Discover the 「風雅のブリキ缶」 written by tonkyu

科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

「古池や蛙飛びこむ水の音」の碑石(深川、芭蕉庵跡)

2008年08月03日 10時27分27秒 | Journal
 古池や蛙飛びこむ水の音

 写真右の碑石を見て、最初何が書いてあるのか分からなかった。同伴者に「これは古池やでしょ」と教えられて、納得。蛙の置物まで案内に坐っているのに不覚である。―― 古今、俳句というと、大体、この一句になる。弟子のタカライ・キカク(宝井其角)は、上五を「山吹や」でいかがと言ったが、バショウは否(ノン)と答え、「古池や」と聞かなかった。『古今集』にある「かはづなく井手の山吹ちりにけり。花の盛りにあはましものを」は、散る山吹の向こうを張って、清流の幾箇所で華やかに鳴く蛙の群れの情景である。淀んだ古池の蛙は、あくまで静寂を破る単独犯でなければならない。蛙は、いわば、単騎のサムライである。その行為は、一つの音に帰結し、また何かが始まっている。
 同伴者に、上記の作品に書いた説明を繰り返してから、芭蕉は最初に思いついた「古池」をくっつけただけだったかもしれないと考えた。創作とは、解釈ではない。ひらめきを手離さないことだ。
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