ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

国家の罠、佐藤優。

2005年10月25日 | とんでもない!
 皆さんは覚えておられるだろうか。先の総選挙で比例区、北海道ブロックから新党大地を掲げて、当選し国会へ再登場した、あの鈴木宗男衆議院議員の逮捕以前に、外務省国際情報局分析官として2002年5月に逮捕された佐藤優という男のことを。

 彼は1960年うまれで、同志社大学神学部大学院の修士課程を卒業後、外務省に入り、95年までに英国、ロシアの日本大使館に勤務し、その後外務省国際情報局の主任分析官として勤務するかたわら、モスクワ国立大学哲学部客員講師ゅ8(神学・宗教哲学)、東京大学教養学部非常勤講師(ユーラシア地域変動論)をつとめた異才でもあるのだ。

 彼の逮捕容疑は「背任」と『偽計業務妨害」としてであり、東京拘置所での拘留生活512日を経験し、第一審判決では「懲役2年6カ月、執行猶予4年」となった被疑者なのだが、「これは国策捜査」であるとした「衝撃の内幕手記」を「国家の罠」(新潮社)として出版されている。

 なんと外務省のラスプーチンと呼ばれる所以は、有能な外交官として傑出した情報マンとして海外の外務官僚や国内でも知る人ぞ知る存在であったが、国を愛し、国のために尽くしたにもかかわらず、人生半ばで全ての人格を否定されたような衝撃的逮捕劇を経験した男が、「鈴木宗男事件の」全貌をも明らかにしているのである。

 著書「国家の罠」の中で、国家的策謀に満ちた、鈴木宗男逮捕への序章として、佐藤優氏と前島氏が逮捕されたのであるが、間違いなく「国策捜査」、つまり国家権力のためのバランス感覚での人権を無視した様な、微罪での大げさな捜査と逮捕劇が演じられたのである。

 このプロセスは、佐藤優氏自身の経験から、詳細にわたって記述されており、彼の逮捕に至った被疑罪を成立させるための、捜査、取調べが延々と続き、ついに本人の法的逸脱行為や違法性の認識は無くても、検事は筋書き通りの調書を作成し、起訴に持っていくのである。

 こうした拘置所内での検事とのやり取りや、その交渉過程での人間的やり取りを克明に、また鮮明に記録し記述しているのが、この「国家の罠」なのである。

 彼は、この国策捜査は、「上がりが全て地獄と言う双六」だとの名言を発していて、冤罪事件とは違って、警察、検察をあげての面子と政治権力の意思がある限り、殆どいや全く無罪放免はあり得ないのである。

 神学部大学院出身の佐藤優氏が、「鈴木宗男衆議院議員逮捕」に抗議して、東京拘置所内で48時間ハンストを決行した際に、旧約聖書を読破していたとのくだりは、この男の哲学、美学が伺えるエピソードでもあると、一目置いて「国家の罠」を読んだものである。

 
コメント (1)
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