十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

☆師(20)

2016-03-27 | Weblog
フラスコに色のけぶれる涅槃西風   菅原鬨也

俳句における二物配合は、鬨也先生が推進し奨励する修辞法の一つだったが、掲句はその典型的な句と思われる。二物の間には、何ら関連性は存在しない。フラスコの中で、異質な物質が化学反応を起こしていると思われるが、フラスコ内の色が単に「変化」したのであれば、普通の感覚だが、「色のけぶれる」である。もやもやとした気体がカオスだとすると、「涅槃西風」との関連性は容易に説明がつく。このような詩的な化学反応を生じさせる技法が二物配合の大きな魅力なのだ。句集『琥珀』より抄出。(Midori)