A Challenge To Fate

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百鬼夜行の回想録~80'sインディーズ特集 第13回:失われた女子バンドを求めて~RAP/Bárbara/OXZ 

2013年09月29日 00時24分17秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


けいおんのヒットを待つまでもなく、20世紀の終わりの日本では女子がバンドを組むことは当たりまえだった。しかしその僅か20余年前には、乙女がギターを担いで街を闊歩することはなく、女だけのロック・バンドは好奇の目で見られたものだった。それを大きく変えたのは70年代末のパンク・ムーヴメントだった。パティ・スミスやブロンディなどの女流ロッカーの登場も目立ったが、日本に於いてはランナウェイズの影響が甚大だった。下着で歌う10代女子バンド、という恰好の週刊誌ネタとして篠山紀信が激写し日本で大ブレイク。模倣に長けた日本の音楽業界もすぐに追従し、いくつかガールズ・バンドをデビューさせるが、音楽性は二の次の話題作りのバンドばかりでたいしたブームにはならなかった。

それよりも草の根レベルで女子ロックが胎動をはじめた。パンクが提示した「自分でやらなきゃ始まらないぜ!」というDIY精神に感化され、それまでロックの鑑賞者であり支持者に過ぎなかった女子が主体的に参入を開始したのである。東京ロッカーズの台頭と歩調を合わせて登場したファンジンの多くが女学生により編集されていた。ロックシーンとの関わりを通じて、ペンやテレコをギターに持ち替える女子も現れ、どうせなら女の子同士で楽しくやろう、とバンドを結成。BOYS BOYSやその後進のゼルダ、水玉消防団などがライヴシーンで活動、作品を自主リリースし、多くの女子に勇気を与えた。80年代には女子バンドが一気に増加。その多くがスージー&ザ・バンシーズ、レインコーツ、スリッツ、エッセンシャル・ロジックといったポストパンクの影響を受けていたのも特徴的である。以前紹介したサボテンキャー!、THE COMES、THE NURSEなど個性的なバンドが次々現れた。ある程度の作品と影響力を残し現在CD化されているバンドはともかく、その多くは再発されることもなく忘却の彼方へ葬り去られようとしている。今回は失われつつある女子ロック鉱脈の原石に陽の光を当ててみたい。

●RAP(ラップ)


1984年結成。メンバーはルージュ(vo)、ミサ(ds)、カオリ(b)、ニシキ(g)。雑誌DOLLのレーベル、シティロッカー傘下のドグマ・レコードからリザードのモモヨのプロデュースで3枚の7"EPと1枚の12"EPをリリース。ガスタンク、リップ・クリーム、カムズなどハードコアやリザード、マネキン・ノイローゼ、GOMESS、後述するBárbara、OXZなどと対バンすることが多かった。特にリザードとは所属事務所も同じで交流が深かった。カラフルなヘアスタイルと華麗なドレス姿の妖艶なパフォーマンスは雑誌グラビアの常連として人気になるが、女子バンド故に音楽よりもルックスばかり取り上げられることに危機感を抱き、RAP通信「鏡よ鏡」というフリーペーパーを3年間30号に亘って発行し、積極的に情報や思想を発信したDIY女子だった。RAP3部作と呼ばれる7"EPはそれぞれ現在・過去・未来を表すコンセプト作品。メディア批判の直情パンクから幻想的なサイケデリックまで、様々な表情を魅せる。ラスト作の12"EPは写真満載の16ページ・ブックレット付で、サウンドも含め完成度の高さはインディーズ最高レベル。1988年11月ルージュの脱退で解散するが、現在でも多くのファンから愛され、メンバー公認ファンサイトも充実している。再発を求める声は高いが、シティロッカーから許可が出ないらしい。80年代インディーズの再評価が進む今こそ、何とか再発を実現してほしいものである。

Discography
1985.10 WRAP <7inchEP/DOGMA RECORDS>
1986.02 TRAP~罠 <7inchEP/DOGMA RECORDS>
1986.06 RAPOUT <7inchEP/DOGMA RECORDS>
1987.10 HYSTERIA <12inchEP/DOGMA RECORDS>








RAP 新宿Loft RAPOUT!



●Bárbara(バルバラ)


RAPと同じくモモヨのプロデュースでデビューしたのがバルバラ。バンド名は有名シャンソン歌手と同じだしリリースも2タイトルだけなのでググっても情報が無い。1985年にドグマから1st EP、86年に自らのレーベルから2nd EPをリリース。メンバーはゆき(vo)、みどり(pf)、古都女(g)、恵子(b)、ちさ(ds)、2ndではベースがSachicoに変わっている。ジャケットに映る5人はドレッシーなゴスロリ系だが、音を聴いて虚をつかれる。フリーキーなピアノが活躍するアヴァンギャルド・サウンドに呪術的なヴォーカルが喘ぎ叫ぶショックロック。ジャズ、室内楽、キャバレー音楽、シャンソン、プログレ、パンクなど雑多な要素が共存する世界はスージー・スーのユニット、クリーチャーズに通じる。ギターのKotome(古都女)は90年代にキャバレー・ガレージ・ガールズ・バンド、54 Nude Honeysに参加した。

Discography
1985.10 BARBARA <7inchEP/City Rocker Records>
1986. Barbarous Virginity <7inchEP/Happy Birthday Records>






●OXZ(オックスゼット)


1982年にライヴ・デビュー。大阪・京都を中心に活動した3人組。メンバーはMIKA(g,vo)、HIKKO(b,vo)、CHASENMARU(ds,pf,vo)。84年自らのレーベルからのデビュー20cmEPでは、プリミティヴなドラムと単調なメロディーのダークなパンクを聴かせる。テクニックは同郷の少年ナイフと同様未熟だが、描き出すのは真逆のダウナーな世界。続く作品ではサポート・キーボードを迎え、アート性の高いサウンドに変遷するが、身に付いたアングラ感は変わらない。バルコニーの最終作では筋肉少女帯の三柴江戸蔵がゲスト参加。解散後、CHASENMARU(チャセン丸)とMIKA(林美香)は1989年に元メスカリン・ドライヴの浅野不二子と井上実香と共にプレイメイトを結成。

1984.   OXZ <8inchEP/OXZ RECORDS>
1985.12 Fall In The Night <12inchEP/Night Gallery>
1985.12.15 children of the kingdom <Flexi/Night Gallery> ※V.A.(OXZ / 餃子大王 / YORAN)
1988.01 AND BLUE AND BLEED <12inchEP/balcony RECORDS>



OXZ /(我等は何して)老ひぬらん (1984)


女子ロック
消えちゃう前に
救い出せ

やっぱり萌えますな♡

コメント (1)    この記事についてブログを書く
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1 コメント

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Unknown (さよ)
2019-05-22 23:27:53
RAP,素晴らしいですよね
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