今日は告別式に参列してきた。
自分と父親との関係は決していいものだと思えない。少なくとも自分が思い描く父子像とは遙かかけ離れている。それだけに教員時代に巡り会ったかの父子のことはある種の憧れの目で見ることが多かった。現実にこんな父子がいるのだと知って単純に感動もしていた。自分が経験してきた父子とは全く対極にある父子。それが彼らだった。
自分がそうでありたいとか、同じようだったらよかったとか、そんなことを思った訳ではない。人はそれぞれ個性があってその中で関係が築かれていく。だから絶対はないし理想の姿も人によりけりだ。そうわかっていながら、かの父にはあえて親子論を挑んだことが何度かあった。答えはないのだけれど。
出棺を前にして最後の挨拶で長男であるカオルは、小坊主だった昔と同じようにふてくされたような怒ったような表情で参列者へのお礼の言葉を語り始めた。
親父のようにうまい挨拶は出来ないけど親父許してくれと。
親父は我が儘でどうしようもなく頑固で大勢の人達に迷惑をかけたと思う。申し訳ありませんでした。でも、オレはそんな親父のことが大好きでした。あの親父の子どもで本当に良かったと思ってます。そう言って男泣きした。
はや40を過ぎた男が心からの言葉をみんなの前で絞り出したのだ。父子ここに完結せり、そう強く感じた瞬間だった。
そしていつも強気一辺倒のお父さんが拳で涙をぬぐう姿を見て、それまでケロッとしていた小学生の息子が泣き出した。繋がる血を感じた。よかった。
そういう存在、心があることに純粋に感動。
いつまでも父と子であること、あれること、幸せなんだな。
ご冥福お祈りします。
もうエピソード数え切れない程の親子。本当に厳しかったんだけどね。ガツガツ殴り飛ばしていたんだけどね。そんでも親父のこと大好きだってさ。
自分がさんざん涙をぬぐった後、しがみついて泣いている息子に「もう泣くな!」って言ってたよ。
息子がどうするかちゃんと見届けに行ったみたいな感じです。そして、やっぱりやられました。
読んで下さってありがとうございました。