JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

儀式間近 Vol.2

2015年07月15日 | m-o

1958年9月11日、当時はレギュラーとしてジョニー・グリフィンを擁していたモンク・カルテットに、グリフィンの代役としてコルトレーンが客演した晚、妻ネイーマは、客席からポータブル・テープレコーダーでその演奏を録音しておりました。
これを1993年CD化して発売になったのが『LIVE AT THE FIVE SPOT DISCOVERY! / THELONIOUS MONK』です。

そして、これにボーナス・トラックを二曲加え、リマスター盤として発売になったのが、今日紹介の『COMPLETE LIVE AT THE FIVE SPOT 1958』(前回のログで余計なIが入っていましたが、これも私のコルトレーンに対する愛だと・・)

では何故この二枚を紹介しないだろうと考えたかといいますと、
第一に、音ですよね。特に『LIVE AT THE FIVE SPOT DISCOVERY!』なんざぁ「聴くに堪えない」という方もいるくらい。(確かに酷い)
『COMPLETE LIVE AT THE FIVE SPOT 1958』も若干良くなったとは言え、お勧めできるまでは・・・・
第二に、録音が1958年ということ、つまりこれを「あの伝説のファイブ・スポット」と思い込んでしまうまぎらわしさ(笑)
第三に、『THELONIOUS MONK WITH JOHN COLTRANE AT CARNEGIE HALL』が発売されたということ。(これは大きい。笑)
この三点が理由ですかね。

まぁまぁまぁまぁ、とはいえ悪いことばかりじゃござんせんよ。
何よりかしこまったCARNEGIE HALLと、親しみ慣れたFIVE SPOTじゃ、そりぁアータ違いますわいな。

それとね、これは私もどうなのか真実を知らないのですけど(知っている方には教えていただきたい)、「ボーナス・トラック二曲の謎」なのであります。
いちぶ噂では、これはネイーマの録音では無く、ニカ婦人の録音、つまり「キャット・ハウス・テープ」(ニカ婦人の家には猫がいっぱいいたそうで、彼女所有のテープをこう呼ぶ)ではないか?ということ、しかも「1957年の録音ではないか」ってんですよ。

さてさて、これを聴き分けるとすれば、メンバーで唯一違うドラムス、つまりロイ・ヘインズとシャドウ・ウィルソンの違いを聴き取れる耳が必要ということになりますよね。
最後の二曲「RUBY MY DEAR」「NUTTY」と、その前の5曲とのドラマーの違いをあなたは感じるでしょうか?
「言われてみれば・・・・」
なんて聴き方は良くありません。自分の耳で確認する、これって面白い・・かな?
(これは、同CD内で比べるより、1958年の正規メンバーによる『THELONIOUS IN ACTION』と『THELONIOUS MONK WITH JOHN COLTRANE AT CARNEGIE HALL』を聴き込んでから比べた方が良いかもね。)

とまぁ、そんな聴き方をすると楽しめるかなぁ・・なんてね。

「モンクは私に完全な自由を与えてくれた。彼はよくステージを離れて酒を飲んだり踊ったりしていた。彼が戻ってくるまでの15分か20分のあいだ、私は好きなようにひとり即興演奏をすることが出来たんだ」(コルトレーン)

こんな言葉を聞くと、「モンクのいいかげんさがコルトレーに合ってた?」なんて勘違いしそうだけど、
モンクはそりゃもう丁寧にコルトレーンを指導していました。

ときに、アパートを訪ねてきたコルトレーンに、たたき起こされたにも関わらず、何度も練習に付き合い、難しい部分は(なにしろモンクの曲は難解ですから)一度演奏を止めて言葉で何度も指導する、それでも分からなければ譜面を取り出しさらに説明をする・・・・

「一曲仕上げるのに一日かかることもあったよ」(コルトレーン)

「今度こんな感じでやるから、仕上げてこいよ!」
てな指導がマイルスなら(笑)
「分からなければ分かるまで訊いてこい」
これがモンクだったのかな?

いずれにせよ。この二人がこれ以降のコルトレーンを築き上げた恩人であることに間違いは無いわけで、
「二人がいなければ我が神は存在せず」
私も感謝せねばイカンでしょうね。

余談ですが、
リマスター技術がどんどん進んでいくと、「キャット・ハウス・テープ」なんざぁますます貴重音源ですよね。バードとモンクの共演や、モンクと他のピアニストとの連弾なんかもあるとか。
さらには、ネイーマの録音だって1958年9月11日だけじゃありませんよ。そのテープをコルトレーンが何度も聞き返して練習した事実があるいじょう、それらの音源が残っていて、リマスターされて・・・・・・
「う~~~ん 楽しみ」
なんてね。
でもこれが出てこないんだなぁ
「チクショウ!」

COMPLETE LIVE AT THE FIVE SPOT 1958 / THELONIOUS MONK
1958年9月11日録音
THELONIOUS MONK(p) JOHN COLTRANE(ts) AHMED ABDUL MALIK(b) ROY HAYNES(ds)

1.CREPUSCULE WITH NELLIE
2.TRINKLE TINKLE
3.IN WALKED BUD
4.I MEAN YOU
5.EPISTROPHY
6.RUBY MY DEAR
7.NUTTY


追伸、
安全保障関連法案が衆院特別委員会において可決されたようです。
明日、本会議で可決、参院送りとなるのでしょうけど・・・・
エエんですかねぇ、本当にこれで?