(原題:Saving Mr. Banks)
----今日の映画、『ウォルト・ディズニーの約束』って、
だれと約束した映画ニャの?
「これはね。
後にミュージカルとなった『メリー・ポピンズ』の原作者
P・L・トラヴァースとディズニーが交わした約束のことなんだ。
でも、どんな約束を交わしたか、
それはこの映画の肝でもあるし、ここでは言えないけどね」
----それはそうだね。
でも、なぜ、その“約束”とやらを交わさなくてはならなかったか、
それくらいは教えてよ。
「うん。
ディズニー(トム・ハンクス)は、かねてより
この『メアリー・ポピンズ』を映画化したくてたまらなかった。
ところがトラヴァース(エマ・トンプソン)は絶対に首を縦に振らない。
しかし、フォーンも知っているように
結果的にこの作品は、ジュリー・アンドリュースの主演で映画化。
『チム・チム・チェリー』など多くのスタンダード・ナンバーを生みだした」
----だよね。
あと、アニメと実写が共演しているのも話題。
「そう。
それもトラヴァースは我慢ならなかった。
この大切な原作をディズニーに渡したら、
自分の世界がとんでもないことになるんじゃないかと…。
あんいせミューZカルだからね。
そこで彼女は、
ハリウッドのスタジオでリハーサルに立ち会う。
そして一語一句に細かい注文を付けていくんだ」
----それは、現場はやりづらかっただろうニャあ。
「そうだね。
今はどちらかというと、
原作は原作、映画は映画で別の作品…
そういう考え方が主流を占めるからね。
でも、トラヴァースはそうは思わなかった」
----それだけ、
その作品が大切だということだよね。
それは少し分らないでもないニャあ。
「うむ。
そのもっとも“大切”な“理由”とは何か?
そこにディズニーが気づくところが
この映画のヤマと言えるかな」
----ニャるほど。
その“気づき”を基に“約束”が生まれてくるわけだニャ。
「そういうこと。
この、ちょっと大げさに言えば
ミステリー的な要素を作ったところが
この映画の成功の要因の一つ。
観る側を最後まで飽きさせない。
話は少し逸れるけど、
ぼくは子どもの頃、
原作の『メアリー・ポピンズ』、
なかでも『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』が大好きで、
映画を観たときには
そのイメージがあまりにも壊されていたので
がっかりした方なんだ」
----どう違ったの?
「この映画は、
少なくともあの頃のハリウッド・ミュージカル向きじゃない。
メアリー・ポピンズのイメージ、
それは気難しくて近寄りがたいツンとした貴婦人。
映画のジュリー・アンドリュースのように
にこやかななじみやすさはない。
でも、そんな彼女が
ここではない、どこか違う世界へ連れて行ってくれる…
その落差が子ども心にワクワクしたんだ。
実際に自分の周りにいる大人たちも
いつもそんなに怖いときばかりではない…という淡い期待。
そしてそこに、イギリスならではのノーブルさがかぶさる。
そう、ここに描かれるファンタジーは
同じファンタジーでも
アメリカの
いわゆるポップ・キャンディのような甘い世界とは根本的に違う。
だから、
ぼくはこの映画の話を最初に聞いたとき、
納得が言ったし、スゴく嬉しかった。
そうかトラヴァースは、
ディズニーの映画化をよしとはしていなかったんだとね」
----ふむふむ。
でも、そんな裏話を
よくディズニーが映画化したよニャあ。
「そこはぼくも驚き。
この映画は、かなりディズニーの自虐的な笑いを入れている。
たとえば、トラヴァース用のが宿泊するホテルの部屋には
大きな『クマのプーさん』のぬいぐるみが用意されている。
それを観てトラヴァースは
『かわいそうなA・A・ミルン』(笑)。
でも、これで分ったことがひとつある」。
----ニャに、ニャに?
「数あるディズニー映画の中で、
メリー・ポピンズだけはキャラクター化されていない。
これは、ぼくにとってはほんとうによかったと思うよ。
いや、皮肉じゃなくて、
子ども時代からの原作のファンとしてね」
フォーンの一言「そう言われてみれば、『メリー・ポピンズ』にはキャラクター・グッズがないのニャ」
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