まほろばの泉

亜細亜人、孫景文の交遊録にある酔譚、清談、独語、粋話など、人の吐息が感じられる無名でかつ有力な残像集です

「台湾通信」の発行人 早田健文氏

2011-10-22 19:17:57 | Weblog


           教育殉職した六士  台北 芝山巌



台湾の旧友、早田健文氏の発行する台湾通信を紹介します
当時、彼を紹介してくれたのは週刊新潮の門脇護氏、当時「学さん」といって張学良を研究取材するため、よく台湾を訪れていた。いまは門田隆将という名で流行作家になっている。

筆者も西安事件の真の首謀者といわれる苗剣秋氏の未亡人の病気お見舞いに訪れた時だった

早田氏は広島大学卒業後、台湾大学へ、そして民間最大の放送局中国広幡公司(BCC)の日本語放送を担当、在台二十数年に及び、彼の発行する台湾通信は彼の人柄がよく表れる「実直で丁寧」な内容である

今回は、台湾人、韓国人、日本人の感覚観察とでもいおうか、知人の言を借りて紹介している。
とても、いいずらいことのようだが、民族性癖を的を得て表わしている。











「FTA」 2011.10.21

○米韓FTA(自由貿易協定)が締結された。韓国は台湾にとって最大の貿易ライバルである。その韓国がEU(欧州連合)結に続いてアメリカともFTAを締結したことで、台湾への影響が心配されている。台湾と韓国は産業構造が似ていて、経営形態は違うがいずれも情報・電子製品、機械、自動車関連製品が経済の中心となっている。韓国にとって台湾は意識外だろうが、台湾は韓国を強力なライバルと見ている。しかもここのところの韓国経済の台頭、韓国ブランド浸透、韓流ブームに比べて、台湾の低迷振りが目立つ。台湾には中国に対するだけではなく、韓国に対する敗北感も漂っている。

○たまたま先日、韓国から知り合いがやってきた。韓国で大学の先生をやっている日本人の人類学者で、今回の目的はシンポジウム出席だった。フィールドは韓国なので、韓国のことはいろいろ観察している。ところが彼女は、ソウルから台北に来ると、さっそく風邪を引いてしまった。台北はここのところ天気が変わって涼しくなり、台北でも確かに風邪の人は多い。しかし、韓国はもっと涼しいはずである。湿気が高いという台北の気候からなのか、何度台北に来ても風邪を引いてしまうのだという。もともと韓国で引いていたのではと思うが、そこからして台湾と韓国との溝を物語っている。

○さて、日本人から見ても韓国は勢いがあるように見える。K-POPでは少女時代やKaraしかり、電気製品ではサムスンしかり。しかし、やはりよくいわれるように韓国は格差が大きな社会である。そうした名前が知られているブランドは確かにあるが、それ以外はあまりない。ポップスを例に挙げると、日本でももてはやされているアイドル以外は、ほとんど見るべきものがない。各分野で層が厚いのは圧倒的に日本である。だからこそ韓国は、アイドル創出だけに集中する。しかし、韓国には今も後進国意識があって、負い付け追い越せの精神がある。そのため、少しでも世界に通用するようなものが出てくれば、大いに自慢し、尊大になるのだという。

○日本人はそうした韓国に拒否感を示し、敗北感を感じ、そして敵がい心を燃やす。韓流への反感がそうである。とにかく、日本と韓国の間では、どうしても冷静になれない。これが韓国在住日本人学者である彼女の見解だ。この点、確かに台湾と日本との関係はかなり違っている。それほどギスギスしていない。敵がい心を燃やすことは互いにないようだ。

○経済については、華やかな成長が伝えられる中で、実は表面ばかり見ていてはいけないということがよくいわれる。学校に勤めている彼女の実際の見聞からいうと、韓国では学生の半分ほどは就職できていないのだという。確かに格差は拡大しているとはいうものの、台湾の大学には見られない現象だ。台湾のポップスで世界に通用するようなものはほとんどないが、中国で大いにもうかっているのも台湾の芸能人だ。サムスンのような世界的な企業はないが、アップルの製品を作っているのはほとんど台湾企業だ。それなのに、台湾が意識で負けているのは間違いない。隣の芝生はやはり青く見えるのだろう。

○台北は昨夜、かなり雨が降った。ここのところ涼しくて過ごしやすい。ただし、どんよりとした雲が垂れ込めて、陰気な感じがする。さわやかな秋晴れとはいかない。(早)







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