A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

坂田明+吉田達也+ユミ・ハラ@荻窪ルースター 2013.12.19(thu)

2013年12月21日 01時39分10秒 | 素晴らしき変態音楽


仰天!こんなに面白かったフリージャズの世界!
坂田明(sax.pf.vo)/ユミ・ハラ・コークウェル(vo.pf.from UK)/吉田達也(ds.vo.pf)

え?これもフリージャズなの??めちゃ面白い!こんな世界があったのか!ご存知、坂田明がピアノ弾き語り?イギリスのアルトービーツのユミ・ハラ・コークウェル来日で実現したものすごい世界をどうぞ。

荻窪ルースターの告知には上記のように書かれているが、ユミ・ハラによるFBのイベント告知ページは下記の通り。



坂田明、吉田達也、ユミ・ハラ 3×グランドピアノ弾き語り+トリオ

世界を震撼させる超絶ピアノ弾き語りスト3人が、3者3様の驚愕のグランドピアノ弾き語りと、4年ぶりのトリオ演奏を行う必見の一夜マスターのマジックショーもモチロンあります!! 禁煙ライヴです

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ルースターはロックとブルース中心のライヴハウス。マジックショーで有名なルースターのマスターにとってフリージャズは難解な音楽だった。1年半前に知人の頼みでアルトー・ビーツのフリージャズ講座(ワークショップ)とライヴの為に貸切で会場を提供。一般から参加者を募りアルトー・ビーツのメンバーと即興演奏を行った。筆者も参加したこのワークショップは、参加演奏者や観客だけでなく、ルースターのマスターにも大きな感銘を与えた。

”そしてその日、私は講座を聴いて思いっきり納得してしまったのです。
「うわー、フリージャズってそうなっていたのか」って。
フリージャズって勝手なことをやっているのかと思ったら大間違い。
なんとルールにのっとって演奏されていたのでした。
そのルールの説明を聴いたうえでライブを聴くとこれが「なるほど」となったのです。”

荻窪ルースターFBページより)

フリージャズの面白さを知ったマスターが今回は貸切ではなく通常公演としてブッキングしたのがこの日のライヴ。「ジャズ」かどうかはさて置いて、即興演奏・アヴァンギャルド音楽の楽しさが伝播することは素晴らしい。

一方企画したユミ・ハラにとっては、かつてトリオでツアーしたことのある坂田と吉田がそれぞれピアノの弾き語りをするライヴは大胆な挑戦だった。詳述は避けるが、普段演奏しないピアノを人前で演奏することを躊躇うふたりにユミはある策略を仕掛けてOKさせたらしい。その結果、滅多に見られない貴重なイベントになった。プログラムは第1部:各自ピアノ弾き語り・第2部:トリオ演奏。

●吉田達也

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

吉田がピアノを弾くとは知らなかったが、変拍子のエキスパートらしくパーカッシヴに鍵盤を連打。メシアンやバルトークを思わせる現代音楽風無調プレイが、変態ヴォーカルが加わると一気にコバイア星にワープする。濃厚なポリリズムが分厚いクラスターになり耳に迫る。クリチャン・ヴァンデール(敢えてヴァンデじゃなく)の『トリスタンとイゾルデ』を思い出した。




●坂田明


80年代初頭に宴会芸の新童謡がテレビCMで話題になった坂田が久々にピアノの前に座る。スタンダード風の流暢なピアノに乗せた得意の平家物語の詠唱が、突然「モンシロチョウの雌がどうした~」「コウモリの大議論がこうした~」とわけ分からん尋常じゃない展開に。抱腹絶倒という月並みな表現がピッタリ。この破壊力は是非とも生で体験していただきたいが、再演があるかどうか????




●ユミ・ハラ


余りに強烈な二人のあとで厳しいわ~と言いつつ、カンタベリー~レコメン系を継承した歌と演奏。ロバート・ワイアットの歌唱で有名なエルヴィス・コステロ作「シップ・ビルディング」、10数年前に書いたオリジナル曲「エヴリデイ・キャン・ビー・クリスマス」、ソフト・マシーン「6月の月」、最後に吉田をドラムに加え某有名曲のカヴァー。どんな曲かは12月23日プログレクリスマスでのお楽しみ。




●坂田明+吉田達也+ユミ・ハラ


坂田と吉田は第1部の緊張から解放され、思い切り本領発揮のトリオ演奏。ユミと坂田の共演を観るのは初めてだが、女性らしい大らかなスケール感のあるピアノと、クリスタルな音色から阿鼻叫喚のフリークプレイへと急転直下のサックスの相性はバッチリ。吉田とユミの息の合った変拍子ビートを突き抜けるサックスが気持ちいい。中盤からは坂田が楽器を置いて破天荒な歌を聴かせる。ユミと吉田も加わった3声のヴォイスパフォーマンスはこのトリオならでは。クラリネットを吹くとエスニック風なムードに。猫の目のように目紛しい展開は流石即興のベテラン。「まだ8分残ってる」と言うユミに、坂田が「Aマイナー」と答えて吹き始めたアンコールは、抒情的なバラードが崩壊して混沌インプロに変容するスリリングな演奏。



返す返すもレアな演奏を楽しめたサイコーの夜だった。フリージャズでも即興でもプログレでもノイズいいけど、エンターテイメントは兎に角面白くなきゃね!

ピアノ弾き
撃つなら撃てと
ピアノ弾かず

それにしてもピアノって演奏者の本性が出る楽器だなと実感。いろんな非鍵盤奏者がピアノを弾くという企画イベントも面白うそう。





コメント
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