----これ、観たとき
スゴく興奮していなかった?
確か、トリュフォーやアルトマンまで
引き合いに出して…。
「そうだね。
その思いは今も変わらない。
最初、この『桐島』の話を聞かされたとき、
舞台が学園ということ、
同じ時間が繰り返されるという噂から
押井守『うる星やつら★ビューティフル・ドリーマー★』のようなものかと…。
ところが実際は、
そういう時間が<止まった>ものではなく、
同じ時間に起こったことを
視点を変えながら少しずつずらして見せているんだ。
こういうスタイルの映画、
いままでにもあったような気がしないでもないけど、
ここまで徹底したのは初めてじゃないかな」
----へぇ~っ。
同じことばかりが繰り返し描かれているなんて
とてもオモシロいとは思えないんだけど…。
ニャにか意味あるの?
「そこなんだよね。
ぼくが、ふたりの巨匠の名を持ちだしてきたのは…。
ロバート・アルトマンは言わずと知れた群像ドラマの名手。
一方のフランソワ・トリュフォーは、
映画の中に登場するすべての人の人生を意識しながら
作っているようなところがある。
この作品は、そこを継承しているんだ。
フォーンは、この映画の主人公って誰だと思う?」
----決まっているじゃニャい。
その桐島って人でしょ?
「普通、そう思うよね。
ところが、この映画には桐島は登場しない。
厳密に言えば超ロングで写しだされはするんだけど…。
で、映画は、その“桐島”が“バレー部”を止めるという噂が、
さまざまな波紋を巻き起こしていくさまを描いていく。
この、“桐島”というのは
文武に秀でたスーパーヒーロー。
その友だちは菊池宏樹(東出昌大)を始め、
友弘、竜太とみんなカッコよく、
彼女の梨紗(山本美月)も、
男ならだれしもが目を止めずにはおかないほどの美形。
で、その梨紗も東原かすみ(橋本愛)や沙奈、実果といった
やはり美女軍団を率いている。
さて、これまでの映画なら、
ここまで舞台が整えば、
この桐島と梨紗にスポットを当てて描いていくはず。
ところが、ここで描かれるのは
桐島の部活が終わるのを待っている宏樹たち帰宅部のイケメン男子たち、
そして同じように桐島を待つ梨紗とそのグループの女子たち」
----あれれっ。
この映画の主演は神木隆之介かと思っていたけど、
まだ、彼の名前出てこないね。
そう言えば、大後寿々花)も…。
「そこ。そこもポイント。
神木隆之介が演じているのは映画部の前田涼也、
この学校においては、
映画部のヒエラルキーは低く、
彼ら映画部員は日蔭の存在。
同じく大後寿々花演じる沢島亜矢も吹奏楽部キャプテン。
でも、彼らにも当然、
自分の<思い>やそれに基づく<生き方>というものがある。
だけど、“上”グループからは、
彼らはまるで
存在していないかのように軽く扱われている。
この映画は、そんな学校という格差社会の中、
“下”グループの心をも持て余す“上”グループのいやらしさ、
またその“上”グループの中にも
実は、それぞれに対する<隠された悪意>があることなどを
多角的に描いていくんだ」
----もう少し分かりやすく説明してよ。
「そうだね。
一例をあげると、
亜矢は宏樹のことを秘かに思っている。
彼女は、毎日、放課後に
彼の姿が見えるところで吹奏楽の練習をしている。
その気持ちに気づいた宏樹の彼女、沙奈は
わざと亜矢の見えるところで彼にキスをせがむ」
----いやらしい女だニャあ。
「かすみにしてもそう。
彼女は中学時代の同級生である涼也に
思わせぶりな態度を取る。
結果、
涼也はかすみと親しくなれるのでは?と淡い期待を抱く。
しかし、それも公にはしていない彼氏がいるかすみの
余裕のなせるわざということが
後に分かってくる…。
さらには、
女子の“上”グループに亀裂が入るきっかけを生む
桐島の補欠・風助(太賀)のエピソードも絡んできて…」
----確かにオモシロそう。
でも、そんなに盛りだくさんだと
収拾つかなそうだニャ…。。
「いやいや。
監督は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』や『パーマネント野ばら』>の吉田大八。
それぞれの事象を
時間をずらし、角度を変えることで
個々の内面と、そこから生まれる関係性の変容を見せていく。
そしてクライマックスで爆発するダイナミックな下剋上。
それはなんと<映画>を通してのもの。
この“映画の反乱”――果たして成功するのか、否か?
やはりこれは、とんでもない映画と言うしかない」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「手放しの褒めようだニャ」
※『夢売るふたり』 が本年度邦画ベストと言ったばかりだけど、
やはり個人的にはこの映画の方が好きかもだ度…
こちらのお花屋さんもよろしく。
こちらは噂のtwitter。
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スゴく興奮していなかった?
確か、トリュフォーやアルトマンまで
引き合いに出して…。
「そうだね。
その思いは今も変わらない。
最初、この『桐島』の話を聞かされたとき、
舞台が学園ということ、
同じ時間が繰り返されるという噂から
押井守『うる星やつら★ビューティフル・ドリーマー★』のようなものかと…。
ところが実際は、
そういう時間が<止まった>ものではなく、
同じ時間に起こったことを
視点を変えながら少しずつずらして見せているんだ。
こういうスタイルの映画、
いままでにもあったような気がしないでもないけど、
ここまで徹底したのは初めてじゃないかな」
----へぇ~っ。
同じことばかりが繰り返し描かれているなんて
とてもオモシロいとは思えないんだけど…。
ニャにか意味あるの?
「そこなんだよね。
ぼくが、ふたりの巨匠の名を持ちだしてきたのは…。
ロバート・アルトマンは言わずと知れた群像ドラマの名手。
一方のフランソワ・トリュフォーは、
映画の中に登場するすべての人の人生を意識しながら
作っているようなところがある。
この作品は、そこを継承しているんだ。
フォーンは、この映画の主人公って誰だと思う?」
----決まっているじゃニャい。
その桐島って人でしょ?
「普通、そう思うよね。
ところが、この映画には桐島は登場しない。
厳密に言えば超ロングで写しだされはするんだけど…。
で、映画は、その“桐島”が“バレー部”を止めるという噂が、
さまざまな波紋を巻き起こしていくさまを描いていく。
この、“桐島”というのは
文武に秀でたスーパーヒーロー。
その友だちは菊池宏樹(東出昌大)を始め、
友弘、竜太とみんなカッコよく、
彼女の梨紗(山本美月)も、
男ならだれしもが目を止めずにはおかないほどの美形。
で、その梨紗も東原かすみ(橋本愛)や沙奈、実果といった
やはり美女軍団を率いている。
さて、これまでの映画なら、
ここまで舞台が整えば、
この桐島と梨紗にスポットを当てて描いていくはず。
ところが、ここで描かれるのは
桐島の部活が終わるのを待っている宏樹たち帰宅部のイケメン男子たち、
そして同じように桐島を待つ梨紗とそのグループの女子たち」
----あれれっ。
この映画の主演は神木隆之介かと思っていたけど、
まだ、彼の名前出てこないね。
そう言えば、大後寿々花)も…。
「そこ。そこもポイント。
神木隆之介が演じているのは映画部の前田涼也、
この学校においては、
映画部のヒエラルキーは低く、
彼ら映画部員は日蔭の存在。
同じく大後寿々花演じる沢島亜矢も吹奏楽部キャプテン。
でも、彼らにも当然、
自分の<思い>やそれに基づく<生き方>というものがある。
だけど、“上”グループからは、
彼らはまるで
存在していないかのように軽く扱われている。
この映画は、そんな学校という格差社会の中、
“下”グループの心をも持て余す“上”グループのいやらしさ、
またその“上”グループの中にも
実は、それぞれに対する<隠された悪意>があることなどを
多角的に描いていくんだ」
----もう少し分かりやすく説明してよ。
「そうだね。
一例をあげると、
亜矢は宏樹のことを秘かに思っている。
彼女は、毎日、放課後に
彼の姿が見えるところで吹奏楽の練習をしている。
その気持ちに気づいた宏樹の彼女、沙奈は
わざと亜矢の見えるところで彼にキスをせがむ」
----いやらしい女だニャあ。
「かすみにしてもそう。
彼女は中学時代の同級生である涼也に
思わせぶりな態度を取る。
結果、
涼也はかすみと親しくなれるのでは?と淡い期待を抱く。
しかし、それも公にはしていない彼氏がいるかすみの
余裕のなせるわざということが
後に分かってくる…。
さらには、
女子の“上”グループに亀裂が入るきっかけを生む
桐島の補欠・風助(太賀)のエピソードも絡んできて…」
----確かにオモシロそう。
でも、そんなに盛りだくさんだと
収拾つかなそうだニャ…。。
「いやいや。
監督は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』や『パーマネント野ばら』>の吉田大八。
それぞれの事象を
時間をずらし、角度を変えることで
個々の内面と、そこから生まれる関係性の変容を見せていく。
そしてクライマックスで爆発するダイナミックな下剋上。
それはなんと<映画>を通してのもの。
この“映画の反乱”――果たして成功するのか、否か?
やはりこれは、とんでもない映画と言うしかない」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「手放しの褒めようだニャ」
※『夢売るふたり』 が本年度邦画ベストと言ったばかりだけど、
やはり個人的にはこの映画の方が好きかもだ度…
こちらのお花屋さんもよろしく。
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実に面白かった。
吉田大八監督は前作の「パーマネント野ばら」も良かったですが、独自の世界を作りつつありますね。
内容的にも夏休みにピッタリ。
しかし今時あんなアナログな映画部はあるのかな(笑
先日はコメントありがとうございました。
人知れず、ちょくちょく読ませて貰っています。
この映画、何とも言いがたい面白さがある映画でしたね。
終わり方は賛否ありそうな感じでしたが、私的にはアリだなと。
ところで今回TBさせて頂こうとして、誤って違う映画のTBもことらにしてしまいました。
どうぞ容赦なく削除願います。
何でしたらこのコメントごと闇に葬って下さっても結構ですので(笑)
そして幸いにも、それは1つしか反映されてないようで・・・。
ご迷惑、及び無駄にお騒がせしました。
ぼくは、この映画のラストは好きですね。
それまで、あまり人の痛みとか感じることなく
自然に、もって生まれた「才」を享受していた彼が
初めて大きく心動かされる。
やはり、そうあってほしいなというか、
あのシーンで、この映画への
ぼくの評価、支持は一気に上がりました。
違う映画へのTB、ありましたっけ?
なかったような…?
実は少し前に『パーマネント野ばら』を観なおしたのですが、
やはりこの監督はいいですね。
しかも、一作ごとに違う引き出しを持っている。
これからが楽しみです。
実際すごかった。
正直前半はかったるかったんですが、
ラストの屋上のシーンで涼也と宏樹が向かい合って話すシーンでなぜか泣いてました。
8ミリフィルムだとか、えいさんきっと好きだろうなって
映画見ながら思ってましたよ☆
映画好きにもいろいろあるけど、
この作品とかこの監督とか自分がこだわってるとこに
ふれてくるような作品てそれだけでうれしくなっちゃうとこありますよね(#^.^#)
いつもながら、吉田監督は役者の魅力の引き出し方が上手いですね。
視点を変えながら少しずつずらして見せているんだ
この手法は、外国映画で何度かみたんですが、観ているこっちは楽しいですね。裏側のさらに裏側が解る感覚です。それに群像劇では一層効果的かも。
それにしても若い人が魅力的なのはほんとにいいです。屋上のラストシーンにこの監督の想いがあるようで。多少陳腐ですが、やはりジーンときます。
こういう関連性の強い主題歌だったら大歓迎です。
ラストは、泣けましたね。
いままで、こんな形で「持てる者」を描いた映画って
あまりなかった気がします。
青春=悩みというのが定説のようになっていたので…。
しかし、8ミリを撮っていた頃を強烈に思い出させてくれる映画でしたね。
なるほど、黒澤明監督は
そのふたつの手法を
それぞれに取り入れていたわけですね。
もし、彼がこの時代に生きていて、
ここまで多様化した映画を観たら、
どんな感想を抱いたか、
実に興味があります。