----この“ウツ”って、ニャんニャの?
「うん。漢字で書くと
こうだね。“鬱”。
いわゆる“鬱病”のこと。
ちょっと重々しく見えるけど、
こうやって片仮名にすると近づきやすくなる」。
----じゃあ“ツレ”ってのは?
「こちらは“つれ合い”、パートナー。
この場合だと、主人公の私=妻・晴子(宮崎あおい)の夫のこと。
この夫を堺雅人が演じているんだ」
----それって、大河ドラマ『篤姫』のコンビだね?
「らしいね。観ていないけど…。
実を言うと、このタイトルとかから、
もう、内容も想像できちゃうし、
漫画の映画化ということで『ダーリンは外国人』みたいなもんだろうと、
最初は乗り気じゃなかったんだけど、
いやあ、これは見事にハマったね」
----そうニャンだ。どういうところがよかったの?
「やはり、このふたりの演技だね。
もともと演技には定評のあるふたりが、
それぞれ、高いレベルを持っている相手を前に、
より、高い演技をしているって感じ。
もちろん、それには演出の力が大きく関わっているわけだけど、
堺雅人なんて、想像を遥かに超えていた。
彼の情けなさが、
“ウツ”の男を特別に見せず、
『あ~、こういう人、どこにでもいそうだな』という気にさせる。
それは、つまりこの映画のテーマでもある、
“ウツは特別な病気じゃない。
ストレスから誰にでも起こりうるもの”と
密に結びついている」
----ニャるほど。
で、宮崎あおいは?
「こちらもそう。
ファンの人には申しわけないけど、
『神様のカルテ』とは全然違う。
夫にひとり会社に生かせて自分はグ~グ~と寝ているダメな妻のときも、
発奮して頑張り出すときも、
こちらもまた、『あ~。こういうの分かる、分かる』になるんだ。
だから、タイトルとなっている
『ツレがウツになりまして』と、
彼女が自分の、そしてあまり喋りたくはないであろう
夫の今の状態を口に出してまで
仕事をゲットしようとするその瞬間は、
胸をグッと揺さぶられる」
----で、えいはそれは監督の力量だと…、
そう言うわけだね。
「うん。すでに
『日輪の遺産』で堺雅人と組んでいるだけに、
彼の力を引き出すのが実に巧い。
そして、もうひとつ見逃せないのは、
セットでつくられた、この夫婦の家。
古風な日本家屋のそれは、
いつか観た小津安二郎映画のよう。
玄関にしろ、廊下の長い縁側にしろ、
それは映画の<画>を作り出すだけでなく、
そこで演じているふたりにも
その役に入りやすい“空気”を提供している。
セットというモノの重要性を改めて教えられた映画でもあるね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「フォーンはストレス少ないからウツは分からないのニャ。
※それは羨ましい度
こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。
「ラムの大通り」のツイッター
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「うん。漢字で書くと
こうだね。“鬱”。
いわゆる“鬱病”のこと。
ちょっと重々しく見えるけど、
こうやって片仮名にすると近づきやすくなる」。
----じゃあ“ツレ”ってのは?
「こちらは“つれ合い”、パートナー。
この場合だと、主人公の私=妻・晴子(宮崎あおい)の夫のこと。
この夫を堺雅人が演じているんだ」
----それって、大河ドラマ『篤姫』のコンビだね?
「らしいね。観ていないけど…。
実を言うと、このタイトルとかから、
もう、内容も想像できちゃうし、
漫画の映画化ということで『ダーリンは外国人』みたいなもんだろうと、
最初は乗り気じゃなかったんだけど、
いやあ、これは見事にハマったね」
----そうニャンだ。どういうところがよかったの?
「やはり、このふたりの演技だね。
もともと演技には定評のあるふたりが、
それぞれ、高いレベルを持っている相手を前に、
より、高い演技をしているって感じ。
もちろん、それには演出の力が大きく関わっているわけだけど、
堺雅人なんて、想像を遥かに超えていた。
彼の情けなさが、
“ウツ”の男を特別に見せず、
『あ~、こういう人、どこにでもいそうだな』という気にさせる。
それは、つまりこの映画のテーマでもある、
“ウツは特別な病気じゃない。
ストレスから誰にでも起こりうるもの”と
密に結びついている」
----ニャるほど。
で、宮崎あおいは?
「こちらもそう。
ファンの人には申しわけないけど、
『神様のカルテ』とは全然違う。
夫にひとり会社に生かせて自分はグ~グ~と寝ているダメな妻のときも、
発奮して頑張り出すときも、
こちらもまた、『あ~。こういうの分かる、分かる』になるんだ。
だから、タイトルとなっている
『ツレがウツになりまして』と、
彼女が自分の、そしてあまり喋りたくはないであろう
夫の今の状態を口に出してまで
仕事をゲットしようとするその瞬間は、
胸をグッと揺さぶられる」
----で、えいはそれは監督の力量だと…、
そう言うわけだね。
「うん。すでに
『日輪の遺産』で堺雅人と組んでいるだけに、
彼の力を引き出すのが実に巧い。
そして、もうひとつ見逃せないのは、
セットでつくられた、この夫婦の家。
古風な日本家屋のそれは、
いつか観た小津安二郎映画のよう。
玄関にしろ、廊下の長い縁側にしろ、
それは映画の<画>を作り出すだけでなく、
そこで演じているふたりにも
その役に入りやすい“空気”を提供している。
セットというモノの重要性を改めて教えられた映画でもあるね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「フォーンはストレス少ないからウツは分からないのニャ。
※それは羨ましい度
こちらのお花屋さんもよろしく。
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平屋というのが今はとても贅沢だし、廊下があるなんてうらやましい。
よく見つけたなと思いますし、こういうおうちに住んだら心も落ち付くように思いました。
このお家いいですよね。
あれっ、これもしかしてセットじゃなかったかな。
よく作り上げたものと、感心した記憶が…。
鬱病と書かずにうつ病と書き
障害者とは書かずに障がい者と書きますね。
なにか決まりごとが有るのでしょうか・・・
鬱病のほうはよく分からないのですが
もしかして漢字が難しいから?
障害者の方は
これは「害」が悪い(マイナス)イメージを与えるからのようです。
最近では障碍という書き方もされてるようですよ。
俳優がとても良く生かされているし、遊び心のある世界観も良かった。
CGを使ったファンタジー風のビジュアルの部分はちょっと「ミス・ポター」を思わせましたが、私は好きでした。
平山秀幸監督と並び、
この佐々部監督は日本映画界における
あるポジションをきっちりキープしている気がします。
こういうとんがっていない、
でもきちっと仕上げてくれる映画は、
やはり大切にしたいです。
「セットでつくられた、この夫婦の家」に着目されている方が少ないようなので、コメントさせていただきました。
「古風な日本家屋のそれは、いつか観た小津安二郎映画のよう」とありますが、劇場用パンフレットによれば、「どこかで『東京物語』がやりたかったんですよね。だから、笠智衆さんと東山千栄子さんがぽつんといるようなあの縁側も必要だった」とのこと(ハルさんの両親が理髪店をやっているのも、杉村春子の美容室に準えたのかもしれません!)。
ただ、なんでそんな時代錯誤的なことを敢えてここでするのかな、と不思議な感じになってしまいます。
あるいは、この話をすべてファンタジックなものにしようとしているのではないかな、と思ったりしますが、如何でしょうか?
コメントありがとうございます。
縁側もそうですが、
あの廊下の写し方に
昭和30年代の日本映画の香りを感じました。
もしも、あの家が
もっと現代的な、
あるいは1980年代の打ちっぱなしのコンクリートのような
冷たく無機質なものだったら、
うつもさらに悪化したような…。
ぼくは、
ふたりを包む、
懐かしくもあったかい昭和の空気感が
心の治癒に一役買った…
そんな気がしました。