A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

.es(ドットエス)/インキャパシタンツ/魔術の庭@新大久保Earthdom 2013.12.14(sat)

2013年12月16日 06時45分51秒 | 素晴らしき変態音楽


.es[dotes] LIVE IN TOKYO 2013

.es/INCAPACITANTS/魔術の庭

筆者が勝手に関西NO WAVE即興デュオと呼ぶ.es(ドットエス)初の東京ツアー初日。爆音ロックの聖地、新大久保アースダムにて。新大久保といえば在特会のヘイトスピーチとシバキ隊のプラカードと思っていたら、既に下火になったようで、ストリートは韓流&K-POP天国。美男美女のポスターが貼り巡らされた店舗は女性客でごった返している。イケメン揃いの店員目当もいるかも知れぬ。異界のキラビヤかさに目が眩み、アースダムに気づかず通り過ごしてしまった。通りを引き返して派手な風俗ディスプレイの奥に地下音楽の迷宮への入口を発見。薄暗いアースダムは戸外の喧噪が嘘のように秘めやかで湿った妖気が流れている。

INCAPACITANTS(美川俊治+コサカイフミオ)

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

肉体派ノイズの雄、インキャパシタンツを観るのは3年3ヶ月ぶり。美川は非常階段などで何度も観ているが、コサカイは昨年10月のノイズ大学以来1年2ヶ月ぶりである。巨漢のコサカイ用にエフェクター・テーブルがビールケースの上に設置してあるのが面白い。凸凹師弟デュオの演奏は純血ストロングスタイル。耳を圧する轟音ノイズが、ふたりの身体の動きにピッタリ連動して変化するのが肝。直立不動でノイズを発生させるラップトップノイジシャンが増えた今、インキャパのAction PaintingならぬAction NOISINGは突出してエモーショナル。これほど感情に訴えかける電子音楽は他には無い。気合一本、直球ノイズ、萌える闘魂。




.es(ドットエス)


出会いから2年、やっと.esを目撃する機会に恵まれた。橋本孝之はファーの付いたブラックコート、SARAはエレガントなフラメンコ風ロングドレスと外見は地上のK-POPに劣らずオサレ。橋本は韓流俳優そこのけの渋いルックス、長身長髪のSARAも魔性の魅力をで誘惑する、インプロ界随一の美形デュオである。インキャパが残した高密度の空気を引き裂くようなサックスのフリークトーンを、ピアノの乱れ打ちが煽り更なるハイブロウを誘発する。足を広げ上半身を激しくバンギングして雄叫びを上げる橋本の姿に、「傷だらけのローラ」を歌う西城秀樹が頭に浮かぶ。鍵盤の端から端へ身体全体で走り回るSARAは魔女のようだ。無調音楽の冷徹さで空間を埋めるピアノ演奏にジャズの要素は皆無。サックスのフレーズは歌になることなく、せいぜい散文詩に帰結するのみ。メロディが無いのに心を締めつけるロマティシズムに溢れている。ふたりの身体の動きがサウンドに直結している点でインキャパシタンツと瓜二つである。即物化された音響は、ジャズではなくNOISEに限りなく近い。




魔術の庭


福岡林嗣率いるサイケデリックロックの雄。前身のOverhang Party時代の曲を含め、長尺の自由度の高い演奏が精神を拡大し、エントロピーの増大を誘発する。一般に轟音ギター云々と言われるが、むしろしっかりしたメロディと不条理をテーマにした歌詞こそ彼らの真骨頂だろう。延々と繰り返される単純なリフに意識が朦朧となり、耳を圧するファズギターと一緒に空中に溶けて行く。精神拡張効果は真のPsychedelicであり、脳内カオス分泌作用はNOSIEと同質の酩酊感を持つ。




●ラストセッション


最後に出演者全員でセッション。魔術の庭の楽曲がベースとなるが、歌メロを浸食するNOISEの暴虐性は、階段コラボを凌駕する破壊力。各自フルボリュームでの演奏が恐るべき振動となってで鼓膜を圧迫し脳神経を麻痺させる。25分の狂乱の果てのなしくずし的な終焉後、T.美川以外のその場に居た者全員が急性難聴と奥深い頭痛に襲われることとなった。




新大久保の平和をほんの少し乱した饗宴の夜、3者に共通していたのは「ブルース」だった。激しい電子NOISEの奥に光る魂の闘い、アコースティック演奏が産むNOISE以上のカオス、ファズギターのNOISEに乗せた天空のメロディ。いずれもが肉体と魂からダイレクトに発せられる真の意味での「ブルース」を体現していた。B.B.キングのブルースではなく、淡谷のり子のブルース。人生の悲哀がNOISEの中で響き渡った。

即興で
別れのブルース
歌いましょ

No is Entropy.
Blu .es [DOTES]


コメント
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