ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ブルージャスミン』

2014-03-04 15:10:20 | 新作映画
(原題:Blue Jusmine)


----アカデミー賞も終ったようだけど、
いつもと、ニャんだか違ったような…。
「おそらくそのひとつは、
毎年、前日発表されるラジー賞にあるんじゃないかな。
M・ナイト・シャマラン監督、ジェイデン・スミスとウィル・スミス出演の『アフター・アース』
これがあまりにも順当すぎた(笑)」

----その言い方、ちょっとかわいそう。
でも、アカデミー賞がすべてじゃないよね。
「うん。
ウディ・アレンなんて、
『アニー・ホール』が作品賞を受賞したときも、
ニューヨークの「マイケルズ・パブ」のレギュラーバンドの一員として
月曜恒例のクラリネットを演奏していた」

----そ、そうだったニャあ。
「さて、ここからが本題。
今回、アカデミー主演女優賞を受賞したケイト・ブランシェット
その対象作品となったのが『ブルージャスミン』
つまりウディ・アレン作品なんだ」

----そのタイトルだと、
お花に関係あるの?
「いやいや、そういうワケじゃない。
ケイト演じるヒロインのほんとうの名前はジャネット。
でも彼女はそれを使わず、
ジャスミンと名乗ることで
周囲への自分のイメージ作りをしている。
で、この“ブルー”は色の青ではなく
“憂鬱な”というような意味合い」

----つまり落ち込む理由が彼女にある…ということニャンだね。
「そう。
では簡単にお話を。
ニューヨークで人もうらやむセレブ生活を送っていたジャスミン。
ところが夫ハル(アレック・ボールドウィン)の不法行為が当局にバレて、すべての財産を失ってしまう。
サンフランシスコに暮らす妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)のアパートに身を寄せた彼女だが、
そんなに簡単には新しい生活にはなじめるワケもない。
妹の周りにいる下卑た感じの男性に辟易。
仕事も始めなくちゃならないし、
インテリアデザイナーにでもなろうと、
まずはパソコン教室に通う。
つまりパソコンが彼女はできない…」

----うっ、痛い。
「その繋ぎに、
紹介でいやいや働き始めた
歯医者の受付のバイト、
ところがそこではドクターからセクハラを受け、
すでにすり減らしていた神経をさらに悪化させてゆく。
そんなある日、
彼女の眼の前に、金持ちの男性ドワイト(ピーター・サースガード)という男が現れる。
これでやっと、この暮らしから脱出できる。
そう思ったジャネットは、
ドワイトに対し、
自分の身の上について嘘をついてしまう」

----あらら、嘘はいけないや。
「だよね。
もう、ここからの流れは想像つくと思うけど、
この“嘘”がいつバレるか…。
映画の興味はそちらの方へ向っていく」

----ふむふむ。
これは監督がウディ・アレンだけに
ハッピーエンドじゃ終らないニャ。
「まあ、それについては
ぼくははっきりとは言えないけどね。
と、それはともかく観ている間は、
これがウディ・アレン監督の映画ということを忘れるほど、
物語の中にのめり込んでしまう。
でも考えてみれば、
神経を病む…というのは、
ウディ・アレン映画の特徴の一つ。

この『ブルージャスミン』ほどじゃないけど、
アレン自身が役者として出演した映画では、
必ずと言っていいほど、
彼は、神経的にまいっている男の役を演じている。
ただ、ここまで重症のものはなかったような…。
なにせ、ジャスミンは人前で放心したように
ブツブツ独り言を言うしね。
冒頭、飛行機から空港へ。
とにかく喋りまくるジャスミン。
これ、やりすぎじゃないの?
と、そう思ったら、
実は、すでに病に冒されていたということ。
で、過去の栄光が忘れられないものだから、
着る服や、身につけるバッグ、小物など、
すべて一流品。
それが市井の生活の中で浮き上がり、
よけいに彼女の不安定さを強調するんだ」

----ニャるほど。
これはケイト・ブランシェット
やりがいがありそう。
「そういうことだね。
映画では、
セレブ時代の彼女のシーンも半分を占めている。
つまり、ケイトはその両方を演じなければならず、
同じファッションでも周囲に与える効果の違いを演じなければならない。
ぼくは、アカデミー主演女優賞には『あなたを抱きしめる日まで』のジュディ・デンチを押していたけど、
これには納得だね。
あと、映画として観れば、
最後の最後に明かされる“ある秘密”だね。
あっ、と驚くけど、すぐに納得。
それどころか、
彼女の神経が病んだ理由まで分ってくるという仕組み。
これはシナリオも上手いと思ったよ」




フォーンの一言「ケイト・ブランシェットのイッてしまった表情がスゴイらしいのニャ」身を乗り出す

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1 コメント

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見栄っ張り根性が抜けない悲劇 (zebra)
2016-01-10 08:56:17
DVDで見ました。ジャスミン 情けないしみっともなかったな~ みてると こいのふるまい みてると 胃がムカムカしますね。
けど それでいて ブラックユーモアの憎めない気持ちになるのはウッディアレンの演出の技術かな。

>ニューヨークで人もうらやむセレブ生活を送っていたジャスミン。
ところが夫ハル(アレック・ボールドウィン)の不法行為が当局にバレて、すべての財産を失ってしまう。
サンフランシスコに暮らす妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)のアパートに身を寄せた彼女だが、
そんなに簡単には新しい生活にはなじめるワケもない。
実はですね このジャスミンの落ちぶれを見てると、ボクのおじさんを思い出したんです。  バブル時期に板金の自営業をやってまして、 腕はよかったんですが 
「オレのいうとおり動いてりゃいいんだ」 
「さっさとやれや このばか」etc
従業員は 兄弟 従兄弟などを使ってたんですが 親戚だったためか横柄かつ横暴なふるまいでした。 ふだんの生活でも息子に対して押さえつける言い方だったり・・・そんなおじさんもバブル崩壊後 倒産して 従業員はもちろん子供たちも自立することもあってか みな愛想尽かして去っていき 奥さん つまりボクの叔母さんだけしか残りませんでした。

 倒産後 板金の腕を活かしてその道に再就職したり あるいは別の職種に再就職しようとしましたが いかんせん羽振りが良かったときの見栄っぱり根性が抜けれず 今までの上からもの言う態度が直らなかったり 他人に使われるのがイヤで 仕事も上手くいかない・・・

 最終的に ただのニートのおっさんに 成下がったんですよ。 
威張ることしか能がなく 生活費も 叔母さんがパートを掛け持ちで やっと生活できたくらいだったんですよ。

 ジャスミンもね、普段の態度が上から目線なのはね・・・人間、成功している時の態度で「根」が分かってしまうのですね。 栄枯盛衰でいつかは必ず落ちぶれるのに 見栄ってやっかいです。

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