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ときめきの日々を過ごしたい

みんな自力で生き抜くほかない

2011-03-10 12:27:21 | Weblog

腕くむも日本列島春遠き

未熟者の集団だからの一語につきる。国家統治の経験がほとんどない無能な連中がより集まって、国家構想を運営しようととすると、このていたらくに陥る。最大の原因は、脱官僚政策。世界中のいかなる国家であろうと国家機構イコール官僚機構なのだから、脱官僚(官僚を敵にまわすこと)によって、国家統治は出来るわけはない。脱官僚が意味のあるスローガンになるのは野党のときだけ、与党になったとたん、官僚機構を使う立場にある。官僚のノウハウを全部くみあげた上で、官僚を手足のごとく使いこなさなければ国家機能は一歩たりとも動かない。官僚を使いこなすためには、大きな政策力がひつようだが、民主党にはそれがない。デタラメマニフェストで国家を欺いて確保した多数の力があるだけ。早く退陣してくれないと「国民の生活第一」どころか、国家の存続が危なくなる。すみやかな退陣と引き換えに税制社会保障の一体改革の筋道を付けた上で解散総選挙、それいがいに道はない。少子高齢化のあまりに急激な進展によって、日本経済全体が右肩下がりの縮小再生産過程に入り込んでしまったから。長期スパンで物事を考えられる戦略的思考人間が社会の各層から失われ、自分の任期中のことしか考えられない短期思考人間が、政治経済社会の各層の実権を握っているから。もう一度この社会の抜本的組替え(明治維新ないし、マッカサー占領軍なにの革命)をやる以外ないのでは。歴史上為政者の能力によってもたらされた破綻の時代はいろいろあったが、民衆はいつもたぐいまれな適応能力を発揮して、危険の時代を切り抜けてきた。またもそれしかない時代がやってきた。リーダー不在のなしくずしの大破綻はさらに進行する。しばらくみんなの自力で生き抜くほかない。企業も個人も。

                      文藝春秋四月号より  立花 隆氏(評論家)