折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

『部活』教育

2007-08-27 | 教育
今、多くの学校が地域社会への貢献の一環として、学校の施設の一部を一般の人に無料で開放しているようだ。
我々居合・抜刀サークルも、このお陰で毎週月曜日と金曜日の2回、夜の7時から9時までの2時間、某中学校の武道場を使わせてもらって稽古をしている。

学校側としては、それがどの程度利用され、どれだけ役に立っているか、社会貢献の成果を把握すべく、毎年1回学校の施設を利用している、それぞれのサークルの主催者を集めて、活動状況の報告を聴取したり、学校側、各サークル側双方の要望等を話し合う懇談の場を設けている。

今年もその会合が開かれ、当サークルからは例年通り居合道七段と六段の二人の先生が出席し、活動状況を報告した。

そして、その会合の終了後、中学校の剣道部の部活担当の女の先生から両先生に折り入って相談があったと言う。

その相談とは、

自分は今度、初めて剣道部の部活を担当することになったが、剣道については全くの素人で何もわからない。不安で、自信がないのだが、お二人の先生方は、武道の経験が豊富で一家言お持ちのことと思うので、この際、部員を指導していく上での心構えについてアドバイスをいただけないかと。

相談を受けた両先生は、その女の先生にこうお話されたそうである。

先生、剣道に素人であることを心配されることなんて、ちっともありませんよ。技は教えられなくても、他に教えることはいっぱいあります。部室の整理・整頓、防具の手入れ、道場の清掃もその一つですが、本校においては、どれをとっても大変失礼ながら、なおざりにされている、見過ごされている、もっとはっきり言えばまったくできていない。
武道の目指すところは『人間形成』の場です。例えば、剣道は<礼に始まり、礼に終わる>と教えていますが、およそ武道を志すものにとって、こんな基本的なこともできていないということは、とても恥ずかしいことです。

ですから、先ずは第一にこの点を改めるよう生徒を指導されたらどうでしょうか。これは、剣道が出来る出来ないに関係なく、すぐにやれることです。
悪いところははっきりと指摘して、直させ、身につくまで根気よく教え込む。それが人を教え、育てるということ、即ち、教育と言うものではないですか、と。

道理で、このところ部室がやけにきれいになっていると思ったが、そんなことがあったのかと納得する。
そして、武道の『人間形成』と学校教育とは、こういうところで繋がるものなのだと両先生の話しをお聞きして、思いを新たにした。

『あの女の先生、今のところやる気十分のようですね。以前も、ちょっとの間きれいになったことがあったが、お茶を濁す程度にやってたもんだから直ぐに元の木阿弥になっちゃったけど、今度は徹底的にきれいにしているみたいだから』『そうですね、<渡りに船>とはこういうことを言うんですかね、お陰できれいな場所で着替えが出来て気分がいい』と両先生が笑いながら話しているのを横目で見ながら、新米部活担当の女の先生これから先も頑張ってよ、と心からエールを送りたいと思った次第である。