ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

Ironman70.3World Championship Lahti/Finland 参戦記

2023年09月16日 | 大会レポート


佐渡レポから遡り、ようやくフィンランドでの世界戦レポ!

【朝〜スイム1.9km】

前日土曜日の女子のレースは朝の霧が濃くてスタート時間が遅れた。が、日曜日(8/27)、天気はいいぞ。


【スタート時刻が早い先発組】

6時半。ツアーで手配して下さったタクシーでスイムゴール(バイクトランジット)地点へと向かう。


【後発組と応援団に見送られて】

前日預託済みのバイクチェック。問題なし。あまり神経質になると墓穴を掘る傾向があるので、ここはサラリと。


【夜明けのバイクトランジットエリアは壮観】


【セッティングOK】

選手が続々と集まって来ているが朝、一緒にホテルを出た2人と別れてからは日本人には会わない。国際大会だ。スイムスタート地点へ500m程移動。


【スイムコース最初のターンの目印ブイ】

第5ウェーブのM65のスタート時間は8:22。時間はたっぷり。適当な場所でとりあえず横になる。ストレッチしてみる。ちょっと歩き回ってみる。


【国旗が目印】

応援団も集まりだし、日の丸の旗が見えてすぐに妻にも合流できた。
フィンランド国歌斉唱からのプロのスタート。やっぱり迫力。

【プロフェッショナル部門のスタート。流石にカッコよくて迫力満点】


【雨がパラついたと思ったら虹出現】


【いざ出陣!ウェットスーツは10年以上ぶりのおニューだぜ】

今回がデビュー戦となる新しいShiromotoのウェットを着てスタート待機ブロックに移動。M65(65〜69歳)の出場選手は90名。うーん、そうだよなぁっていう年寄り連中が集まって来る。ただ、でかい、みんなでかい。小柄な選手でも胸板厚い、腕太い。流石に皆様緊張の面持ちで寡黙になっている。
後ろに並んだアメリカ人選手が周りの選手に声をかけまくっている。Hi ! とハリ天にも声をかけて来た。日本からだと答えると、今度はそれまで挨拶を交わしていた選手たちを紹介してくれる。彼はオーストラリアだ、スペインだ、そしてオレはUSAだと。互いに握手を交わし健闘を誓い合う。勢いづいて前の選手に思い切って声かけ。おぉ、南アフリカからの選手だった。そしてその隣はイタリアーノ。
こうして世界から同じ年月を生きて来た同世代の同好の士が集う。心がギューンと震えた。なんだか熱いものが込み上げで来る。
MCの盛り上げも音楽と共に迫力で迫って来る。やがて番が巡って来た。6人ずつ10秒ごとのローリングスタート。M65の最後列になってしまったが初めての1人ずつのエリアがあるスタートゲートを越え湖にダイブ!頭から行くと格好いいけど、もう何年も飛び込みなんてやってないので安全策で足からドボン。

【M65エイジグループのスタート風景。プロとはかなり違う😅】

6〜7人ずつのスタートなので混乱やバトルとは皆無。気持ちよく自分のペースで泳ぎ始める。水温は18℃くらいらしいがウエット着てるし快適だ。なんたって塩素ないから久しぶりの堂々鼻から息を吐いて口から吸う。楽で気持ちいいなぁ。
まずは500m先の黄色いブイを目指す。左に折れ沖に600m。前にいた同じオレンジキャップの選手何人かに追いつき追い越す。悠々と。が、しばらくすると後方から次のグループの先頭が追いついて来た。
これが恐ろしいほどのスピード。スイスイと気持ちよく泳いでいる横をスーパーカーが通り過ぎるくらいの速さであっという間に前方に消えていく。その速度差には呆然だ。次々に水色キャップにパスされる。みんなはえ〜。
また黄色の大きなブイを右にカーブ。最後にもう一度右に曲がりフィニッシュまで頑張る。スイムゴール地点は湖から木の階段があるのだがこの一段一段が高い。ボランティアが手を差し伸べてくれていて、早速ありがたく手を借りる。とてもじゃないが1人でよじ登るのは大変なほど。


【高さがある段をよじ登るのが大変だった😅】


スイムフィニッシュは45分ちょうど。まぁ、予定通り。気持ちよく泳げればOKだ。



【バイク/90.1km】

トランジットエリアは広い。脱いだウエットスーツを抱えて走る。



【バイクトランジットエリアへ向かう】

妻から声がかかった。いい感じだよ。預けてあったバイク用のバッグを取りバイクラックへと急ぐ。端から端まで移動する感じ。遠い。

【端から端までの移動になった】

バイクにまたがりスタート。最初のこの勢いは気持ちいいが、いい気になると大変なので落ち着いてペダルを回す。
広い道路の街中を抜け郊外へと。右側通行がどうにも落ち着かないの。ついつい左側に寄りがちだが、後方から速いバイクは左側を抜いて行く。邪魔、邪魔。慌てて右端に寄りKeep Right。ソーリー。
外人は総じてバイクが強いという認識だったけど、もう確信確信。すごい勢いで左側を抜けていく。自分だって十分満足のいく速度で巡行しているのに、だ。
しばらく行くと路面が濡れている。ポツポツと雨粒も感じるように。そして結構な降りになってきた。涼しい。
バイクコースはrollingという。要するにアップダウンがあるよ。下りカーブもたいていは見通しがきくのでDHポジションのまま下ることにする。スピード感がたまらない。自分的にはかなり攻めた下りなのに、まるで小さな子ども扱いされているかのように左側を超特急が駆け抜けて行く。どうするとあんな速度で下れるのか。路面が濡れて光り出したら余計に感じた。
長閑な牧歌的風景が続いていて晴れていたらもっともっと素敵なはず。それが残念。
雨脚は次第に強くなり、ヘルメットのシールドを叩きつけてくる。メーターの数字がよく見えなくなって来た。気温もかなり低そうだがそれはあまり気にならなかった。のだが、、、流石にずぶ濡れ状態でかっ飛ばしてるので冷えて来た。
残り30kmを切った頃からこれはもしかするとやばいかも、、、と。安全策で下りでハンドルバーのブレーキパッドに手を置くと体は開き前面に雨風が当たる。これがやたら寒い。慌てて体を縮こませてDHポジションに復帰。風の抵抗が少ないことが改めてよく知れる。寒さはだいぶ違う。だけどDHバーの先端を握る手が寒さでかじかんで来る。紫色だ。補給をとろうにも指先がよく動かないし片手操作も怖くなって来た。速度が落ちる。左脇を寒さなんて何のそのと言った感じで馬鹿でかい外国人選手がかっ飛んで行く。ひえ〜。寒さで動けなくなっている選手もチラホラ。救うことは出来ないから心ばかりのエールを送る。が、自分も余裕がなくなって来た。速度が落ち、パワーも落ちると余計に寒さが浸透して来る。これもまずい。脚は動く。ならば、回せ回せ。クルクルととにかくペダルを回し続け、ようやくバイクフィニッシュのメイン会場に近づく。
最後に1番の急坂が待っていてちょっと慌てた。その坂を越え、右に急カーブしてバイクゴール。これで寒さからとりあえず逃れられると一安心。妻もここで迎えてくれた。2:58:58 ギリギリアベレージ30km/hを死守した感じだ。


【とにかくさ、さ、寒い!】


【手がかじかんでヤバい!】

【ラン/21.1km】

広い室内のバイクトランジットエリア。降車ラインから自分のバイクスタンドまでが遠い。
さぁ、補給だ。腹が減ってるとかではないがなんかエネルギーを入れないと体が温まらない。




【バイクで補給出来なかったジェル投入】

さて、元気よく走り出したはいいが、前ももが痙攣したかのように突っ張っていて走りづらい。というかまともに脚が動かない。寒さで固まってしまった感じ。トイレにも立ち寄る。スキーの世界選手権とかでは有名な土地、大きなジャンプ台があり、その下に立派な400mトラックを備えた競技場がある。前々日のパレードで日の丸を先頭に皆で練り歩いたところだ。


【はじめはとにかく脚が固まっていて動かず泣きそう、、、】

ここに入りトラック1周してコースに復帰。脚の感覚が戻って来ない。ランスタートを見送ってくれた妻が待っていてくれた地点まですぐそこだったはずがずいぶん時間がかかってしまった。遅いので案の定心配していたらしい。
アップダウンを繰り返す序盤。後方スタートのツアーで一緒の若者に追いつかれ抜かれた。軽い足取り。こちら脚がうまく動かない。この北欧の地までやって来て最後のランが歩きみたいになってしまうのか、、、とがっかりしかかったが、そんなことは自分で許せない。止まらず脚を動かし続けていたらだんだん体も温まって来たようで4km過ぎくらいからペースが上がって来た。よし、粘れ。
一気には上げないよう落ち着いて1周目を終える。

【2周目突入。これからトラック1周】


【2回目のトラック1周が終わる】


【別人のように余裕が出てきた】


2周目はコースの様子がわかったので戦略的に走る。周回コースはこういう計画が成り立つので案外いい。途中、ペースが合う選手と競り合いながら攻めることが出来るようになった。なんとか5分ちょうどから4分台に突入。それでも後ろのウエーブでスタートしている若い選手にはガンガン抜かれる。恐ろしいスピードだ。自分がヨレヨレになっているのかと錯覚してしまう。
ところでエイドでは積極的にジェルに手を出す。景気がいいぜチャンピオンシップ。なんたって高額のモルテンのジェルだ。ウエアのポケットにも突っ込んでお土産用にも。美味しいジェルだ。ランコースの後半は住宅街も通過する。地元民の応援も熱心で嬉しい。ここは日本ではなく声援がとっても新鮮。気持ちも盛り上がる。


【スイム会場の湖に。あと3kmくらい】

スイム会場の湖畔に出てラスト1km。嗚呼、もうじき終わってしまうのか、、、なんて余裕も出て来ていた。
フィニッシュ地点は大盛り上がり。ゴール手前で妻も待ち構えていてくれた。

【フィニッシュ手前】


【サングラスは外してと、、、】

目標タイムには及ばずも最低ラインの6時間は切ることが出来た。大満足とは言えないが色々な条件を考えると合格かな。


【フィニッシュ】


周りに日本人が1人も見当たらない初めてのチャンピオンシップのフィニッシュラインは独特の不思議な空間だった。



<完>

コメント (4)
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