先生の適切な処方によって、落ち着きを取り戻し、ベランダでくつろぐ愛犬「パール」
今年で9歳を迎える愛犬のあごには「白髪」が目立つようになってきた。
<「おしっこ」騒動>
「おとうさん、大変、大変。パールの調子が変なの」
「どう変なのよ」
「おしっこばっかりしたがって、その上、おしっこに血が混じってるの」
夜9時過ぎのこと。
抜刀の稽古から帰って来るとかみさんからの予期せぬ報告が待っていた。
その日は、娘と孫も来ていたのだが、パールが変調をきたして、頻繁におしっこに行きたがるので、その都度外に連れ出すやら、孫のKちゃんがおしっこをおもらししてしまうやら、「おしっこ」にまつわることで留守中の我が家はてんてこ舞いだったとのこと。
<「出ずっぱり」も一因?>
「膀胱炎ですね」
翌日、往診に来てくれたかかりつけの獣医さんは小生の話を聞くとそう診断し、パールの首とおしりに注射を打って、
「可哀そうに、苦しかったよね、これで楽になるからね」
とパールに話しかける。
気さくで、頼もしくて、本当に動物思いの優しい先生である。
「先生、いつもは大概わたしと一緒に家にいるんですが、この所わたしが出かけることが多くて、先日もちょっと帰りが遅くなって、おしっこを我慢させてしまったことがあったのですが、それが原因ですか」と小生。
「膀胱炎の直接の原因は細菌感染ですが、その時の犬の体調もあるので、一概には何とも言えないけど、まるっきり影響がないとは言えないでしょうね。何しろ、犬はデリケートな動物ですから」
「すると、ストレスも良くないんでしょうね。先ほども言いましたが、このところ出ずっぱりで一人で置いてかれたり、孫が来るとわたしが孫をちやほやするので、孫には<対抗心>が強いんですよ。そんな、こんなで、相当ストレスを感じてるのかなと思ったんですが・・・」
「犬も人間も全く同じなんですよ。やっぱり、過度のストレスはね・・・・・・」
先生が処方してくれた薬
<反省>
注射を打ってもらった効果はすぐに現れた。
それまで小生の顔を見ては、「おしっこ」と訴えていた表情が消えて、すっかり落ち着いて、いつものように小生の足元にうずくまって、たちまち大きないびきをかきだした。きっと、前の夜は眠れなかったに違いない。
そんな様子を眺めながら、「パール、おまえさん、そんなにストレスが溜まってたのか。病気になることでしか、それを訴えられないなんて、可哀そうに。もう少し早く気がついてやれたら、よかったのに」と愛しさがこみ上げてくるとともに、ものをしゃべれない動物とのコミュニケーションのあり方について改めて思い知らされ、反省させられた次第である。