『藤子・F・不二雄大全集』更に続報

『藤子・F・不二雄大全集』公式サイト


 『藤子・F・不二雄大全集』公式サイトが、更に更新された。こんなに早く9・10月刊行分の収録内容が公開されるとは思わなかった。

 9・10月刊行分のポイントは、


 ・『パーマン』第2巻最終話は「スーパー星への道」
 ・『オバケのQ太郎』第2巻に「ゆうれい」収録
 ・『ドラえもん』第3巻に「クルパーでんぱ」ほかガチャ子登場話収録


このあたりか。

 中でも、『パーマン』最終話がどうなるかは気になっていたのだが、タイトルが「スーパー星への道」になっている以上、初出版もしくは虫コミ、ホームコミックス版のいずれかを収録するのだろう。
 てんコミ収録時に大幅に描き足し・描き直しが行われた「バード星への道」は、「スーパー星への道」とは別物と言っていい。私はシンエイアニメ版放映前に「コロコロコミック」で再録された「スーパー星への道」を読んでいたので、てんコミで「バード星への道」を読んだ時には違いに驚いた。新作漫画と一緒に収録する最終話としては「バード星への道」も悪くはないが、それによって元のバージョンが読めなくなったのは残念だった。だから、今回の全集第2巻はかなり楽しみだ。
 おそらく「バード星への道」も、新作版最終話としてあらためて全集『パーマン』最終第8巻あたりに収録されるのだろう。この話はてんコミ版とFFランド版の2種類(厳密に言えば、微妙にセリフの違うコロコロ文庫版を入れて3種類)が存在する。後者ではパー坊の登場するコマが復刻により復活しているが、「新作の最終話」として収録するのだから、てんコミ版が選ばれると思う。パー坊は「スーパー星への道」に出番があるのだし。
 なお、第2巻巻末には「帰ってきたパーマン」が単行本初収録となるが、これはあくまで旧作の後日談なので、ミツ夫とスミレがどうこうと言った展開は全くない。そのあたりを期待されている方がいらっしゃるかもしれないので、念のため。

 次に『オバQ』だが、「ゆうれい」はFFランドでは「ゆうれい村」のタイトルで収録された。
 ここで使われている「」は、単に「集落」「村」の意味であり、いわゆる被差別ではない。実際、FFランドで「村」に変えても問題なく意味は通っている。しかし、「村」の意味であっても現在は「」と言う単語を使う事そのものが避けられる傾向にある。
 FFランド版はF先生ご存命中の単行本だったので、今回も「ゆうれい村」のまま収録しても特に問題はないのだが、それをあえて「」に戻している点に、今回の全集の「本気」が感じられる。この分だと、少なくともF先生の死後に変えられた表現については、生前のバージョンに戻される事を期待してもよさそうだ。
 思えば、SF短編パーフェクト版での「言葉狩り」はひどかった。はたして全集の「ボノム =底抜けさん=」では「パン助」の復活はあるのだろうか。出るとしても第2期以降だろうけど。

 そして、『ドラえもん』。第2巻の収録内容が発表された時点で予測はしていたが、第3巻でガチャ子編の残り4話が完全収録される。それだけではなく、冒頭9話がことごとく単行本初収録なのが素晴らしい。個人的にはガチャ子編以外では「かべぬけき」もお勧めだ。ドラえもんが道具を使っていたずらをしまくる展開は初期でしか観られないもので、初めて読んだ時には新鮮さすら感じてしまった。
 「小学一年生」掲載分はカラーが多いので、出来ればそのままカラー収録して欲しいのだが、『エスパー魔美』と違ってアナウンスされていないから、モノクロ収録なのだろうか。収録の状態という点では、FFランド版は下手なトレスだった「ツチノコさがそう」も気になる。二コマだけあった描き足しが非常に浮いていたが、今回はどうなるのだろう。
 巻の最後が、のび太のささやかな成長を描いた「シャラガム」で締められるのは「学年繰り上がり収録」ならではで、やはり上手い収録方法だ。FFランドでは「ぼくももうすぐ中学生」のセリフに無理を感じたが、それも今回は自然に読める。



 この全集については何度かとりあげてきたが、新たな情報が出るたびに、刊行開始がより待ち遠しくなってしまう。このような全集だと、重度のファン・マニアは収録内容についてうるさい(自分を含む)ものだが、少なくとも現時点では素直に期待できる内容だ。実際刊行されたものを読んだら事前情報と違って「なんだこりゃ」…なんて事にならないように祈るばかりだ。
 そろそろ予約もしなければいけない。最初は近所の本屋で月払いにするつもりだったが、毎月取りに行くのも面倒くさいので、いっその事小学館公式の通販で一括払いにしてしまうか、迷っている。定額給付金がもう一ケタ多ければ、迷わず一括払いなのだが。なるべく早く決めてしまおう。
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「笹の葉ラプソディ」を観た

 『涼宮ハルヒの憂鬱』3年ぶりの新作エピソード、「笹の葉ラプソディ」をようやく観た。
 名古屋での放送は26日深夜の予定だが、サンテレビの映る実家に頼んだ録画のおかげで、先ほど観る事が出来た。全国的に見れば、すでに兵庫(&大阪)、埼玉、新潟、東京、神奈川で放送されているが、少なくとも名古屋市民としては、かなり早く観た方だろう。
 もっとも、名古屋にも、わざわざ遠征するほど気合いの入った人もいたようだが。私も、サンテレビが木曜でなく金曜深夜だったら実家に帰って観たかもしれないが、翌日も平日では難しい。


 とりあえず、「笹の葉ラプソディ」を観た証拠のキャプ画像を貼っておこう。
 「どうせ動画サイトで観たんだろう」と思われるのは癪なので、録画の最後に入っていたサンテレビからのお知らせも一緒に入れておく。さすがに某動画などでは、これは観られないだろう。







 話自体は、すでに原作を読んでいたせいもあり、特に観てびっくりと言うような事はなかったが、中一ハルヒはやや幼めの演技が可愛かったし、久々の眼鏡バージョン長門もよかった。作画に一部『けいおん!』チックなところも観られたが、紛れもなくテレビアニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』の新作であり、3年前のシリーズと同様に楽しめた。
 今回は、完全に時系列通りの放送だったから、今回の「あらためて放送」で初めてアニメの『ハルヒ』を観た人にとっては、自然に観られたのではないだろうか。

 私自身はアニメ(2006年本放送)→原作→アニメ(あらためて放送)の順番だったが、2006年のシリーズは時系列シャッフルだったおかげで原作短編1話分がまるまる抜けている事には気が付かなかった。「ミステリックサイン」での七夕云々のセリフも、「七夕がどうした?」とは思ったが、そのうちその話もやるのだろうと考えて聞き流していた。
 2006年のシリーズでは、他にも時系列順で見ると抜けている原作エピソードがあるが、今から考えると時系列シャッフルは上手いごまかし方だったと思う。原作付き作品をアニメ化する時、話数の都合などで一部のエピソードをカットして、辻褄を合わせる為に展開やセリフを改変する事が多い。そうなると、飛ばされた話を後から原作通りにアニメ化しようとすると更に矛盾が出てきて難しい。
 この「笹の葉ラプソディ」のように、再放送の間に新作を挟んでも問題なく話がつながるのは希有な例と言っていいだろう。3年前から第2期を見越してあの時系列シャッフル構成にしていたのだとしたら、大したものだ。


 それにしても、今回は作品の舞台(のモデル)となった地域が最速放送とは、偶然なのか角川の意向なのかはわからないが、後者だとしたらなかなか気が利いている。
 逆に、もし名古屋が地上波で一番遅いのも角川の意向だったとしたら怒るが。まあ、UHFアニメは各局がそれぞれの都合で編成するから、たまたまか。

 第8話での「笹の葉ラプソディ」放送はテレビ和歌山の番組表で事前に情報が漏れたが、はたして単純にテレビ和歌山のミスなのか、角川側が意図的に頼んだものなのかが気になるところだ。
 もしテレビ和歌山の件が無く、まったく事前情報無しで放送されていた場合はどうなっていたのだろう。全く情報が無く「時系列順なら今回は「笹の葉」のはずだ」と言う推測だけで、兵庫や埼玉に遠征してまで観ようとする人はいたのだろうか。『ハルヒ』なら、いても不思議はないか。



 今後も時系列順の放送なら、次の新作は「ミステリックサイン」「孤島症候群」の後だから、第12話になるのか。「エンドレスエイト」が来るのかな。これも楽しみだ。
 さすがに、名古屋でも放送される番組の録画を毎回実家に頼むのは気がひけるので、この手段は今回限りにしよう。5日遅れなんて、『けいおん!』の2週間遅れと比べたら、はるかにマシだ。
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もうすぐ「笹の葉ラプソディ」?

 もう少ししたら、サンテレビで『涼宮ハルヒの憂鬱』(「あらためて放送」版)の第8話が放送される。
 はたして、テレビ和歌山の番組表に載ったとおり、新作エピソード「笹の葉ラプソディ」が来るのだろうか。第7話までを時系列順で放送したからには、「笹の葉」を入れるならならここしかない。と言うか、せっかく放送し直すならここに「笹の葉」を挟まないと「ミステリックサイン」でのキョンのセリフ「三年前の七夕」云々が意味のないものになってしまう。本放送は時系列シャッフルだったから、さほど問題はなかったのだろうが。

 まあ、あと10分足らずではっきりする事だ。
 とりあえず、実家に録画を頼んであるので、「笹の葉」が放送されたとしても、明後日には観られる。なにしろ、名古屋テレビの『ハルヒ』はサンテレビから5日遅れで火曜深夜の放送なので、ここであと5日も待たされるのはつらい。
 話自体がだけでなく、OP・EDはどうなるか、次回予告はやっぱり無いのか、提供画面は実写のままなのか、など色々と気になる点があるので、今後はともかくとして、今回は出来るだけ早く観たいのだ。

 さて、3年ぶりの『ハルヒ』新作、はたして本当に放送されるのだろうか。なにか、予想もしないようなオチが待っていそうな気もする。どうなる事やら。



追記

 第8話は「笹の葉ラプソディ」で確定の模様。
 と言う事は、これまで既に言われていた通り、今回は時系列順で再放送と新作を混ぜて2クール放送するわけか。と、なると今後の構成も大体は想像が付くな。やはり、山場は『涼宮ハルヒの消失』かな。今後の放送が楽しみだ。

 ところで、今回の件は数日前からネットではかなりの話題になっていたが、それでも全ての人がネットを利用しているわけではないから、「あらためて放送」=「再放送」と思い込んで観なくなり、第8話を見逃した人もいそうだ。youtubeで公式配信もあるが、いずれにせよネットを利用しない人には関係ない。
 再来月あたりのアニメ誌に、この放送形式について観逃した人から苦情の投稿が載りそうな気がする。「再放送だと思っていたし、予告もないから新作があるなんて分かるわけありません!」と言う感じで。それはそれで、担当者がどうコメントを付けるのか、ちょっと読んでみたい。
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『手塚治虫漫画全集』第4期の思い出

 ここのところ何度も書いているが、『藤子・F・不二雄大全集』の刊行開始が待ち遠しい。
 今回のF全集に期待する事はたくさんあるが、細かい点を抜きにしても、大好きな漫画家の全集が長期間にわたって毎月発売され、その中には単行本未収録作品が多数含まれており、これまで読めなかった作品を読む事が出来るのだ。それだけで十分にワクワクする。


 昔も、こんな気持ちになった事があったと思い出されるのは、1993年1月から刊行された『手塚治虫漫画全集』の第4期だ。
 手塚全集第4期は、手塚先生の生前に刊行された1~3期300巻から漏れた作品と、第3期完結後に描かれた作品を対象に収録した「完結篇」であり、ここで初単行本化あるいは初復刻された作品も含まれていた(『アトムキャット』など)ので、当時第3期までの作品の大部分を読んでいた私にとっては待望の刊行開始だった。

 と言っても、今のようにネットで事前に情報を得る事はなく、ファンクラブに入っていたわけでもないので、私が第4期の刊行開始を知ったのは、第1回配本が発売になってからだった。
 それは、忘れもしない1993年1月17日。何の気無しに「週刊少年マガジン」を読んでいたら、広告ページに手塚全集第4期刊行開始の告知が出ているのを見つけた。「第1回配本 1月16日発売」の文字を見て「昨日じゃないか、もう出ているのか!」と慌てて本屋に急いだのを、よく覚えている。
 そして買ってきた第1回配本の『MW』第1巻と『アトムキャット』を既刊の全集の横に並べると、当たり前だがこの2冊だけがきれいで、まさに新たなスタートという感じがして期待に胸が高まった。

 第1回配本の2冊には、第5回配本までの予定と第4期全体の刊行予定作品を載せたチラシが挟み込まれていた。これは、今でも大切に取ってある。
 縦長のチラシなので、一部をご紹介しておく。









 刊行予定作品を見ると、初期単行本の『森の四剣士』『拳銃天使』『火星博士』や、初単行本化の『大地の顔役バギ』、第3期で中断して続きが気になっていた『魔神ガロン』第3巻以降など、読むのが楽しみなタイトルが満載だった。
 中には、『ミッドナイト』『プライム・ローズ』『七色いんこ』『火の鳥』など既刊の単行本を持っている作品もあったが、「全集」なのだから収録内容が他社とダブるのは当然で、これは仕方がない。
 ともかく、「(第3期までの)全集未収録作品が毎月読める」のだから、予定を見て期待に胸が高まった。

 ちなみに、第1回配本の『MW』は、元々は第3期で刊行予定だった作品で、予定の前月に予告も出ていたのだが、なぜか『ブッダ』に変更となった経緯があった。『MW』と『ブッダ』じゃ作品の方向性が正反対だ。『ブッダ』で14巻も使ってしまったせいで、他にも第3期開始当初にラインナップに入っていたにも関わらず、出なかった作品は多い。
 それを知っていたため、第4期の最初に『MW』が出たのは、これで仕切直しをして今度こそ第3期で出せなかった作品もちゃんと刊行するぞとのスタッフの意気込みのあらわれではないか、などと思ってしまった。


 『手塚治虫漫画全集』第4期(第301~400巻)が完結したのは、1997年12月。実に、丸5年間にわたっての刊行だった。
 月2冊配本だったから本来は4年で終わるはずだったが、途中からは1冊しか出ない月もあったため、刊行ペースが遅くなった。月1冊になった時に「このまま、ちゃんと続きが出るのだろうか」と、ちょっと不安になった覚えがある。
 第4期の終盤には漫画作品以外を収めた「別巻」も17冊刊行されたが、これは当初の刊行予定にはなかったものだ。この別巻との兼ね合いもあって、刊行作品の編成を組み直す必要があり、そのため月1冊にペースを落として出さざるを得なかったかも知れない。別巻以外では、『冒険ルビ』『ロストワールド 私家版』『ワンサくん』は、刊行開始当初の予定にはなかった作品だった。

 逆に、予定に上がっていながら第4期でも刊行されなかった作品もある。初期単行本『キングコング』『怪盗黄金バット』の2作だ。後者は国際児童文学館で名著刊行会の復刻版を読んでみたが、作中で「きちがい」を連発しているのがまずかったのだろうか。
 黄金バットが正義の味方ではなく女賊という設定は面白く、特に発表当時としてはユニークだったのではないだろうか。それだけに、全集に入らなかったのは惜しい。ただ、絵はレベルの低い描き版なので、せっかくの手塚悪女キャラが台無しなのだが。



 いずれにせよ、5年間にわたって手塚全集は毎月の楽しみだった。最初は刊行開始から一日出遅れたものの、ほぼ刊行期間の全てに付き合った。発売日に新刊で買い揃えた手塚全集は第4期だけなので、非常に思い出深い。
 漫画の全集と言えば『藤子不二雄ランド』もあったが、これは刊行開始時に小学生だったので毎週380円出して買えるわけもなく、中学生になってから少しずつ集め出したので、リアルタイムで揃えた思い出はない。
 『藤子不二雄Aランド』は毎月発売日に買っていたが、こちらは基本的にFFランドの復刻だったので、次は何が出るのかなどでワクワクさせられる事はなかった。
 やはり、毎月買い続けて全巻揃えた全集としては、手塚全集4期に一番強い思い入れがある。

 7月からのF全集は、手塚全集以上に「全集」としてF作品を網羅した内容になりそうなので、期待は大きい。久々に「全集を毎月揃えていく楽しみ」を味わう事が出来るのだ。繰り返しになるが、7月24日が待ち遠しい。

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『藤子・F・不二雄大全集』公式サイトリニューアル

『藤子・F・不二雄大全集』公式サイト


 雑誌広告やチラシで情報が出回りはじめて、そろそろ頃合いだろうと思っていたが、ようやく『藤子・F・不二雄大全集』の公式サイトがリニューサルされて、第1期詳細や7・8月刊行本の収録内容が公開された。
 刊行開始まであと2ヶ月ちょっとだが、ここ一週間くらいで全集の詳細が明らかになって行くにつれて、この全集にかける小学館と藤子プロの本気が伝わってきて興奮せずにはいられない。「タイムワープリール」を使って7月24日に飛んでいきたい気分だ。


 F作品には学年誌や週刊少年サンデーなど複数の雑誌で同時連載していた作品が多いので、どのように収録するのかに注目していたが、『パーマン』『オバQ』は掲載誌別にまとめて、まずは週刊少年サンデー掲載分から刊行すると言う事で、納得。
 面白いと思ったのは、『ドラえもん』の「学年繰り上がり収録」で、なるほどこれなら巻ごとに掲載誌や発表年代が偏らないのでバランスがいいし、「完全収録」に最もふさわしい収録方法だと思う。「小学一年生」4月号から「小学六年生」3月号まで通して読めるように一冊に収録するのだから、これだけ分厚いのも頷ける。私自身、リアルタイムで学年誌を読んでいたので、自分の年代の巻を読むのが楽しみだ。
 もっとも、収録予定を見ると第1巻は1960年度生まれ(連載3回で終了した、ある意味レアな体験をした世代)・1961年度生まれ・1962年度生まれ向け、第2巻は1963年度生まれ向けとなるので、私の年代はまだまだ先で、刊行は2期以降になるのだろうけど。

 そして、ドラは全作品収録なので、当然「ガチャ子」の登場する「ロボットのガチャ子」も連載順で第2巻にしっかり収録される。「ガチャ子」登場の残り4話は1970年の「小学一年生」に掲載されたので、1964年度生まれ対象の第3巻に入る事になるのだろう。
 「全集」だから当たり前だと言われればそれまでだが、F先生ご自身が「失敗キャラ」と判断して単行本に一切収録されなかったガチャ子の話までがA5判で鮮やかに甦るなんて数ヶ月前までは全く思いもしなかった事で、大全集で「クルパーでんぱ」を読むのが今から楽しみだ。

 ガチャ子の話に限らず、『ドラえもん』は全話読みたくて各地の図書館で初出誌のコピーを集めていた。今後は誰でも正式な出版物として全話読めるようになるが、だからと言ってコピーが無駄になったとは思わない。むしろ、今までコピーでしか読めなかった話がきれいな印刷で読めるのだから全集収録は大歓迎だ。「ドラちゃんのおへや」で公開している「未収録作品リスト」も、全集完結の暁には不要となるだろう。これも、喜ばしい事だ。
 さらに自分のサイトの話をするなら、全集刊行で『ドラえもん』に限らず藤子・F・不二雄作品を取り巻く環境は大きく変わるだろうから、サイトのコンテンツで手を加えるべき部分が多々生じるだろう。どのように対応するかは実際に全集が出てから考えるが、少なくともいい方向への変化である事は間違いない。とりあえず、単行本リストは大幅なリニューアルが必要だろう。


 ドラ以外では、この前もちょっと書いたが、『パーマン』の収録内容がどうなるかが気になる。
 第1巻では、まずは第1話「パーマン誕生」に注目したい。本来、「パーマン」の由来は「スーパーマンに及ばないから(「スー」を取って)パーマン」だった。それが、シンエイ版アニメ開始に伴い「スーパーマン」が「バードマン」に変更されて、「パーマン」の由来説明も「バードマンには及ばないので、これをパーマンと呼ぶ」と、意味の通らないセリフに改変されてしまった。ここは、できれば「スーパーマン」に直して旧作は全て旧設定で収録して欲しい。
 それにしても、「バードマン」しか登場しないシンエイアニメ版のED「パーマンはそこにいる」では、しっかり本来の由来を歌詞に入れているのは実に不思議だ。堂々と「欠陥スーパーマン」と言えるのなら、本編でもスーパーマンのキャラはそのままでよかったのではないか。

 「パーマン」の由来はセリフの問題だが、「パーマン誕生」は初出及び各種単行本で加筆の多い話なので、バージョン違いがフォローされると嬉しい。導入部分が全く異なる虫コミックス版は、特にお願いしたい。
 バージョン違いと言えば、『パーマン』は2巻で週刊少年サンデー連載分は全て収録されるはずだが、最終話はどうなるのだろう。「スーパー星への道」として収録するのだろうか。最終話も初出・虫コミ・ホームコミックス・てんコミ・FFランドとそれぞれ加筆や改変があるので、気になるところだ。



 色々と気になる点・楽しみな点は多いが、あと2ヶ月ちょっと待てば「毎月の楽しみ」になるのだから、それまでの辛抱だ。まず、どこで全巻予約をするかを決めなくては。
 毎月本を引き取る事を考えると家から一番近い書店が手軽だろうから、月々払いがOKならそこでいいだろう。ただ、公式サイトのインターネット予約がまだ始まっていないので、そちらの詳細が分かってから、どこに申し込むかを決めようと思っている。

 それにしても、公式サイトトップのflashで色々なキャラが飛んでくるのはいいとして、20エモン夫妻やオナベ・ルナちゃんが現代の家の屋根に立っているのはシュールだ。どうして彼らをここに配置する気になったのだろう。
 その点、横の家にいるワンダユウは屋根の上が似合うキャラだ。ワンダユウと言えば、屋根の上で色々と陰謀を巡らせていた印象が強い。ただ、その横に太郎とナラ子がいるのは、やっぱり何だか変な感じだが。
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『藤子・F・不二雄大全集』第1期の詳細が判明

 昨日から、ネット上に「藤子・F・不二雄大全集」の広告と思しき画像が出回っていた。
 それを見ると、第1期の詳細が情報解禁となっており、大変驚くべき内容だった。「これはすごい」と思ったのだが、その一方で昨日の時点では「もしかしたら精巧なコラかも…」と、まだ多少疑っていた。

 その後、この画像が「ビッグコミック」最新号掲載の広告だとわかったので、本日さっそく確認した。
 そして、本物の広告だったと分かり、あまりの興奮に普段全く読んでいない「ビッグコミック」を買ってきてしまった。







 おいらくツカ見本だろうが、第1期全33巻がズラリと並んだ写真を見て、どうしても興奮が止まらない。
 ようやく第1期の詳細が明らかになったが、一番の驚きはやはり『ジャングル黒べえ』がラインナップに入っている事だ。出たらいいとは思っていたが、いきなり第1期で出してくるとは、全くの予想外だ。
 出版困難と言われていた合作及び黒人差別絡みの作品の両方が刊行予定に入った事で、ますますこの全集への期待が大きくなった。右下に「(C)藤子スタジオ」とちゃんと入っており、合作問題は解決した事が分かる。今回こそは、小学館も藤子プロも本気のようだ。


 刊行予定と仕様を広告よりまとめてみると、

・ドラえもん 1~8巻(続刊)
・オバケのQ太郎 1~5巻(続刊)
・パーマン 全8巻
・キテレツ大百科 全2巻
・エスパー魔美 全5巻
・バケルくん 全1巻
・海の王子 全3巻
・ジャングル黒べえ 全1巻

定価1,155~1,890円、約300~770ページ

 以上のようになる。ページ数と判型を考えれば、価格は妥当なところだろう。個人的予想としても1,500円前後になると思っていた。

 そして、ページ数はタイトルによってかなり違いがあるようだ。
 広告の写真通りの厚さで出ると仮定して考えると、一番薄い『ジャングル黒べえ』と『パーマン』5~8巻が300ページ、一番分厚い『ドラえもん』が770ページと推測できる。
 『ジャングル黒べえ』は連載期間が短いから、藤子不二雄ランド収録分+未収録作品で全作品を収録しても、300ページあれば十分におさまるだろう。
 逆に、総ページ数が最も多い『ドラえもん』は、一冊当たりのページ数を増やして巻数を減らす方針のようだ。770ページと言えばてんコミ4冊分になるから、帯に書かれているように「完全収録」であっても、てんコミほどの巻数にはならない。
 下手に一冊300ページにして何十巻も出すと、単行本未収録作品の入らない巻が売れなくなるのでは、と言った思惑もあるのかも知れない。ともかく、『ドラえもん』は本当にコロコロコミック並のボリュームになりそうで、楽しみでもあり、ちょっと怖くもある。

 他の作品に目を移すと、『キテレツ大百科』『エスパー魔美』は未収録作品がないので既刊の単行本より計算できる。両方とも一冊350ページ程度だろう。
 『オバQ』はもう少し厚いので、400ページくらいか。となると、FFランド収録分だけでも9巻までは出せる。『海の王子』1・2巻と『バケルくん』は『ドラえもん』より少し薄い程度なので、600ページはあるだろう。これなら『バケルくん』は一冊で全作品(FFランド全3巻+未収録5話)収録可能だし、『海の王子』もFFランド刊行分が2巻までに収まるので、3巻に学年誌版の収録が期待できる。

 『パーマン』は前半と後半で厚さが違うが、旧作と新作で分けるのだろうか。新作には300ページ×4冊も必要ない(一冊180ページのFFランド版9~12巻で1話を除いて収録)ので、5巻までが旧作、6巻以降が新作なのかもしれない。
 『パーマン』は旧作・新作での設定変更とそれに伴うセリフの改変、そして第1話&最終回のバージョン違いの多さなど、「全集」としてまとめる場合に問題点が多々ある作品なので、どのような編集になるのか第1期の中では特に楽しみだ。新作設定の「パーマン全員集合!!」の改変セリフなどはかなり無理を感じるので、できれば旧作のセリフは旧設定に戻して欲しい。



 この調子で全集への期待を書いていくときりがないので、ここまでにしておこう。7月25日が待ち遠しい。
 全巻購入特典の「Fnote」も魅力的で、これは全巻予約するしかないが、代金が一括払いなのかどうかが気がかりだ。全33巻で5万円弱くらいにはなるだろうから、先払いはちょっと厳しい。「藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版」のように、予約だけ先にして支払いは月々、の形にして欲しい。

 残る問題は、収納場所か。とりあえず全集用に本棚の一角を空けてみたのだが、『ドラえもん』が予想以上に分厚いので半年ももたずに場所が無くなりそうだ。嬉しい悲鳴とはまさにこの事。さて、どうしたものか。



余談

 この広告画像が出回った事で、すでにネット上では『ジャングル黒べえ』刊行がかなり話題になっているが、『ジャングル黒べえ』を『黒べえ』と略す人が多くて、ちょっと意外だった。てっきり『ジャン黒』が主流だと思っていたのだが。
 第一、『黒べえ』ではA先生の『黒ベエ』と紛らわしい。文字で書けば平仮名とカタカナの違いでかろうじて区別できるが、口に出してしゃべる場合は判別できないので困る。
 『ジャングル黒べえ』を『黒べえ』と略している人は、『黒ベエ』との区別の必要がない=A先生の作品には興味のない人なのだろう。藤子不二雄コンビ解消から20年以上が経っている現在、「F先生だけのファン」という人も増えているようだ。ちょっと、寂しく感じてしまった。
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『宇宙少年団 ロケットくん』の実際に迫る

 今年のゴールデンウィークは完全にカレンダー通りなので、連休はとりあえず今日で終わり。
 連休中、どこにも出かけないのではつまらないし、かと言ってあまり遠くへ行く気もしなかったので、今回はお手軽に2日から4日まで実家に帰省してきた。

 実家に帰るとなると、外せないのは国際児童文学館だ。昨年も、ゴールデンウィーク帰省時に寄っている
 ここのところ、藤子作品以外の漫画やアニメの調査に利用する事が多くなっていたが、今回は久しぶりに単行本未収録の藤子作品をチェックしてきた。収穫は、以下の通り。



・『宇宙少年団 ロケットくん』(「ぼくら」1956年5月号~1957年12月号、第2回までは『宇宙少年団』)
 →1956年5,6,7,9,10月,1957年2,3,4,8,9,11,12月号
 (1956年8,11月,1957年1,4,5月号は付録,1956年12月,1957年10月号は所蔵無し)

・『はりきり首相』(「たのしい四年生」1961年4~12月号)
 →別冊付録の5月号を除く全話

・『ゴリラ五郎くん』(「たのしい三年生」1968年1~3月号)
 →別冊付録の3月号を除く全話

・「どれいがり」(「別冊少年サンデー」1964年正月号)

・「宇宙特急21世紀号」「もしぼくが校長先生だったら……」(「ぼくら」1957年夏の増刊号)



 以上、今回は藤子A作品に狙いを絞った。F作品は「藤子・F・不二雄大全集」の収録内容次第で、図書館で未収録を集めても無駄になる可能性があるので、今は手が出せない。

 今回借り出した作品は、上に書いたように別冊付録を除けば児童文学館だけでほぼ全話が揃うが、別冊付録は1回あたりのページ数が多いので、作品全体に対する割合では付録が2,3回あるだけでかなりの欠落になる。
 『宇宙少年団 ロケットくん』は5回も付録になっているので作品全体の半分くらいは抜けているし、『ゴリラ五郎くん』も肝心の最終回が付録なので読めないのは残念だ。この2作と比べると、『はりきり首相』は付録が1回のみで、しかも本誌連載も毎回20ページ前後と比較的ページ数が多いので、全体の8割ほどは読む事が出来るので、おすすめだ。



 とは言え、付録分の欠落はあっても『宇宙少年団 ロケットくん』を比較的まとまった形で読む事が出来たのは収穫だった。
 この作品は『第二部まんが道 春雷編』と『愛…しりそめし頃に…』で作中に登場するので、藤子ファンには名前はよく知られているが、『まんが道』『愛しり』では一部の回が引用されているに過ぎないので、以前から気になっていた。
 本誌連載を読んでみると、『まんが道』『愛しり』と一致する部分や異なる部分が色々と見つかって興味深かった。それを、紹介してみる。


 まず、連載第1回は『まんが道』作中で全ページが載っているが、これは現物とほぼ同じ内容。
 柱のアオリ文句「宇宙は、だんだんせまくなってきている。これは、満才先生が腕によりをかけて書かれた空想科学まんが!」「第一回めから、むねのすくようなおもしろさ!ロケットくんはどうなる?まて、次号!」も、ほぼ初出通り。もっとも、当然「満才先生」は現物では「藤子先生」だし、「まて、次号!」も現物は「まて、六月号!」なのだが。後者は、何月号か時期をはっきりさせると、後々つじつま合わせが面倒になるとの判断で変えられたのだろうか。
 『まんが道』では続けて第2回の一部、第3回の全ページ、第4回付録の冒頭部分が載っている。第2回・第3回については現物通りだし、第4回付録は児童文学館にはないが、付録になった点は事実に即している。

 事実と違うのはその後で、『まんが道』作中では別冊付録が大人気のため翌月が巻頭カラーになったとされているが、現実には連載第5回は巻頭カラーではなかった。
 では、この時に満賀と才野が描いていたカラー原稿は何だったのかというと、実はこれは1957年4月号掲載分の連載第12回なのだ。間に別冊をはさんだとは言え、いきなり「目玉ごけ族」なる敵が出てきて話が飛びすぎだと不審に思われた人もいたのではないかと思うが、真相はこうだった。
 現実でも『まんが道』作中でも、巻頭カラー回の次が付録なので、それに合わせたのだろう。

 『まんが道』で本作が登場するのはここまでで、以降は『愛しり』に引き継がれている。
 『愛しり』では最初に別冊付録の一部が登場するが、これは内容的に『まんが道』の最後に登場した付録と被っている。
 そして、次に登場するのは最終回。これは全ページ掲載されているが、内容も実際の最終回と同じだ。『愛しり』序盤では本作が「ピークを過ぎて人気が落ちてきた作品」として扱われていたので、作中ではこの程度しか紹介されなかったのだろう。


 今回、現物を読んで気になったのは、実際には連載終了はいつ頃決まったのかと言う事だ。
 『愛しり』作中では、満賀が打ち切りを告げられて最終回を描いているので、最終回1話前まではまだ終了は決まっていなかった事になるが、実際はどうだったのか。『トキワ荘青春日記』には同時期の『わが名はXくん』連載終了については書かれているが、『ロケットくん』には触れられていない。
 だから、あくまで作品から推測するしかないのだが、謎の人物「流星探偵」(実はロケットくんの父)が登場する1957年8月号以降を読むと、流星探偵の正体について特に伏線は張られておらず、最終回で覆面をとって正体を明かす場面は唐突に感じられる。
 無理に深読みをしても、流星探偵の正体の伏線と言えるのは、1957年11月号で父に会いたいと言うロケットくんに対して「そうか そんなにあいたいか……」と、ちょっと含みがある一言を話す場面くらいだ。

 この、1957年8月号以降のラストエピソードでは、ロケットくんと流星探偵が、ロケットくんの父がいると言われる「ゆうれい星」へと向かうのだが、最終回でゆうれい星は爆発してしまう。
 もし、ここで打ち切りにならず連載が続いていたら、二人がゆうれい星に降りて話が続いていたのではないだろうか。その場合、流星探偵とロケットくんの父は別人になっていたかもしれない。
 打ち切りだと先入観を持っているせいもあるが、この最終回はそれまでの流れを知った上で読むと、半ば無理に終わらせたように見える。おそらく『愛しり』作中だけでなく現実でも、連載終了が決まったのは最終回直前か、早くて残り2回の時点だったのだろう。
 それでも、ロケットくんが第1回から口にしていた「父探し」には決着を付けて終わっているので、きれいにまとまっている。記念すべきA先生初の長期連載作品なのだから、いつか付録部分を含めて完全復刻で単行本を出して欲しい。『まんが道』『愛しり』で大きく取り上げたくらいだから、A先生にとっても愛着のある作品なのだろうし。


 あと、『まんが道』や『愛しり』での扱いとは関係なく、純粋に作品として一番印象に残ったのは、赤星の「イヤな奴」っぷりだった。
 A先生が性格の歪んだ嫌な人物の描写を得意とする事は、『魔太郎がくる!!』のゲスト陣や『まんが道』の日上などでよく知られているが、それが初期作品『宇宙少年団 ロケットくん』の時点で、すでにかなり完成されていた事が分かって、実に興味深かった。
 赤星がイヤな奴である事は『まんが道』で紹介された部分でも描かれているが、それ以外にも何度も敵に寝返ってロケットくんを窮地に追い込んでおり、それでも赤星を告発しないロケットくんの人の良さは、読んでいてもどかしく思えるほどだ。
 もし赤星の相手がロケットくんでなく魔太郎だったら、連載第3回の時点で赤星は命を落としていたかもしれない。


 なお、『宇宙少年団 ロケットくん』は『まんが道』『愛しり』の作中以外にも、一部の話が復刻されているので、紹介しておく。


 ・「ゴルゴンの巻」(「ぼくら」1956年夏の増刊号)→藤子不二雄ランド『魔太郎がくる!!』第12巻
 ・「宇宙線爆弾事件の巻」(「ぼくら」1957年正月増刊号)→『愛…しりそめし頃に…』単行本第2巻
 ・連載第15回(「ぼくら」1957年7月号)→『愛…しりそめし頃に…』単行本第1巻


 以上の3話も初出誌が国際児童文学館に所蔵されているが、復刻を持っていればコピーを取る必要はないだろう。


 それにしても、いつもの事なのだが、図書館での一日はあっという間だ。
 毎回、訪れる前に「今回はこれとこれをチェックしよう」と準備をしておくが、その通りに全部チェックできたことは一度もない。今回も、余裕があれば他にも確認したい雑誌はあったし、漫画作品だけでなくアニメ誌で『ドラえもん』の放映データも再確認したいと考えていたが、思ったよりコピーのページ数が多かったせいもあって、かなり積み残しとなってしまった。

 大阪府知事の打ち出した方針の為に、いつまで児童文学館が使えるか分からない状態だから、利用できるうちには出来るだけ使っておかなければ。国会図書館などと比べると、本の貸し出しのレスポンスがよくて効率よく借り出せる点は大きな価値がある。
 また、近いうちに一度訪れたい。
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