実家の西隣の家のおばあさんの葬式で20日遅れとなってしまった老母の誕生会の席上でのこと。
『おばあちゃん、とても元気そう』
『おばあちゃん、顔色いいわよ』
義姉、義妹から次々におばあちゃんに励ましの声がかかる。
94歳の誕生日を祝う
『しばらく会っていないと、見た目は元気そうに見えるだろうけど、このところ顕著な変化があるんだ』
と老母と共に暮らす長兄が最近の様子を話し始める。
『心身ともに健康と言うけど、おばあちゃんの場合、頭の方は相変わらず、しっかりしていて、ボケの心配は全くないんだけど、肉体的にはこの所、急激に弱って来ている。特に、足が弱って以前より歩けなくなって、その影響が体のあちこちに出てきている』
『最近は、唾液の出が悪くなって、食べ物を飲み込むのが大変なんだ』
と老母。
『うまく歩けなくなったせいで、唾液の出が悪くなって、食べ物を飲み込むのに時間がかかったり、手の指や足の指などの動きが思うようにいかなくて、ボタンをかけたり外したりするのに時間がかかったり、スリッパを履いたり脱いだりするのがうまくいかなくなったりと半年前はできたことが、段々できなくなりつつある』と長兄。
『こんなに急に足が弱るとは思っても見なかったよ』と老母。
『かかりつけの医者が、<足は第二の心臓>と言っていたけど、最近のおばあちゃんを見ているとそのことを実感するよ』と長兄。
そんな長兄の現状報告を聞きながら、足が弱ってちょっと気弱になりがちな老母に、
『定められた寿命に向かって今、坂道を下っているけど、ブレーキをかけないと一気にその坂道を転げ落ちてしまうよ。だから、しっかりブレーキをかけてゆっくりと坂道を下るようにしてね。そのブレーキとは「気力」だよ。気力がなくなったら、それこそあっという間だよ』
『そうだよ、とりあえず目標としては、来年95歳の誕生日をみんなに祝ってもらわなければ』
『それには、これから迎える暑い夏、寒い冬を何としても乗り切らなければ』
等々、みんなで老母にエールを送った次第である。
『おばあちゃん、とても元気そう』
『おばあちゃん、顔色いいわよ』
義姉、義妹から次々におばあちゃんに励ましの声がかかる。
94歳の誕生日を祝う
『しばらく会っていないと、見た目は元気そうに見えるだろうけど、このところ顕著な変化があるんだ』
と老母と共に暮らす長兄が最近の様子を話し始める。
『心身ともに健康と言うけど、おばあちゃんの場合、頭の方は相変わらず、しっかりしていて、ボケの心配は全くないんだけど、肉体的にはこの所、急激に弱って来ている。特に、足が弱って以前より歩けなくなって、その影響が体のあちこちに出てきている』
『最近は、唾液の出が悪くなって、食べ物を飲み込むのが大変なんだ』
と老母。
『うまく歩けなくなったせいで、唾液の出が悪くなって、食べ物を飲み込むのに時間がかかったり、手の指や足の指などの動きが思うようにいかなくて、ボタンをかけたり外したりするのに時間がかかったり、スリッパを履いたり脱いだりするのがうまくいかなくなったりと半年前はできたことが、段々できなくなりつつある』と長兄。
『こんなに急に足が弱るとは思っても見なかったよ』と老母。
『かかりつけの医者が、<足は第二の心臓>と言っていたけど、最近のおばあちゃんを見ているとそのことを実感するよ』と長兄。
そんな長兄の現状報告を聞きながら、足が弱ってちょっと気弱になりがちな老母に、
『定められた寿命に向かって今、坂道を下っているけど、ブレーキをかけないと一気にその坂道を転げ落ちてしまうよ。だから、しっかりブレーキをかけてゆっくりと坂道を下るようにしてね。そのブレーキとは「気力」だよ。気力がなくなったら、それこそあっという間だよ』
『そうだよ、とりあえず目標としては、来年95歳の誕生日をみんなに祝ってもらわなければ』
『それには、これから迎える暑い夏、寒い冬を何としても乗り切らなければ』
等々、みんなで老母にエールを送った次第である。