藤子ファン的「熱血!!コロコロ伝説」Vol.2感想

 先月のVol.1&Vol.6に続いて、「熱血!!コロコロ伝説」Vol.2が発売されたので、買ってきた。今回も、藤子作品を中心に感想を書いてみる。


 まず、巻頭は「ドラえもん」を差し置いて、「新オバケのQ太郎」。Vol.1での別冊付録や今回の扱いを見ると、「新オバQ」には結構力が入っている感じがする。
 収録作品は「コップヌードル」「ふとんゲーム」「兄としてがんばらなくっちゃ」の3本で、いずれもてんコミ未収録。てんコミすら品切れで入手困難な現状なのに、あえて未収録作品を選んでいるのだから、少なくともてんコミ収録分については、復刊の動きがあるのかも知れない。
 個人的には、「コップヌードル」は子供の頃に最後のコマにあこがれた、思い入れの強い作品だ。てんコミ未収録なので中学生になってからFFランドで久しぶりに読んだ時は嬉しかった。この話を最初に読んだのはコロコロだったのか、それとも学年誌付録の再録だったのか、今となってはわからないが、小さい頃はやたらと「カップヌードル」が好きだったので、この話のQちゃんに大いに共感した事は覚えている。
 「ふとんゲーム」は、FFランドにすら入っていない完全未収録作品。「ふとんゲーム」は明らかに「ドラえもん」で登場した「マット・フェンシング」のルーツであり、意義のある再録だと思う。

 続いての再録は「ドラえもん」だが、Vol.1と同様にお馴染みの話ばかりなので省略。
 更に続いては「パーマン」。今回のVol.2は1979-1980年作品が対象なので、もしかしたら掲載当時のバージョンで再録してくれるのではないかと期待していたが、思いっきり現行版での再録だったので、掲載時の雰囲気は味わえず、ちょっと残念だ。
 また、「新オバQ」とは逆に、てんコミ収録作品ばかりと言うのも物足りない。せっかくだから、「はじめましてパー子です」に続けて、「砂漠のジン魔神」も載せればよかったのに。もっとも、「砂漠のジン魔神」がコロコロでは再録されていなかったのかもしれないが。

 そして、この3作の後には「ドラQパーマン」が再録された。一度も単行本に収録されていない作品だから、これは有り難い。また、解説で「たしかに藤子・F作品です!」と制作体制が説明されている点にも注目したい。これまでも「藤本先生のネームを元にしのだ先生が作画した」と言われてきた作品だが、当時の編集者が公式に証言したのは初めてだろう。
 それにしても、あらためてきれいな紙質で読んでみると、正直言ってしのだ先生の描いたキャラは違和感が強い。もし、本作が藤本先生の手で直々に描かれていたら、真の意味で豪華な作品になっただろう。その点で、もったいない作品だ。
 どちらかと言うと富永貞義氏が作画監督を務めたアニメ版の方が絵の違和感はなく、しかも当時のオリジナルキャストがほぼ揃っているのでお勧めなのだが、ソフト化されていない。今回の再録を機会にDVD化して欲しいものだ。

 これらの他に、藤子・F・不二雄作品からは、今回「ミラ・クル・1」も1本再録されている。
 私はリアルタイムの読者ではなかったが、話がもっと広がりそうな設定なので、たった5回で終わってしまったのは勿体なかったと思う。「大長編ドラえもん」の始まる前だからこそ描けた作品なのかもしれないが。
 本作の解説では、単行本としてFFランド版が紹介されている。これしか出ていないのだから当然だが、今や古書店では相当値段が上がってしまっているだけに、複雑な気分だ。


 さて、前回も書いたように、私は「コロコロコミック」を子供の頃には定期購読しておらず、今回のVol.2の時代もそれは同様だ。
 しかし、Vol.2の頃に発売された号の中には、後から古書店で何冊か買っており、それらは一通り目を通しているので、Vol.1と比べると馴染みのある作品が多く、その点で楽しく読めた。まさか「怪奇!口裂け女」まで再録されるとは思わなかったが。

 具体的に、どの号を持っているかと言うと、1979年では8・9・10月号の3冊だ。
 要するに、単行本未収録だった「ドラQパーマン」「ドラえもんとドラミちゃん」「ドラえもんとドラミちゃん ドラミちゃん登場の巻(じゅん番いれかわりき)」の載っている号と言うわけ。
 このうち、「ドラえもんとドラミちゃん」はコロコロ文庫やてんコミ「ドラえもん プラス」に入ったし、「ドラQパーマン」は今回ようやく再録された。だからと言って、当時のコロコロに価値がなくなったとは思わない。これからも、大事に持っていたい。
 と言うわけで、あえて今回のコロコロ伝説ではなく、当時のコロコロ3冊を並べてみました。







 さて、Vol.3は8月25日発売予定。「怪物くん」「忍者ハットリくん」が登場して、藤子両先生の作品で一層賑やかになる時代なので、これもまた楽しみだ。
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桶谷顕氏、死去

 末期がんで闘病中だった脚本家の桶谷顕氏が、本日亡くなられた。
 ネット上の情報源は、今のところmixiのご本人の日記での友人の方の書き込みだけのようだ。mixiは会員制なので、ここでリンクは張らない。mixi会員の方は、名前欄「桶谷顕」で検索して下さい。


 私が最初に桶谷氏の名前を意識したのは、「エスパー魔美」の再放送だった。当時は中学生で、声優・スタッフを意識してチェックすると言うアニメファンの多くがたどる道を歩き始めており、「魔美」に関しては、特にシリーズ後半のアニメオリジナル話は誰が脚本を担当したのか気になりチェックしていたので、自然と桶谷氏の名前を覚えた。
 桶谷氏が担当した「魔美」のオリジナル脚本で一番印象の強い回となると、どうしても最終話「動き出した時間」を挙げざるを得ないが、最終話以外では「最終バスジャック」や「ターニングポイント」、原作付きの話では前後編にボリュームアップさせた「学園暗黒地帯」と、その後日談「舞い戻った赤太郎」などが特に心に残っている。

 桶谷氏は、「魔美」以外でも「ドラえもん」「パーマン」「オバケのQ太郎」「チンプイ」「21エモン」と、シンエイ藤子・Fアニメの多くを手がけているが、私にとっては最近まで毎日観ていた「パーマン」の印象が、今は一番強い。
 ちなみに、脚本デビューは「ドラえもん」の「10円なんでもストア」(1983年7月29日放送)だが、「ドラえもん」で他に担当した回は「本の味の友」「エネルギー節約熱気球」の2本のみ。おそらく、文芸担当の「パーマン」がメインの仕事となっていたためだろう。


 シンエイ藤子アニメ以外の仕事では、シリーズ構成・脚本を手がけた「Cosmic Baton Girl コメットさん☆」は特に好きな作品だ。「魔美」にも言える事だが、作品全体に「暖かさ」が広がっており、観ていて心地よかった。この「コメットさん」では、桶谷氏が全話の脚本を担当していた点も特筆すべきだろう。

 その一方で、「機動戦士Vガンダム」や「機動武闘伝Gガンダム」にも参加しているのだから、そのギャップが凄い。「Gガンダム」では、特にチボデー絡みの回を重点的に担当しているので、チボデーのキャラ作りに桶谷氏の脚本が寄与していたのだろう。
 他に、これまで桶谷氏が関わった作品を調べてみると、キャリアの割には作品タイトル数は少なく、ちょっと意外だった。参加した作品に集中して取り組むタイプだったのだろう。また、遺作となった「デルトラクエスト」を含めて、「チンプイ」「女神候補生」「キョロちゃん」と、本郷みつる監督作品への参加が多い。「魔美」からの縁がずっと続いていた訳で、ぜひこのお二人でもっと多くの作品を作って欲しかった。


 ここ2,3年は桶谷氏の名前を見かける機会が少なくなり、久々に「デルトラクエスト」で名前を見た時には嬉しかったのだが、それからしばらく経って末期がんだと聞いてショックを受けた。
 末期がんの事を知ったきっかけは、詩集「ボクがもらった幸せ」の出版だったが、私はまだこの本を読んでおらず、本日訃報を知ってからあわててAmazonで注文した。

 「ボクがもらった幸せ」は、本が届いたらじっくりと読ませていただくとして、まずは藤子アニメをはじめとしてたくさんの作品で楽しませていただいた事に感謝して、心から桶谷氏のご冥福をお祈りします。

(6/25 一部加筆・改訂しました)
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「奏光のストレイン」DVDの特典に思うこと

 通販で注文していた「奏光のストレイン」DVD第5巻が本日、到着した。

 とりあえず真っ先に特典CDドラマ「真説・全裸艦内一周事件 後編」を聴いたが、これが面白かった。
 タイトル通り、ストーリーは第7話「STEP 07 ラヴィニアの素敵な陰謀」本編で謎とされていた、「全裸艦内一周」が、いつの間にか「全裸艦内三周」に増えていた件について、空間機甲科メンバー(セーラ含む)が艦内の録画映像などを検証して解き明かすと言う内容。
 第4巻に付いていた前編では「ラヴィニアの体力では三周どころか一周も無理」「しかし、艦内の至る所にラヴィニアの映像が残っている」と、きちんと理屈に沿って考察していたので、一体どんなオチが付くのかと楽しみにしていたのだが、後編を聴いてみると「これはひどい」としか言いようがない。しかし、ひどいのだが非常に笑える内容だった。
 まだ聴いていない人のために詳細は省くが、とある「事実の隠蔽」が行われた事でラヴィニアの悲惨さが一層きわだっていて、元々ギャグ回だった第7話が、このドラマCDと合わせて一層楽しめるようになった。
 前・後編合わせて30分くらいだから、ぜひこの話で1本新作アニメを作って欲しいものだ。


 DVD特典のドラマCDは1~3巻分も面白いので、限定版DVDを買わないと聴く事が出来ないのは非常にもったいない。ぜひ多くの人に聴いて欲しいのだが、かと言ってDVDのリリース終了後にドラマCDが単品発売されたら、特典CDとオーディオコメンタリー目当てで限定版DVDを買っている身としては、ちょっと裏切られたような気分になる事だろう。難しいところだ。

 「奏光のストレイン」限定版DVDの特典には、CDとオーディオコメンタリーの他に、SDキャラのオリジナルピンズが毎巻に付いてくるが、正直言ってこれは要らない。このピンズがあるせいでDVDのパッケージは大きくなって置き場所に困っている。
 第2巻などは、ピンズの収納ケースまで付いてきたので全巻収納BOX付きだった1巻と同じくらいの大きさで、間違えて1巻がもう1回送られてきたのかと思ってしまった。
 参考までに、2巻から5巻までをパッケージで並べてみた。こんなにかさばる(↓)。







 結局、DVDケース本体を1巻付属の収納BOXに収めて、ピンズと収納箱は押し入れにしまっている。
 人それぞれ好みは違うだろうが、少なくとも私はこう言ったグッズ系の特典に心が惹かれる事は、ほとんどない。「ゲゲゲの鬼太郎」BOX特典のフィギュアや貯金箱も、押し入れに入れたままだ。
 グッズ系の特典に変に凝るよりは、映像特典を色々入れるかブックレットを充実させて欲しい。まあ、「鬼太郎」BOXのブックレットは異様な充実ぶりだし、「ストレイン」のCDやコメンタリーも面白いので、全体としては許容範囲なのだが。
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「らき☆すた」第11話EDへの違和感

 テレビ愛知では本日(昨日深夜)放送された「らき☆すた」第11話では、つかさとみゆきの歌として、EDで「ドラえもんのうた」が流れた。


 これまで、アニメ・特撮ソングから懐かしの流行歌まで何でもありだったので、「ドラえもんのうた」だからと言って驚くような選曲ではないが、聴いていて変に居心地の悪さを感じてしまった。個人的に思い入れの強い曲だからなのかと思ったが、どうもそれだけでは説明しきれない何かがあった。
 この「居心地の悪さ」の原因が気になっていたのだが、しばし考えてみてようやくわかった。これまでに歌われた曲と比べると、「ドラえもんのうた」は新しすぎるのだ。

 こう書くと、「ドラえもんのうた」は1979年発表の曲だろう、何が新しいのだと突っ込まれるかも知れない。ここで私が言いたい「新しさ」とは、発表時期ではなく主題歌として現役を張っていた時期についてだ。
 第1話から第10話までのEDで使われた歌の中で、発表時期が一番新しいのは第3話の「それが、愛でしょう」 (「フルメタル・パニック? ふもっふ」OP)だが、「ふもっふ」は1クールアニメなのでテレビで流れたのは2003年のたった3ヶ月だけ。しかも、関東ローカルだったので私などは「らき☆すた」で流れた後にようやくAT-Xで観た作品であり、発表時期を意識する以前の問題だった。
 それに対して、「ドラえもんのうた」(歌入り)は、2005年3月までOP主題歌として使われ続けてきた曲で、歌のない女子十二楽坊版を含めれば2005年10月まで現役だった。

 つまり、「ドラえもんのうた」をアニメ「ドラえもん」のOP主題歌として毎週聴く事がなくなってから、まだ2年ほどしか経っておらず、そんな時に全く別のアニメのEDとして使われたから、私は「まだこんな形でネタにする時期ではない」と言いたくなる居心地の悪さ、もしくは違和感を覚えてしまったのだろう。
 シンエイ藤子アニメでも、「怪物くん」や「パーマン」なら気にはならなかったのではないか…と書いてから、「怪物くん」はある意味で毎週使われている事を思い出した。あのOPにもすっかり馴染んでしまい、あやうく元ネタを忘れてしまうところだった。


 また、「ドラえもんのうた」は、「らき☆すた」の作風やこなたの選曲傾向からは浮いている感じで、それも違和感を覚える理由の一つだったと思う。
 しかし、京都アニメーションは昔から長年シンエイ動画の下請けをやっていて、大山版「ドラえもん」にも参加していたのだから、「ドラえもんのうた」は、むしろ使われて当然の曲だったのかも知れない。


 それにしても、「らき☆すた」EDでこれだけ考察したくなるとは思わなかった。もうすぐ放送も折り返しに入るが、今後EDで何の曲が歌われるか、一層楽しみになってきた。
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東海地区深夜アニメの迷走

 本日発売の隔週刊テレビ情報誌「TV LIFE」を何気なく読んでいたら、7月5日(木曜日)の東海テレビ深夜に「ひぐらしのなく頃に解」が新番組として載っていて、ちょっと驚いた。

 「ひぐらし」2期の放送局が最初にネット上で発表された時、東海地区では名古屋テレビで放映予定となっていた。それが、いつの間にか記事が修正されて名古屋テレビが削除され、公式サイトでも東海地区の放映予定が載らないまま、今日に至っていた。
 このまま放映がなければ、「アイドルマスター XENOGLOSSIA」と同じような騒ぎが起こるのではないかと楽しみに心配していた矢先に、情報が出てみれば放映局が変わっていたのだから、驚かざるを得ない。現時点では公式サイトなどでは発表されていないが、局が変わっている点も「アイマス」の件を思い出してしまう。


 問題の東海テレビ木曜深夜は、そもそも当初「アイマス」を放送するはずだった枠だ。つまり、「アイマス」が東海テレビから中京テレビに移ったために空いた枠に、「ひぐらし」が収まった形となる。
 もしかしたら、東海テレビは「ひぐらし」を放送するために「アイマス」をキャンセルしたのだろうか。それとも「アイマス」の放送がなくなったから「ひぐらし」がこの枠に決まったのか。どんな事情があるのか、ますます気になってきた。
 ただ、「ひぐらし」1期も同じく東海テレビの木曜深夜枠で放映されたので、結果的には同じ局の同じ枠で続けて2期を放映する事となり、自然な形に収まったと言える。
 しかも、このまま7月5日に放送が始まれば、7月6日開始予定だったKBS京都を抜いて東海テレビが最速となる。この局は最速放送に一番縁遠いイメージだったので、これも驚きだ。まあ、単に「TV LIFE」のミスで、実は12日スタートというオチもありそうだが。


 それにしても、「アイマス」放映中止の一件以来、どうも東海地方では深夜アニメの放映枠が決まるまでゴタゴタしている印象がある。U局アニメは全部U局で放送される関東では、落ち着いて視聴予定を立てられるだろうから、うらやましい。
 東海地区は、関東で言うところの「U局アニメ」が独立U局で放映されるとは限らず、「一騎当千」「英國戀物語エマ」のように第1期と第2期で放映局が変わる場合もある。その一方で、「双恋」&「フタコイ オルタナティブ」のように、関東ではテレ東→U局に移った作品が、東海地区では両方ともテレビ愛知で放映されていたりもするから、一長一短か。


 さて、ちょっと長くなってしまうが、せっかくだから以前から疑問に思っていた点にも触れておこう。
 先程、「関東では、U局アニメは全部U局で放送される」と書いたが、現状ではU局アニメの定義が「関東U局で放映される新作アニメ」になってしまっているから、放送されて当たり前だ。
 しかし、関東の独立U局で放映されるからと言って、それら全てを「U局アニメ」でくくってしまう事には無理があると思う。たとえば、現在放映中の作品では「ウエルベールの物語」は名古屋テレビ制作だし、過去にもMBSやCBCが製作した作品が、いくつも関東U局で放映されている。今挙げた局はいずれもアナログではVHF波の広域局であり、これらを「U局アニメ」と言われると、個人的には非常に大きな違和感がある。
 だから、少なくとも関東以外の放送局が製作もしくは制作に参加している作品は「U局アニメ」の範疇から除外すべきだと思う。「U局アニメ」の定義一つ取っても、関東中心の考え方がまかり通っており、地方在住者としては気になってしまう。


 話がそれたが、「ひぐらし」2期が本当に東海テレビで放映されるとしたら、当初発表されていた名古屋テレビの「英國戀物語エマ 第二幕」の後番組がどうなるかも気になるところだ。この枠も5月までの東海テレビ木曜深夜と同様に一ヶ月以上遅れているから、この機会に枠自体を一回なくしてしまってもいいと思うが。
 実際、それをやった東海テレビでは「ひぐらし」2期を最速で放送できる(かもしれない)のだから、名古屋テレビの枠も一端休んで、10月から他地域と足並みを揃えて新番組を開始してくれた方がありがたい。
 そうすれば、もうこれ以上の迷走と遅れもなくなる事だろう。
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「ゲゲゲの鬼太郎」第5作 第11話「おばけ漫才」感想

 第11話は、「白山坊」の話を非常に大胆にアレンジしていた。
 予告の時点で、原作と全然違う展開になると予想はできたが、ここまで突き抜けた展開になるとは思わなかった。


 今回は、何と言っても白山坊先生のキャラクターに尽きる。妖怪横丁で興行の不振に悩み、ねずみ男とノリノリで商談。そして、一人称は「ミー」。こんな愉快な白山坊は初めてだ。

 白山坊を演ずるのは、「元祖・ねずみ男」の大塚周夫氏。
 第4作でも大塚氏が白山坊を演じていたが、こちらは原作にも増して恐ろしい妖怪として描かれており、白い体のせいもあって「ガンバの冒険」のノロイを彷彿とさせる演技だった。そう言えば、今更だが「ガンバ」は初代鬼太郎対ねずみ男の物語だ。
 その前作から一転して、今回はひょうきんな性格で、ねずみ男との掛け合いは「Wねずみ男」という感じ。聞いていて実に楽しかった。同じ妖怪でも演技によってまるで異なる印象になるのだから、さすがは大ベテランだ。

 ストーリーも原作とは異なるが、自らの立身のために、人間が白山坊と重大な代償を支払う契約を行う点はしっかりと抑えられている。
 個人的に、原作やこれまでのアニメ版で「人間側の契約不履行」がどうしても疑問だった。白山坊の立場からすれば、しっかり願いを叶えてやったのに、蛾にされたり封印されたりするのは理不尽としか言いようがない。人間も納得の上で契約したのだから、それを尊重する形で「妖怪との契約は絶対」を前提として話が進んだのはよかったと。

 そして、今回、目玉親父もノリノリだった。「父さんはここを通さん」のあたり、実に楽しそうだ。
 最初は、ギャグがあれだけ目玉親父に受けているのだから、妖怪の感覚としては鬼太郎の方がずれていて、普通に妖怪横丁で大受けしてめでたしめでたしの展開になるのかと思っていたら、単に親父がずれていただけだと言う展開は面白かった。まあ、ただのどつき合いがそんなに妖怪に受けるのかはちょっと疑問だが。


 全編通して、ギャグ話として十分楽しめた。
 ゲストのはりけーんずの演技も、なかなかよかった。特に、前田登は「マイメロ」でレギュラー3年目だから、もうアニメの演技も手慣れたものだろう。どうしても「関西弁のバク」に聞こえてしまうのは、ちょっと困ったが。
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「ゲゲゲの鬼太郎」第5作 第10話「荒ぶる神!雷獣」感想

 ブログの更新が滞って3話分も溜まってしまったが、今のところ途切れずにリアルタイム視聴を続けている。
 4月から、日曜はすっかり9時前には起きる習慣が付いてしまった。


 さて、第10話を観てると、どうも第4作の第1話「妖怪!見上げ入道」を何度も連想してしまった。
 古来からの伝承を無視して工事を行った結果として妖怪が現れ、小学生三人組が鬼太郎に助けを求める展開はそっくりで、小学生が男2人・女1人の構成まで同じだ。この話を、本シリーズの第1話として放送しても違和感はないだろう。そう言えば、実際の第1話も水虎の封印を破った小学生が鬼太郎に助けを求める展開で、本話と似通ったところがある。
 要するに、このような展開は「ゲゲゲの鬼太郎」としてはオーソドックスなパターンだと言える。
 お馴染みの展開であるだけに、ストーリーや戦闘シーンにひねりがないと凡作になる恐れがあるが、今回はまさにその点で失敗してしまったと思う。

 前半で「雷獣は、存在を信じる物にしか見えない」と強調していたにもかかわらず、後半に大人達が雷獣の存在を信じて手伝う気になったのは「雷獣が見えたから」であり、前提と結果がまるっきり逆転してしまっている。
 それに、意味ありげにねずみ男を一端退場させたにもかかわらず、再登場させなかった点も疑問だ。きっとねずみ男は妙な道具などを用意したあげくに戦闘には遅れてしまうと言ったオチに使うのだろうと予想していたので、結局「めでたしめでたし」だけで終わって、拍子抜けした。
 同じ事は、鬼太郎と妖怪将棋を指していただけで後半出番がなかった子泣き爺にも言える。今回は仲間妖怪がいてもいなくても話に影響がないようなぞんざいな扱いで、明らかにキャラを活かせていない。
 正直、今回は駄作だったと言わざるを得ない。


 良かった点を挙げるとすれば、珍しく普通の女の子役で小林由美子の声が聴けた点くらいだろうか。また、先代子泣き爺の塩屋浩三氏が出ていたのも嬉しかった。が、それくらいしか挙げられないのはちょっと残念だ。
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最近のアニメつれづれ

 ここのところ、当ブログの更新がちょっと滞ってしまった。
 理由は単純で、「ドラちゃんのおへや」をジャイアンの誕生日・6月15日に更新しようと作業を進めていたため、ブログの記事を書く余裕がなかったのだ。しかし、残念ながら6月15日には更新は間に合わず、どうやら2日遅れの更新となりそうだ。

 とは言え、「ドラちゃんのおへや」の更新準備はほぼ完了したので、これでようやくブログにも手が付けられる。
 書きたいネタはいくらでもあるのだが、時間の余裕がないとどうしようもない。また「ゲゲゲの鬼太郎」の感想も、第9話で止まってしまっており、こちらも再開したい。

 とりあえず、今回はブログ再開のリハビリとして、最近観ているアニメについて思うところをダラダラと書いてみる。



・「らき☆すた」第10話にアニメ店長登場

 この作品で島本和彦キャラが観られるとは思わなかった。ちゃんと関智一と長沢美樹が声を担当していたのも嬉しい。もし、他の脇役キャラと同じ扱いで、声が立木文彦とくじらだったら泣いていたところだ。
 それにしても、アニメ店長関連のキャラだけ無駄に動きがよくて濃い線の作画だったなあ。EDの「スペシャルサンクス」で島本和彦・バンダイナムコゲームス・SOS団が並んで書かれていたのはちょっと笑えた。
 監督交代で作品もグダグダになるののではと心配していたが、「らき☆すた」は気軽に観て楽しめる点で、よくできていると思う。



・「ぼくらの」森田宏幸監督がブログで問題発言

 問題になった森田監督のブログはこちら
 騒がれているのは6月13日の2エントリで、両方ともいわゆる「炎上」状態になっており、特に「「ぼくらの」10話によせて」の方は6月16日の時点で800以上のコメントが付いている。

 「ぼくらの」については、私は原作未読でアニメから入ったクチで、現在も原作には手を出していないので、原作と比べてどちらが作品として面白いか、優れているかは判断できない。ただ、一つのテレビアニメとして面白いと思って毎週楽しみに観ており、いずれ原作も読んでみたいと思っていた。
 だからこそ、今回の監督の発言は残念だ。原作を全否定しているわけで無いのはわかるが、それにしても「ある意味原作に悪意を持った改変を加えている」「原作ファンの方々は、今後アニメーション版を見ないでください」とまで書かれてしまっては、アニメから作品を知った人間も、原作に手を出しづらくなってしまう。
 この二つの下りは、書くべきではなかっただろう。原作ファンに対してもアニメ版のファンに対しても失礼だ。

 そして、名古屋では昨日第10話が放送されたので、ようやく「「ぼくらの」10話によせて」をじっくりと読んで、監督の発言やコメント欄の意見について考える事が出来た。こう言う時に、放送の遅い地域は損だ。
 コメントで随分叩かれていたので、第10話はどんな出来なのかと特に気になっていたが、原作を知らない立場で見た限りでは、そんなに悪い話とも思えなかった。いきなり知らない土地での戦いになってしまった点などには疑問もあるが、それは後の展開で明らかにされるのだろう。

 ともかく、今後アニメが原作と違う展開になるのは間違いないのだから、こうなったら原作はアニメが完結するまで待ってから読んでみようと思う。
 …こう思う人間が出てきたという事は、少なくとも監督の発言は原作の販促妨害になる気がする。



・「エル・カザド」AT-Xで開始

 テレ東の4月新番組では唯一、テレビ愛知で放映されていない「エル・カザド」が2ヶ月遅れでAT-Xでも始まった。
 「NOIR」「MADLAX」に続く(後付け)3部作の3作目となるが、前の2作ともテレビ愛知では放映されていないので、今回もあまり期待していなかった。それでも、やはり関東ローカルとわかった時には、ちょっとがっかりしたものだ。まあ、「MADLAX」を放送したのに今回は放送しないテレビ大阪よりは、全部やらない方がかえってすっきりする気もするが。それに、テレ東月曜深夜のビクター枠は全てAT-Xに来ていたので、今回もそちらに期待しており、その点では予定通りだ。
 まだ第1話しか観ていないが、前2作と比べると、ちょっとノリが明るくなっている感じか。特に、ナディのキャラはミレイユやマドラックスと比べるとバカっぽくて新鮮だ。また、主役二人のキャラクターデザインは、前2作よりちょっと幼めに見える。
 第1話で既に「プロジェクト・リヴァイアサン」などと怪しげな計画の名が出てきたり、戦闘時に挿入歌が流れたりと、真下監督作品らしい雰囲気は健在。挿入歌にヤンマーニほどのインパクトがないのはちょっと残念だ。

 AT-Xでは、7月からは「桃華月憚」も始まるので、これで4月新番組は、ほぼ一通りチェックできる事になる。
 あとは、「日本テレビ系で放送(一部地域を除く)」のはずなのに、実際は関東ローカルの「CLAYMORE」が残っているくらいか。



 以上、最近のアニメについて書きたかったネタを一まとめにしてみた。
 4月からの新番組も、早いもので1クール作品はそろそろ終わってしまう。それどころか、AT-Xが一週先行していた「ひとひら」は、13日に既に最終話を迎えてしまった。結構気に入っていた作品だけに、寂しいところだ。

 入れ替わりで7月からはまた新番組が始まるが、6月で終了する作品は1クールのU局アニメがほとんどなので、放映地域は南関東・京阪神・愛知にほとんど限られてしまい、それ以外のほとんどの地域では新番組ゼロになってしまっている(詳細は「DeepParanoia」内の「アニメ地方放映状況まとめサイトを参照されたい)。
 これまでは、ここまで地域格差の激しい状況はなかったと記憶している。本気で新作アニメを観たい人はBSやCSで何とかするだろうが、それでもフォローできない作品もあるし、ひどいとしか言いようがない。各メーカーに、地方のアニメファンの存在をどう思っているのか、本気で尋ねてみたい。


 と言ったところで、とりあえず今回はここまで。来週からは、ブログの更新頻度をもう少し上げたいと思っております。
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テレ朝チャンネル「パーマン」最終回

 本日の放送で、テレ朝チャンネルの「パーマン」が、とうとう最終話に到達した。
 思い返せば、1話から放送が始まったのが2004年4月。それから3年2ヶ月かけて、ようやく全526話が放送された。本放送は帯番組の2年間+藤子不二雄ワイドの3ヶ月間だったから、1年も余分にかかった事になる。
 まあ、それでもファボリ時代から追いかけていた人に比べれば短い物だが。

 これだけ時間がかかった原因が、テレ朝チャンネル開局から2年間も続いていた「2週で一回更新」の変則的放映形態にある事は間違いない。月~金の帯番組でも、隔週更新だと月に10話程度しか放映されないのだ。「パーマン」に限らずテレ朝チャンネルの全てのアニメに言えた事だが、本当にじれったかったし、一週おきに録画予約のON/OFFを変えるのも面倒くさかった。
 幸いにも、昨年4月から一週ごとに更新されるオーソドックスな放映形態に変わったので、今日「パーマン」は最終話を迎える事が出来た。


 とりあえず、全話を欠かすことなく録画する事は出来たのだが、まだ全話を通して観終わってはいない。
 途中までは、他の藤子アニメもたくさんテレ朝チャンネルで録画していたせいもあって、なかなか毎回観る事が出来ず、DVDに移す時に気になった話を何本か選んで観ていたのだ。
 その後、「エスパー魔美」「チンプイ」「プロゴルファー猿」「怪物くん」などが終了して余裕が出来たし、前述のように昨年4月から放映形態が変わって「パーマン」は月~金の朝7時から放映されるようになったので、この1年あまりは朝起きたら「パーマン」を観ながら朝食を取る事を日課にしていた。多少寝坊しても、HDDレコーダーに追っかけ再生があるので助かった。

 だから、後半の200話ほどは全部観たのだが、特に終盤になるとビデオ版に収録されていた話以外は初見のエピソードが多く、毎回新鮮な気持ちで観る事が出来た。「パーやん運送でアルバイト」までアニメ化されていたとは知らなかったので、「パーヤンの日々」を観た時にはちょっと驚いたものだ。
 また、後半はサブの「国民は黙ってないよ」が多かった事が印象的だ。シンエイ版「パーマン」では、サブのセリフと言えば、よく「父ちゃんの入れ歯、めっかった?」が引き合いに出されるが、後半は出番があれば毎回のように「国民」と言っている。入れ歯に比べてあまり話題にならないのが不思議に思えるくらいだ。


 全体的に、シンエイ版「パーマン」は軽めの話が多いのだが、それがいい味を出していたと思う。
 正直なところ、初期に放映された原作付きの話よりは、大部分を占めるアニメオリジナルエピソードの方が、余計なしばりがないせいかキャラクターが生き生きと動いているように感じた。500話以上もあるのでパーマン4人だけではなくカバオやサブ、それにコピーも含めて脇キャラクターを描いた話も多く、それがキャラクターと作品世界に深みを与えていた。
 また、シリーズ後半に何本か試みられた新作原作からのアニメ化は、他のオリジナル話と混じっても違和感なく観る事が出来た。雰囲気的には、アニメ版は新作原作に近いと言う事だろう。新作原作の方にも「パワッチ」や「ヘコーッ」が逆輸入されていたし、互いに影響しあっていたとも言える。


 さて、せっかくだから最終話の感想を書いておこうかと思ったが、既にビデオで観た事があるし、あまり最終話らしい話でもないので、ちょっと書きにくい。
 それよりも、最終話1回前の「空の飛びかた教えます」の方が最終回っぽい雰囲気があり、ちょっとしんみりとしてしまった。終盤、パーマン達が飛んでいくところで「きてよパーマン」が流れる場面が印象深い。普段、主題歌をそのまま流すような事はなかったし、ミッちゃんやカバオ・サブまで翼をはやして飛んでくる場面もあり、「飛べなくなったパーマンの復活」と言うストーリーも含め、ある程度最終回を意識して作ったように見受けられる。

 ともかく、アニメ独自の世界をしっかり構築しながらも、決して原作のイメージを損なっておらず、観ていて楽しい作品だった。これで毎日の日課が終わってしまうとなると、寂しい。これからは、未見の前半分を毎日観る事にしようか。


 なお、来週からはリセットされて「パーマン」がまた1話から始まるので、最初からきっちり全話を観たい人には、今がチャンスですよとお勧めしておこう。
 後は、正月特番で放映された「バード星への道」も、いつかテレ朝チャンネルで放送してくれたら嬉しいのだが。観たのは本放送の1回きりだが、すでにコロコロの再録で原作は知っていたので、「お正月なのに最終回?」と不思議に思いながら観ていたら、コピーを代役にする展開がきてひっくり返った記憶がある。細かいところはよく覚えていないので、ぜひもう一度観たいものだ。
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