テルミニ駅から南西の方角に伸びるカブール通りをほんの200~300m歩いたところに、
ちょっとバロック風の建物があります。
前には広場があり、由緒ある建物のように見えるのですが、人の出入りする気配はありません。
実はこれがサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のアプシス(要するに裏側)なのです。
この教会は、真夏の夜に教皇が「雪の降ったところに教会を建てなさい」との聖母マリアのお告げを聞き、
その通りに雪が降った場所に建てられたとの言い伝えがあるそうです。
脇の道を抜けて正面に回ると、ごらんのようなファサードです。
両脇を宮殿にはさまれているため、
サン・ピエトロや、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノのような威圧感はありませんが、
同系?のデザインです。プランはフェルディナンド・フーガという人が担当したそうです。
ここにもしっかり「Porta Santa(聖なる門)」がありました。
サン・ピエトロ、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ、サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ、
そしてここがローマの4大バシリカとされ、聖年(原則として25の倍数の年)には、
これら4つの教会の「聖なる門」が開かれ、カトリックの信者が巡礼に訪れるのだそうです。
内部は、改装はされていますが、バシリカ様式の雰囲気をよく残しています。
ここにも一時期教皇座が置かれたこともあって、祭壇の上にはりっぱな天蓋があります。
側廊の天井は改装されていますが、身廊の側面上部にはモザイクとフレスコ画が残っています。
バラ窓です。新しいものだと思うのですが、きれいなのでつい写真に残したくなります。
モチーフはやっぱり聖母マリアですね。
主祭壇の 天蓋はファサードと同じフーガのプランによるものです。
ベルニーニのバルダッキーノを意識していることがすぐわかりますね。
身廊と内陣を隔てるアーチには美しいモザイクが残っています。
天蓋ごしに後陣のモザイク画が見えています。なかなか計算されたバロック的な演出ですね。
天蓋の天井部分もベルニーニ的です。フーガという人はバロックの影響を強く受けていたんですね。
これが後陣のモザイク画です。聖母マリアとキリストが描かれています。13世紀のものだそうです。
ラヴェンナともパレルモともまた違った雰囲気のモザイク画です。
祭壇画はやはり聖母マリアです。キリストの誕生の場面でしょうか。
「偉大なる聖母マリア教会」の祭壇画にふさわしいと思いますが、思っていたより簡素です。
実は、この教会には、この「キリストの誕生」にまつわる意外な聖遺物があるのです。
それについてはまた次回に。