のトラブルに見舞われて、特に年末に向かうにつれて不調が多く見られるようになっており、数年前に組んだ現PCが、限界に来ているような気がするのだ。
 準備できる予算は多く見積もっても12万円くらいか。予算の枠内で、納得できるものが組めればいいのだが。なお、メインPCと別にある録画用PCは非常に安定しており、特に問題はない。とりあえず、Windows7のサポートが切れるまで、録画用はこのままにしておくことになるだろう。


 と、いった感じで、今年を振り返りつつ来年についても言及してみた。
 ともかく、今年一年ありがとうございました。皆様、よいお年をお迎え下さい。
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『三つ目がとおる』《オリジナル版》大全集、完結

 三ヶ月も、このブログの更新をお休みしてしまった。
 基本的に、このブログは一ヶ月に一度の更新を目安にしているのだが、最近は体調を崩したり忙しかったりと色々と重なったために、10月・11月は更新できなかったのだ。
 そんなわけで、三ヶ月ぶりの更新ではあるが、ネタは10月に用意していたものなので、若干旧聞に属する感はあるかもしれない。その点は、ご了承ください。

 さて、10月に『三つ目がとおる』《オリジナル版》大全集の第8巻が刊行されて、これで全8巻が揃うこととなった。
 刊行が開始されたのが昨年8月なので、足かけ1年と2ヶ月に及んだわけだが、無事に全巻が揃って非常に喜ばしい。

 この《オリジナル版》大全集は、なんと言っても『週刊少年マガジン』掲載時の状態で作品が読めるというのが最大の売りであったわけだが、連載の前半はやたらと雑誌→単行本で修正が多かったのに対して、後半になるとそうでもなくなり、雑誌と単行本の差異はせいぜい扉絵と広告の有無くらいになっていった。
 『三つ目がとおる』は7本の長編エピソードが存在するが、連載順にそれらを並べて雑誌→単行本の改変度を私の主観で示すと、


・「三つ目族の謎編」◎
・「グリーブの秘密編」○
・「怪植物ボルボック編」△
・「イースター島航海編」○
・「古代王子ゴダル編」△
・「地下の都編」△
・「怪鳥モア編」△


と、なる。◎が一番改変の度合いが激しく、次に○、そして△が一番改変が少ないという具合だ。
 一番最初の長編「三つ目族の謎編」は、週刊連載の最初期にも当たるためか、実にダイナミックな改変が行われており、続く「グリーブの秘密編」もそれに準じるので、「手塚治虫の編集癖」目当てで読むには、この《オリジナル版》大全集の1~3巻が一番面白いだろう。
 逆に言えば、4巻以降はそれほど改変が激しくないので、単に作品を楽しみたいだけなら既発の単行本でも十分だ。「イースター島航海編」はけっこう変わっているが、これに関しても《オリジナル版》大全集以前にKCDXで単発で雑誌掲載版が出ているので、そちらを読むという選択肢もある。
 ただ、この《オリジナル版》大全集は原稿+雑誌復刻の「コラージュ方式」を採用しているので、雑誌サイズできれいな絵で見られるというのは利点なのかもしれない。

 『三つ目がとおる』は長編だけでなく1話完結の短編エピソードも描かれているが、こちらに関しては雑誌→単行本での改変は、あまりない。目を引かれるのは「キャンプに蛇がやってきた」と、最終話「スマッシュでさよなら」くらいだろうか。
 特に「スマッシュでさよなら」は、最終話ならではの趣向がいくつかあるにもかかわらず、単行本ではそれらを外した形に改変されており、今回の《オリジナル版》大全集で、ようやく最終回らしい最終回として読むことができるようになったと言っていいだろう。
 なぜそんなことになっているのかと考えると、最初に「スマッシュでさよなら」が収録された手塚治虫漫画全集版の第13巻では、なぜか巻末ではなく全7話中の第5話という中途半端な位置に収録されており、そのため最終回らしさを消すことになったのだと思われる。
 しかし、そんな収録位置を決めたのも手塚先生であろうし、なぜそんなことをしたのかはもはや永遠の謎と言うほかない。

 と、言うわけで全8巻が揃った『三つ目がとおる』《オリジナル版》大全集。読み応えのある本であることは間違いない。今後も、面白い手塚作品雑誌連載版の復刻が続けばいいなあと思っているのだが、最近の復刊ドットコムは『奇子』『MW』『人間昆虫記』『I・L』と、大人向けの比較的単行本での修正が少ない作品ばかり出しており、これらにはあまり惹かれない。
 そんな中で、立東舎は『ダスト18』『アラバスター』と、手塚治虫の悩める時期の問題作を立て続けに雑誌連載版で刊行しており、非常に頼もしい。この流れだと『サンダーマスク』とか『ブルンガ一世』あたりも出るんだろうか。
 個人的には『マグマ大使』のサイクロップス編も含めた雑誌連載完全版をぜひ出してほしいが、代筆が多いと言うことで難しいんだろう。もし実現したら、どの出版社でも間違いなく買うのだが。
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