折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

天声人語にも「加点」

2014-02-22 | 雑感
天声人語の書き写しを始めてから2年半、現在31冊目に入っている。

そして、書き写しながらその日の「天声人語」のできばえを自分なりに採点している。

ソチ五輪で競技が終わったばかりのフィギュアスケートの採点では、演技のできばえによって「加点」がつくが、天声人語で「加点」をつけられるような名文には、中々お目にかかれない。

そんな中で、本日の天声人語は、文章技術、文章構成それぞれに「加点」をもらえるようなできばえであり、久々のクリーンヒットではないだろうか。

特に以下の、抜粋部分は秀逸である。

(前略)▼作曲者のラフマニノフは、落ち込んで筆も執れぬ状態だったという。交響曲第1番が失敗作としてこっぴどく叩かれ、自信を喪失した。どん底から立ち直って紡ぎ上げたのがこの名曲だった。その旋律に乗って浅田真央選手はたたかった▼初日を終えて金妍児選手が首位なのはバンクーバーと変わらない。前回2位だった浅田さんはまさかの16位。落胆は察して余りある。しかし選んだ曲の誕生に重ねるように、失意から立ち上がり、見せてくれた自己最高のフリーだった▼雨が降らなければ虹は出ない。前日の失敗という雨に降られたあと、見事に晴れて懸かった虹に私たちの目も潤んだ。メダルの色を超えた、有終の七色である(後略)

作曲者ラフマニノフと浅田さんを結び付けた巧みな文章構成といい、雨が降らなければ以下の「決めセリフ」の秀逸な文章表現と言い、まさに「加点」をもらえるに相応しい名文だと感じ入った次第である。