いくつかある趣味の一つに音楽を聴くことがある。
若い頃はクラシックオンリーであったが、今ではジャズやポップス、演歌など色々なジャンルの音楽を聴いて楽しんでいる。
その音楽好きな小生には、叶えたいささやかな願いが二つあった。
その一つは、わが国を代表するコンサートホールの一つである『サントリーホール』でのコンサートを聴くこと。
もう一つは、これと全く逆に一般家庭での少人数によるホームコンサートで、目の前でヴァイオリンやチエロなどの弦楽器の生の演奏を聞くこと。
もっとも、サントリーホールに関してはその気になればすぐにでも叶うことであり、望みというには少し大げさすぎるかもしれない。事実、先日弟に誘われて諏訪内晶子さんのコンサートに行って来た。(2月13日付けブログ)
しかし、一般家庭での少人数での生演奏会となると、ことはそう簡単にはいかない。
それだけに昨年の暮れ、その年最後のオーディオ談笑会の席で主宰者のKさんが『来年早々にはこのリスニングルームでヴァイオリンの生演奏を楽しんでもらう企画をたてているので期待して』という予告を聞いた時は、小生の望みが叶うと大いに喜んだのであった。
しかし、年が明け1月の中旬を過ぎても一向に音沙汰がないので、もうだめかなと半ばあきらめかけていたところにKさんから待ちに待ったメールが入った。
メールには、『新進気鋭』、『若手美人ヴァイオリニスト』といった言葉を書き連ねて演奏者の『上野真理』さんを紹介していた。
早速、インターネットで『上野真理』さんを検索する。
すると、何と小生が住んでいる埼玉県A市からさほど遠くないF市に住んでいて、我が家から歩いて10分ほどのところにあるM音楽教室でヴァイオリンを教えている、とあるではないか。何とまあ、「世間は広いようで狭いものだ」とつくづく実感した。
また、ネットには彼女が書いているブログもあった。
早速のぞいてみると、『飲みすぎちゃってご免なさい、反省してます』などという文章も掲載されていて、飾らない人柄に好感がもてた。そして、同じブログを書くもの同志として親近感を覚えて、演奏会の日がますます楽しみとなった。
演奏会場となるKさんのリスニングホールは広さがおよそ20畳ほどで、数次にわたる改装・改良を重ねて、一般家庭としてはこれ以上望めないほど立派なホールに生まれ変わっている。
この演奏会に集まった人たちは小生を含めて15名。
Kさんの「音楽を通じて地域のコミュニケーション活動に貢献したい」と言う「夢」を支援してくれているご近所の奥様や区の担当者の方々である。
Kさんによれば、この人たちから「口コミ」の輪が広がったとのこと。今回の生演奏会をきっかけにさらにこの輪があちらこちらで開花すれば、と期待していると喜びのほどを語ってくれた。

明るく、温かい、そしてつややかな音色で
ヴァイオリンの素晴らしさを堪能させてくれた
上野真理さん
定刻になって上野真理さんがにこやかに登場。
20畳の広さがあるといっても、実際は演奏者と聴衆が目と鼻をつき合わせるほどの距離である。これこそ、小生が思い描いていた理想のスチエーションである。
オープニングは、エルガーの『愛のあいさつ』で始まった。
明るく、温かく、そしてつややかなヴァイオリンの調べに乗って、聴きなれたお馴染みのメロディがホールいっぱいに紡がれて行く。
瞬間、『ああ、これが生のヴァイオリンの音なのだ』と感動する。
そして、今までこのホールでタンノイのスピーカーで再生されたヴァイオリンの音を何度も聴いているけど、生演奏の音とオーディオ装置で再生される音とは『異質』なものだということを再認識した。
また、上野さんが選曲されたプログラムの中には、本来は伴奏がある曲を無伴奏で演奏したが、その演奏を聴きながら伴奏が入らないことで逆に伴奏の役割について認識を新たにした。
今回のコンサートの聴き所は、ヴァイオリンのテクニックが存分に発揮されたファリアの「スペイン舞曲」とクライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース」であった。
すぐ目の前で彼女の左手がヴァイオリンの弦の上をあたかも魔法の指のようにめまぐるしく動き回り、右手の弓の操作と相俟って高音から低音までの音色の変化を自在に操るテクニックの妙にすっかり魅了された。
演奏会は1時間ほどで終了したが、この時間は何とも贅沢で、満ち足りた至福の一時となった。
このような雰囲気でのホームコンサートを聴ける機会は、多分そんなにないだろう。
それだけに、Kさん宅にまでわざわざ足を運んでいただき、ヴァイオリンという楽器の素晴らしさを堪能させてくれた上野真理さんには心から感謝申し上げると共に、これからのますますのご活躍をお祈り申し上げます。
また、今回このような貴重な体験の場を作ってくれたKさんに厚くお礼を申し上げる次第である。
Kさん宅を辞する時、玄関の横で咲いていた紅白二本の梅の木から匂うように梅の香りが漂っていた。
「ああ、もう春だな」と春の到来を実感し、幸せな気分を満喫しながら帰路についた。

上野真理さんを囲み当日集まった皆さんとの記念写真
当日のプログラム
エルガー 愛のあいさつ
クライスラー ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
ベートーヴェン ロマンスへ長調
ファリア スペイン舞曲
ヴィバルディ 四季から「春」
クライスラー レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース作品6
上野真理さんのプロフィール
桐朋女子高校音楽科を経て、桐朋学園大学卒業。その後、ウイーン国立音楽大学に留学。
在学中、「多摩フレッシュ音楽コンクール」弦楽器部門入選、江藤俊哉ヴァイオリンコンクール第1位 入賞、神奈川フィルハーモニーとコンチェルトを協演、東京文化会館新進演奏家デビューコンサート等に出演。
2004年、和光市文化振興公社の主催でリサイタルを開催。スィートベイジル STB139(六本木)のクラシックライブや(財)地域創造の公共ホール活性化事業等に参加、幅広く演奏活動を行なっている。
上野真理さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/musicinfo/
若い頃はクラシックオンリーであったが、今ではジャズやポップス、演歌など色々なジャンルの音楽を聴いて楽しんでいる。
その音楽好きな小生には、叶えたいささやかな願いが二つあった。
その一つは、わが国を代表するコンサートホールの一つである『サントリーホール』でのコンサートを聴くこと。
もう一つは、これと全く逆に一般家庭での少人数によるホームコンサートで、目の前でヴァイオリンやチエロなどの弦楽器の生の演奏を聞くこと。
もっとも、サントリーホールに関してはその気になればすぐにでも叶うことであり、望みというには少し大げさすぎるかもしれない。事実、先日弟に誘われて諏訪内晶子さんのコンサートに行って来た。(2月13日付けブログ)
しかし、一般家庭での少人数での生演奏会となると、ことはそう簡単にはいかない。
それだけに昨年の暮れ、その年最後のオーディオ談笑会の席で主宰者のKさんが『来年早々にはこのリスニングルームでヴァイオリンの生演奏を楽しんでもらう企画をたてているので期待して』という予告を聞いた時は、小生の望みが叶うと大いに喜んだのであった。
しかし、年が明け1月の中旬を過ぎても一向に音沙汰がないので、もうだめかなと半ばあきらめかけていたところにKさんから待ちに待ったメールが入った。
メールには、『新進気鋭』、『若手美人ヴァイオリニスト』といった言葉を書き連ねて演奏者の『上野真理』さんを紹介していた。
早速、インターネットで『上野真理』さんを検索する。
すると、何と小生が住んでいる埼玉県A市からさほど遠くないF市に住んでいて、我が家から歩いて10分ほどのところにあるM音楽教室でヴァイオリンを教えている、とあるではないか。何とまあ、「世間は広いようで狭いものだ」とつくづく実感した。
また、ネットには彼女が書いているブログもあった。
早速のぞいてみると、『飲みすぎちゃってご免なさい、反省してます』などという文章も掲載されていて、飾らない人柄に好感がもてた。そして、同じブログを書くもの同志として親近感を覚えて、演奏会の日がますます楽しみとなった。
演奏会場となるKさんのリスニングホールは広さがおよそ20畳ほどで、数次にわたる改装・改良を重ねて、一般家庭としてはこれ以上望めないほど立派なホールに生まれ変わっている。
この演奏会に集まった人たちは小生を含めて15名。
Kさんの「音楽を通じて地域のコミュニケーション活動に貢献したい」と言う「夢」を支援してくれているご近所の奥様や区の担当者の方々である。
Kさんによれば、この人たちから「口コミ」の輪が広がったとのこと。今回の生演奏会をきっかけにさらにこの輪があちらこちらで開花すれば、と期待していると喜びのほどを語ってくれた。

明るく、温かい、そしてつややかな音色で
ヴァイオリンの素晴らしさを堪能させてくれた
上野真理さん
定刻になって上野真理さんがにこやかに登場。
20畳の広さがあるといっても、実際は演奏者と聴衆が目と鼻をつき合わせるほどの距離である。これこそ、小生が思い描いていた理想のスチエーションである。
オープニングは、エルガーの『愛のあいさつ』で始まった。
明るく、温かく、そしてつややかなヴァイオリンの調べに乗って、聴きなれたお馴染みのメロディがホールいっぱいに紡がれて行く。
瞬間、『ああ、これが生のヴァイオリンの音なのだ』と感動する。
そして、今までこのホールでタンノイのスピーカーで再生されたヴァイオリンの音を何度も聴いているけど、生演奏の音とオーディオ装置で再生される音とは『異質』なものだということを再認識した。
また、上野さんが選曲されたプログラムの中には、本来は伴奏がある曲を無伴奏で演奏したが、その演奏を聴きながら伴奏が入らないことで逆に伴奏の役割について認識を新たにした。
今回のコンサートの聴き所は、ヴァイオリンのテクニックが存分に発揮されたファリアの「スペイン舞曲」とクライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース」であった。
すぐ目の前で彼女の左手がヴァイオリンの弦の上をあたかも魔法の指のようにめまぐるしく動き回り、右手の弓の操作と相俟って高音から低音までの音色の変化を自在に操るテクニックの妙にすっかり魅了された。
演奏会は1時間ほどで終了したが、この時間は何とも贅沢で、満ち足りた至福の一時となった。
このような雰囲気でのホームコンサートを聴ける機会は、多分そんなにないだろう。
それだけに、Kさん宅にまでわざわざ足を運んでいただき、ヴァイオリンという楽器の素晴らしさを堪能させてくれた上野真理さんには心から感謝申し上げると共に、これからのますますのご活躍をお祈り申し上げます。
また、今回このような貴重な体験の場を作ってくれたKさんに厚くお礼を申し上げる次第である。
Kさん宅を辞する時、玄関の横で咲いていた紅白二本の梅の木から匂うように梅の香りが漂っていた。
「ああ、もう春だな」と春の到来を実感し、幸せな気分を満喫しながら帰路についた。

上野真理さんを囲み当日集まった皆さんとの記念写真
当日のプログラム
エルガー 愛のあいさつ
クライスラー ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
ベートーヴェン ロマンスへ長調
ファリア スペイン舞曲
ヴィバルディ 四季から「春」
クライスラー レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース作品6
上野真理さんのプロフィール
桐朋女子高校音楽科を経て、桐朋学園大学卒業。その後、ウイーン国立音楽大学に留学。
在学中、「多摩フレッシュ音楽コンクール」弦楽器部門入選、江藤俊哉ヴァイオリンコンクール第1位 入賞、神奈川フィルハーモニーとコンチェルトを協演、東京文化会館新進演奏家デビューコンサート等に出演。
2004年、和光市文化振興公社の主催でリサイタルを開催。スィートベイジル STB139(六本木)のクラシックライブや(財)地域創造の公共ホール活性化事業等に参加、幅広く演奏活動を行なっている。
上野真理さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/musicinfo/
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