A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ヒカシュー「ヒカシューの夏 2017」@吉祥寺STAR PINE’S CAFE 2017.8.24(thu)

2017年08月27日 12時36分14秒 | 素晴らしき変態音楽


SPC 20th Anniversary event
[ヒカシューの夏 2017]
ヒカシュー

開場 18:30 / 開演 19:30
前売¥3900+1drink / 当日¥4300+1drink


(写真の撮影・掲載に関しては主催者の許可を得ています。以下同)

『フリークス/怪物團』 (Freaks) は、1932年に制作・公開されたトッド・ブラウニング監督によるアメリカ映画。見世物小屋のシャム双生児や小頭症や小人症などの畸形者や障害者が出演するショッキングな映画で長い間上映禁止の憂き目にあったという。高校時代雑誌「ユリイカ」か「夜想」か「WAVE」でこの映画の記事を読んで「フリークス/畸形」に興味を持った。幼い頃から水木しげるや梅図かずおが描く妖怪や幽霊に惹かれてきた(しかし怪談話やオカルト映画は苦手だった)筆者にとっては「普通と異なる」ことが魅力であり「フリークス/畸形」という言葉/概念が腑に落ちたのである。

パンク/ニューウェイヴや当時オルタネイティヴと呼ばれたポストパンクにはフリークスが多かった。退化人間ディーヴォ、正体不明のレジデンツ、素っ頓狂なペル・ウブ、調子外れのレッド・クレイヨラ、名前からして畸形の陰猟腐厭をはじめとする有象無象の地下音楽に興味を持ったのもフリークス性故であろう。その頃レコード店で強烈なフリークスオーラを放っていたアルバムがヒカシューの3rdアルバム『うわさの人類』(81)だった。戸川純のゲルニカのメンバーとして注目されていた太田螢一によるアートワークに尋常じゃないものを感じながら、レコード盤に針を落として流れ出したエレピと歌だけの暗黒のメロディに、それまで知っていたテクノポップのヒカシューとは違う畸形性を感じ、当時一緒に即興バンドOTHER ROOMをやっていたタカシマ君に電話して「ヒカシューほど根暗なバンドはいないよね」と力説したことを覚えている(タカシマ君はピンと来ていなかった)。巻上公一の朗々としたヴォーカルは勿論強烈だが、サックスが大きくフィーチャーされた演劇的なサウンドは、やはり当時好きになったフランク・ザッパやレコメン系前衛ロックに通じるものを感じた。個人的に特に近いと感じたのはディーヴォの後を追ってオハイオ州アクロンからデビューしたティン・ヒューイ/TIn Huey『不思議な落とし物/Contents Dislodged During Shipment』(79)。



しかし当時ヒカシューのライヴを観た記憶はない。90年代に巻上公一がヴォイスパフォーマーとして即興音楽シーンで注目され、ホーメイ歌手としてより一般的な人気を得た頃に巻上を何処かジャズ系のイベントで観たかもしれない。ヒカシューのライヴは初めて観たのは2008年5月2日渋谷クアトロでの灰野敬二との共演であった。その後アーバンギャルドやプラスチックスとの対バンや巻上が総合プロデュースを務めるJazz Artせんがわなどで何度か観たが、ワンマンライヴを観るのはこれが初めて。来年40周年を迎える日本のニューウェイヴのオリジネーターが、今年20周年を迎えた地元吉祥寺のライヴハウスで贈る独演会。


ヒカシュー+灰野敬二@渋谷 Club Quattro 2008.5.2(fri)
ヒカシュー/アーバンギャルド@渋谷La.mama 2012.5.2 (wed)
ヒカシュー/プラスチックス@代官山UNIT 2013.12.23(mon)

メンバーと同年代の壮年から30代前後で女性客が意外に多い。何となくクリエイター系のちょっとオシャレな人が多い気がした。それにしてもくせ者揃いのメンバーの存在感がすごい。巻上は2日前にトゥバから帰国したばかりで風邪をこじらせて鼻声だが、歌うのは問題ないと豪語し、レパートリーの「うらごえ」を「はなごえ」と称して歌う諧謔味にニヤリとする。10月発売のニューアルバム『あんぐり』から3曲披露。「いい質問です」「了解です」「いいね」という曲名を見ただけでわかるウィットに富んだ風刺ソング。それが決して政治的・批判的に聴こえないのもヒカシューのフリークス性の発露である。デビュー・アルバム収録曲「スイカの行進」ではじまりアンコール「炎天下」で終わるステージは、これまで観たJazz Artせんがわでの実験的演奏に比べて、想像以上に“ロックバンド”という印象を受けた。



セットリストを事前に決めていないというくだりには驚く。ステージ上で誰かがイントロを弾き始めるまで何が演奏されるか分からないという。『あんぐり』にはNYの若手前衛サックス奏者クリス・ピッツィオコスがゲスト参加した。9/17のJazz Artせんがわでヒカシューとピッツィオコスが共演する。日本とNYのフリークス即興コラボがどうなるか楽しみしかない。

SET LIST
1st set : 1. スイカの行進 2. 筆を触れ 3. 彼方くん 4. はなごえ 5. マグマの隣 6. テングリ返る 7. アートマン
2nd set : 8. いい質問ですね 9. 了解です 10. いいね 11. 黄ばんだバンダナ 12. カレー三昧 13. パイク 14. ナルホド
アンコール : 15. 炎天下

悲歌衆が
歌う非歌唱
悲観せず

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