折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

「有終の美」飾れず~悔い残る一瞬の油断

2009-04-26 | 武道
<「ほっ」とため息>


土曜日、朝から冷たい雨が降りしきる。

そんな中、家の近くにあるA中央病院に行く。
病院は朝から非常に込み合っている。

外科病棟の前で待つこと約3時間。ようやく名前を呼ばれる。

「どうしました?刀で指を切ったって。ああ、これなら大丈夫心配ないよ」

と先生はいとも簡単に言い、傷口を消毒し、細いセロテープ状のもので傷口をしっかりととめ、バンドエイドを巻いて治療終了。

この間、5分。

化膿止めの薬もいらないという。

「ほっ」と、ため息をつく。


<「痛っ!」、一瞬の油断>


事の起こりは、前日金曜日の夜の抜刀の稽古。

前々回のブログで書いたが、抜刀は今月で退会することになっていて、稽古もその日が最終日であった。

稽古も終わりに近づき、斬り納めとなる巻き藁を斬り終って、刀にぬぐいをかけていると、仲間の一人が声をかけてきた。

刀に注いでいた神経が一瞬途切れたその瞬間、「痛っ」と感じた時は右手中指の先から見る見る鮮血が盛り上がっていた。

急いで血止めの応急措置を施す。

この時の仲間たちの冷静な対応は実に見事なものであり、本当に助かった。


抜刀で指を斬るケースは、刀を鞘に納める「納刀」と、刀の手入れ、特に刀にぬぐいをかける時が多い。

                 
                 5年間抜刀で使用した愛刀。
                 鞘には、抜刀の全国大会に出場した時に刀の検査を受けた印が貼付
                 されている。


<仲間たちに感謝>


抜刀を始めて5年。

この間、真剣を握っても一度たりとも指など切ったことがなかったのだが、いよいよ、真剣を握るのもこれが最後と言う段になって指を切るとは・・・・。

本来ならその夜の稽古で「有終の美」を飾れるはずだったのに・・・・。

最後の最後での不注意に、悔やんでも、悔やんでも、悔やみきれない思いに「臍」を噛む。

5年間一緒に稽古に励んできた仲間には、土壇場で迷惑をおかけすることになってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいである。

そんな中、仲間から

「居合の四段に合格したら、また一緒にやろうよ」

「絶対、帰ってこいよ」

とそれぞれ思い思いの言葉をかけてもらって、落ち込んでいた小生もこの仲間たちの温かい言葉に救われる思いであった。