折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

初めての『ゴーストライター』体験

2008-08-10 | 日常生活
息子一家が夏休みで戻って来るというので、汗だくになりながら2階の部屋の大掃除をし、ついでに古くなった書類の整理をしていると1枚の新聞記事の切り抜きが出てきた。
メモ書きで、2000年10月14日A新聞投書欄『声』に掲載とある。

まさに懐かしいものがホコリを被って出てきたものである。

思わず作業の手を止めて記事に見入った。

その記事は、小生がゴースト・ライターとしてマンション建設計画の見直しを求める会の代表者の名前で新聞社に投書したものであった。


古い書類を整理していて見つけた2000年10月14日付A新聞の
投書欄に掲載された記事


小生が住む静かな住宅街に突如として高層マンション建設計画が持ち上がったのは、2000年春のことである。

当時は、バブルがはじけ、特に金融機関は財務内容の建て直しのために、なりふりかまわず資産の切り売りを加速させていた。

小生が住む地域に隣接して建てられていたS銀行の社宅もその例外でなく、取り壊して9階建ての高層マンションを建設するというのである。

こんな住宅地域に高層マンションなどが建設されたら住民の『住環境』が劣悪になってしまうと危機感を強く持った近隣の住民が集まって、対策を話し合い、『地域環境を守る会』を立ち上げ、建設に反対していくことになった。

その具体策として、幅広く地域住民から建設反対の署名を集めたり、最寄の駅頭で反対運動のチラシを配ったり、主だった場所にポスターを貼ったり、現地に幟旗を林立させたり、M建設の社長宅に出向いて社長宅を始め、周辺の家々のポストに抗議文を投げ入れたり、すぐ近くに事務所を構える現役の国会議員に陳情したり、インターネット上に反対運動のためのホームページを設けたり、とありとあらゆる手段を駆使して抵抗した。

特に建設会社との交渉の場では、激しくやりあった。

本投書の内容もそんなやりとりの中で実際にあったもので、新聞社への投書は、小生が提案し、会の会長の名前で小生が書いた。


時が流れ、あれからやがて8年が経とうとしている。

建設反対運動の記憶も、時間の経過と共に風化し、思い出と化している。

そして、今残っているのは高層マンションから吐き出される『生活騒音』を始めとする、とてつもない生活環境の悪化を日々甘受せざるを得ないという現実だけである。



すぐ後ろに建つマンションの圧迫感は想像以上
特に夏場はどの家も窓を開けているため子供の声、犬の鳴き声などの
生活騒音が頭痛の種


今、こうしてこの新聞記事を読み返して見ると、これは記憶のかなたへと消え去ってしまった当時の反対運動の熱気を伝える、ほとんど唯一といっても良い『物的証拠』と言えるものかもしれない。

そして、小生にとっては後にも先にも初めての『ゴーストライター』体験であった。

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